公開日: 2021/04/15 (掲載号:No.415)
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船舶の評価を巡る贈与税決定処分等の取消訴訟において全部取消が認められた事例-東京地裁令和2年10月1日判決(平成28年(行ウ)第413号:贈与税決定処分等取消請求事件)- 【第1回】

筆者: 木下 雅之

船舶の評価を巡る贈与税決定処分等の
取消訴訟において全部取消が認められた事例

-東京地裁令和2年10月1日判決
(平成28年(行ウ)第413号:贈与税決定処分等取消請求事件)-

【第1回】

 

弁護士法人東町法律事務所

弁護士 木下 雅之

 

連載の目次はこちら

1 はじめに

相続税法第22条は、相続、遺贈又は贈与により取得した財産の価額は、原則として、当該財産の取得の時における時価による旨規定する。そして、この財産の評価に関する基本的な取扱いを定める財産評価基本通達(以下「評価通達」という)は、船舶の価額について、原則として、売買実例価額、精通者意見価格等を参酌して評価するものとし、これが明らかでない船舶については、同種同型の船舶を課税時期において新造する場合の価額から償却費等を控除した価額によって評価するものとしている(評価通達136)。

かかる船舶の評価が争点となった贈与税決定処分等の取消訴訟において、東京地方裁判所は、令和2年10月1日、原告側の主張を認め、贈与税決定処分等の全部を取り消す判決を下したため、事例判断ではあるが、今後の実務の参考として紹介する(同月16日判決確定)。

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船舶の評価を巡る贈与税決定処分等の
取消訴訟において全部取消が認められた事例

-東京地裁令和2年10月1日判決
(平成28年(行ウ)第413号:贈与税決定処分等取消請求事件)-

【第1回】

 

弁護士法人東町法律事務所

弁護士 木下 雅之

 

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1 はじめに

相続税法第22条は、相続、遺贈又は贈与により取得した財産の価額は、原則として、当該財産の取得の時における時価による旨規定する。そして、この財産の評価に関する基本的な取扱いを定める財産評価基本通達(以下「評価通達」という)は、船舶の価額について、原則として、売買実例価額、精通者意見価格等を参酌して評価するものとし、これが明らかでない船舶については、同種同型の船舶を課税時期において新造する場合の価額から償却費等を控除した価額によって評価するものとしている(評価通達136)。

かかる船舶の評価が争点となった贈与税決定処分等の取消訴訟において、東京地方裁判所は、令和2年10月1日、原告側の主張を認め、贈与税決定処分等の全部を取り消す判決を下したため、事例判断ではあるが、今後の実務の参考として紹介する(同月16日判決確定)。

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連載目次

船舶の評価を巡る贈与税決定処分等の
取消訴訟において全部取消が認められた事例

-東京地裁令和2年10⽉1⽇判決
(平成28年(⾏ウ)第413号︓贈与税決定処分等取消請求事件)-

【第1回】

1 はじめに

2 事案の概要

3 各当事者が依拠する本件各船舶の価格鑑定に用いられた鑑定方法

(1) Y(被告)の依拠する価格鑑定に用いられた鑑定方法の概要

(2) X(原告)の依拠する価格鑑定に用いられた鑑定方法の概要

【第2回】

4 裁判所の判断

(1) 船舶の評価に関する基本的な考え方

(2) 定期傭船契約付きの船舶の評価に関する基本的な考え方

(3) 鑑定方法の選択

(4) P社の「取引事例比較法」の合理性について

(5) P社の「建造船価償却法」の合理性について

(6) Q社の「収益還元法(DCF法)」の合理性について

(7) 贈与税決定処分等の適否について

【第3回】

5 本判決のポイント-今後の実務に与える影響等-

(1) 定期傭船契約で見込まれる収益価値の評価の必要性の明確化

(2) 今後の実務に与える影響

筆者紹介

木下 雅之

(きのした・まさゆき)

弁護士
弁護士法人東町法律事務所(東京事務所所属)

上場企業及び中小企業等の法律顧問として、会社法、労働法、独占禁止法など、主に企業が日々直面する問題について助言と対応を行っている。

【略歴】
大阪府出身
2004年  早稲田大学法学部卒業
2006年  関西学院大学大学院司法研究科(ロースクール)修了、司法試験合格
2007年  司法修習修了、弁護士登録、東町法律事務所入所
2009年  兵庫県立大学大学院会計研究科 非常勤講師(金融商品取引法・会社法)
2016年~2020年 立正大学法学部 非常勤講師(商法応用演習)
2018年  弁護士法人東町法律事務所パートナー弁護士

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