租税争訟レポート 【第73回】「相続税更正処分等取消請求事件(大阪地方裁判所令和4年4月14日判決)」
本件は、原告が、処分行政庁から令和2年11月30日付けで受けた更正処分及び賦課決定処分は、原告が相続分の譲渡によって取得した譲渡代金を相続税の課税対象とする点で法律の根拠に基づかずに課税するものであり、租税法律主義について定める憲法30条及び84条に反し違憲・違法であるなどと主張して、被告を相手に、本件各処分の取消しを求める事案である。
街の税理士が「あれっ?」と思う税務の疑問点 【第9回】「自宅以外で亡くなった場合の小規模宅地等の特例の適用」~病院の場合~
父は病気治療のために入院しましたが、退院することなく3ヶ月後に亡くなりました。母は父の入院時には死亡しており、父が入院前まで居住していた建物は、退院後の父の世話のため生計別の長女がひとり引っ越してきて一室に居住しましたが、その他は退院後に従前どおり父の居住の用に供することができる状況にありました(長女から父への家賃の支払いはありません)。
上記において、その建物と敷地は長女が相続し、以降は引き続き住んでいます。この場合、相続開始直前において父の居住の用に供されていた宅地等に該当し、特定居住用宅地等として小規模宅地等の特例は受けられますか。
街の税理士が「あれっ?」と思う税務の疑問点 【第8回】「自宅以外で亡くなった場合の小規模宅地等の特例の適用」~老人ホームの場合②~
父母は二世帯住宅の2階部分に同居していましたが、母は死亡し、父は政令に定められる老人ホームに入居し、要介護認定を受け、そのままその老人ホームで亡くなりました(その建物と敷地は父所有)。
二世帯住宅の1階部分には長男夫妻とその娘(孫)が住んでいましたが、父が老人ホーム入居の直前まで居住していた2階部分には、老人ホーム入居後かつ父が亡くなる前に孫娘が居住し始めました。
相続税の実務問答 【第95回】「相続時精算課税を選択した場合の基礎控除の適用」
令和5年度の税制改正により、令和6年分以降の贈与税については相続時精算課税にも110万円の基礎控除が認められることとなったとのことですが、私は、平成30年に相続時精算課税を選択しています。この場合、令和6年分の贈与税の申告において基礎控除は認められるのでしょうか。
〈ポイント解説〉役員報酬の税務 【第61回】「死亡退任した役員に対する未払退職慰労金とみなし相続財産」
当社は、数年前に死亡退任された元代表取締役に対し、適正な手続きを経た上で役員退職慰労金を支給しています。支給決定当時、当社の資金繰りの事情から、当該役員退職慰労金を数年かけて分割支給することをご遺族の方と合意しています。
その後、当社の資金繰りはさらに窮する事態となったため、未払として残っていた役員退職慰労金の一部について、ご遺族の方と合意の上で不支給とさせていただきました。
この場合、ご遺族の方にご迷惑をかける可能性はありますか。
街の税理士が「あれっ?」と思う税務の疑問点 【第7回】「自宅以外で亡くなった場合の小規模宅地等の特例の適用」~老人ホームの場合①~
父は政令に定められる老人ホームに入居し、要介護認定を受け、そのままその老人ホームで亡くなりました。母は父と同居(生計一)していましたが、父の老人ホーム入居時には死亡していました。父が老人ホーム入居直前まで居住していた建物は、しばらく空き家でしたが、父の相続開始前に、従前より賃貸住宅に住んでいた生計別の長男が引っ越してきて居住しました。
上記において、その亡くなった父所有の建物と敷地を長男が相続し、それ以降も引き続き住んでいます。この場合、敷地は相続開始直前において父の居住の用に供されていた宅地等に当たり、特定居住用宅地等として小規模宅地等の特例は受けられますか。
さっと読める! 実務必須の[重要税務判例] 【第97回】「遺産分割成立後の更正の請求事件」~最判令和3年6月24日(民集75巻7号3214頁)~
相続税につき未分割申告が行われた後、増額更正がなされ、当該増額更正につき未分割申告に係る税額を超える部分を取り消す旨の判決が確定した場合で、かつ、国税通則法所定の更正の除斥期間が経過した後において、課税庁は、その後相続財産を取得した相続人が行った更正の請求に対する処分や、相続人に対する更正処分につき、上記判決において示された個々の財産の価額を用いて税額を計算しなければならないか。
「税理士損害賠償請求」頻出事例に見る原因・予防策のポイント【事例133(贈与税)】 「相続開始年分の贈与につき、「住宅取得資金贈与の非課税特例」を適用して相続財産から除外して相続税申告を行ったが、相続開始年分に相続取得した不動産を売却したため、所得制限により非課税特例の適用ができなくなってしまい、相続税申告を訂正した事例」
令和X年3月に死亡した被相続人甲(乙の実母)が令和X年の1月に依頼者である相続人乙に贈与した住宅取得資金1,000万円につき、「直系尊属から住宅取得等資金の贈与を受けた場合の贈与税の非課税」(以下「住宅取得資金贈与の非課税特例」という)を適用して相続財産から除外して相続税申告書を作成して提出したが、乙が相続取得した不動産を令和X年中に売却したため、合計所得金額が2,000万円を超えてしまい、上記特例の適用が受けられなくなってしまった。
相続税の実務問答 【第94回】「相続税の申告期限前に土地建物が被災した場合」
令和5年8月10日に父が亡くなりました。父の相続人は東京に住んでいる私一人です。父は、石川県U町の自宅に一人で住んでいました。父が亡くなった後、何度か帰郷し、実家の片づけをしながら、相続税の申告の準備をしていたところ、令和6年1月1日に能登半島地震が発生しました。この地震により、遺産である実家の建物の敷地に液状化現象が生じ、建物も傾いてしまいました。
相続税の計算に当たり、相続した財産の価額は相続開始時の時価によるとされていますが、相続開始後に相続財産である土地や建物が被災した場合の救済措置はないのでしょうか。