「従業員の解雇」をめぐる
企業実務とリスク対応
【第3回】
「解雇紛争の手続」
~解雇紛争はどのように争われるのか~
弁護士 鈴木 郁子
1 はじめに
前回説明したように、解雇の有効・無効をめぐっては、最終的には訴訟において①復職、②バックペイ及び遅延損害金の支払いの有無に帰着することになるが、実務的には、解雇に一旦踏み切ったとしても、それまでの間に、従業員と会社の間に何らかの金銭支払等の合意ができ、解決されるケースが大半である。一度こじれた会社・従業員間の関係が復職により修復することは事実上困難だからである(会社と従業員の解雇の問題はその意味で夫婦の離婚に似ている)。
どのタイミングで、どのような内容の合意をすればよいのか、それとも訴訟も辞さず判決を得た方がよいのかを判断するためには、解雇が一般にどのような手続・経過を経て訴訟による判決に至るのかについて、押さえておく必要がある。
2 交渉段階
(1) 解雇理由書の作成・交付と従業員の疑義の表明
会社が従業員を解雇するにあたっては、会社が解雇通知書等により、従業員に対し解雇の意思表示を行う。
これに対し、従業員が解雇に納得していない場合には、まず、会社に対し解雇理由書の交付を求めるのが通常であるので、会社は、解雇理由書(なお、解雇通知書と解雇理由書は兼ねることができる)を作成しこれを交付する(解雇理由書の作成方法、その他の解雇に必要な手続の説明は【第4回】を予定)。
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