公開日: 2021/07/08
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《速報解説》 金融庁、「財務諸表等の用語、様式及び作成方法に関する規則等の一部を改正する内閣府令(案)」等を公表~時価基準の適用指針公表を受け、投資信託の時価算定等について規定~

筆者: 阿部 光成

《速報解説》

金融庁、「財務諸表等の用語、様式及び作成方法に関する規則等の一部を改正する内閣府令(案)」等を公表

~時価基準の適用指針公表を受け、投資信託の時価算定等について規定~

 

公認会計士 阿部 光成

 

Ⅰ はじめに

2021(令和3)年7月7日、金融庁は、「財務諸表等の用語、様式及び作成方法に関する規則等の一部を改正する内閣府令(案)」等を公表し、意見募集を行っている。

これは、「時価の算定に関する会計基準の適用指針」(2021年6月17日、改正企業会計基準適用指針第31号)の公表を受けたものであり、投資信託の時価の算定と貸借対照表に持分相当額を純額で計上する組合等への出資の時価について規定するものである。

また、「貸借対照表の純資産の部の表示に関する会計基準」(2021年1月28日、改正企業会計基準第5号)について、「連結財務諸表の用語、様式及び作成方法に関する規則」1条3項及び「財務諸表等の用語、様式及び作成方法に関する規則」1条3項に規定する一般に公正妥当と認められる企業会計の基準とする改正も行う。

意見募集期間は2021年8月6日までである。

文中、意見に関する部分は、私見であることを申し添える。

 

Ⅱ 主な内容

「金融商品に関する注記」(財務諸表等規則8条の6の2第3項~第5項)に、次の規定を設ける。

(1)

財務諸表等規則8条の6の2第1項本文の規定にかかわらず、貸借対照表に持分相当額を純額で計上する組合その他これに準ずる事業体(外国におけるこれらに相当するものを含む)への出資については、同項2号に掲げる事項の記載を要しない。この場合には、その旨及び当該出資の貸借対照表計上額を注記しなければならない。

(2)

投資信託等(金融商品取引法2条1項10号に掲げる投資信託又は外国投資信託の受益証券、同項11号に掲げる投資証券又は外国投資証券その他これらに準ずる有価証券を含む金融商品をいう)について、一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に従い、投資信託等の基準価額を時価とみなす場合には、財務諸表等規則8条の6の2第1項2号に掲げる事項の記載については、当該投資信託等が含まれている旨を注記しなければならない(当該投資信託等の貸借対照表計上額に重要性が乏しい場合を除く)。

(3)

財務諸表等規則8条の6の2第1項本文の規定にかかわらず、投資信託等について、一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に従い、投資信託等の基準価額を時価とみなす場合には、同項3号に掲げる事項の記載を要しない。

この場合には、次に掲げる事項を注記しなければならない。

 財務諸表等規則8条の6の2第1項3号に掲げる事項を注記していない旨

 当該投資信託等の貸借対照表計上額

 当該投資信託等の期首残高から期末残高への調整表(当該投資信託等の貸借対照表計上額に重要性が乏しい場合を除く)

 貸借対照表日における解約又は買戻請求に関する制限の内容ごとの内訳(投資信託等について、信託財産又は資産を主として金融商品に対する投資として運用することを目的としている場合に限り、その貸借対照表計上額に重要性が乏しい場合を除く)

「連結財務諸表の用語、様式及び作成方法に関する規則」、「中間連結財務諸表の用語、様式及び作成方法に関する規則」、「四半期連結財務諸表の用語、様式及び作成方法に関する規則」などや、関連する「「財務諸表等の用語、様式及び作成方法に関する規則」の取扱いに関する留意事項について(財務諸表等規則ガイドライン)」なども改正する。

 

Ⅲ 適用時期等

公布の日から施行する予定である。

経過措置が規定される予定であるので、実際の適用に際して注意する。

(了)

《速報解説》

金融庁、「財務諸表等の用語、様式及び作成方法に関する規則等の一部を改正する内閣府令(案)」等を公表

~時価基準の適用指針公表を受け、投資信託の時価算定等について規定~

 

公認会計士 阿部 光成

 

Ⅰ はじめに

2021(令和3)年7月7日、金融庁は、「財務諸表等の用語、様式及び作成方法に関する規則等の一部を改正する内閣府令(案)」等を公表し、意見募集を行っている。

これは、「時価の算定に関する会計基準の適用指針」(2021年6月17日、改正企業会計基準適用指針第31号)の公表を受けたものであり、投資信託の時価の算定と貸借対照表に持分相当額を純額で計上する組合等への出資の時価について規定するものである。

また、「貸借対照表の純資産の部の表示に関する会計基準」(2021年1月28日、改正企業会計基準第5号)について、「連結財務諸表の用語、様式及び作成方法に関する規則」1条3項及び「財務諸表等の用語、様式及び作成方法に関する規則」1条3項に規定する一般に公正妥当と認められる企業会計の基準とする改正も行う。

意見募集期間は2021年8月6日までである。

文中、意見に関する部分は、私見であることを申し添える。

 

Ⅱ 主な内容

「金融商品に関する注記」(財務諸表等規則8条の6の2第3項~第5項)に、次の規定を設ける。

(1)

財務諸表等規則8条の6の2第1項本文の規定にかかわらず、貸借対照表に持分相当額を純額で計上する組合その他これに準ずる事業体(外国におけるこれらに相当するものを含む)への出資については、同項2号に掲げる事項の記載を要しない。この場合には、その旨及び当該出資の貸借対照表計上額を注記しなければならない。

(2)

投資信託等(金融商品取引法2条1項10号に掲げる投資信託又は外国投資信託の受益証券、同項11号に掲げる投資証券又は外国投資証券その他これらに準ずる有価証券を含む金融商品をいう)について、一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に従い、投資信託等の基準価額を時価とみなす場合には、財務諸表等規則8条の6の2第1項2号に掲げる事項の記載については、当該投資信託等が含まれている旨を注記しなければならない(当該投資信託等の貸借対照表計上額に重要性が乏しい場合を除く)。

(3)

財務諸表等規則8条の6の2第1項本文の規定にかかわらず、投資信託等について、一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に従い、投資信託等の基準価額を時価とみなす場合には、同項3号に掲げる事項の記載を要しない。

この場合には、次に掲げる事項を注記しなければならない。

 財務諸表等規則8条の6の2第1項3号に掲げる事項を注記していない旨

 当該投資信託等の貸借対照表計上額

 当該投資信託等の期首残高から期末残高への調整表(当該投資信託等の貸借対照表計上額に重要性が乏しい場合を除く)

 貸借対照表日における解約又は買戻請求に関する制限の内容ごとの内訳(投資信託等について、信託財産又は資産を主として金融商品に対する投資として運用することを目的としている場合に限り、その貸借対照表計上額に重要性が乏しい場合を除く)

「連結財務諸表の用語、様式及び作成方法に関する規則」、「中間連結財務諸表の用語、様式及び作成方法に関する規則」、「四半期連結財務諸表の用語、様式及び作成方法に関する規則」などや、関連する「「財務諸表等の用語、様式及び作成方法に関する規則」の取扱いに関する留意事項について(財務諸表等規則ガイドライン)」なども改正する。

 

Ⅲ 適用時期等

公布の日から施行する予定である。

経過措置が規定される予定であるので、実際の適用に際して注意する。

(了)

筆者紹介

阿部 光成

(あべ・みつまさ)

公認会計士
中央大学商学部卒業。阿部公認会計士事務所。

現在、豊富な知識・情報力を活かし、コンサルティング業のほか各種実務セミナー講師を務める。
企業会計基準委員会会社法対応専門委員会専門委員、日本公認会計士協会連結範囲専門委員会専門委員長、比較情報検討専門委員会専門委員長を歴任。

主な著書に、『新会計基準の実務』(編著、中央経済社)、『企業会計における時価決定の実務』(共著、清文社)、『新しい事業報告・計算書類―経団連ひな型を参考に―〔全訂第2版〕』(編著、商事法務)がある。

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