〈適切な判断を導くための〉
消費税実務Q&A
【第2回】
「外国企業に技術開発費用や金型製作費名目で送金した金額に係る消費税の取扱い」
税理士 石川 幸恵
【Q】
外国の提携企業に新製品の製造を委託しました。完成した製品は日本に輸入しますが、製造にあたって技術開発や金型製作が必要であることから、輸入に先立って技術開発に要する費用や金型製作費を送金しました。
なお、完成した製品を輸入する際の仕入書(インボイス)の価格は、この技術開発費用や金型製作費を除いた金額となっています。技術開発費用や金型製作費に日本の消費税はかからないと考えてよいのでしょうか。
【A】
技術開発費用や金型製作費として送金した金額も、完成した製品を輸入する際の輸入消費税の課税標準額に含めなければなりません。
◆ ◆ 解 説 ◆ ◆
外国貨物を保税地域から引き取る者は、原則としてその引取りの時までに輸入申告書を提出し、消費税を納付しなければならない(国税庁タックスアンサー「No.6563 輸入取引」)。輸入申告書には仕入書(インボイス)や船荷証券、包装明細書等を添付するが(税関カスタムアンサー「1107 輸入申告の際に必要な書類」)、技術開発に要する費用や金型製作費が含まれていない仕入書(インボイス)に基づいて輸入申告書を作成した場合、輸入消費税の過少申告となり得る。
そこで、今回は輸入前に送金した技術開発費用や金型製作費がある場合の、外国貨物の課税標準について確認したい。
(1) 保税地域から引き取られる課税貨物に係る消費税の課税標準
保税地域から引き取られる課税貨物に係る消費税の課税標準は、消費税法第28条第4項において次のとおり規定されている。
保税地域から引き取られる課税貨物に係る消費税の課税標準は、当該課税貨物につき関税定率法(中略)第4条から第4条の9まで(中略)の規定に準じて算出した価格に当該課税貨物の保税地域からの引取りに係る消費税以外の消費税等(中略)及び関税の額(中略)に相当する金額を加算した金額とする。
関税定率法第4条から第4条の9までの規定に準じて算出した価格は一般に「関税課税価格」と呼ばれるが、この関税課税価格に技術開発費用や金型製作費は含まれるかを確認してみよう。
(2) 関税課税価格に技術開発費用や金型製作費は含まれるか
税関のホームページに掲載されている関税定率法に関する「質疑応答事例」によれば、技術開発費用や金型製作費は関税の課税標準において次のように取り扱われる。
① 技術開発費用
売手である外国企業に支払う輸入貨物の製造に使用される技術の開発費用で、輸入貨物のインボイス(仕入書)価格とは別に支払うものは関税課税価格に含まれる。
② 金型製作費
売手である外国企業に支払う金型製作費も技術開発費用と同様に関税課税価格に含まれる。
「売手に支払う輸入貨物の生産に使用する金型の製作費」
当設問とは異なるが、売手である外国企業に金型を無償で提供し、製品を輸入する場合もその金型製作費を関税課税価格に加算する必要がある点も留意しておく必要がある。
(3) 税関による企業などへの調査事績
輸出者又は輸入者に対しては、税関職員が事後調査や犯則調査を行っている。最新のデータである令和4事務年度では3,312者が事後調査を受けており、そのうち2,337者(調査を受けた者のうち73.6%)が申告漏れ等を指摘されている。申告漏れ等に係る課税価格は884億9,259万円、消費税の過少申告額85億3,461万円となっている。
(了)
「〈適切な判断を導くための〉消費税実務Q&A」は、毎月第2週に掲載されます。








