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《速報解説》 国税不服審判所「公表裁決事例(平成27年10月~12月)」~注目事例の紹介~

 《速報解説》 国税不服審判所 「公表裁決事例(平成27年10月~12月)」 ~注目事例の紹介~   税理士・公認不正検査士(CFE) 米澤 勝   国税不服審判所は、平成28年6月22日、「平成27年10月から12月分までの裁決事例の追加等」を公表した。今回追加されたのは表のとおり、全9件であった。 今回の公表裁決では、国税不服審判所によって課税処分等が全部又は一部が取り消された事例が7件、棄却された事例が2件となっている。税法・税目としては、国税通則法が4件、所得税法2件、法人税法、相続税法及び国税徴収法が各1件であった。 【公表裁決事例平成27年10月~12月分の一覧】 ※本稿で取り上げた裁決 本稿では、公表された9件の裁決事例のうち、重加算税に関する不服審判所の考え方が示された上記②及び③の裁決を含む3件の裁決事例を紹介したい。 なお、毎回のことであるが、論点を簡素化するため、複数の争点がある裁決については、その一部を割愛させていただいていることを、あらかじめお断りしておきたい。   1 重加算税(隠ぺい、仮装の意図)(前掲表②) (1) 争点 (2) 審判所の判断 国税不服審判所は、事実認定の結果、「請求人は、K社から日本における実習生等の管理等の委託を受けて本件業務等を行っていたと認められる」と判断し、「請求人は、本件業務等の事業主体であり、本件業務等は、請求人の計算と危険において独立して営まれ、営利性、有償性を有し、かつ、反復継続して遂行する意思と社会的地位とが客観的に認められるといえることから、本件所得は、事業所得に該当する」と結論づけた(争点①)。 また、請求人による、本件所得が事業所得に該当するのであれば、「V国への渡航に係る費用を必要経費に算入するべきである」という主張に対しては、「請求人のV国への渡航に係る費用の支出が、本件所得を生ずべき本件業務等と直接関係し、かつ、本件業務等の遂行上必要なものか否かが不明」であるうえ、「V国には請求人の両親が居住していること」などを理由に、「請求人が負担した当該費用は家事関連費に該当するとも考えられるところ、当該費用の主たる部分が本件所得を生ずべき本件業務等の遂行上必要なものであり、かつ、その必要である部分が明らかに区分することができる場合にも当たらない」ことから、必要経費に算入することはできないと判断した(争点②)。 次に、審判所は、重加算税を課するための要件について、下記のように定義した。 そのうえで、請求人が、 などを認定したうえで、請求人の行為を以下のようにまとめ、隠ぺい又は仮装があったことを認めた。 なお、前掲表中の裁決結果には、本件裁決について「一部取消し」と表記しているが、これは原処分庁において重加算税の賦課決定処分の一部に過誤があったものを是正したものであり、実質的には、請求は全面的に棄却されたものであることを付言しておく。   2 重加算税(隠ぺい、仮装の認定)(前掲表③) (1) 争点 (2) 審判所の判断 国税不服審判所は、相続財産である預貯金等の帰属について、以下のように定義している。 そのうえで、 から、各定期預金は、各預入日から相続の開始日までの間一貫して被相続人が管理、運用してきたものであり、被相続人に帰属する相続財産と認められると判断した(争点①)。 また、各定期預金については、遺産分割協議書に個別的な記載がないことから、原処分庁は、「記載のない財産については、妻に帰属する」という条項に基づき、子供ら名義の預金も妻に帰属すると主張したのに対し、審判所は、請求人らにおいて、そうした合意があったと認めることはできないとし、原処分庁の主張を退けた(争点②)。 そのうえで、重加算税(争点③)の賦課要件については、以下のように定義している。 そして、妻については、以下の事実を隠ぺいする行為があったと認定した。 また、子供らについても、以下の隠ぺい行為を認定した。   3 財産評価(宅地及び宅地の上に存する権利、前掲表⑧) (1) 争点 本件土地は、広大地通達に定める広大地に該当するか否か。 具体的には、都市計画法第4条第12項に規定する開発行為を行うとした場合に公共公益的施設用地の負担が必要と認められるか。 (2) 原処分庁の主張 本件土地は、原処分庁の作成した開発想定図のように分割を行えば、道路等の公共公益的施設用地の負担を必要としなくとも標準的な地積の宅地に分割することが可能であり、そのような土地についてまで、広大地通達を適用することを想定しているとは認められない。 (3) 審査請求人らの主張 本件土地は、請求人らの開発想定図又は分譲完了直前図のように公共公益的施設用地である道路を設けることによって、①全ての画地に利用度のメリットが付加され、②面積もバラエティに富み、③少々の不整形も道路による利用度でカバーされ、④道路により画地の向きも補正されることから、宅地としての財産価値が高まり、また、道路の設置による販売面積の不効率を完売による資金効率が上回るため、民間業者では当たり前の経済的に最も合理的な分譲ができるものとなっている。 経済的合理性の判断は、分譲が販売である以上、購入者側のニーズや予算すなわち需要という経済的合理性に応えた上でのものでなければならない。 (4) 審判所の判断 国税不服審判所は、広大地通達の趣旨について、次のように定義した。 そのうえで、審判所は、開発事例等を参考にしながら、「本件土地は、その形状、道路との接続状況及び本件地域における経済的に最も合理的と認められる戸建住宅用地としての開発などの形態からみて、開発行為を行うとした場合に道路等の公共公益的施設用地の負担が生じないと認めるのが相当である」と原処分庁の主張を認めて、次のように結論した。 一方、請求人らの主張に対しては、「開発行為を行うとした場合に道路を設置する必要は認められない」、「仮に、道路を設置することによって戸建住宅用地としての価値が上がったとしても、そのことが直ちに公共公益的施設用地の負担が必要か否かの判断に影響を与えるものではない」として、主張には理由がないとした。 また、本件土地が、相続開始日から約1年5ヶ月を経過した後、実際に道路が設置された開発が行われていることについては、「開発時点における本件土地の開発に影響を及ぼす諸状況等が、相続開始日時点と同じであるとまでは認められ」ないことから、「相続開始日後の開発形態のみにより、本件土地について相続開始日において開発行為を行うとした場合に道路の設置を伴う開発が経済的に最も合理的と認められる開発であるか否かを判断することは相当でない」と判断している。 なお、前掲表中の裁決結果には、本件裁決について「一部取消し」と表記しているが、これは審判所の認定により、土地の評価額が一部減額になったことに伴うものであり、本件で争点となった「広大地」をめぐる裁決は、原処分庁の主張を一方的に認めたものであった。 (了)
#174(掲載号)
#米澤 勝
2016/06/29
お知らせ 会計 会計情報の速報解説 監査 税務・会計 速報解説一覧

《速報解説》 監査事務所への品質管理レビュー結果をまとめた「平成27年度 品質管理委員会年次報告書」を公表~減損会計、繰延税金資産等における改善勧告事項を紹介~

《速報解説》 監査事務所への品質管理レビュー結果をまとめた 「平成27年度 品質管理委員会年次報告書」を公表 ~減損会計、繰延税金資産等における改善勧告事項を紹介~   公認会計士 阿部 光成   Ⅰ はじめに 平成28年6月24日(ホームページ掲載日)、日本公認会計士協会は、「平成27年度 品質管理委員会年次報告書」を公表した。また、同日、「平成27年度品質管理委員会活動に関する勧告書」もホームページに掲載している。 年次報告書は、監査法人又は公認会計士が行う監査の品質管理の状況をレビューする制度(品質管理レビュー制度)に基づくものであり、基本的な対象は、監査法人又は公認会計士である。 しかしながら、年次報告書に記載されている内容については、一般の事業会社における会計処理等にも関連するものがあるので、実務において参考になるものを紹介する。 なお、文中、意見に関する部分は、私見であることを申し添える。   Ⅱ 会計上の見積りに関する事項 会計上の見積りの監査に関して、次のような事項が述べられている(年次報告書1、(3)①、(4)④)。 下記のほか、経営者が会計上の見積りを行った方法とその基礎データを批判的に検討していない、前年度の財務諸表に計上されている会計上の見積りの確定額又は該当する場合には再見積額について検討していないという指摘もあったとのことである。   Ⅲ IFIAR の調査結果 監査監督機関国際フォーラム(以下「IFIAR」という)は、世界各国・地域の監査監督機関から構成された組織である。 IFIARは、加盟している監督機関が監査業務及び監査事務所の品質管理のシステムの検査で指摘した事項を、2012年以降、毎年調査しており、2015年の調査結果を2016年3月3日付けで公表している。 IFIARによる「上場企業の監査業務における品質管理の項目別の指摘数」では、次のものがあげられている(年次報告書2(3))。 公正価値測定で共通して見られた指摘として、利用したデータの正確性を十分に検証していないことが述べられている。 (了)
#174(掲載号)
#阿部 光成
2016/06/28
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《速報解説》 譲渡制限付株式(リストリクテッド・ストック)割当に係る開示府令の改正(公開草案)が公表~第三者割当の定義から除外し普及を促進。7月下旬以降の施行予定~

《速報解説》 譲渡制限付株式(リストリクテッド・ストック)割当に係る 開示府令の改正(公開草案)が公表 ~第三者割当の定義から除外し普及を促進。7月下旬以降の施行予定~   公認会計士 阿部 光成   Ⅰ はじめに 平成28年6月24日、金融庁は、「企業内容等の開示に関する内閣府令」等の改正案を公表し、意見募集を行っている。 これは、株式報酬として一定期間の譲渡制限が付された現物株式(いわゆるリストリクテッド・ストック)の割り当てをする場合に、役員等に対する報酬の支給の一種であることに鑑み、ストックオプションの付与と同様に、第三者割当の定義から除外し、有価証券届出書における「第三者割当の場合の特記事項」の記載を不要とする改正等を行うものである。 意見募集期間は平成28年7月25日までである。 文中、意見に関する部分は、私見であることを申し添える。   Ⅱ 主な改正内容 「企業内容等の開示に関する内閣府令」19条(臨時報告書の記載内容等)2項1号ヲに次の規定を設ける。 「企業内容等開示ガイドライン」5-7では次のように規定する。   Ⅲ 適用時期等 改正後の規定は、本年7月下旬以降に公布・施行する予定である。 (了)
#174(掲載号)
#阿部 光成
2016/06/27
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《速報解説》 「投資信託及び投資法人における特定資産の価格等の調査」の改正(公開草案)が公表~再生可能エネルギー発電設備及び公共施設等運営権の特定資産への追加等に対応~

《速報解説》 「投資信託及び投資法人における特定資産の価格等の調査」の 改正(公開草案)が公表 ~再生可能エネルギー発電設備及び公共施設等運営権の特定資産への追加等に対応~   公認会計士 阿部 光成   Ⅰ はじめに 平成28年6月24日、日本公認会計士協会は、業種別委員会実務指針第23号「投資信託及び投資法人における特定資産の価格等の調査」の改正について(公開草案)を公表し、意見募集を行っている。 これは、平成26年8月29日に投資信託及び投資法人に関する法律施行令が改正され、投資信託及び投資法人が主として投資対象とすることができる資産である特定資産に再生可能エネルギー発電設備及び公共施設等運営権が追加されたこと、専門業務実務指針4400「合意された手続業務に関する実務指針」が公表されたことを受けたものである。 意見募集期間は平成28年7月25日までである。 文中、意見に関する部分は、私見であることを申し添える。   Ⅱ 主な改正内容 1 適用範囲 実務指針は、「投資信託及び投資法人に関する法律施行令」(平成12年政令第480号)第18条、第28条及び第124条に定める特定資産の価格等を調査する者としての公認会計士又は監査法人(以下「業務実施者」という)が、特定資産の価格等の調査に係る業務を合意された手続業務により実施する場合の合意された手続(「特定資産価格調査手続業務」という)、業務実施者の責任及び合意された手続実施結果報告書の作成等について取りまとめたものである(公開草案1項)。 2 契約の締結及び更新に関する留意事項 業務実施者は、特定資産価格調査手続業務(以下「本業務」という)に関して、専門業務実務指針4400第18項に従い業務契約書を締結するものとする(公開草案11項)。 ただし、専門業務実務指針4400第18項(5)「実施する手続の種類、時期及び範囲の詳細」については、手続対象となる特定資産、調査事項等が法令によって定められており(公開草案4項)、業務の対象となる特定資産に関する取引が常時反復的に行われる場合があること、取引が行われた計算期間の運用報告書作成までに実施結果報告書の発行が求められること等に鑑み、「投資信託及び投資法人に関する法律」に基づき特定資産の価格調査手続業務を実施する旨を定める包括的な契約を締結した上で、調査対象となるファンドの取引ごとに、実施する具体的な手続について覚書を締結し、合意する方法も考えられる(公開草案11項)。 次のことに注意する(公開草案12項)。 3 再生可能エネルギー発電設備又は公共施設等運営権について 再生可能エネルギー発電設備又は公共施設等運営権(以下、両者を総称して「インフラ資産」という)が調査対象の特定資産である場合には、公開草案13項(1)にかかわらず、当該インフラ資産の取引価格と比較可能な価格としての外部の専門家の評価額を会社から入手し、それぞれ売買契約書等の取引価格が記載された証憑及び会社より入手した専門家の評価報告書と照合するとともに、両者の差額につき再計算を行う(公開草案13項(3))。   Ⅲ 適用時期等 「業種別委員会実務指針第23号「投資信託及び投資法人における特定資産の価格等の調査」の改正について」は、平成30年4月1日以降に発行する手続実施結果報告書に適用する予定である(早期適用も予定されている)。 (了)
#174(掲載号)
#阿部 光成
2016/06/27
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《速報解説》会計士協会、「無形資産の評価実務」に関する研究報告を公表~M&AにおけるPPA目的の評価実務に有用~

《速報解説》 会計士協会、「無形資産の評価実務」に関する研究報告を公表 ~M&AにおけるPPA目的の評価実務に有用~   公認会計士 阿部 光成   Ⅰ はじめに 平成28年6月14日付けで(ホームページ掲載は6月21日)、日本公認会計士協会は「無形資産の評価実務-M&A会計における評価とPPA業務-」(経営研究調査会研究報告第57号)を公表した。 これは、公認会計士がPPA目的(Purchase Price Allocation:M&Aにおける取得原価の配分目的)で無形資産の評価を委嘱された場合に、評価業務を実施し、その結果を依頼人に報告するための実務を中心にまとめたものである。 研究報告は、算定人に対して、記載された内容の実施を強制するものではないが、算定人が評価業務に際して参考とすることが期待されている。ただし、研究報告に拘束力はないとのことである。 文中、意見に関する部分は、私見であることを申し添える。   Ⅱ 主な内容 PPAは、M&Aにおいて取得企業が被取得企業を買収した際に支払った買収対価を、被取得企業に存在する資産、負債に配分し、財務諸表に計上する一連の作業をいうとしている(「はじめに」4(2))。 研究報告は72ページに及ぶ大部なものであり、また、M&AやPPAを利用した不正の可能性とその対応、不正と算定人の責任、無形資産評価における評価アプローチと評価法、無形資産等の評価例など多岐にわたる内容が記載されている。 このため、本稿では特徴的と思われる箇所について取り上げることとする。 1 PPA目的での無形資産評価の留意点 依頼人からの依頼によって公認会計士がPPA目的での無形資産の評価を行う場合、次の点に留意する必要がある(Ⅰ、1(4))。 2 M&AやPPAを利用した不正の可能性とその対応 公認会計士には、公認会計士法や倫理規則などの行動規範が定められている。また、無形資産の評価の専門家としてM&A当事会社の不正について重大な見落としがあった場合、公認会計士としての責任を問われかねない事態になる可能性もある(Ⅰ、3)。 M&Aの実施に問題がある可能性(M&Aが不正の手口として利用されることなど)、PPAの実施者であるM&A当事会社に実施能力の点で問題がある可能性(PPAを行うM&A当事会社が、それを行うだけの実務経験、専門的知識、資質に欠けていることなど)、または、無形資産の評価を行う状況にない可能性(依頼人であるM&A当事会社との間で、十分な協議の時間が与えられていないことなど)について算定人は常に注意を払い、適切な対応を図ることになる。 3 無形資産の評価方法 研究報告では次の無形資産の評価法について述べている(Ⅳ、2)。 出所:研究報告の【図表Ⅳ-2 本研究報告における無形資産の評価法】 研究報告では、無形資産等の評価アプローチごと、評価法ごとに設例を用いて評価の事例を検討している(Ⅴ)。 (了)
#174(掲載号)
#阿部 光成
2016/06/27
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《速報解説》 会計士協会、中小監査事務所等からの質問・提案を受け「監査ツール」を改正

《速報解説》 会計士協会、中小監査事務所等からの質問・提案を受け 「監査ツール」を改正   公認会計士 阿部 光成   Ⅰ はじめに 平成28年6月14日付けで(ホームページ掲載は6月21日)、日本公認会計士協会は「監査基準委員会研究報告第1号『監査ツール』の改正について」を公表した。これにより、平成28年4月21日から意見募集されていた公開草案が確定することになる。 これは、中小監査事務所のツール利用者や品質管理レビューアーから寄せられた質問及び提案に基づき行ったものである。 公開草案に対する外部からのコメントはなかったが、内容には影響しない範囲での字句修正を一部行っているとのことである。 文中、意見に関する部分は、私見であることを申し添える。   Ⅱ 主な内容 1 経営者による内部統制の無効化リスクへの対応など 「Ⅱ 主要な概念」の「1. リスクモデル」に《(8)リスク・アプローチの限界を補う監査手続》を追加し、経営者による内部統制の無効化リスクへの対応(21-2項)と重要な取引種類、勘定残高、開示等の各々に対する実証手続を立案し実施すること(21-3項)を追加する(11ページの図も修正、様式8-3、様式3-14)。 総勘定元帳に記録された仕訳入力、会計上の見積りにおける経営者の偏向、通例でないと判断されるその他の重要な取引などに関する監査手続が規定されている。 2 不正による重要な虚偽表示の兆候を示す状況の識別 以上の他、様式が改正されている。 (了)
#174(掲載号)
#阿部 光成
2016/06/27
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《速報解説》 「監査人から引受事務幹事会社への書簡」(コンフォート・レター)に係る実務指針等の改正が確定~平成28年6月17日以後締結される契約より適用~

《速報解説》 「監査人から引受事務幹事会社への書簡」(コンフォート・レター)に係る 実務指針等の改正が確定 ~平成28年6月17日以後締結される契約より適用~   公認会計士 阿部 光成   Ⅰ はじめに 平成28年6月17日、日本公認会計士協会は次の実務指針等を公表した。これにより、平成28年3月23日から意見募集されていた公開草案が確定することになる。 これは、比較情報に関する監査基準の改訂や、平成26年8月における指定国際基準に準拠して作成した連結財務諸表等に係る監査報告書に関する企業内容開示府令等の改正、また、書簡に関連する実務動向等を踏まえた対応である。 文中、意見に関する部分は、私見であることを申し添える。   Ⅱ 主な内容 1 書簡(コンフォート・レター) 募集又は売出しによる株式、社債等の引受審査に関連して、発行会社及び引受事務幹事会社が発行会社の財務諸表を監査した公認会計士又は監査法人から受領する「監査人から引受事務幹事会社への書簡」(コンフォート・レター)の制度がある(1項)。 書簡は、発行会社による新規証券の発行等に際して、発行会社及び引受事務幹事会社からの依頼に基づき、監査人が届出書等に記載された発行会社の財務情報及びその後の変動につき調査した結果を、引受事務幹事会社に報告するために監査人が作成する文書のことである(6項)。 2 主な改正内容 監査・保証実務委員会実務指針の主な改正内容は次のほか、書簡の文例や経営者確認書の文例の改正である。 「要綱」については、監査・保証実務委員会実務指針の反映と契約書のひな型の改正であり、主に次の事項が公開草案から変更されている。   Ⅲ 適用時期等 「監査・保証実務委員会報告第68号「監査人から引受事務幹事会社への書簡について」の改正について」(平成28年6月17日)は、平成28年6月17日以後締結される契約について適用する。 (了)
#174(掲載号)
#阿部 光成
2016/06/24
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《速報解説》 大阪府、法定外目的税として「宿泊税」を新設~平成29年1月より課税開始、消費税の区分経理に留意~

《速報解説》 大阪府、法定外目的税として「宿泊税」を新設 ~平成29年1月より課税開始、消費税の区分経理に留意~   公認会計士・税理士 八代醍 和也   Ⅰ はじめに 総務省自治税務局は平成28年6月14日、大阪府が実施を要望・検討していた法定外目的税「宿泊税」の新設について同意することを発表した。 大阪府ホームページによると、宿泊税新設の目的は「本府が世界有数の国際都市として発展していくことを目指し、都市の魅力を高めるとともに、観光の振興を図る施策に要する費用に充てるため」としている。 今後、周知期間を経て、平成29年1月より課税が開始される予定である。   Ⅱ 宿泊税の概要 大阪府の宿泊税の概要は次のとおりである。 (※) 大阪府ホームページより 宿泊税は既に東京都において実施されている法定外目的税(各自治体が総務大臣に対して事前協議し、その同意を得ることにより、各自治体が条例により制定できる目的税)であり、今般大阪府において新設される宿泊税も、税率を除き、概ね東京都の宿泊税と同様のものとなっている。   Ⅲ 実務上の留意点 今回の宿泊税の導入に伴う留意点として、消費税の取扱いが挙げられる。 すなわち、消費税計算上、納税義務者が最終消費者である個別消費税は不課税扱いとされている(消費税法基本通達10-1-11)ため、ホテルが発行する請求書や領収書等に宿泊税の金額が別掲されている場合には、区分経理する必要がある。 課税開始後、大阪府内のホテルでの宿泊費の経理処理時には、この点留意されたい。 (了)
#174(掲載号)
#八代醍 和也
2016/06/23
お知らせ その他お知らせ

プロフェッションジャーナル No.174が公開されました!~今週のお薦め記事~

2016年6月23日(木)AM10:30、 プロフェッションジャーナル  No.174を公開! プロフェッションジャーナルのリーフレットは 全国のTAC校舎で配布しています! -「イケプロが実践するPJの活用術」「第一線で活躍するプロフェッションからPJに寄せられた声」を掲載!-   - ご 案 内 - プロフェッションジャーナルの解説記事は毎週木曜日(AM10:30)に公開し、《速報解説》は随時公開します。
#Profession Journal 編集部
2016/06/23
税務 税務・会計 解説 解説一覧

山本守之の法人税“一刀両断” 【第24回】「租税法の解釈①」-租税法律主義とその問題点ー

山本守之の 法人税 “一刀両断” 【第24回】 「租税法の解釈①」 -租税法律主義とその問題点-   税理士 山本 守之   1 租税法律主義の考え方 租税の賦課、徴収は、必ず法律の根拠に基づいて行われなければなりません。 これを租税法律主義といいます。近代法治主義では、権力の分立を前提とし、公権力の行使は法律の根拠に基づいてこれを認め、それによって国民の自由と財産の保護を保障する政治及び憲法原理ですから、国民の富の一部を国家の手に移す租税の賦課、徴収は法律の根拠なくしてこれをなし得ないのです。 したがって、租税法律主義は租税における近代法治主義の表れといってよいでしょう。 日本国憲法第84条は、「あらたに租税を課し、又は現行の租税を変更するには、法律又は法律の定める条件によることを必要とする」と規定しています。 これは、租税法律主義の諸原則のうちの課税要件法定主義を示したもので、狭義の租税法律主義と考えることもできます。 また、同法第30条では、「国民は法律の定めるところにより、納税の義務を負う」と規定しています。 憲法の下では租税法は侵害規範ですから、納付すべき租税の限界を示したものであり、納税義務はこのような租税法の性格を前提として国民が主体的、かつ、自律的に自らの生活と福祉のために税を負担することを明らかにしたと考えるべきなのでしょう。 また、租税法律主義は、取引を決断するに当たって納税者の課税予測可能性を担保する機能も持っています。 納税者は、取引を行うに当たって、その取引の結果、どの程度の税を負担するかを事前に測定することによって取引を行うか否かを決断するものです。例えば、ある取引を行うに当たって、その取引がどの程度の利益をもたらすかは、税引後の利益をもって測定します。 つまり、その取引についてどの程度の税が課され、その税を納付したとしてもその取引が利益をもたらすか否かを予測した上で取引の決断をするのです。 その意味からすれば、租税が法律によって明確にされ、その課税要件が明らかになっていることが必要となります。 わが国の税実務の中では、法律でもない「通達」が幅を効かせており、通達で課税要件を規定するのを当然と考える向きがありますが、これは違法です。 租税の賦課、徴収は必ず法律の根拠に基づいて行わなければならないという「租税法律主義」は、罪刑法定主義とともに近代民主主義の柱になっています。 また、租税法律主義は、取引を判断するに当たって納税者の課税予測可能性を担保する根拠を持っています。納税者は取引を行うに当たって、その取引の結果、どの程度の税を負担することになるかを事前に測定することによって取引を行うか否かを決断するのです。   2 武富士事件の考え方 租税法律主義を楯に租税回避による贈与税の課税を免れた事件(武富士事件)があります。 この事件において、最高裁の須藤裁判長の次のような補足意見が注目されます。 裁判長としては、やりきれない気持ちがありながら納税者の租税回避を容認せざるを得なかったのです。 この須藤裁判官の補足意見は、租税法律主義、法の支配を明確にしたものです。 確かに筆者も租税回避ともいえるスキームで行われた場合に課税できないとすることに違和感を持っています。しかし、法の規定がないのにこのスキームを否認することはできないとしているのです。 それにしても、租税回避ともいえる行為を弁護したのがヤメ検、ヤメ裁、ヤメ国税であったのはやりきれません。 (注) ○納税者勝訴 ●納税者敗訴   3 不確定概念の位置付け (1) 不確定概念の問題点 租税法律主義は、次のような内容によって構成されていると考えることができます。 「課税要件明確主義」とは、税法の規定も、その委任を受けた政省令の規定も可能な限り一義的でしかも明確でなければならないとするものです。 これらの規定が明確でなければ、その規定を読む者によって解釈を異にするようになると、租税を法(又はその委任を受けた命令)によって規制する意味がなくなり、結果として行政庁に一般的・白紙的に委任をすることと同じとなり、租税法律主義に反するからです。 つまり、租税法において行政庁の自由裁量を認める規定を置くと、課税要件を法律に規定するという課税要件法定主義が形骸化するばかりでなく、権力を持つ課税庁の解釈が法そのものとしてワークしてしまう恐れがあるのです。 (2) 不確定概念の適用例 課税要件明確主義にもかかわらず、現行の租税法及びその委任を受けた政令の中では、数多くの不確定概念が使われています。 例えば、法人税法では、役員給与、役員退職給与について「不相当高額」な部分については損金の額に算入しない(法34、36)としています。ここで問題になるのは「不相当高額」とは何を基準とするかです。役員の退職給与については政令で「・・・当該役員のその内国法人の業務に従事した期間、その退職の事情、その内国法人と同種の事業を営む法人でその事業規模が類似するものの役員に対する退職給与の支給の状況等に照らし・・・」(令70)としているだけで、具体的な計算手段は示されていません。 このため、裁判例では「功績倍率法」「1人当たり平均額法」「国家公務員退職手当との比準」「公表利益との標準偏差法」など多様な手法が使われており、他法人との比較についても、比準要素となった法人名が具体的に示されていないのが実情です。これでは、納税者はどのような資料を入手し、どのような計算手法で「不相当高額」か否かを判定すべきか戸惑ってしまいます。 更に、最近では沖縄の酒造メーカー事件のように退職給与を支給された当事者が、比準法人の役員よりも大きな功績があるので功績倍率法等を適用すること自体が不適正であるとした判決例があります。 (3) 不確定概念のあり方 ① 不確定概念とは 法令、通達等を読むとさまざまな不確定概念が目につきます。その内容を抽出した守之会(筆者の主催する研究団体、20年間にわたり論文集、市販本を発刊している)ではその多さ(数千項目)に驚き、抽出だけで3年を要しました。 不確定概念とは、例えば、「相当程度」「相当期間」「不当に」「正当な理由がある場合」「著しい低下」「おおむね」・・・などです。 租税法における課税要件明確主義の立場からすれば、これらの不確定概念の存在は問題でありますが、かといって法令に「〇年以内」「〇%以内」というように具体的数値を示すと法規自体が硬直的になり、取引の背景を配慮した適正な法解釈ができなくなってしまうおそれがありますし、通達に「〇%以内」「〇年以内」とすると、法律によらないで課税要件を定めたという問題が生じます。 不確定概念は納税者の税務処理を阻害するという側面があるものの、不確定概念を完全に排除してしまうことにより租税法における納税者の解釈権を奪うことも心配です。 このため、実務家は判例、裁決例などを背景としてこれらの概念の正しい解釈、あり方等を追及する必要があります。特に国税庁ホームページで公表されるQ&Aなどの情報によって課税要件が安易に歪められないよう注意する必要があります。 ② 不確定概念の解釈 法人税基本通達9-6-1(4)は、貸倒れとする場合の例示として「債務者の債務超過の状態が相当期間継続し、その金銭債権の弁済を受けることができないと認められる場合において、その債務者に対し書面により明らかにされた債務免除額」(下線筆者)と定めていますが、ここに「相当期間」という不確定概念があります。これをかつて課税庁では内部研修等で「相当期間とは3年ないし5年をいう」と教えていました。そこで債務超過が1年である場合は「まだ早い」として否認する場合もあったのです。現に国税OBの書いた質疑応答集には「ここで相当期間とは3年~5年をいいます」としてあります。 法人の取引先の中には、債務超過の状態にあるものが少なからず存在し、それだけで債権者が回収を断念することはないでしょう。 金銭債権の回収に関してはさまざまな方途を講じ、回収に関して努力するものと思われます。しかし、やがて回収を断念しなければならない時期が到来するかもしれません。 「相当期間」は、債務者の経営状態を見るために、ある程度のウォッチ期間が必要であり、最終判断のための見極めをつける期間という意味を持っているのです。 したがって、債務者が天災地変などで回収不能の損害を受け、それが基因となって債務超過の状態になった場合や、債務者の親会社が倒産し、債務者が連鎖倒産した場合は、経営状態の判断と回収不能の判断はごく短期間でつくと考えられます。これに対して、取扱商品に対する消費者のニーズが低下したため慢性的に経営状態が悪化していく場合は、新製品の発売等により反発する機会も十分あるのですから、ある程度長期的に経営状態を判断しなければならないでしょう。 「相当期間」は、回収不能を判断することについて合理的と認められる期間と解すべきであって、一律に3年ないし5年と固定すべきものではありません。 幸いなことに、平成24年11月2日に国税庁ホームページを改訂し、「『債務者の債務超過の状態が相当期間継続』しているという場合における『相当期間』とは、債権者が債務者の経営状態をみて回収不能かどうかを判断するために必要な合理的な期間をいいますから、形式的に何年ということではなく、個別の事情に応じその期間は異なることになります。」としています。   4 通達の考え方 通達は、国家行政組織法に基づいて発せられるものですが、同法第14条第2項では、「各省大臣、各委員会及び各庁の長官は、その機関の所掌事務について、命令又は示達をするため、所管の諸機関及び職員に対し、訓令又は通達を発することができる。」としています。 課税要件明確主義において最も問題になるのは、この「通達」の存在です。 「通達」は各行政庁の長ごとのものがあり、上級官庁が下級官庁に発する命令であり、執行通達と解釈通達に区分されます。執行通達は行政における執行手続や行事要領等を定めるものですから、ここでは問題にしません。 租税法の上で問題になるのは、国税庁長官が発する解釈通達です。租税法の適用について各税務署又は税務職員ごとにその解釈を異にすると課税の公平を保てないので、解釈の統一を図るために発せられるのが解釈通達です。 もちろん、通達は行政庁の下級官庁への命令ですから、国税庁長官の発する通達は、下級庁たる国税局や税務署の職員を拘束します。しかし、納税者は独自の租税法解釈権を持っているので通達に拘束されません(昭和38.12.24、最高裁第三小法廷)。裁判所ももちろん通達には拘束されません(昭和35.8.2、東京地裁)。 国税不服審判所は、国税庁の附属機関ではありますが、国税通則法第99条により通達に拘束されないことになっています。 国税通則法では、国税不服審判所長が通達に示されている法律の解釈と異なる解釈によって裁決しようとするときは、あらかじめ国税庁長官にその意見を申し出ることになっており、国税庁長官はこの意見を相当と認めれば申出変更のとおり処理して差し支えないと指示し、相当と認めなければ国税審査会の議決が必要となります(国税通則法99)。 すでに述べたように、国税庁長官の発する解釈通達は、課税庁内部における法解釈の統一を図ることを目的としていますから、行政組織内部は拘束しますが、納税者を拘束するものではありません。しかし、課税庁は通達による解釈に基づいて課税執行を行いますから、納税者がこれに反する税務上の解釈により納税申告を行うとすれば、更正等の処分を受けることを予想し、最終的には、訴訟を行うことを覚悟しなければならず、訴訟を行っても必ず勝訴するとは限らないから、ある意味では賭を行うことにもなりかねません。この意味では、通達は事実上納税者の権利、義務に重要な影響を与えています。 問題は、通達で課税要件を定めることですが、さらにQ&Aやホームページなどで通達と異なる取扱いを定め、通達自体を改正していないことです。 (了) 山本守之の法人税“一刀両断” 【特別寄稿】 「ついに発表された消費税軽減税率の取扱い」   税理士 山本 守之   1 はじめに 国税庁では本年4月12日、次の文書を公開しました。これによって消費税の軽減税率制度に対する取扱いが明示されたといってよいでしょう。 なお、同時に次の文書も公開されています。 本稿では、これらのうち実務に必要な重要な事項について解説することにします。   2 軽減税率制度に関する法令解釈 (1) 飲食料品の範囲等 ① 「食品」とは 軽減税率の対象品目である「飲食料品」(注)とは、食品表示法に規定する食品(酒税法に規定する酒類を除く)をいいます。 ここでいう、「食品」とは、人の飲用又は食用に供されるものをいいますので、人の飲用又は食用以外の用途で取引されるものは、飲食が可能であっても、「食品」には該当しません。 (注) 「飲食料品」、「一体資産」 「食品」と「食品」以外の資産が一の資産を形成、又は構成しているもので一定のものの譲渡も「飲食料品」の譲渡として軽減税率が適用されます。 これを「一体資産」といいますが、次のイ、ロのいずれにも該当するものです。 これとは逆に、食品と食品以外の詰め合せ商品の価格がそれぞれ提示されているものや消費者に食品と食品以外の商品をその場で組み合わせて販売するものは「一体資産」に該当しません。 したがって、このような商品の販売は、食品については軽減税率が、食品以外の商品については標準税率がそれぞれ適用されます。→ いわゆる「一括譲渡」に該当します。 同通達は次のようになっています。 「一体資産」の譲渡は、次のイ、ロの要件のいずれも満たすものに限って、軽減税率が適用されます。 一体資産の価額のうちに食品に係る部分の価額の占める割合については、事業者の合理的な計算に基づき判断することとなります。また、他の事業者が組成した詰合せ商品等を仕入れた事業者においては、詰合せ商品を組成した事業者が合理的な方法により判断した結果に基づいて判断することができます。 (出所:国税庁「軽減税率制度に関する法令解釈通達等について」平成28年4月12日) 「食品」の範囲については、取扱通達では次のように規定されています。 ② 食品に関する個別事例 ③ 適用税率の判定時期 取引の軽減税率の適用については、事業者が課税資産の譲渡等を行ったときに判断されます。人の飲用又は食用に供されるものとして事業者が販売した場合には、その取引には軽減税率が適用されますので、購入者が結果として人の飲用又は食用に供さなかったとしても適用税率が適用されます。 人の飲用又は食用でないものを人の飲用又は食用に供されるものとして販売したとしても、当然に軽減税率は適用されません。 (2) 「酒」、「医薬品・医薬部外品」について 酒税法に規定する「酒」は、消費税法上で飲食料品から除くこととされています。 食品の製造原料として「酒」を販売する場合は軽減税率が適用されないのです。 また、医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律に規定する「医薬品」、「医薬部外品」、「再生医療等製品」は、食品表示法上の「食品」から除かれています。 したがって、これらは軽減税率の対象品目ではありません。 (3) 飲食料品の販売に係る包装材料等 飲料食品の販売に付帯して使用される容器、包装等で通常必要なものは、これら容器も含め、飲料食品の譲渡に該当します。例えば、ジュースなどの飲料を販売するときの容器である缶やペットボトル、精肉や魚を販売するときのトレーなどです。 (※) 容器・包装材の販売者が、飲料メーカーに販売する缶やペットボトル、また、スーパー等の小売店に販売するトレーは、容器そのものの販売ですので軽減税率は適用されません。 なお、販売する商品代金とは別途対価を定めて、贈答用の化粧箱や特殊なラッピングなどを行う場合がありますが、これらの代金は化粧箱やラッピングの対価であり、「飲食料品の譲渡」の対価ではありませんので、「標準税率」が適用されます。 また、飲食料品を販売する容器として陶磁器やガラス食器など、食品と食品以外の商品が一体となって取引されているものは、「一体資産」に該当し、一定の要件を満たすものに限り軽減税率が適用されます。 (4) 食品と食品以外の商品の「一括譲渡」を行った場合の留意点等 食品と食品以外の商品を一括して譲渡した場合には、食品には軽減税率が、食品以外の商品には標準税率が適用されることとなります。この場合に、一括して値引きを行う場合には、それぞれの対価の額を合理的に区分していただく必要があります。 例えば、顧客に交付するレシート等に、どの商品からいくらの値引きを行ったのか明示することも合理的な方法のひとつです。 (5) 外食の範囲 ① 軽減税率の適用対象外となる「外食」 軽減税率の適用対象外となるいわゆる「外食」とは、飲食店業等の事業を営む者が行う食事の提供をいい、具体的には、(イ)飲食設備がある場所で、(ロ)顧客に飲食させるサービスとしています。 注意したいのは食品衛生法に規定する飲食店営業、喫茶店営業を営む者が行うものでなくとも、上記の(イ)(ロ)の要件を満たす場合には軽減税率適用外の「外食」に該当します。 ② 飲食店業等の事業を営む者が行う食事の提供とは 「飲食店業等の事業を営む者が行う食事の提供」とは、食品衛生法施行令第35条第1号(営業の指定)に規定する飲食店営業及び同条第2号に規定する喫茶店営業を行う者だけでなく、飲食料品をその場で飲食させる事業を営む者が食事の提供を行う全てが該当します。 つまり、軽減税率制度の適用対象外となる「外食」等は、以下のものをいいます。 ③ 飲食設備とは 飲食に用いられる設備であれば、その規模や目的は問われません。また、飲食料品を提供する事業者と飲食設備を設置する事業者が異なっていても、飲食料品を提供する者が当該設備を利用することにつき設置者との合意等があれば、その設備はその飲食料品を提供する事業者にとっての飲食設備に該当することにしています。 (6) その他 「飲食料品」の譲渡であれば、自動販売機や通信販売による販売であっても軽減税率が適用されます。 また、飲食料品の販売の際に、品質を保つためにサービスで保冷剤等が付くことがありますが、このような飲食料品の販売も軽減税率の対象となります。ただし、保冷剤等、飲食料品以外のものやサービスについて別途対価を徴している場合には、その対価部分については軽減税率は適用されません。   3 全体を通じたコメント 前回は客が「テイクアウトします」と言って軽減税率の税を払いながら、お店の椅子に座って飲食した場合は、客の申出がない限り標準税率と軽減税率の差額を徴収しないという税執行について述べていました。 今回は「消費税の軽減税率制度に関する取扱通達」(平成28年4月12日)の11に「持ち帰りのための飲食料品の譲渡か否かの判定」で次のように述べていますので、その意味を考えてみましょう。 ここでは、客がテイクアウトと意思表示しながら「店内飲食」をしたら、「軽減税率の適用にならない」と通達で明示しています。 しかし、「消費税の軽減税率制度に関するQ&A」(個別事例編)では、次のように述べています。 ここでは通達の本文と「Q&A」の内容が異なっています。私たちはこれを執行の洒落と受け取るべきでしょうか。 *   *   * 消費税の増税の執行が2019年10月まで延期されることになりました。 時間がまだあるのなら、Q&Aは納税者も交えて考え直したらどうでしょうか。 (了)
#174(掲載号)
#山本 守之
2016/06/23
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