公開日: 2013/03/21 (掲載号:No.11)
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会計事務所の事業承継~事務所を売るという選択肢~ 【第3回】「税理士法人の事業承継」

筆者: 岸田 康雄

会計事務所の事業承継

~事務所を売るという選択肢~

【第3回】

「税理士法人の事業承継」

 

公認会計士・税理士 岸田 康雄 

 

1 税理士法人の事業価値源泉

税理士法人による税理士業務の特徴は、その権利義務が税理士個人ではなく法人に帰属するところにある。
例えば、顧客との顧問契約の締結主体は、代表社員の税理士ではなく、法的主体としての税理士法人である。

つまり、税理士法人の事業価値源泉は、オーナーの立場にある代表社員が法人の持分の保有を通じて間接的に所有しているのである。

それゆえ、税理士業務の事業価値源泉は法人に帰属することとなり、たとえ法人の社員である税理士(オーナー)が引退しても、その税理士業務の提供が途切れてしまうことはない。

代表社員が引退するためには、そのオーナーとしての地位(社員の地位)を後継者へ法的に移転することが必要となる。
したがって、税理士法人の事業承継は、社員が有する法人持分の相続、贈与又は譲渡によって行われることになる。

税理士法人の社員の地位が株式会社の株主と異なる点は、税理士法人が合名会社に準じた人的会社の性質を有していることから、債権者に対して直接・連帯・無限責任を負うことである。
しかし、一般事業会社の株主の場合であっても、銀行借入金に連帯保証を入れるなど人的会社に近い責任を負わされることが一般的であり、税理士法人の社員の責任の重さが、持分の移転において問題となることはあまりない。

それでは、税理士法人の経営資源はどうであろうか。つまり、税理士業務の事業価値源泉である顧客関係、職員の雇用の維持をどう考えるべきか。

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【第3回】

「税理士法人の事業承継」

 

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1 税理士法人の事業価値源泉

税理士法人による税理士業務の特徴は、その権利義務が税理士個人ではなく法人に帰属するところにある。
例えば、顧客との顧問契約の締結主体は、代表社員の税理士ではなく、法的主体としての税理士法人である。

つまり、税理士法人の事業価値源泉は、オーナーの立場にある代表社員が法人の持分の保有を通じて間接的に所有しているのである。

それゆえ、税理士業務の事業価値源泉は法人に帰属することとなり、たとえ法人の社員である税理士(オーナー)が引退しても、その税理士業務の提供が途切れてしまうことはない。

代表社員が引退するためには、そのオーナーとしての地位(社員の地位)を後継者へ法的に移転することが必要となる。
したがって、税理士法人の事業承継は、社員が有する法人持分の相続、贈与又は譲渡によって行われることになる。

税理士法人の社員の地位が株式会社の株主と異なる点は、税理士法人が合名会社に準じた人的会社の性質を有していることから、債権者に対して直接・連帯・無限責任を負うことである。
しかし、一般事業会社の株主の場合であっても、銀行借入金に連帯保証を入れるなど人的会社に近い責任を負わされることが一般的であり、税理士法人の社員の責任の重さが、持分の移転において問題となることはあまりない。

それでは、税理士法人の経営資源はどうであろうか。つまり、税理士業務の事業価値源泉である顧客関係、職員の雇用の維持をどう考えるべきか。

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連載目次

筆者紹介

岸田 康雄

(きしだ・やすお)

公認会計士、税理士、中小企業診断士、国際公認投資アナリスト(日本証券アナリスト協会検定会員)
日本公認会計士協会経営研究調査会「事業承継専門部会」委員

昭和45年大阪府生まれ。一橋大学大学院商学研究科修了(経営学及び会計学専攻)。
監査法人、投資銀行を経て、現在、青山アクセス税理士法人にて資産税業務に従事している。
2011年度日本公認会計士協会東京会経営委員会委員長。
2013年1月に研究報告書「開業した公認会計士の高齢化と事業承継について」を発表。税理士業界における会計事務所M&Aの普及と啓蒙活動に取り組んでいる。

M&Aに関するご相談はこちらまで → 【M&A情報

【著書】
・『金融機関・税理士・FP・PBのための事業承継・相続における生命保険活用ガイド』(清文社)
・『中小企業のための 会社売却(M&A)の手続・評価・税務と申告実務』(清文社)
・『税理士・会計事務所のためのM&Aアドバイザリーガイド』(中央経済社)
・『証券投資信託の開示実務』共著(中央経済社)
など
 

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