公開日: 2016/07/14 (掲載号:No.177)
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「従業員の解雇」をめぐる企業実務とリスク対応 【第5回】「普通解雇①」~能力不足、適格性欠如による解雇~

筆者: 鈴木 郁子

「従業員の解雇」をめぐる

企業実務とリスク対応

【第5回】

「普通解雇①」

~能力不足、適格性欠如による解雇~

 

弁護士 鈴木 郁子

 

1 はじめに
~能力不足・適格性欠如による解雇の難易度は従業員の地位・採用経緯により異なる~

他の従業員より勤務成績が低く能力不足で任せられる仕事がないとして、従業員を解雇することができるだろうか。

従業員は、会社に対し労務提供義務を負っているのであり、能力不足や適格性欠如により雇用契約において想定された業務を全く履行できないというのであれば、雇用契約上の債務不履行として、普通解雇の解雇原因となりうる。

(※) なお、実際の解雇にあたっては、解雇制限に違反しないこと、解雇手続の履践は当然必要となる。【第4回】を参照されたい。

しかしながら、実際にどの程度の能力不足や適格性の欠如であれば、解雇権濫用法理(【第4回】参照)との関係で、「客観的に合理的な理由」があり「社会通念上相当」であるとして、解雇が適法となるのであろうか。

能力不足・適格性欠如の場合、裁判では、能力不足が著しいことが必要とされ、

 当該職務に期待されている職務内容がどのようなものか

 能力不足・適格性の欠如が当該労働の継続を期待できないほどに重大なものであるか否か

 会社側が当該従業員に改善矯正を促し、努力反省の機会を与えたのに改善がされなかった否か

 今後の指導による改善可能性の見込み

等に基づいて、総合考量により判断されることになる(なお、一般的な解雇権濫用の判断要素(【第4回】)も参照されたい)。

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企業実務とリスク対応

【第5回】

「普通解雇①」

~能力不足、適格性欠如による解雇~

 

弁護士 鈴木 郁子

 

1 はじめに
~能力不足・適格性欠如による解雇の難易度は従業員の地位・採用経緯により異なる~

他の従業員より勤務成績が低く能力不足で任せられる仕事がないとして、従業員を解雇することができるだろうか。

従業員は、会社に対し労務提供義務を負っているのであり、能力不足や適格性欠如により雇用契約において想定された業務を全く履行できないというのであれば、雇用契約上の債務不履行として、普通解雇の解雇原因となりうる。

(※) なお、実際の解雇にあたっては、解雇制限に違反しないこと、解雇手続の履践は当然必要となる。【第4回】を参照されたい。

しかしながら、実際にどの程度の能力不足や適格性の欠如であれば、解雇権濫用法理(【第4回】参照)との関係で、「客観的に合理的な理由」があり「社会通念上相当」であるとして、解雇が適法となるのであろうか。

能力不足・適格性欠如の場合、裁判では、能力不足が著しいことが必要とされ、

 当該職務に期待されている職務内容がどのようなものか

 能力不足・適格性の欠如が当該労働の継続を期待できないほどに重大なものであるか否か

 会社側が当該従業員に改善矯正を促し、努力反省の機会を与えたのに改善がされなかった否か

 今後の指導による改善可能性の見込み

等に基づいて、総合考量により判断されることになる(なお、一般的な解雇権濫用の判断要素(【第4回】)も参照されたい)。

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連載目次

筆者紹介

鈴木 郁子

(すずき・いくこ)

弁護士
本間合同法律事務所

1995年 東京大学教養学科国際関係論分科卒業
2000年 京都大学法学部卒業
2002年 司法修習修了 第二東京弁護士会弁護士登録(第55期)、本間合同法律事務所入所。現在に至る。

主として企業側の労働問題を専門としており、就業規則作成、社内労務体制整備などのほか、労働審判、訴訟のみならず、労働委員会事件、団体交渉の実務経験、会社向け労働法講習等の経験も豊富である。企業の現状を最大限考慮しつつ、訴訟実務経験に基づいた実践的なアドバイスを心がけている。

▷個人ホームページ
http://www.i-k-suzuki-law.jp/

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