民法改正(中間試案)―ここが気になる!― 【第9回】「債権譲渡」
民法改正の中間試案の中で、最も複雑なものが債権譲渡に関する部分である。
特に、債権譲渡の対抗要件を、債務者を情報センターとする方法(債務者に対する通知や債務者の承諾とする方法:現行の民法に規定される方法)と、債権譲渡登記を活用する方法(「動産及び債権の譲渡の対抗要件に関する民法の特例等に関する法律」により定められた方法)と二通りが並行して考えられており、結論が出ていない点が大きい。
親族図で学ぶ相続講義 【第9回】「特別受益」
上図のような相続事件が発生したとしましょう。被相続人は甲野一男です。
相続人は、配偶者と子供2人、一見、何の変哲もない相続事件です。
さて、甲野一男の相続開始時の財産の価額を金6,000万円としましょう。
相続人3名のうち、乙野花子が嫁入りのときに支度金として父(甲野一男)から金1,000万円の贈与を受けていたら、どうなるでしょうか?
これが、特別受益の問題です。
民法改正(中間試案)―ここが気になる!― 【第8回】「請負、委任等その他の契約」
請負契約は、仕事の完成を目的とする契約であるため、仕事が完成しなければ報酬が全く発生しないという原則がある一方、現行法下でも、仕事が完成しなくなった原因(注文者による解約、物理的な不可能等)によっては、報酬や費用の請求を認めてもよいのではという解釈があり、これを明文化することになった。
そこで、以下の場合は、既に行った仕事の報酬と費用を請求できるとしている。
民法改正(中間試案)―ここが気になる!― 【第7回】「賃貸借」
民法改正のスケジュールについては、法制審議会において、平成26年7月末までに「要綱仮案」の取りまとめを行うこととされ、平成27年2月頃に法制審議会の答申をすることが予定された旨が法務省から公表された。
また、法制審議会民法(債権関係)部会第74回会議(平成25年7月16日開催)のウェブサイトでは、先日締め切られたパブリックコメント手続で得られた意見の速報版が掲示され、そもそも民法改正は不要であるという見解から、個々の論点に関する様々な立場からの様々な意見が寄せられている。
親族図で学ぶ相続講義 【第8回】「公正証書遺言を薦めるワケ」
前回お話した自筆証書遺言は、自宅にて一人で書けるのでたしかに気軽です。
しかし、ど素人が一人で書くので、次のような事態が生じる懸念が拭えません。
民法改正(中間試案)―ここが気になる!― 【第6回】「約款」
民法改正においては、約款の項を新たに設け、「多数の相手方との契約の締結を予定してあらかじめ準備される契約条項の総体であって、それらの契約の内容を画一的に定めることを目的として使用するものをいうものとする。」と定義している。
すなわち、本来、契約は当事者間での合意であり個々に内容が定まることが原則であるところ、多数の相手方と画一的に内容を定めた契約を締結し、個々の同意がなくともその内容について一律の変更等ができるとするという例外を認めた契約方法が「約款」である。
民法改正(中間試案)―ここが気になる!― 【第5回】「民事法定利率」
前回は損害賠償について解説したが、こうした損害賠償請求に関しては、民事法定利率の問題も同時に考えなければならない。
この民事法定利率は、民法制定当時から変わっていないが、現在の預金金利の水準が低いことから、その変更も民法改正で議論されている。
そこで今回は、利率をどうするか、固定金利か変動金利か、中間利息控除ではどう取り扱うか等について解説する。
親族図で学ぶ相続講義 【第7回】「遺言のハナシ」
前回少し触れましたが、今回は遺言の方式についてご紹介しましょう。
遺言というのは、要式行為の典型でありまして、民法が定める方式に従ってこれをしないと、全く無効とされてしまいます。
「消費税転嫁対策特別措置法」を理解するポイント
消費税転嫁対策特別措置法は、消費税の円滑かつ適正な転嫁を実現するため、平成29年3月31日までの時限立法として、
① 消費税転嫁拒否等の行為の禁止、
② 「消費税還元セール」の禁止、
③ 総額表示に関する特別措置、
④ 転嫁カルテル・表示カルテルの容認、
を定めるものである。
本誌Profession Journal No.7(2013年2月21日公開)の拙稿「消費税転嫁と独占禁止法・下請法」において、転嫁拒否等の行為や転嫁カルテル等に関する独占禁止法・下請法の特例立法措置が講じられる見通しであることを解説したが、その特例立法が、特別措置法の制定という形で実現したことになる。
民法改正(中間試案)―ここが気になる!― 【第4回】「債務不履行・損害賠償」
中間試案では、履行不能という概念から「限界事由」という新たな用語が提唱されている。
ここでは、履行が物理的に不可能な場合、履行に要する費用が履行により得る利益と比べて著しく過大なもの(経済合理性)及び、契約の趣旨から履行請求が相当でないと認められる場合、の3種類が限界事由として列挙されている。