企業版ふるさと納税(地方創生応援税制)の制度解説
【第1回】
「国税・地方税にまたがる税額控除の仕組み」
辻・本郷税理士法人
税理士 安積 健
1 はじめに
平成28年度税制改正により地方創生応援税制が創設された。いわゆる「企業版ふるさと納税」である。
地方から東京圏への一極集中が続く中、地方を活性化し、人口の減少に歯止めをかけるため、安倍政権は2014年9月以降、「地方創生」をキーワードに、地方対策に取り組んでいる。本制度は、地方への本社機能の移転や拡充を税制面から支援する昨年度の地方拠点強化税制に続く措置と考えることができる。
本制度により、次のような効果が期待されている。
(ア) 企業の創業地への貢献や地方創生のプロジェクトに取り組む地方への貢献を促進
(イ) 地方公共団体が自らの地方創生の取組みを企業にアピールすることで自治体間競争を促進
(ウ) 本社機能の移転促進税制の補完
2 制度の概要
本制度は、青色申告法人が改正地域再生法の施行日である平成28年4月20日から平成32年3月31日までの間に認定地方公共団体に対して特定寄附金を支出した場合に、一定の税額控除を受けることができるとするものである。
税額控除は、国税(法人税)と地方税(法人事業税、法人住民税)から控除を受けることになる。しかし、本制度は地方活性化のための措置であるため、地方税から優先して税額控除し、地方税から引ききれない場合(正確には、法人住民税法人税割から控除しきれない場合)のみ法人税から税額控除することが認められる。
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