〔検証〕適時開示からみた企業実態 【事例74】フューチャーベンチャーキャピタル株式会社「定時株主総会での決議結果に関するお知らせ」 (2022.6.23)
今回取り上げる開示は、フューチャーベンチャーキャピタル株式会社(以下「FVC」という)が2022年6月23日に開示した「定時株主総会での決議結果に関するお知らせ」である。タイトルどおり同日に開催された定時株主総会の決議結果が記載されているだけの内容なのだが、会社提案の議案はすべて否決されたのに対して、株主提案の議案はすべて可決されている。
それぞれの議案には取締役の選任があり、会社提案が否決され、株主提案が可決された結果、同社の取締役がすべて入れ替わることとなり、代表取締役も交代することとなった。そのため、同日、「代表取締役の異動及び役員人事等に関するお知らせ」も併せて開示されている。
〔検証〕適時開示からみた企業実態 【事例73】株式会社サン・ライフホールディング「特別損失の計上及び2023年3月期連結業績予想の修正に関するお知らせ」 (2022.5.27)
今回取り上げる開示は、株式会社サン・ライフホールディング(以下「サン・ライフホールディング」という)が2022年5月27日に開示した「特別損失の計上及び2023年3月期連結業績予想の修正に関するお知らせ」である。
同社は、同日、この開示と併せて「退任取締役への特別功労金贈呈に関するお知らせ」を開示し、2022年6月24日開催予定の定時株主総会の終結のときをもって退任する代表取締役会長の竹内恵司氏(以下「竹内氏」という)に対して特別功労金360百万円を贈呈するとしている。今回の開示は、その特別功労金を特別損失として計上するため、2023年3月期の連結業績予想を修正するという内容である。
事例で検証する最新コンプライアンス問題 【第23回】「電機メーカーでの品質不正-内部通報制度が機能しなかったのはなぜか」
M電機の品質不正は重大な問題であった。そこで、本連載では、【第21回】で品質不正が起きた原因について論じ、【第22回】で3度にわたる点検でも不正を発見できなかった理由について論じた。第23回となる本稿では、M電機の内部通報制度について解説したい。
内部通報制度については、2022年6月、改正公益通報者保護法が施行されたことが大きなトピックである。改正法は、企業に対して内部通報窓口の設置義務を課すなど、内部通報制度に係る重大な内容を多々定めている。企業における内部通報制度の重要性はさらに高まった。
そうした中で、M電機は内部通報制度を整備していたにもかかわらず、今回問題となった品質不正を発見できなかった。なぜ、内部通報制度が効果を発揮できなかったのか。
本稿では、調査委員会が作成した調査報告書に基づき、M電機が整備していた内部通報制度の概要を確認しつつ、可児工場と長崎製作所を例として、M電機において品質不正についての内部通報がなされなかった原因について分析する。
〔検証〕適時開示からみた企業実態 【事例72】キッコーマン株式会社「2022年3月期決算短信〔IFRS〕(連結)」 (2022.4.27)
今回取り上げる開示は、キッコーマン株式会社(以下「キッコーマン」という)が2022年4月27日に開示した「2022年3月期決算短信〔IFRS〕(連結)」である。サマリー情報の「2023年3月期の連結業績予想(2022年4月1日~2023年3月31日)」には次のような記載がなされ、来期の業績予想は未定とされている。
事例で検証する最新コンプライアンス問題 【第22回】「電機メーカーでの品質不正-過去の点検で不正を発見できなかったのはなぜか」
M電機では、2016年、2017年、2018年と3度にわたり、グループ全体を対象に品質不正あぶり出しの点検を実施した。ところが、M電機は3度も点検をしていたにもかかわらず不正の全てを発見することができず、その後も多くの不正の発覚が続いている。
前回(第21回)は、なぜM電機で不正が起きたのか、その原因について検討した。今回の連載では、M電機が3度にわたる点検を実施したのに、なぜ不正を発見できなかったのか、その理由について検討したい。
以下、M電機が発見できなかった長崎製作所での不正を取り上げ、分析していく。
〔検証〕適時開示からみた企業実態 【事例71】株式会社吉野家ホールディングス 「当社役員の解任に関するお知らせ」 (2022.4.19)
今回取り上げる開示は、株式会社吉野家ホールディングス(以下「吉野家ホールディングス」という)が2022年4月19日に開示した「当社役員の解任に関するお知らせ」である。取締役会において同社執行役員および子会社である株式会社吉野家常務取締役の伊東正明氏の取締役解任を決議したという内容だ。
〔検証〕適時開示からみた企業実態 【事例70】株式会社電通グループ「ウクライナ情勢を受けた人道的観点での対応について」(2022.3.17)
今回取り上げる開示は、株式会社電通グループ(以下「電通グループ」という)が2022年3月17日に開示した「ウクライナ情勢を受けた人道的観点での対応について」である。
2022年株主総会における実務対応のポイント
コロナ禍での株主総会シーズンも3年目を迎えることになり、総会自体は概ね安定的に運営されている模様である。その間、昨年3月より令和元年の改正会社法が施行され、6月には改訂コーポレートガバナンス・コードが適用開始となるなど、制度改正が相次いでいる。本年においても株主総会資料の電子提供制度などの制度改正対応を含めコロナ禍での株主との対話を志向する総会運営を実施していくこととなる。
事例で検証する最新コンプライアンス問題 【第21回】「電機メーカーでの品質不正-その原因は何か」
M電機では、2016年、2017年、2018年と3度にわたり、グループ全体を対象に品質不正の発見に向けた点検を実施してきた。それにもかかわらず、その間もその後も数多くの品質不正が次々と発覚し続けた。
〔検証〕適時開示からみた企業実態 【事例69】エバラ食品工業株式会社「新市場区分における『スタンダード市場』の選択申請に関するお知らせ」(2021.12.13)
今回取り上げる開示は、エバラ食品工業株式会社(以下「エバラ食品工業」という)が2021年12月13日に開示した「新市場区分における『スタンダード市場』の選択申請に関するお知らせ」である。
いよいよ東京証券取引所(以下「東証」という)の市場区分が2022年4月4日にプライム市場・スタンダード市場・グロース市場という新市場区分へ移行する。そのうちプライム市場とスタンダード市場の上場維持基準は以下の表のとおりである(2022年4月4日に施行される改正後の東証・有価証券上場規程501条。同規程601条1項1号により「改善期間」内に改善されなかった場合が上場廃止基準に。「流通株式数」の計算方法は、2022年4月4日に施行される改正後の東証・有価証券上場規程施行規則8条参照)。