公開日: 2015/10/22 (掲載号:No.141)
文字サイズ

消費税の軽減税率を検証する 【第10回】「軽減税率の導入という選択」

筆者: 金井 恵美子

消費税の軽減税率を検証する

【第10回】
(最終回)

「軽減税率の導入という選択」

 

税理士 金井 恵美子

 

連載の最終回にあたって、「軽減税率の導入という選択」の是非について、筆者なりの結論を出しておこう。

 

Ⅰ 8%の軽減税率

平成26年4月の税率引上げ時には、「簡素な給付措置」すなわち、臨時福祉給付金の給付が行われた。臨時福祉給付金は、住民税の均等割りが非課税となる世帯を給付の対象としており、その額は、「消費税率の引上げによる1年半分の食料品の支出額の増加分を参考に、給付対象者一人につき1万円とする」(※1)と説明されている。また、10%への引上げが延期されたことを受けて再び実施された平成27年度の臨時福祉給付金は、平成27年10月から平成28年9月までの1年間を対象とし、6,000円とされた(※2)

(※1) 厚生労働省簡素な給付措置支給業務室「簡素な給付措置支給業務に関する全国説明会資料(平成25年11月21日(木))」1頁。

(※2) 厚生労働省特設ホームページ「2つの給付金

「簡素な給付措置」は、5%であった消費税の税率を引き上げるにあたり、低所得者に対する恒久的な施策を実現するまでの暫定的及び臨時的な措置である(税制抜本改革法7条1号ハ)。

そうすると、「恒久的な低所得者対策」としての軽減税率は、あくまでも5%からの増税による負担を補てんするものとして検討するのが筋だということになる。

つまり、8%の軽減税率を提唱した時点から、軽減税率導入の議論はすでに混迷しているのである。

この記事全文をご覧いただくには、プロフェッションネットワークの会員(プレミアム
会員又は一般会員)としてのログインが必要です。
通常、Profession Journalはプレミアム会員専用の閲覧サービスですので、プレミアム
会員のご登録をおすすめします。
プレミアム会員の方は下記ボタンからログインしてください。

プレミアム会員のご登録がお済みでない方は、下記ボタンから「プレミアム会員」を選択の上、お手続きください。

消費税の軽減税率を検証する

【第10回】
(最終回)

「軽減税率の導入という選択」

 

税理士 金井 恵美子

 

連載の最終回にあたって、「軽減税率の導入という選択」の是非について、筆者なりの結論を出しておこう。

 

Ⅰ 8%の軽減税率

平成26年4月の税率引上げ時には、「簡素な給付措置」すなわち、臨時福祉給付金の給付が行われた。臨時福祉給付金は、住民税の均等割りが非課税となる世帯を給付の対象としており、その額は、「消費税率の引上げによる1年半分の食料品の支出額の増加分を参考に、給付対象者一人につき1万円とする」(※1)と説明されている。また、10%への引上げが延期されたことを受けて再び実施された平成27年度の臨時福祉給付金は、平成27年10月から平成28年9月までの1年間を対象とし、6,000円とされた(※2)

(※1) 厚生労働省簡素な給付措置支給業務室「簡素な給付措置支給業務に関する全国説明会資料(平成25年11月21日(木))」1頁。

(※2) 厚生労働省特設ホームページ「2つの給付金

「簡素な給付措置」は、5%であった消費税の税率を引き上げるにあたり、低所得者に対する恒久的な施策を実現するまでの暫定的及び臨時的な措置である(税制抜本改革法7条1号ハ)。

そうすると、「恒久的な低所得者対策」としての軽減税率は、あくまでも5%からの増税による負担を補てんするものとして検討するのが筋だということになる。

つまり、8%の軽減税率を提唱した時点から、軽減税率導入の議論はすでに混迷しているのである。

この記事全文をご覧いただくには、プロフェッションネットワークの会員(プレミアム
会員又は一般会員)としてのログインが必要です。
通常、Profession Journalはプレミアム会員専用の閲覧サービスですので、プレミアム
会員のご登録をおすすめします。
プレミアム会員の方は下記ボタンからログインしてください。

プレミアム会員のご登録がお済みでない方は、下記ボタンから「プレミアム会員」を選択の上、お手続きください。

連載目次

筆者紹介

金井 恵美子

(かない・えみこ)

税理士

1993年 税理士登録、金井恵美子税理士事務所開設
現在 近畿大学大学院法学研究科非常勤講師、近畿税理士会法律・税務審理室審理員

【主著・論文】
新版 建設業のための消費税Q&A』清文社、2019年
徹底解説!消費税軽減税率150問150答』清文社、2019年
プロフェッショナル消費税の実務』清文社、2018年
消費税・軽減税率の検証 制度の問題点と実務への影響をめぐって』(共著)清文社、2014年
『11訂版 実務消費税ハンドブック』コントロール社、2017年
『一夜漬け相続税・贈与税 遺すため受け継ぐための入門書』税務経理協会、2017年
『「できる!」経理担当者入門 一夜漬け消費税〔三訂版〕』税務経理協会、2015年
「所得税法第56条の今日的存在意義について』2003年(第26回日税研究賞入選) 他、多数

 

関連書籍

プロフェッショナル 消費税の実務

税理士 金井恵美子 著

STEP式 消費税申告書の作成手順

税理士 石原健次 監修 税理士 田部純一 共著 税理士 三野友行 共著 税理士 田中信大 共著 税理士 平安孝至 共著 税理士 船橋 充 共著

インボイス制度の仕入税額控除

税理士 金井恵美子 著

消費税実務問答集

杉村勝之 編

令和6年度版 税務コンパクトブック

株式会社プロフェッションネットワーク 編著

【電子書籍版】令和6年度版 税務コンパクトブック

株式会社プロフェッションネットワーク 編著

【紙書籍+電子[1ID]セット版】令和6年度版 税務コンパクトブック

株式会社プロフェッションネットワーク 編著

クマオーの基礎からわかる消費税

税理士 熊王征秀 著

演習消費税法

公益社団法人 全国経理教育協会 編 金井恵美子 著

消費税申告書作成事例集

税理士 上西左大信 監修 公認会計士・税理士 田淵正信 編著 税理士・中小企業診断士 大庭みどり 著 税理士 山野展弘 著 公認会計士・税理士 圓尾紀憲 著 公認会計士・税理士 久保 亮 著 公認会計士・税理士 德丸公義 著 公認会計士・税理士 本岡正則 著 公認会計士・税理士 岸本拡之 著 公認会計士・税理士 本田壽秀 著 公認会計士・税理士 坂田眞二 著

はじめてのインボイス登録と消費税の申告

税理士 小谷羊太 監修 税理士 森本耕平 著

完全理解 消費税インボイス制度

税理士 森田 修 著

記事検索

メルマガ

メールマガジン購読をご希望の方は以下に登録してください。

#
#