「従業員の解雇」をめぐる
企業実務とリスク対応
【第9回】
「懲戒解雇をする際のチェックポイント」
弁護士 鈴木 郁子
1 はじめに
~懲戒解雇は難しい~
(1) 懲戒解雇と普通解雇
本連載の【第1回】で述べたとおり、解雇には、「普通解雇」と「懲戒解雇」の2種がある。両者は非違行為、企業秩序違反行為を対象とする点において重なるが、その性質は異なったものである。
【第4回】から【第8回】にかけて解説してきた普通解雇は、労務提供義務の不履行(不完全不履行)に基づく雇用契約の中途解約である。一方、懲戒解雇は、企業秩序違反に対する懲罰の一種である。また、普通解雇に比べて懲戒解雇の方が、求められる違法性の程度は高く、手続も厳格である。
一般に懲戒解雇と普通解雇の差は、解雇予告(解雇予告手当)の要否、退職金の不支給や減額の可否にあると思われており、この点、必ずしも間違いではないが、論理必然ではない。
すなわち、「労働者の責に基づく場合」は、除外認定を経た上で解雇予告(解雇予告手当の支払)が不要となるが(【第4回】参照)、懲戒解雇が有効・適法な場合は必ず除外認定が得られる関係にあるわけではない。
また、退職金の不支給や一部減額は、後述するように、退職金規程にそのような規定があることの効力によるものであるし、かかる規定があるからといって、規定どおりの不支給・減額が認められるわけでもない。
懲戒解雇と普通解雇の違いは、あくまでも性質上の違いにある。
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