〔検証〕適時開示からみた企業実態 【事例61】株式会社東芝「定時株主総会の決議結果に関するお知らせ」(2021.6.25)
今回取り上げる開示は、株式会社東芝(以下「東芝」という)が2021年6月25日に開示した「定時株主総会の決議結果に関するお知らせ」である。同日開催された定時株主総会において、取締役候補者のうち永山治氏(以下「永山氏」という)と小林伸行氏(以下「小林氏」という)の2名の選任案が否決されたという内容である。
事例で検証する最新コンプライアンス問題 【第19回】「地面師事件とコンプライアンス体制の充実(下)」
本件不動産の売買契約の成立から数日後、東京マンション事業部は、司法書士からメールで本件不動産について仮登記手続が完了した旨の報告を受けた。同メールには「提出書類に不備はないことを法務局が判断したことになるが、形式的審査の結果にすぎないので、本人性を疑う場合にはより踏み込んだ調査をする必要がある」旨が記載されていた。
事例で検証する最新コンプライアンス問題 【第18回】「地面師事件とコンプライアンス体制の充実(上)」
2017年6月、S社が詐欺師集団に騙され、不動産の売買代金として金63億819万3,309円を騙し取られるという事件が起こった。いわゆる「地面師事件」である。
本件は2018年1月24日に社外役員らによって当時の社長の責任を指摘する調査報告書が作成された。ところがその後、当時の会長と社長の対立が生じ、会長が会社を去る事態へと発展した。さらにその後、当時の社長の責任を問う株主代表訴訟が提起されるなどの経緯を辿った。S社は、2020年12月7日、「総括検証報告書」を公表した。同報告書は、本件の責任を社長のみに問うのは妥当ではなく、過去からの経営者共通の問題であるとしている。
本件にはコンプライアンスの観点から参考になる点が多々見られる。本稿で本件の全てについて述べることはできないが、「総括検証報告書」をベースにいくつかの論点をピックアップし、「上」と「下」の構成で2回にわたって解説したい。
〔検証〕適時開示からみた企業実態 【事例60】日本郵政株式会社「当社子会社の一部事業の譲渡に関するお知らせ」(2021.4.21)
今回取り上げる開示は、日本郵政株式会社(以下「日本郵政」という)が2021年4月21日に開示した「当社子会社の一部事業の譲渡に関するお知らせ」である。子会社である Toll Holdings Limited(以下「トール社」という)の事業のうち特に業績が悪いエクスプレス事業を売却することにしたというのだが、売却する方針はこれよりも前に決まっていた。2020年11月5日に「当社子会社の一部事業の売却検討の決定のお知らせ」を開示し、同事業の売却を検討することを決定したとしており(検討することの決定に関する開示というのは珍しいが)、今回ようやく売却先が決まったのである。
〔検証〕適時開示からみた企業実態 【事例59】楽天株式会社「第三者割当による新株式の発行及び自己株式の処分に関するお知らせ」(2021.3.12)
今回取り上げる開示は、楽天株式会社(以下「楽天」という)が2021年3月12日に開示した「第三者割当による新株式の発行及び自己株式の処分に関するお知らせ」である。なお、同社は同年4月1日付で「楽天グループ株式会社」に商号を変更している(同年1月28日に「商号の変更及び定款の一部変更に関するお知らせ」を開示)。
〈知識ゼロからでもわかる〉ブロックチェーン技術とその活用事例 【第9回】「デジタル通貨×ブロックチェーン」
地域の実体経済を考慮した景気対策として、地域振興券やプレミアム付商品券など個人消費喚起型の事業があり、利用期間と場所が限定されていることから、地域の経済活性化が期待される。一方、一時的な経済対策は消費の前倒しや日常の買い物の代替にとどまり、効果は限定的との評価もあり、また、商品券等の流通に伴う偽造や不正利用のほか、発行・運用にかかるコスト負担が課題となっているのが現状である。このような地域通貨を、ブロックチェーン上で流通・管理することで、上記課題の解決に寄与できる可能性がある。
〔検証〕適時開示からみた企業実態 【事例58】株式会社小僧寿し「通期業績予想の公表に関するお知らせ」(2021.3.1)
今回取り上げる開示は、株式会社小僧寿し(以下「小僧寿し」という)が2021年3月1日に開示した「通期業績予想の公表に関するお知らせ」である。同社は同年2月19日に「2020年12月期 決算短信〔日本基準〕(連結)」を開示したのだが、そこでは次のように記載して、来期の業績予想は未定としていた。それから10日経った3月1日に業績予想を開示することにしたのである。
〈知識ゼロからでもわかる〉ブロックチェーン技術とその活用事例 【第8回】「シェアリングエコノミー×ブロックチェーン」
スマートロックとは、物理的な鍵を持たなくてもスマートフォンなどのデバイスのアプリケーションから自宅などの鍵を解錠・施錠できるサービスのことである。鍵を解除できる権限やコンセントから電気を利用する権限など、家庭に関するシーンでも様々な利用シーンが想定される。
〈知識ゼロからでもわかる〉ブロックチェーン技術とその活用事例 【第7回】「サプライチェーン×ブロックチェーン」
サプライチェーンとは、自社だけでなく、他社をまたいでモノの流れを捉え、製品の原材料・部品の調達から販売に至るまでの一連の流れ全体を指す用語である。
現状は小売店、卸売、製造で分断されている在庫情報や生産者情報、また、川下に集中していた最終消費者への販売情報が、ブロックチェーン技術を用いることにより、管理者不在で中立的に運営が可能な状態で、共有・追跡が可能となる。これによりサプライチェーン全体が効率化するとともに、川上の交渉力の強化につながる。
また、今後は系列を飛び越えた新たなサプライチェーンシステムの構築も進む可能性があり、最終消費者と川上の製造者がより直接的につながる流通プラットフォームが誕生すれば、大規模な中間流通業者の存在意義が相対的に薄れる可能性もあるであろう。
〔検証〕適時開示からみた企業実態 【事例57】コタ株式会社「当社元監査役による不正行為及び2021年3月期第3四半期決算発表予定日の変更に関するお知らせ」(2021.1.26)
今回取り上げる開示は、コタ株式会社(以下「コタ」という)が2021年1月26日に開示した「当社元監査役による不正行為及び2021年3月期第3四半期決算発表予定日の変更に関するお知らせ」である。同社の元監査役が会社の資金を私的に流用していたことが発覚し、それにより2021年3月期第3四半期の決算発表が遅れることになった(元監査役に関係する旅費交通費及び役員退職慰労引当金繰入額等を合算した額の戻し入れが必要なため)という内容である。