〈小説〉『所得課税第三部門にて。』 【第28話】「税理士への損害賠償請求」
中尾統括官は、険しい顔をしながら、新聞を読んでいる。
「これは厳しいな・・・」
そう言いながら、中尾統括官は、ため息をつく。
「・・・何が厳しいのですか?」
傍らで書類を整理していた浅田調査官が尋ねる。
令和時代の幕開けに思い馳せる会計事務所経営 【第9回】「社員の定着に不可欠な評価制度とその運用方法」~目標設定の明確化と透明性の担保~(組織論⑤:人事評価制度編)
組織論についてだいぶ長くお伝えさせていただきましたが、今回の評価制度編をもって、いったん「人」に関する事務所経営のお話については終わりとさせていただきます。
経営において、「人」がいかに重要な要素を占めているか、これまでの連載からご理解いただけてたのではないでしょうか。
さて、人が定着しない問題に「社員間のコミュニケーション」や「働きがい」、「働きやすさ」など「組織風土」から生じるものがあるとともに、給与等に影響のある「評価制度」にも問題があるケースが多いのではないかと思います。
〈小説〉『所得課税第三部門にて。』 【第27話】「必要経費と家事費」
「統括官、さっきから何を読んでいるのですか?」
浅田調査官は自席に座ったまま、中尾統括官に尋ねる。
中尾統括官は顔を上げて、苦笑いをする。
「・・・昔の税制調査会の答申を読んでいるのだが・・・」
中尾統括官は、コピーされた税制調査会の答申を浅田調査官に見せる。
「必要経費と家事費について・・・ですか・・・」
令和時代の幕開けに思い馳せる会計事務所経営 【第8回】「経営は経営者の仕事ではなくチーム全体の仕事」~会議で培うチームビルディング~(組織論④:チームビルディング編)
ラグビーワールドカップで日本中が熱を帯びる中、その準決勝の日に筆を進めています。
日本代表のリーチ・マイケル主将の「One Team」とともに、ラグビーの精神論を語る上で「One for All, All for One」という言葉をよく耳にします。
「1人はチームのために、チームは1人のために」という解釈がされていますが、実はフランスの作家である、アレキサンドル・デュマの小説「三銃士」の中で、主人公とその仲間の三銃士が発した誓いの言葉として出てきます。
諸説ありますが、「1人はチームのために、チームは1つの目的のために」が本来の意味だそうです。
そう考えると、ラグビーはグラウンドで闘う15名の選手一人一人に役割があります。
一人一人がその役割を果たすことで1つの目的である「勝利」を掴む、そう解釈してもよいのかもしれませんね。
〈小説〉『所得課税第三部門にて。』 【第26話】「2019年10月1日/消費税値上げ騒動」
所得課税第三部門にある壁時計は、午前9時10分を指している。
中尾統括官は、机の上に積んである確定申告書を見ながら、調査対象の選定を行っている。
「これ・・・どうしましょう?」
浅田調査官は、右手にゆうメールを握っている。
「?」
中尾統括官は、浅田調査官の顔を見る。
「なんだい・・・そのゆうメールは?」
中尾統括官は怪訝そうに、尋ねる。
「返信用の・・・ゆうメールです・・・」
浅田調査官は、そのゆうメールを中尾統括官の机の上に置く。
令和時代の幕開けに思い馳せる会計事務所経営 【第7回】「マネジメントの醍醐味は人材育成にあり」~社員が辞めない、人が育つ組織作りとは~(組織論③:人材育成編)
未曽有の人材不足に直面し、そもそも採用の本来の目的を忘れていることはないでしょうか。
「面接時に見込んだ能力で、最高のパフォーマンスを仕事で発揮してもらうこと」
これが採用の本来の目的のはずなのに、どうも採用ばかりに躍起になってしまって、本末転倒の状態になってしまってはいませんか?
さらに、採用した社員がただ単に個のパフォーマンスのみを追求するような組織風土では、そもそも組織である必要すらありません。
組織とは様々な個性のある人達が、たった1つの目的を達成するために力を合わせるから「組織」というのではないでしょうか。
〈小説〉『所得課税第三部門にて。』 【第25話】「保険契約の名義変更」
「・・・ところで、昨日、納税者から問い合わせがあったのですが・・・」
浅田調査官は急にメモ書き用紙をポケットから取り出して尋ねる。
「・・・同族会社の役員甲が退職することになって、これまで契約者を会社、被保険者を役員甲、死亡保険金受取人を会社とする終身保険に加入していたのですが、これを役員甲の退職金の一部として、現物支給(名義変更)するということなのです・・・」
浅田調査官は、一枚目のメモ書きを中尾統括官に見せる。
令和時代の幕開けに思い馳せる会計事務所経営 【第6回】「既成概念を覆して未曽有の人材不足を乗り切る」~事業戦略と組織戦略の融合性~(組織論②:採用編)
ところで、現在、先生の事務所の人手は足りていますか?
間違いなく言えることは、今までの採用戦略ではなかなか人を採用できないということです。
では、どのような戦略を取るべきか。
1つは「事業戦略」を見直すことで「組織戦略」を変更すること。つまり、既存の事業を見直し、人手に左右されないビジネスモデルを構築することです。
〈小説〉『所得課税第三部門にて。』 【第24話】「ペット保険と所得控除」
「そうか・・・」
中尾統括官は、昼休みに、新聞を読みながら頷く。
「何を熱心に読んでいるのですか?」
爪楊枝をくわえながら、浅田調査官は、新聞を覗く。
「ペットの保険・・・ですか・・・」
浅田調査官は中尾統括官の背後からつぶやく。
令和時代の幕開けに思い馳せる会計事務所経営 【第5回】「自身の“ものさし”が経営の邪魔をしていませんか」~リーダーに必要な条件とは~(組織論①:リーダーシップ編)
おそらく先生方もご存知でしょうし、私が大好きで尊敬する「マネジメントの父」と呼ばれるピーター・ドラッカー博士の著書『ポスト資本主義社会』より、上記の文章を引用させていただきました。
引用文からわかるとおり、今回のテーマは「組織論」、その中でも「リーダーシップ」についてお話させていただきます。