公開日: 2015/03/30
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《速報解説》 「リース手法を活用した先端設備等投資支援スキームにおける借手の会計処理等に関する実務上の取扱い」が確定~契約変更時の借手の会計上の取扱いについて規定~

筆者: 阿部 光成

《速報解説》

「リース手法を活用した先端設備等投資支援スキームにおける借手の会計処理等に関する実務上の取扱い」が確定

~契約変更時の借手の会計上の取扱いについて規定~

 

公認会計士 阿部 光成

 

Ⅰ はじめに

平成27年3月11日、企業会計基準委員会は、「リース手法を活用した先端設備等投資支援スキームにおける借手の会計処理等に関する実務上の取扱い」(実務対応報告第31号の改正)を公表した。これにより、平成26年11月21日付で意見募集を行っていた公開草案が確定することになる。
なお、文中、意見に関する部分は、私見であることを申し添える。

 

Ⅱ 主な改正内容

平成26年6月30日の実務対応報告第31号の公表に際して、「契約変更時の借手の会計上の取扱いについて別途定める」とされていたものについて、規定を設けたものである。

リース・スキームにおけるリース契約の変更の取扱いについて、以下のように会計処理を行う。
次の設例が示されている。

  • [設例1]
    契約変更の結果、オペレーティング・リース取引からファイナンス・リース取引となるリース取引(固定型のリース料のケース)
  • [設例2]
    契約変更の結果、オペレーティング・リース取引からファイナンス・リース取引となるリース取引(変動型のリース料のケース)

1 ファイナンス・リース取引かどうかの再判定

リース取引開始日後にリース取引の契約内容が変更された場合のファイナンス・リース取引かオペレーティング・リース取引かの再判定にあたっては、契約変更日に、契約変更後の条件に基づいてリース取引開始日に遡って、実務対応報告第31号3項の判定を行う(6項、23項)。

判定を行うにあたって、借手が現在価値基準を適用する場合において現在価値の算定のために用いる割引率は、借手が契約変更後の条件に基づいてリース取引開始日における貸手の計算利子率を知り得るときは当該利率とし、知り得ないときは契約変更後の条件に基づいてリース取引開始日における借手の追加借入に適用されていたであろうと合理的に見積られる利率とする(7項)。

2 オペレーティング・リース取引からファイナンス・リース取引への変更

リース取引開始日後にリース取引の契約内容が変更された結果、オペレーティング・リース取引からファイナンス・リース取引となるリース取引については、契約変更日より通常の売買取引に係る方法に準じて会計処理を行い、契約変更日に、リース物件とこれに係る債務を、リース資産及びリース債務として実務対応報告第31号9項に示す価額で計上する(8項)。

所有権移転外ファイナンス・リース取引については、リース適用指針23 項から30項の方法に準じて会計処理し、所有権移転ファイナンス・リース取引については、リース適用指針38項から44項の方法に準じて会計処理する。

リース物件とこれに係る債務をリース資産及びリース債務として計上する場合の価額は、原則としての方法による。ただし、当該リース資産及びリース債務の価額をの方法によることもできる(9項、25項)。

方 法 会計処理 ① 原則的な方法 リース資産及びリース債務をそれぞれ以下のとおり算定された価額とし、リース資産とリース債務との差額は、損益として処理する。 リース資産 契約変更後の条件に基づくリース取引開始日からの将来のリース料(残価保証がある場合は、残価保証額を含む)を実務対応報告第31号7項に示す割引率を用いて割り引いた現在価値とリース取引開始日における借手の見積現金購入価額とのいずれか低い額から、リース取引開始日から契約変更日までの減価償却累計額相当額を控除した価額による。 リース債務 契約変更後の条件に基づく契約変更日からの将来のリース料(残価保証がある場合は、残価保証額を含む)を実務対応報告第31号7項に示す割引率を用いて割り引いた現在価値による。 ② 容認される方法 リース資産及びリース債務を上記①に従って算定されたリース債務の価額にて同額で計上する。

 

Ⅲ 適用時期

適用時期は、公表日(平成27年3月11日)以後適用する。

(了)

《速報解説》

「リース手法を活用した先端設備等投資支援スキームにおける借手の会計処理等に関する実務上の取扱い」が確定

~契約変更時の借手の会計上の取扱いについて規定~

 

公認会計士 阿部 光成

 

Ⅰ はじめに

平成27年3月11日、企業会計基準委員会は、「リース手法を活用した先端設備等投資支援スキームにおける借手の会計処理等に関する実務上の取扱い」(実務対応報告第31号の改正)を公表した。これにより、平成26年11月21日付で意見募集を行っていた公開草案が確定することになる。
なお、文中、意見に関する部分は、私見であることを申し添える。

 

Ⅱ 主な改正内容

平成26年6月30日の実務対応報告第31号の公表に際して、「契約変更時の借手の会計上の取扱いについて別途定める」とされていたものについて、規定を設けたものである。

リース・スキームにおけるリース契約の変更の取扱いについて、以下のように会計処理を行う。
次の設例が示されている。

  • [設例1]
    契約変更の結果、オペレーティング・リース取引からファイナンス・リース取引となるリース取引(固定型のリース料のケース)
  • [設例2]
    契約変更の結果、オペレーティング・リース取引からファイナンス・リース取引となるリース取引(変動型のリース料のケース)

1 ファイナンス・リース取引かどうかの再判定

リース取引開始日後にリース取引の契約内容が変更された場合のファイナンス・リース取引かオペレーティング・リース取引かの再判定にあたっては、契約変更日に、契約変更後の条件に基づいてリース取引開始日に遡って、実務対応報告第31号3項の判定を行う(6項、23項)。

判定を行うにあたって、借手が現在価値基準を適用する場合において現在価値の算定のために用いる割引率は、借手が契約変更後の条件に基づいてリース取引開始日における貸手の計算利子率を知り得るときは当該利率とし、知り得ないときは契約変更後の条件に基づいてリース取引開始日における借手の追加借入に適用されていたであろうと合理的に見積られる利率とする(7項)。

2 オペレーティング・リース取引からファイナンス・リース取引への変更

リース取引開始日後にリース取引の契約内容が変更された結果、オペレーティング・リース取引からファイナンス・リース取引となるリース取引については、契約変更日より通常の売買取引に係る方法に準じて会計処理を行い、契約変更日に、リース物件とこれに係る債務を、リース資産及びリース債務として実務対応報告第31号9項に示す価額で計上する(8項)。

所有権移転外ファイナンス・リース取引については、リース適用指針23 項から30項の方法に準じて会計処理し、所有権移転ファイナンス・リース取引については、リース適用指針38項から44項の方法に準じて会計処理する。

リース物件とこれに係る債務をリース資産及びリース債務として計上する場合の価額は、原則としての方法による。ただし、当該リース資産及びリース債務の価額をの方法によることもできる(9項、25項)。

方 法 会計処理 ① 原則的な方法 リース資産及びリース債務をそれぞれ以下のとおり算定された価額とし、リース資産とリース債務との差額は、損益として処理する。 リース資産 契約変更後の条件に基づくリース取引開始日からの将来のリース料(残価保証がある場合は、残価保証額を含む)を実務対応報告第31号7項に示す割引率を用いて割り引いた現在価値とリース取引開始日における借手の見積現金購入価額とのいずれか低い額から、リース取引開始日から契約変更日までの減価償却累計額相当額を控除した価額による。 リース債務 契約変更後の条件に基づく契約変更日からの将来のリース料(残価保証がある場合は、残価保証額を含む)を実務対応報告第31号7項に示す割引率を用いて割り引いた現在価値による。 ② 容認される方法 リース資産及びリース債務を上記①に従って算定されたリース債務の価額にて同額で計上する。

 

Ⅲ 適用時期

適用時期は、公表日(平成27年3月11日)以後適用する。

(了)

筆者紹介

阿部 光成

(あべ・みつまさ)

公認会計士
中央大学商学部卒業。阿部公認会計士事務所。

現在、豊富な知識・情報力を活かし、コンサルティング業のほか各種実務セミナー講師を務める。
企業会計基準委員会会社法対応専門委員会専門委員、日本公認会計士協会連結範囲専門委員会専門委員長、比較情報検討専門委員会専門委員長を歴任。

主な著書に、『新会計基準の実務』(編著、中央経済社)、『企業会計における時価決定の実務』(共著、清文社)、『新しい事業報告・計算書類―経団連ひな型を参考に―〔全訂第2版〕』(編著、商事法務)がある。

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