法人税の解釈をめぐる論点整理
《寄附金》編
【第4回】
弁護士 木村 浩之
(前回はこちら)
(5 対価性の有無等)
前回に続き、対価性の有無をめぐるポイントについて整理する。
(4) 価格設定の合理性について
反対給付がある場合であっても、その価値が自己の給付するものよりも低く、そのことに合理的な理由がない場合(価格設定に合理性がない場合)には、実質的な贈与として寄附金に該当することになる。
この価格設定については、時価すなわち客観的な交換価値(第三者間における取引価格)から乖離するものであれば、合理性を欠くものとして直ちに寄附金に該当すると即断されがちである。しかしながら、時価から乖離するものであっても、そのことに合理的な理由があり、実質的な贈与とはみられない場合には、寄附金には該当しない。もっとも、その価格設定に合理的な理由があるか否かは、容易に判断できない場合が多いのが実情である。
特に実務上問題となることが多いのは、関連会社間における取引である。関連会社間の取引であれば、第三者間のように交渉によらずに任意に価格設定がなされ得るのであり、また、経営指導料や業務委託費等の様々な名目で容易に利益の移転が図られ得ることから、その価格設定が合理的であるか否かをめぐって問題となりやすいといえる。
一般には、価格設定の合理性については、反対給付の客観的な交換価値のみならず、次のような要素を考慮して判断すべきものと解される。
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