公開日: 2013/06/20 (掲載号:No.24)
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会計事務所の事業承継~事務所を売るという選択肢~ 【第6回】「計算例でみる会計事務所の価値評価」

筆者: 岸田 康雄

会計事務所の事業承継

~事務所を売るという選択肢~

【第6回(最終回)

「計算例でみる

会計事務所の価値評価」

 

公認会計士・税理士 岸田 康雄 

 

1 後継者がいない会計事務所の価値評価

会計事務所のM&Aでは、その譲渡対象のほとんどは、顧客との顧問契約や職員の雇用契約といった無形資産である。

無形資産の譲渡といっても、財産評価基本通達によれば「営業権を認識しない。」とされているため、当事者間の交渉を通じて、「斡旋料」が時価で支払われることになる。

後継者(親族内)がいない場合の会計事務所の価値評価を考えてみよう。

所長は、M&Aを行わなければ、引退と同時に廃業することになる。それゆえ、所長が引退するまでの数年間の所得しか獲得することができず、後継者に引き継ぐべき事業価値は実現できないことになる。

ここで、65歳で引退すると考えている所長が、60歳で会計事務所を売却すると仮定する。すなわち、キャッシュ・フロー(=税引後利益と税引後給与)を毎年1,500万円、5年間だけ獲得できるという設定である。

この場合の事業価値の評価については、業界慣行では経常売上高の1年分とされているものの、理論的には5年分のキャッシュ・フローの割引現在価値を計算しなければならない。ここでは割引率15%を適用する。

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~事務所を売るという選択肢~

【第6回(最終回)

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会計事務所の価値評価」

 

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1 後継者がいない会計事務所の価値評価

会計事務所のM&Aでは、その譲渡対象のほとんどは、顧客との顧問契約や職員の雇用契約といった無形資産である。

無形資産の譲渡といっても、財産評価基本通達によれば「営業権を認識しない。」とされているため、当事者間の交渉を通じて、「斡旋料」が時価で支払われることになる。

後継者(親族内)がいない場合の会計事務所の価値評価を考えてみよう。

所長は、M&Aを行わなければ、引退と同時に廃業することになる。それゆえ、所長が引退するまでの数年間の所得しか獲得することができず、後継者に引き継ぐべき事業価値は実現できないことになる。

ここで、65歳で引退すると考えている所長が、60歳で会計事務所を売却すると仮定する。すなわち、キャッシュ・フロー(=税引後利益と税引後給与)を毎年1,500万円、5年間だけ獲得できるという設定である。

この場合の事業価値の評価については、業界慣行では経常売上高の1年分とされているものの、理論的には5年分のキャッシュ・フローの割引現在価値を計算しなければならない。ここでは割引率15%を適用する。

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連載目次

筆者紹介

岸田 康雄

(きしだ・やすお)

公認会計士、税理士、中小企業診断士、国際公認投資アナリスト(日本証券アナリスト協会検定会員)
日本公認会計士協会経営研究調査会「事業承継専門部会」委員

昭和45年大阪府生まれ。一橋大学大学院商学研究科修了(経営学及び会計学専攻)。
監査法人、投資銀行を経て、現在、青山アクセス税理士法人にて資産税業務に従事している。
2011年度日本公認会計士協会東京会経営委員会委員長。
2013年1月に研究報告書「開業した公認会計士の高齢化と事業承継について」を発表。税理士業界における会計事務所M&Aの普及と啓蒙活動に取り組んでいる。

M&Aに関するご相談はこちらまで → 【M&A情報

【著書】
・『金融機関・税理士・FP・PBのための事業承継・相続における生命保険活用ガイド』(清文社)
・『中小企業のための 会社売却(M&A)の手続・評価・税務と申告実務』(清文社)
・『税理士・会計事務所のためのM&Aアドバイザリーガイド』(中央経済社)
・『証券投資信託の開示実務』共著(中央経済社)
など
 

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