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《速報解説》 教育資金の一括贈与に係る贈与税の非課税措置の見直し~令和5年度税制改正大綱~
《速報解説》 教育資金の一括贈与に係る贈与税の非課税措置の見直し ~令和5年度税制改正大綱~ 税理士 徳田 敏彦 教育資金の一括贈与に係る贈与税の非課税措置は平成25年4月から始まり、平成31年と令和3年にそれぞれ改正が行われ、今回が3回目の改正となる。 令和4年12月16日に公表された「令和5年度税制改正大綱」(与党大綱)における本制度の改正点は4点である。 1 改正点 (1) 適用期限の延長 適用期限が3年延長され、令和5年3月31日の期限は令和8年3月31日まで延長される。 (2) 相続財産5億円を超える者の管理残高への相続税課税 贈与者が死亡した場合において、贈与者の相続税の課税価格の合計額が5億円を超えるときは、受贈者が23歳未満である場合等であっても、教育資金の管理残高(非課税拠出額から教育資金支出額を控除した残額)を相続税の課税対象とする。 この改正は令和5年4月1日以後に取得する信託受益権等に係る相続税について適用する。 (3) 管理残高への贈与税課税 受贈者が30歳に達した場合等において、管理残高に贈与税が課税されるときには、贈与税の一般税率を適用する。 この改正は令和5年4月1日以後に取得する信託受益権等に係る贈与税について適用する。 (4) 教育資金の範囲の拡充 都道府県知事等から国家戦略特別区域内に所在する場合の外国の保育士資格を有する者の人員配置基準等の一定基準を満たす旨の証明書の交付を受けた認可外保育施設に支払われる保育料等を加える。 この改正は令和5年4月1日以後に支払われる教育資金について適用する。 2 本制度の改正推移 今までの本制度の改正推移を一覧表にすると以下となる。 (※1) 贈与者の死亡前3年以内の拠出分が相続財産への加算対象となるが、受贈者が贈与者の死亡日において、以下のいずれかに該当する場合には相続財産には加算しないものとする。 (ⅰ) 23歳未満である場合 (ⅱ) 学校等に在学している場合 (ⅲ) 教育訓練給付金の支給対象となる教育訓練を受けている場合 (※2) 贈与者の拠出日と死亡日までの年数にかかわらず、管理残額が相続財産への加算対象となるが、受贈者が贈与者の死亡日において、以下のいずれかに該当する場合には相続財産には加算しないものとする。 (ⅰ) 23歳未満である場合 (ⅱ) 学校等に在学している場合 (ⅲ) 教育訓練給付金の支給対象となる教育訓練を受けている場合 (出典) 国税庁発表資料を一部加工 3 今後の動向 本制度創設時点では管理残額があっても相続税の対象とはならず、受贈者が30歳になった時点で管理残額がある場合に贈与税だけが課税される仕組みであったため、父母、祖父母等の高齢者で金融資産を所有する者の相続税対策として利用されていた。 しかし3度の改正を経て、贈与者が死亡した場合にその者の相続税課税価格が5億円を超える場合には、受贈者が23歳未満あるいは学校在籍中であっても、管理残額が相続税課税の対象となり、富裕層の本制度の利用には一定の制限がかかることになる。 そもそも本制度の利用件数も近年減少しており、次の期限到来時には利用件数、利用実態等を踏まえ制度の在り方について改めて検討することが令和5年度税制改正大綱の「基本的考え方」に記述されているため、今後は廃止含め改正があることが予想される。 また、税理士業務として相続税申告を受託した場合には、本制度の利用を必ず確認し、どのタイミングで拠出された教育資金かで課税が異なることにも十分に留意する必要がある。 (了)
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《速報解説》 結婚・子育て資金の一括贈与に係る贈与税の非課税措置の見直し~令和5年度税制改正大綱~
《速報解説》 結婚・子育て資金の一括贈与に係る贈与税の非課税措置の見直し ~令和5年度税制改正大綱~ 税理士 徳田 敏彦 「結婚・子育て資金の一括贈与に係る贈与税の非課税措置」は、父母、祖父母等の直系尊属が18歳以上50歳未満の子、孫等へ結婚・子育て資金を信託等により一括して拠出した場合に、受贈者ごと1,000万円(うち、結婚に際して支払う金銭は300万円)まで贈与税が非課税となる制度である。 令和4年12月16日に公表された「令和5年度税制改正大綱」(与党大綱)における結婚・子育て資金の一括贈与に係る贈与税の非課税措置の改正点は2点である。 1 改正点 (1) 適用期限の延長 適用期限が2年延長され、令和5年3月31日の期限は令和7年3月31日まで延長される。 (2) 管理残高への贈与税課税 受贈者が50歳に達した場合等において、管理残高(非課税拠出額から結婚・子育て資金支出額を控除した残額)に贈与税が課税されるときには、贈与税の一般税率を適用する。 この改正は令和5年4月1日以後に取得する信託受益権等に係る贈与税について適用する。 2 改正の推移 改正の推移を一覧表にすると以下となる。 (出典) 国税庁発表資料を一部加工 3 今後の動向 令和5年度税制改正大綱の「基本的考え方」で、以下のとおり記載されている。 今後も利用件数は伸び悩むことが予想され、廃止も含めさらなる改正が予想される。 また、税理士業務として相続税申告を受託した場合には、過去の本制度の利用を必ず確認する必要があることに留意したい。 (了)
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《速報解説》 相続時精算課税制度及び暦年課税制度の生前贈与の加算期間の見直し~令和5年度税制改正大綱~
《速報解説》 相続時精算課税制度及び 暦年課税制度の生前贈与の加算期間の見直し ~令和5年度税制改正大綱~ 太陽グラントソントン税理士法人 パートナー 公認会計士・税理士 岩丸 涼一 令和4年12月16日に公表された「令和5年度税制改正大綱」(与党大綱)において、資産移転時期の選択により中立的な税制の構築を目指し、「相続時精算課税制度」及び「相続開始前に贈与があった場合の相続税の課税価格への加算期間等」について以下のとおり見直しがされた。 1 「相続時精算課税制度」についての見直しの概要 相続時精算課税適用者が特定贈与者から贈与により取得した財産に係るその年分の贈与税については、現行の基礎控除(2,500万円)とは別途、課税価格から基礎控除110万円を控除できることとするとともに、特定贈与者の死亡に係る相続税の課税価格に加算等をされる特定贈与者から贈与により取得した財産の価額は、上記の控除(110万円)をした後の残額にすることとされた。 (注) 令和6年1月1日以後に贈与により取得する財産に係る相続税又は贈与税について適用。 例えば、5,000万円相当の不動産に相続時精算課税制度を適用した場合、贈与税額は以下のとおりとなる。 (※) 「110万円基礎控除」は毎年110万円まで、「2,500万円基礎控除」は累積2,500万円までとなる。 そして、相続時に加算される金額は以下のとおりとなる。 また、相続時精算課税適用者が特定贈与者から贈与により取得した一定の土地又は建物が当該贈与の日から当該特定贈与者の死亡に係る相続税の申告書の提出期限までの間に災害によって一定の被害を受けた場合には、当該相続税の加算の基礎となる当該土地又は建物の価額は、当該贈与の時における価額から当該価額のうち当該災害によって被害を受けた部分に相当する額を控除した残額とされた。 (注) 令和6年1月1日以後に生ずる災害により被害を受ける場合について適用。 〈相続時精算課税制度の見直し〉 2 暦年課税における「相続開始前に贈与があった場合の相続税の課税価格への加算期間等」についての見直しの概要 相続又は贈与により財産を取得した者が、当該相続の開始前7年以内(現行:3年以内)に当該相続に係る被相続人から贈与により財産を取得したことがある場合には、当該贈与により取得した財産の価額(当該財産のうち当該相続の開始前3年以内に贈与により取得した財産以外の財産については、当該財産の価額の合計額から100万円を控除した残額)を相続税の課税価格に加算することとされた。 (注) 令和6年1月1日以後に贈与により取得する財産に係る相続税について適用。 〈暦年課税における相続前贈与加算〉 〈加算期間の経過措置〉 (了)
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《速報解説》国際最低課税額に対する法人税の創設について~令和5年度税制改正大綱~
《速報解説》 国際最低課税額に対する法人税の創設について ~令和5年度税制改正大綱~ 公認会計士・税理士 霞 晴久 OECD/G20を中心に約140ヶ国の国と地域が参加する「BEPS包摂的枠組み」では、2021(令和3)年10月8日、第1の柱(市場国への新たな課税権の配分)及び第2の柱(国際最低課税(※1))による解決策が合意(※2)され、後者については、同年12月20日にGloBE(※3)ルール、2022(令和4)年3月14日には、同ルールのコメンタリーが公表され、各国の取組みとして2022年中の国内法の改正が予定されていたところ、我が国では、去る今月16日、政府与党による令和5年度税制改正大綱の一環として、「各対象会計年度の国際最低課税額に対する法人税(仮称)の創設」が公表された。 (※1) 英:Global Minimum Tax (※2) 令和4年度与党税制改正大綱では、この合意につき、「税制の不確実性をもたらす一国主義的な課税措置の拡散を防止する観点から、100年来続いてきた国際課税原則を見直し、市場国に新たな課税権を配分するものである。加えて、グローバル・ミニマム課税の導入は、法人税の引下げ競争に歯止めをかけるとともに、わが国企業の国際競争力の維持及び向上にもつながるものである。わが国は、BEPSプロジェクトの立上げ時から、国際課税改革に関する議論を一貫して主導してきたところであり、本国際合意を強く歓迎する。」と述べられていた。 (※3) Global Anti-Base Erosion 1 基本的な仕組み 国際最低課税の対象となる特定多国籍企業グループ等とは、企業グループの最終親会社の連結財務諸表の作成に係る期間(以下、「対象会計年度」)について、直前4年度のうち2以上の年度の総収入金額が7.5億ユーロ以上であるものをいい、一定の適用除外を除く所得について各国ごとに最低税率15%以上の課税が確保される仕組みとなる。国際最低課税額に対する同法人税の申告及び納付は、各対象会計年度終了の日の翌日から1年3ヶ月(例外的に1年6ヶ月)以内に行わなければならないとされる(※4)。 (※4) 同時に国際最低課税の地方法人税版(特定基準法人税額に対する地方法人税)も創設された。 2 最初に導入されるGloBEルール GloBEルールでは、最終親会社で課税を受ける①所得合算ルール(IIR(※5))が基本とされており、同ルールでは捕捉しきれない所得がある場合に②軽課税所得ルール(UTPR(※6))が適用される。さらに、自国に所在する事業体全体の実効税率が15%未満の場合に、他国において上乗せ課税されるのを防ぐため、各国が導入できる制度として③国内ミニマム課税(QDMTT(※7))が提案されている。 (※5) Income Inclusion Rule (※6) Undertaxed Payment Rule (※7) Qualified Domestic Minimum Top-up Tax 我が国においては、国税の租税特別措置の税額控除等の適用により各企業グループの実効税率が15%を下回った場合に、③により実効税率を15%まで引き戻す効果があるといわれている。②の国際的な実施目標は、元々、①より1年遅れるとされており、また②③の実施細目が国際的に引き続き議論されている現状を踏まえ、我が国では、今般、①を最初に導入することとなった。②③については、令和6年度改正以降で法制化される方向で検討されている。 ①「所得合算ルール」は、軽課税国に所在する子会社等の税負担が国際的に合意された15%の最低税率に至るまで、親会社の所在する国で課税を受ける仕組みで、そのイメージを図で示せば、以下のとおりとなる。 (出所) 「自由民主党税制調査会資料」(令和4年12月7日) 上図のとおり、上乗せ課税部分には有形固定資産(簿価)及び支払給与の一定額を除外することとされており(カーブアウトと呼ばれる)、この趣旨は、実体のある活動に対する一定割合は通常利益に該当し、それを超えた「超過利益」を上乗せ課税の対象とする点にあるとされている(※8)。なお、ここでいう有形固定資産(簿価)及び支払給与に対する一定割合は10年間で段階的に引き下げられ、最終的には、それぞれの5%とされる。 (※8) 本年3月14日公表のコメンタリー第5章パラ25参照。 3 外国子会社合算課税との関係 国際最低課税額に対する法人税が導入された後も、我が国の外国子会社合算税制はそのまま引き続き適用されるが、当該措置により我が国親会社に合算されることとなる外国子会社留保所得については、一定の方法により当該外国子会社に配分されることで、両制度は調整され、併存することとなる。 4 適用開始時期 国際最低課税額に対する法人税は、内国法人の令和6年4月1日以後に開始する対象会計年度から適用される。 (了)
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《速報解説》 企業会計審議会が「財務報告に係る内部統制の評価及び監査の基準」等の改訂案を公表~既存制度の実効性に関する懸念や国際的な内部統制の枠組みの改訂等に対応~
《速報解説》 企業会計審議会が「財務報告に係る内部統制の評価及び監査の基準」等の改訂案を公表 ~既存制度の実効性に関する懸念や国際的な内部統制の枠組みの改訂等に対応~ 公認会計士 阿部 光成 Ⅰ はじめに 2022(令和4)年12月15日、企業会計審議会内部統制部会は、「財務報告に係る内部統制の評価及び監査の基準並びに財務報告に係る内部統制の評価及び監査に関する実施基準の改訂について(公開草案)」を公表し、意見募集を行っている。 これは、内部統制報告制度は、財務報告の信頼性の向上に一定の効果があったと考えられる一方で、経営者が内部統制の評価範囲の検討に当たって財務報告の信頼性に及ぼす影響の重要性を適切に考慮していないのではないかなどの制度の実効性に関する懸念や、国際的な内部統制の枠組み(米国のCOSO(トレッドウェイ委員会支援組織委員会))の改訂などへ対応するものである。 なお、サステナビリティ等の非財務情報の内部統制報告制度における取扱いなどについては、法改正を含む更なる検討が必要な事項であることから、中長期的な課題とされている。 意見募集期間は2023年1月19日までである。 文中、意見に関する部分は、私見であることを申し添える。 Ⅱ 内部統制の基本的枠組み 1 「財務報告の信頼性」から「報告の信頼性」 改訂された米国のCOSOの内部統制の基本的枠組みに関する報告書(COSO報告書)では、内部統制の目的の1つである「財務報告」について、「報告」(非財務報告と内部報告を含む)へと拡張されている。 公開草案は、サステナビリティ等の非財務情報に係る開示の進展やCOSO報告書の改訂を踏まえ、内部統制の目的の1つである「財務報告の信頼性」を「報告の信頼性」としている。 「報告の信頼性」とは、組織内及び組織の外部への報告(非財務情報を含む)の信頼性を確保することをいい、それには「財務報告の信頼性」が含まれる。 「財務報告の信頼性」は、財務諸表及び財務諸表に重要な影響を及ぼす可能性のある情報の信頼性を確保することをいう。 金融商品取引法上の内部統制報告制度は、あくまで「財務報告の信頼性」の確保が目的である。 2 内部統制の基本的要素 3 経営者による内部統制の無効化 4 内部統制に関係を有する者の役割と責任 5 内部統制とガバナンス及び全組織的なリスク管理 内部統制とガバナンス及び全組織的なリスク管理は一体的に整備及び運用されることの重要性を明らかにしている。 内部統制は、組織の持続的な成長のために必要不可欠なものであり、「ガバナンス」や「全組織的なリスク管理」と一体的に整備及び運用されることが重要である。 これらの体制整備の考え方として、3線モデル等が例示されている。 3線モデルにおいては、第1線を業務部門内での日常的モニタリングを通じたリスク管理、第2線をリスク管理部門などによる部門横断的なリスク管理、そして第3線を内部監査部門による独立的評価として、組織内の権限と責任を明確化しつつ、これらの機能を取締役会又は監査役等による監督と適切に連携させることが重要である。 Ⅲ 財務報告に係る内部統制の評価及び報告 1 経営者による内部統制の評価範囲の決定 なお、「売上高等の概ね2/3」や「売上、売掛金及び棚卸資産の3勘定」について、それらを機械的に適用せず、評価範囲の選定に当たって財務報告に対する影響の重要性を適切に勘案することを促すよう、基準及び実施基準における段階的な削除を含む取扱いに関しては、今後の検討事項とされている。 2 ITを利用した内部統制の評価 3 財務報告に係る内部統制の報告 Ⅳ 財務報告に係る内部統制の監査 Ⅴ 内部統制報告書の訂正時の対応 事後的に内部統制の有効性の評価が訂正される際には、訂正の理由が十分開示されることが重要であり、訂正内部統制報告書において、具体的な訂正の経緯や理由等の開示を求めるために、関係法令について所要の整備を行うことが適当である。 Ⅵ 適用時期等 改訂基準及び改訂実施基準は、2024(令和6)年4月1日以後開始する事業年度における財務報告に係る内部統制の評価及び監査から適用する予定である。 (了)
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《速報解説》 会計士協会、倫理規則の改正に伴う監査基準報告書等の改正案を公表~セーフガードの定義見直しに対応し追加修正等行う~
《速報解説》 会計士協会、倫理規則の改正に伴う監査基準報告書等の改正案を公表 ~セーフガードの定義見直しに対応し追加修正等行う~ 公認会計士 阿部 光成 Ⅰ はじめに 2022年12月15日、日本公認会計士協会は、「倫理規則の改正に伴う監査基準報告書及び監査基準報告書実務指針の改正(公開草案)」を公表し、意見募集を行っている。 これは、倫理規則(2022年7月25日変更)の公表に伴い、所要の見直しを行うものである。 監査基準報告書200「財務諸表監査における総括的な目的」、監査基準報告書240「財務諸表監査における不正」など多くのものが改正の対象となっている。 意見募集期間は2022年12月29日までである。 文中、意見に関する部分は、私見であることを申し添える。 Ⅱ 主な改正内容 セーフガードの定義の見直し改正前の倫理規則では、阻害要因を除去又は許容可能な水準にまで軽減するものをセーフガードとしていた。 改正倫理規則では、阻害要因に対処するための対応策を「阻害要因を許容可能な水準にまで軽減するために講じる対応策」と「阻害要因を生じさせている状況を除去するための対応策」に分け、前者をセーフガードとして定義している。 (了)
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法人税
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《速報解説》 中小企業者等の法人税率の軽減特例、令和7年3月31日まで2年延長へ~令和5年度税制改正大綱~
《速報解説》 中小企業者等の法人税率の軽減特例、令和7年3月31日まで2年延長へ ~令和5年度税制改正大綱~ Profession Journal編集部 原則として普通法人の法人税率は23.2%とされているが(法法66①)、資本金1億円以下の中小企業者等の場合、各事業年度の所得金額のうち年800万円以下の金額については、軽減税率が適用される(年800万円を超える金額については23.2%)。 この軽減税率(本則)は19%とされているが(法法66②)、令和5年3月31日までの間に開始する各事業年度については、15%の軽減税率が適用されている(措法42の3の2①)。 12月16日(金)に公表された「令和5年度税制改正大綱」(与党大綱)では、エネルギー等を中心としたコストプッシュ型の物価上昇等により収益環境の悪化が懸念されている中小企業を配慮し、この軽減税率の適用期限を令和7年3月31日まで2年延長することとされた。 なお今回の大綱では既報のとおり「基本的考え方等」の「防衛力強化に係る財源確保のための税制措置」において、法人税額に対し税率4~4.5%の新たな付加税を課すこと、中小法人に配慮する観点から課税標準となる法人税額から500万円を控除することが明記されたが、施行時期は「令和6年以降の適切な時期」とのみ示されている。 (了)
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登録免許税
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《速報解説》 土地の所有権移転登記等に係る登録免許税の特例措置の延長等、登録免許税に係る主な改正事項~令和5年度税制改正大綱~
《速報解説》 土地の所有権移転登記等に係る登録免許税の特例措置の延長等、 登録免許税に係る主な改正事項 ~令和5年度税制改正大綱~ 税理士・行政書士・AFP 山端 美德 令和4年12月16日(金)、与党(自由民主党と公明党)による「令和5年度税制改正大綱」が公表された。 登録免許税に係る主な改正事項は、以下のとおりである。 1 土地の売買による所有権移転登記等に係る登録免許税の特例措置の延長 土地の流動化を通じた有効利用等の促進を図り、経済の好循環を加速・拡大させるため、土地の所有権移転登記等に係る登録免許税の税率について、下記の特例措置を令和8年3月31日まで3年延長する。 2 特定目的会社に係る登録免許税の特例措置の延長 特定目的会社が資産流動化計画に基づき特定不動産を取得した場合の所有権の移転登記に対する登録免許税の税率の軽減措置の適用期限を令和7年3月31日まで2年延長する。 3 不動産特定共同事業法上の特例事業者に係る登録免許税の特例措置の延長 特例事業者等が不動産特定共同事業契約により不動産を取得した場合の所有権の移転登記等に対する登録免許税の税率について、下記の軽減措置を令和7年3月31日まで2年延長する。 4 住宅用家屋の所有権の保存登記に対する登録免許税の税率の特例措置に関する所要の措置 住宅用家屋の所有権の保存登記に対する登録免許税の税率の特例措置の適用を受ける場合、その申請書に添付条件となっている住宅用家屋証明書について、申請者の利便性の向上及び市町村の事務負担の軽減を図ることを目的とし、その証明の申請の際に住宅用家屋の審査に係る一定の書類があった場合には、証明事務の一部を省略することができることとする。 (了)
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消費税・地方消費税
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《速報解説》 適格請求書等保存方式への円滑な制度移行のための税制上の措置~令和5年度税制改正大綱~
《速報解説》 適格請求書等保存方式への円滑な制度移行のための税制上の措置 ~令和5年度税制改正大綱~ 税理士 石川 幸恵 令和4年12月16日(金)に「令和5年度税制改正大綱」(与党大綱)が公表された。以下では、適格請求書等保存方式(いわゆるインボイス制度)に係る措置について概説する。 1 改正の背景 適格請求書等保存方式は、消費税の複数税率制度の下において適正な課税を確保するために必要な制度とされている。令和5年10月から円滑に制度移行できるよう、税制上の措置として、新たに(1)適格請求書発行事業者となる免税事業者の負担軽減、(2)事業者の事務負担軽減が講じられる。また、(3)適格請求書発行事業者登録制度についても見直しが行われる。 2 改正案の内容 (1) 適格請求書発行事業者となる免税事業者の負担軽減 ① 納付税額を課税標準額に対する消費税額の2割に軽減 免税事業者が適格請求書発行事業者となった場合等の納付税額を、課税標準額に対する消費税額の2割に軽減する経過措置を設ける。 イ 適用期間 適格請求書発行事業者の令和5年10月1日から令和8年9月30日までの日の属する各課税期間 ロ 適用対象者 免税事業者が適格請求書発行事業者となったこと又は課税事業者選択届出書(令和5年10月1日前から当該届出書の適用を受けている事業者を除く)を提出したことにより事業者免税点制度の適用を受けられないこととなる事業者 ハ 適用要件 確定申告にこの経過措置の適用を受ける旨を付記 ② 各種届出書の効力について 課税事業者選択届出書の2年継続適用や簡易課税制度選択届出書の提出期限について緩和する。 (2) 事業者の事務負担軽減 ① 帳簿のみの保存による仕入税額控除を認める経過措置 課税仕入れに係る支払対価の額が1万円未満である場合には、一定の事項が記載された帳簿のみの保存による仕入税額控除を認める経過措置を設ける。 イ 適用期間 適格請求書発行事業者の令和5年10月1日から令和11年9月30日までの間 ロ 適用対象者 基準期間における課税売上高が1億円以下又は特定期間における課税売上高が5,000万円以下である事業者 ハ 適用要件 一定の事項が記載された帳簿の保存 * * * なお、帳簿を適正に記載するためには、領収書等の受領や保存は必要である。この経過措置の効果は、少額の経費支払い(タクシーなど)の際に相手の登録の有無を意識する必要がないなど、限定的と考えられる。 ② 売上に係る対価の返還等に係る税込価額が1万円未満である場合の適格返還請求書の交付義務免除 取引の買手が振込手数料を差し引いて振り込み、売手が値引きとして処理するのは商慣習として多く行われている。この値引きについて、売手が適格返還請求書を交付しなればならないとするのは実務上、現実的ではないという指摘に対応するものである。 イ 適用時期 令和5年10月1日以後の売上に係る対価の返還等 ロ 適用対象者、適用要件 制限なし (3) 適格請求書発行事業者登録制度についての見直し ① 「適格請求書発行事業者の登録申請書」と「登録の取消しを求める旨の届出書」の提出期限の整合 免税事業者が適格請求書発行事業者の登録申請書を提出し、課税期間の初日から登録を受けようとする(注)場合の提出期限と、適格請求書発行事業者の登録の取消しを求める旨の届出書の提出期限が次のように改正された。 現行制度におけるこれら2つの書類の期限のわずかな違いから、誤認識・期限徒過というトラブルが懸念されていたところであったが、整合を図ったものと考えられる。 (注) 免税事業者が適格請求書発行事業者の登録をする場合については、昨年の改正で、制度施行後6年間は課税期間の途中からの登録が可能とされている(平28年改正法附則44④、インボイス通達5-1)。 ※画像をクリックすると別ページで拡大表示されます。 したがって、この経過措置の適用期間における登録については、課税期間の初日から起算して15日前の日を徒過したときでも、次の課税期間まで登録できないということにはならない。 ② 免税事業者が令和5年10月1日後に登録を受けようとする場合の登録希望日 上図の経過措置の適用を受けて令和5年10月1日後に登録を受けようとする場合、提出日から15日を経過する日以後の登録希望日に登録を受けられるよう整備される。 ③ 登録申請手続きの柔軟化(令和5年4月1日以後の申請について) 令和5年10月1日から登録を受けようとする事業者の適格請求書発行事業者の登録申請書の提出期限は、令和5年3月31日である(平成28年改正法附則44①、インボイスQ&A問7)。 この期限までに登録申請書を提出できなかったことにつき困難な事情がある場合には、令和5年9月30日までの間に登録申請書にその困難な事情を記載して提出し、登録を受けたときは、令和5年10月1日に登録を受けたこととみなされる(改正令附則15)。大綱では、この困難な事情の記載がなくても、改めて求めないものとされた。 (了)
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《速報解説》 国税不服審判所「公表裁決事例(令和4年4月~6月)」~注目事例の紹介~
《速報解説》 国税不服審判所 「公表裁決事例(令和4年4月~6月)」 ~注目事例の紹介~ 税理士・公認不正検査士(CFE) 米澤 勝 国税不服審判所は、2022(令和4)年12月14日、「令和4年4月から6月までの裁決事例の追加等」を公表した。追加で公表された裁決は表のとおり、国税通則法関係が4件と所得税法関係が1件で、合わせて5件となっている。最近の公表件数は、4件→4件→5件(今回)と非常に少ない傾向が続いている。 今回の公表裁決5件のうち、4件で賦課決定処分の一部取消しの裁決が出ており、1件は棄却となっている。 【表:公表裁決事例令和4年4月から6月分の一覧】※本稿で取り上げた裁決 公表された裁決事例のうち、重加算税の賦課決定処分について争われた4件はすべて「一部取消し」の判断が示されていることから、本稿では、国税不服審判所が、原処分庁によって、請求人の過少申告について隠蔽又は仮装の事実があると認定した審査請求人の行為を、隠蔽、仮装には当たらないとした判断の理由について、その判断内容を概説したい。 なお、事例③と④は、同じ被相続人に係る相続税申告において、被相続人の配偶者が審査請求である事例と被相続人の長男が請求人である事例であるので、本稿では、事例③についてのみ、概要を解説することとする。 【重加算税の賦課要件】 4つの裁決は、いずれも、最高裁判所平成7年4月28日第二小法廷判決を引用する形で、判断に当たって、次のように述べている。 【裁決の概要】 1 請求人が生命保険金を含めずに所得税等の確定申告をした事例・・・① (1) 事案の概要 本件は、審査請求人が、生命保険契約等に基づく一時金等を一時所得等に含めるなどして所得税等の修正申告をしたところ、原処分庁が、請求人の過少申告について隠蔽又は仮装の事実があるとして重加算税の賦課決定処分をしたのに対し、請求人が、原処分のうち過少申告加算税相当額を超える部分の取消しを求めた事案である。 (2) 原処分庁の主張 原処分庁は、請求人は、本件一時金等について課税の対象となることを十分に認識していたにもかかわらず、本件一時金等についての税負担を回避するため、確定申告を補助した親族に預金通帳を提示しなかったこと、また、本件一時金等を申告しないことを意図して、生命保険に係る各書面を廃棄し、その後本件各保険会社に再発行を依頼していなかったことは、請求人が当初から所得を過少に申告することを意図し、その意図を外部からもうかがい得る特段の行動に当たると主張した。 (3) 国税不服審判所の判断 国税不服審判所は、認定した以下の事実に基づいて検討した上で、請求人が当初から本件一時金等を申告しないことを意図し、その意図を外部からもうかがい得る特段の行動をした上、その意図に基づく過少申告をした場合に該当するような事実は認められないことから、請求人が本件確定申告において本件一時金等を申告しなかった行為は、通則法第68条第1項に規定する重加算税の賦課要件を満たすとは認められないとして、本件賦課決定処分は、過少申告加算税相当額を超える部分の金額につき違法であり、取り消すのが相当であるとの裁決を示した。 2 請求人が相続財産の一部の貯金のみを申告していなかった事例・・・② (1) 事案の概要 本件は、審査請求人が、原処分庁所属の調査担当職員の調査を受け、相続税の修正申告をしたところ、原処分庁が、被相続人名義の貯金を申告していなかったことにつき、隠蔽又は仮装の行為があったとして重加算税の賦課決定処分を行ったのに対し、請求人が、隠蔽又は仮装の行為はないとして、当該処分のうち、過少申告加算税相当額を超える部分の取消しを求めた事案である。 (2) 原処分庁の主張 原処分庁は、①請求人が申告しなかった貯金の相続(払戻)手続をして間もない時期に他の預金口座の残高証明書を取得して会計事務所職員に交付したこと、②請求人が請求人名義の貯金口座の通帳に①の払戻金の入金について「相続」などのメモを記載したことなどを根拠として、請求人が相続財産である貯金の存在を認識するとともに、資料を本件会計事務所に交付していない事実を認識していたことから、貯金の価額を課税価格に算入せずに相続税申告を行う意図の下、あえて残高証明書を取得しないなど、会計事務所に対して貯金の存在を秘匿したと認められることから、請求人は、当初から相続財産を過少に申告することを意図し、その意図を外部からもうかがい得る特段の行動をしたといえる旨主張した。 (3) 国税不服審判所の判断 国税不服審判所は、認定した以下の事実に基づいて検討した上で、請求人が相続税の申告を行うに当たり、①本件貯金口座の残高証明書を取得せず、②本件貯金の存在を会計事務所に伝えなかった一連の行為において、当初から相続財産を過少に申告することを意図し、その意図を外部からもうかがい得る特段の行動をしたものと評価すべき事情は認められず、また、他に請求人において隠蔽又は仮装と評価すべき行為も見当たらないことから、請求人には、通則法第68条第1項に規定する「隠蔽し、又は仮装し」に該当する事実があったとはいえないと判断して、本件賦課決定処分のうち、通則法第65条第1項及び第2項の規定に従い計算した過少申告加算税相当額を超える部分の金額が違法であるから、取り消すべきであるという裁決を示した。 3 請求人が相続財産の一部の株式を申告していなかった事例・・・③ (1) 事案の概要 本件は、審査請求人が、原処分庁所属の調査担当職員の調査を受けて相続税の修正申告をしたところ、原処分庁が、相続財産の一部を申告していなかったことに隠蔽の行為があるとして重加算税の賦課決定処分を行ったのに対し、請求人が、当該隠蔽の行為はないとして、重加算税の賦課決定処分のうち、過少申告加算税相当額を超える部分の取消しを求めた事案である。 (2) 原処分庁の主張 原処分庁は、一部の申告漏れ株式について、当初申告の後に請求人が、本件口座振替手続や本件買取請求手続を行っていることからも、各株式について、相続財産としての認識があった旨主張するとともに、請求人が株式の取得状況等を記載していたノートを、過少申告の意図を持って、あえて税理士らに渡さなかったとして、隠蔽又は仮装に該当する事実があったと主張した。 (3) 国税不服審判所の判断 国税不服審判所は、認定した以下の事実に基づいて検討した上で、請求人において、被相続人名義の株式に係る残高証明書等及び所有株式数証明書などを漏れなく取得しているか、当初申告書に計上した財産と税理士らに提出した残高証明書等及び所有株式数証明書の内容とが一致しているかなどの確認を怠ったことは認められるものの、一部の株式を相続税の申告財産から除外するために、あえて所有株式数証明書などを取得しなかった又は税理士に請求人がつけていたノート等の資料を提出しなかったとまでは認め難い上に、これらの行為について、隠蔽の行為そのものであるとか、当初から相続財産を過少に申告することを意図した上、その意図を外部からもうかがい得る特段の行動に出たものと認めるに足る事情は認められないと判断して、本件重加算税賦課決定処分は、過少申告加算税相当額を超える部分の金額につき違法があるから、その一部を取り消すのが相当であるという裁決を示した。 (了)
