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企業が粉飾決算を行っている場合に、これを外部の人間が見抜くことは簡単ではない。
粉飾の結果は財務諸表、特に貸借対照表に表れていることが多いため、これを分析することによって、異常点や不審な数値の動きを発見することは可能であるが、実際にどういう手口で粉飾が行われ、どの程度の金額が不正に収益として計上され、又は、利益として表示されているかまでは、分かるものではない。

「あの~、田村上席・・・」
山口調査官が田村上席に声をかける。
法人課税第三部門では、ほとんどの職員が昼食に出ており、2人しか残っていない。
田村上席は、昨日の税務調査の報告を書いている。
「この国税通則法74条の2第1項の規定なんですけど・・・」

単純な架空売上は、売掛債権が回収できないという致命的な欠陥を有しているため、すぐに不正が見抜かれてしまう。そこで、売掛債権が通常どおり回収されたように見せかけ、不正を長期間続ける手法として、架空循環取引が注目を浴びることとなった。
その手法自体は、古くから環状取引として知られ、その損失負担をめぐる裁判例もあったのだが、平成16年11月において株式会社メディア・リンクスによる架空循環取引の実態が報じられて以来、毎年のように、大きな架空循環取引事件が発覚しては、話題を集めてきた。
近時では、さすがに架空循環取引の手口も周知のものとなり、大きな事件はあまり聞かれないようになっていたところ、5月8日にリリースされた老舗機械商社の椿本興業株式会社の調査報告書では、長く、架空循環取引が行われてきたことが明らかになった。

「やはり・・・無理かなあ・・・」
渕崎統括官が田村上席に声をかけた。
法人課税第三部門の職員は、皆、税務調査で出張していて、渕崎統括官と田村上席しかいない。
「・・・?」
田村上席は、振り向いて、渕崎統括官を怪訝そうに見る。
「いや、あの例の・・・更生計画案で切り捨てられた債権なんだが・・・」

今回は、粉飾決算の手口の代表例である棚卸資産の過大(架空)計上をテーマに取り上げる。
本来、売上原価として当該事業年度の損金の額に算入しなければならないものを、棚卸資産(在庫)として貸借対照表に記載し、その分だけ、当期の売上総利益を大きく見せるという手法は、古典的ではあるものの、他の粉飾の手口と異なり、自社だけで不正が完結するという点で、利用されやすい。特に、ソフトウエア開発業者においては、開発中のソフトウエアの資産計上額(帳簿価額)を不正に大きく計上して、損失を先送りする例も多い。ソフトウエアは通常の商品在庫と違って目に見えないものであることから、会計監査における実地棚卸によっても粉飾が発見できないケースも考えられる。

午後からは、睡魔との戦いである。
伝票をめくる渕崎統括官の手が止まる。瞼が重く、ついつい心地よい眠りに誘われる。
渕崎統括官は、眠りから逃れるために、異常な力を込めて伝票をめくった。
田村上席は、源泉徴収簿からパートの氏名とその支給額を写している。
時計の針は、午後2時を示している。

本連載第2回で「不正発生のメカニズム」として、「不正のトライアングル」という仮説を紹介した。その際に、いかにして「機会」を減らすかが、不正抑止の決め手であることも強調している。
そして「機会」を減らすためには必要なことが適切な職務分掌であり、周囲の監視であることはこれまでの不正事例で見てきたとおりである。

「債権者の合意書の結果通知書は、確定申告書を提出した後に、送られてきたのですが・・・」
齋藤課長は、吉田税理士に説明している。
「・・・だから、先生にこの雑損処理を相談したときは・・・この結果通知書は、まだ受け取っていなかったのです・・・」
吉田税理士は黙ったままである。

国外財産調書に関する通達の発遣について

筆者:小林 正彦

国税庁は、平成25年3月29日付け「内国税の適正な確保を図るための国外送金等に係る調書の提出等に関する法律(国外財産調書関係)の取扱いについて(法令解釈通達)」(以下「本通達」)を発遣した。
国外財産調書制度とは、平成24年度税制改正により導入された制度であり、各年の12月31日に5,000万円を超える国外財産を保有する居住者(非永住者を除く)に対して、翌年3月15日までに、保有する国外財産の内容を記載した報告書を所轄税務署長に提出することを義務付けるものであり、平成26年1月1日以降提出すべき調書から適用となる。
本稿では以下、本通達の内容のうち、留意すべき点を中心に解説する。

最も不正を行う機会に接している従業員は経理部門の社員であり、しかも出納業務を1人で任されている者であることは前回説明したとおりである。
今回は、「経理部門以外の従業員」のうち、営業部門・購買部門社員による横領事件を取り上げる。
前回の経理部門社員による不正との大きな違いは、単独で不正を行うことはできず、必ず「共犯者」が存在するということである。したがって、不正の発見にあたっては、共犯者の存在をうかがわせるような兆候を見つけることがポイントになる。

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