〔平成9年4月改正の事例を踏まえた〕 消費税率の引上げに伴う実務上の注意点 【第6回】税率変更の問題点(5) 「売上返還・貸倒れの処理方法」
税率改正に伴い、事業者が売上げに係る対価の返還等をした場合には、その税額控除(消費税法38条)の適用につき注意が必要である。
事業者が行った課税資産の譲渡等の時期が施行日前であれば、施行日後に売上げに係る対価の返還等を行った場合であっても旧税率が適用されることとなる。
〔平成9年4月改正の事例を踏まえた〕 消費税率の引上げに伴う実務上の注意点 【第5回】税率変更の問題点(4) 「請求の締日に基づく処理方法」
事業者が得意先と継続して取引を行っている場合には、締め日を設定して1ヶ月間の期間ごとに請求するケースが多い。
この請求方法において、その締め日が月末でない場合には、施行日前の請求分と施行日後の請求分で税率が異なるため、注意しなければならない。
〔平成9年4月改正の事例を踏まえた〕 消費税率の引上げに伴う実務上の注意点 【第4回】税率変更の問題点(3) 「請求書発行に伴う販売管理等のシステム変更」
前回はレジスター等のシステム変更の必要性について述べたが、請求書の発行に伴う販売管理等のシステムについても変更が必要となる。
今おさえておきたい 消費税改革をめぐる“3つの”キーワード 「簡素な給付措置・給付付き税額控除・複数税率」
消費税には「全世代で広く分かち合う観点から、社会保障制度の維持・安定化に適した税である」という側面がある一方、「所得の少ない家計ほど、収入に占める税負担割合が高くなるという逆進性が存在し、その緩和を図る必要がある」という低所得者対策の重要性を指摘する声も多い。
そこで民主党政府は当初、その対策として「給付付き税額控除」や「簡素な給付措置」を検討していたが、3党合意では更に「複数税率」も選択肢に入り、簡素な給付措置の実施が8%への引上げの条件ともされた。
特定新規設立法人の納税義務の免除の特例と企業戦略
平成24年8月10日に成立した改正消費税法により、平成26年4月1日以後に設立される法人については、資本金の額が1,000万円未満であっても、基準期間に相当する期間の課税売上高が5億円を超える法人が50%超出資して設立した法人である場合には、事業者免税点制度の適用がないこととされた。
〔平成9年4月改正の事例を踏まえた〕 消費税率の引上げに伴う実務上の注意点 【第3回】税率変更の問題点(2) 「レジスター等のシステム変更」
現在使用しているレジスター等については、この税率変更に伴ってシステムの変更をしなければならない。
販売する商品等のバーコードラベルなどをバーコードスキャナで読み込んで集計するレジシステムの場合には、発行側のバーコードの情報変更と読取り側のレジシステムの情報変更の双方を行わなければならず、かなりの事務作業となるため、早急に対応策を検討しなければならない。
〔平成9年4月改正の事例を踏まえた〕 消費税率の引上げに伴う実務上の注意点 【第2回】税率変更の問題点(1) 「商品等の価格変更に伴う表示方法」
税率変更があった場合には、物品販売業であれば商品、サービス業であればそのサービスについて、価格の表示を変更しなければならない。
この変更については、商品だけでなく、商品カタログの価格表示やホームページに商品が記載されていればその価格表示なども変更しなければならず、具体的には以下のようなものがある。
〔平成9年4月改正の事例を踏まえた〕消費税率の引上げに伴う実務上の注意点 【第1回】
今回の改正により、以下のように消費税率が平成26年4月1日に8%、平成27年10月1日に10%と2段階で引き上げられることとなるため、この税率変更に伴い、商品価格表示の変更やレジスター等のシステム変更といった、事業者側が事前に行わなければならない対策の必要性が短い期間に二度も生じることとなり、事業者の事務負担が増大することが考えられる。
「一体改革」を総括する
「社会保障・税一体改革」は、民主・自民・公明の3党協議による大幅な修正を経て、8月10日に関係8法案が成立、8月22日に公布された。国・地方合わせた消費税率を2014年4月から8%、2015年10月から10%に引き上げることで、社会保障の安定財源を確保し、財政再建への第一歩を踏み出すことができた意義は極めて大きい。