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法人税 税務 税務・会計 解説 解説一覧

雇用促進税制・所得拡大促進税制の実務 ~要件・手続の確認から両制度の適用比較まで~ 【第3回】「所得拡大促進税制の要件確認及び適用上の留意点」

雇用促進税制・ 所得拡大促進税制の実務 ~要件・手続の確認から両制度の適用比較まで~ 【第3回】 「所得拡大促進税制の要件確認 及び適用上の留意点」   公認会計士・税理士 鯨岡 健太郎   1 はじめに 平成25年度税制改正大綱において創設されることが明らかとなった「所得拡大促進税制」(雇用者給与等支給額が増加した場合の法人税額の特別控除)に関し、関連する法律、政令並びに省令が平成25年3月30日付で公布されたことにより、その詳細が明らかとなった。 そこで今回は、所得拡大促進税制を適用する際の要件を確認し、留意すべき点について解説を行う。 なお、内国法人以外の法人及び連結納税に係る部分は対象外とし、文中の意見にわたる部分は筆者の私見であることを予め申し添える。   2 所得拡大促進税制の概要 青色申告法人が平成25年4月1日から平成28年3月31日までの間に開始する各事業年度(以下「適用年度」という)において国内雇用者に対して給与等を支給する場合において、以下の①~③の要件を満たすときには、その雇用者給与等支給増加額の10%の税額控除ができる。ただし、法人税額の10%(中小企業者については20%)を限度とする(改正措法42の12の4①)。 さらに中小企業者については、適用年度における道府県民税及び市町村民税(法人税割)の額も、税額控除後の法人税額を基礎として計算される(地方税法附則8⑨)。 これを図示すると、以下のようになる。 (経済産業省ホームページ「平成25年度税制改正について」より) ※PDFファイル   3 用語の意義 (1) 国内雇用者 法人の使用人(法人の役員、その役員の特殊関係者及び使用人兼務役員を除く)のうち、その法人の有する国内の事業所に勤務する一定の雇用者をいう(措法42の12の4②一)。 そして、税制改正大綱及び税制改正法案段階では明らかではなかった「雇用者」が満たすべき要件が政令により明らかとされた。 すなわち、所得拡大促進税制の対象となる「雇用者」とは、その法人の国内に所在する事業所につき作成された労働基準法108条に規定する賃金台帳に記載された者をいう(措令27の12の4②)。 賃金台帳は、労働基準法により作成が義務付けられているものであるから、すべての労働者について作成されることとなる。つまり、正社員のみならず、嘱託社員、派遣社員(*追記参照)、パートタイマー、アルバイト、日雇労働者も対象となる。この点、雇用促進税制における「雇用者」※よりも範囲が広い点に留意する必要がある。 ※雇用促進税制における「雇用者」とは、法人の使用人(法人の役員及びその役員の特殊関係者並びに使用人兼務役員を除く)のうち、雇用保険の一般被保険者に該当するものをいい、高年齢雇用者(高年齢継続被保険者)は含まれない(措法42の12②二、三)。   (2) 雇用者給与等支給額 適用年度の所得の金額の計算上損金の額に算入される国内雇用者に対する給与等の支給額をいう(措法42の12の4②三)。 ここでいう「給与等」とは、所得税法28条1項に規定する給与等をいう(措法42の12の4②二)。具体的には、俸給、給料、賃金、歳費及び賞与並びにこれらの性質を有する給与をいう(所法28①)。 雇用者給与等支給額については、その給与等に充てるため他の者から支払いを受ける金額がある場合には、その金額を控除した金額とする※点に留意が必要である。 ※「他の者から支払いを受ける金額」を控除することについては、雇用促進税制における「給与等支給額」と同じような規定ぶりとなっているため、その具体的な内容は雇用促進税制における通達(措通42の12-2)が参考になると思われる(第1回を参照)。ただし直接的には、その取扱いが明らかとされていないため、今後通達が整備される可能性があると考える。   (3) 基準雇用者給与等支給額 基準事業年度(平成25年4月1日以後に開始する各事業年度のうち最も古い事業年度(以下単に「最も古い事業年度」という)開始の日の前日を含む事業年度)の所得の金額の計算上損金の額に算入される国内雇用者に対する給与等の支給額をいう(措法42の12の4②四)。 基準事業年度の月数と適用年度の月数が異なる場合には、基準雇用者給与等支給額について以下の調整を行う(措法42の12の4②四ロ) その法人が平成25年4月1日以後設立されたものである場合(合併、分割又は現物出資により設立されたものである場合を除く)、基準事業年度がないこととなる。 このときの基準雇用者給与等支給額は、最も古い事業年度の所得の金額の計算上損金の額に算入される国内雇用者等に対する給与等の支給額の70%相当額とする(措法42の12の4②四ハ)。 (4) 比較雇用者給与等支給額 適用年度の前事業年度の所得の金額の計算上損金の額に算入される国内雇用者に対する給与等の支給額をいう(措法42の12の4②五)。 前事業年度の月数と適用年度の月数とが異なる場合には、比較雇用者給与等支給額について以下の調整を行う(措法42の12の4②五ロ)。   (5) 平均給与等支給額 適用年度における一定の給与等支給額を、一定の給与等支給者数で除して計算した金額をいう(措法42の12の4②六)。 平均給与等支給額の計算に用いられる「給与等支給額」は、雇用者給与等支給額から日雇労働者に係る金額を控除した金額であり(措令27の12の4⑪)、「給与等支給者数」は、適用年度に含まれる各月ごとの給与等の支給の対象となる国内雇用者(日雇労働者を除く)の数を合計した数である(措令27の12の4⑫)。 具体的な計算イメージは、下表を参照されたい。 ※画像をクリックすると、別ページで拡大表示されます。 このように、平均給与等支給額の算定上、分母及び分子から日雇労働者に係る部分を控除することとされているが、これはあくまでも平均給与等支給額の算定局面のみの取扱いであり、控除税額の計算における国内雇用者給与等支給増加額の計算には影響しない(日雇労働者も国内雇用者に含めて計算する)点に留意が必要である。 (6) 比較平均給与等支給額 適用年度の前事業年度における平均給与等支給額((5)により算定)をいう(措法42の12の4②七)。   4 適用要件 本税制の適用を受けるためには、確定申告書等、修正申告書又は更正請求書に所定の計算明細書※を添付する必要がある。この場合における控除税額は、その確定申告書等の添付書類に記載された雇用者給与等支給増加額を基礎として計算した金額が限度となる(措令27の12の4④)。 ※なお、平成25年4月12日に交付された「法人税法施行規則の一部を改正する省令」(官報号外第80号)により、下記の申告書別表の様式が公表されている。 〈別表6(20) 雇用者給与等支給額が増加した場合の法人税額の特別控除に関する明細書〉 このように本税制には、いわゆる「当初申告要件」が付されている。したがって、確定申告書等において本税制の適用を受けていない場合には、修正申告や更正の請求によって追加的に本税制の適用を受けることができないので留意が必要である。 また、雇用促進税制を適用する事業年度については、所得拡大促進税制の適用を受けることができない(措法42の12の4①)。すなわち、雇用促進税制※と所得拡大促進税制は、いずれかを選択適用するという関係にあるので、あわせて留意したい。 次回は、雇用促進税制と所得拡大促進税制との比較を通じ、選択適用上の留意点について考察していきたい。 (了)
#18(掲載号)
#鯨岡 健太郎
2013/05/09
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入院による臨時改定と日割計算の役員給与

入院による臨時改定と 日割計算の役員給与   税理士 妹尾 明宏   Question 年1回3月決算法人である当社は、毎月末に役員給与を支給しています。 X年9月15日から役員の1人が病気のため3ヶ月程度入院することになりました。そこで、毎月80万円の役員給与をX年9月は日割計算して40万円、X年10月からは支給なしとしました。 退院・療養後は、体調が万全でないながらもX+1年1月から週2回のみ出社できることとなったため、職務執行の程度を勘案して30万円の役員給与を支給することとしました。各減額・増額改定は、それぞれ取締役会を開催して決議しています。 この役員へ支給した役員給与は損金算入できるでしょうか。 Answer X年4月から8月まで、及びX+1年1月から3月までに支給された役員給与については損金算入される。 X年9月支給分については、検討を要するが損金算入されると考えられる。 ◆ 解 説 ◆ 1 定期同額給与の臨時改定事由   -病気のため職務の執行ができなくなった場合 役員給与のうち、定期同額給与、事前確定届出給与、利益連動給与に該当しないものは損金の額に算入されない(法法34)。 このうち定期同額給与について、会計期間開始日から3月経過日までにされる改定以外の改定があった場合に定期同額給与として認められるのは、その改定が臨時改定事由又は業績悪化改定事由に該当する場合に限られ、臨時改定事由は「職制上の地位の変更、その役員の職務の内容の重大な変更その他これらに類するやむを得ない事情」とされる。 ご質問の「病気のため職務の執行ができなくなった場合」については、「役員給与に関するQ&A(国税庁)」P17の[Q5 臨時改定事由の範囲-病気のため職務が執行できない場合]において、役員の職務の内容の重大な変更その他これに類するやむを得ない事情があると認められることから、臨時改定事由に該当することが明示されている。   2 退院後に職務に復帰した場合の増額改定(X+1年1月から3月) 1で引用したQ&Aの[Q5]では、退院後に従前と同様の職務の執行が可能となったことにより、取締役会の決議を経て入院前の給与と同額の給与を支給することとする改定についても、「役員の職務の内容の重大な変更その他これに類するやむを得ない事情」に該当するとしている。 ご質問のように、リハビリや通院のため、復帰後に従前と同様の職務執行まではできないケースも当然に考えられる。 この場合、入院前の給与と同額でない支給額としても、臨時改定事由による改定であり、その前後の支給額が同額であれば定期同額給与に該当することになる。これは、何らかの事情により入院前よりもその役員の職務が増加し、入院前より支給額を増額した場合においても同様と考えられる。ただし、増額した場合は過大役員給与について検討が必要である。   3 日割計算で支給した役員給与(X年9月) 会社法上、役員報酬は会社との委任契約による包括的な委任の対価であり、役員ではない従業員給与のように締日の概念はなく、日割計算はなじまない。 ご質問のように月の途中で入院し、入院後は職務執行ができない場合においても、日割計算による一部の金額を支給するのではなく、前月までの支給額と同額を支給する、又は次月同様に支給をなしとすべきである。職務執行が停止する日を含む月の支給の有無は、会社の方針等にもよるため、どちらが適切か一概にはいえない。 しかし、職務執行の内容等が大幅に変更されたときに役員給与を改定することは法人税法上も予定されていることであり、予期しない偶発的な事由によって職務の期間が減少したことによる職務執行の量的な変更に合わせた役員給与を支給するという考え方も間違いではないと考えられる。 ご質問の場合は、X年9月は職務執行が通常月の1/2程度しかできないため支給も半額とし、X年10月から12月は職務執行がまったくできないため支給なしとする、いわば「入院」という一つの事象により臨時改定事由が2回発生したともいえるのではないか。そして一事業年度内に臨時改定事由が複数回発生したことにより複数回給与改定しても問題はない。 この2段階の減額改定が、その役員の職務執行の変化に適正に対応した改定であるならば、その前後の役員給与は定期同額給与に該当すると考えられる。   4 自主的返還の場合 ご質問と同様の効果を得る方法として、X年9月は前月と同額の80万円を支給し、その役員に自主的に40万円を会社へ返還(贈与)してもらって雑収入として計上することが考えられる(X年9月分を40万円とする取締役会決議は行わない)。 この処理の場合は、臨時改定事由による改定前後であるX年4月から9月及び10月から12月の支給額が同額であるため定期同額給与に該当する。この場合、返還した40万円はあくまで会社へ贈与したものであって、給与自体が40万円減額されることにはならないため、源泉所得税は80万円の給与支払いとして計算することになる。   5 過大役員給与の検討 ご質問の場合は、入院により職務執行ができないことから給与を減額しているが、減額せずに同額を支給し続けたときはどうなるであろうか。 この場合、定期同額給与には当然に該当するが、一方で長期にわたり職務執行ができないとすれば、その支給額が不相当に高額な部分の金額として損金不算入となり得ることも考慮しなければならない(法法34②)。 (了)
#18(掲載号)
#妹尾 明宏
2013/05/09
国税通則 税務 税務・会計 解説 解説一覧

小説 『法人課税第三部門にて。』 【第7話】「優良法人の税務調査(その1)」

小説 『法人課税第三部門にて。』 【第7話】  「優良法人の税務調査(その1)」  公認会計士・税理士 八ッ尾 順一   「田村上席、ちょっと・・・」 渕崎統括官が田村上席を呼ぶ。 田村上席は、自分の机で、納税者から預かった請求書をチェックしている。 「はい、すぐに行きます」 田村上席は、途中まで見ていた請求書の束を机に置いて、渕崎統括官の席に向かった。 「今度、優良法人の調査に行くから、君も同伴してくれないか?」 渕崎統括官は少し申し訳なさそうに言う。 「統括官が調査に行くのですか?」 田村上席は大きな声で確認する。 「そうだ・・・優良法人で、規模が少し大きいから、君にも手伝ってほしいんだ。まあ、3日ぐらい一緒に会社に行ってもらいたい・・・」 「ええ、それは構いませんが・・・来月の中旬にしていただけると、調査日程が比較的空いていて助かります」 田村上席は、自分の調査スケジュールを思い出しながら伝える。 「そうか・・・それじゃあ会社には、そのように連絡しよう」 渕崎統括官は、大きく頷く。 「・・・しかし、統括官も大変ですね。部下の調査の指示もしなければならないし・・・統括官自身も直接、調査をしなければならないし・・・」 田村上席は、渕崎統括官に同情する。 「まあ、中間管理職は仕方がない。年間2~3件の調査は、統括官もすることになっているからね。今回は優良法人だから、少し気が楽だよ・・・」 渕崎統括官は、少し笑みを浮かべた。 「この会社の調査履歴を読んでも、経理状況は良好で特に大きな問題は過去になかったから、そんなに手間はかからないと思う・・・」 田村上席は、渕崎統括官の机の上に置かれている申告書のファィルを見つめている。 そして、少し不満そうに、渕崎統括官に言った。 「しかし、優良法人に、そんなに調査時間を取らなくても・・・もっと悪質な納税者のところへ調査の時間を割いた方が良いと思うのですが・・・」 「・・・確かに、君の言うとおりかもしれない」 渕崎統括官は軽く頷いた後、自分を納得させるように言った。 「まあ、これも組織の規定だからな・・・」 渕崎統括官と田村上席は、会議室で、会長、その息子である社長、経理担当者の齋藤課長、そして吉田税理士の4人とテーブルを挟んで、会社の概要を聞いている。 「今の社長で、三代目ですよ」 会長は、簡単に会社の設立からの経緯を説明した。 その後、社長は、会社の現況を10分ぐらい説明すると、用事のため退席した。 しばらくして、渕崎統括官が話を切り出した。 「・・・すみませんが、御社の確定申告書を3期分見せてもらえませんか?」 税務署では、納税者から提出された確定申告書は、紛失の恐れがあるということで、署内から持ち出し禁止となっている。したがって、税務調査では、必要の都度、納税者の保管している確定申告書を見せてもらうことになっている。 会議室の隅には、段ボール箱がうずたかく積まれている。 田村上席は、経理担当者の齋藤課長に、直近の総勘定元帳の提出を求めた。 齋藤課長は、片隅に置かれてある一つの段ボール箱を開けて、一冊の分厚い総勘定元帳を取り出した。 田村上席は、段ボール箱の置かれている所まで行って、総勘定元帳を受け取る。 経費項目と給与等の源泉徴収関係は田村上席が調べることに、あらかじめ2人の間で決められていた。 「・・・ところで、会社更生手続で、このL社の債権(社債)を損失に処理していますが、これに関する書類を見せてもらえませんか?」 渕崎統括官は、申告書の内訳書に計上されている雑損失6,000万円の金額について確認をしている。 齋藤課長が、L社の更生計画案のファイル2冊を3階の事務室から持ってきた。 渕崎統括官は、その2冊のファィルを受け取ると、その中味を確認し始めた。そのファイルを何度もめくりながら、その日付を罫紙に記録している。 「・・・11月20日に、裁判所から免除額の通知があったのですよね」 齋藤課長に確認する。 「はい、そこには6,000万円が「免除される金額」として示されています」 「しかし、その後、債権者の合意書を求める書類が、ここにファイルされていますね・・・そして、この債権者の合意書の結果通知がここにありますけど・・・これって、翌年の2月27日となっていますが、これが最終的に、確定の日になるのでは・・・?」 渕崎統括官が尋ねる。なお、会社の決算日は、12月31日である。 「・・・えっ、裁判所からの免除額の通知日が・・・確定日でしょ・・・」 吉田税理士が立ち上がって、渕崎統括官に確認する。 渕崎統括官は黙ったまま、ファィルを見詰めている。 吉田税理士は、渕崎統括官の傍らまで行って、ファィルを覗く。 渕崎統括官は、黄色い附箋を更生計画案に何枚か付け、齋藤課長に、それらのコピーを依頼する。 「・・・・・・」 吉田税理士は、少し青ざめた顔で、渕崎統括官を見詰めた。 (つづく)
#18(掲載号)
#八ッ尾 順一
2013/05/09
所得税 税務 税務・会計 解説 解説一覧

〔税の街.jp「議論の広場」編集会議 連載18〕 海外子会社から受け取る役員退職金の取扱い

〔税の街.jp「議論の広場」編集会議 連載18〕 海外子会社から受け取る 役員退職金の取扱い   税理士 郭 曙光     1 居住形態と課税範囲 A国に常駐することがなく、月に1週間程度のA国への出張で仕事を行っていたという事実から、甲は、日本の居住者に該当すると推定される。 非居住者であれば、国内源泉所得に対してのみ課税されるが、居住者の場合は、その国内及び国外で生じたすべての所得に対して日本の所得税が課税される。 このため、日本の居住者甲が海外子会社から受け取る500万円の役員退職金については、国内源泉所得に該当するか国外源泉所得に該当するかを問わず、その全額に対して日本の所得税が課税されることとなる。   2 退職所得に該当するのか否か 長年の勤労に対する報償を一時に支払う特性に配慮し、退職金については、総合課税ではなく、「退職所得」として他の所得と区分して分離課税の方法により課税される。 しかし、ご質問のような海外法人から支払われる退職金は、日本の所得税法における「退職所得」に該当するか否かという疑問が生ずる。 この点について、所得税法30条1項(退職所得)では、次のように規定している。 退職したことに基因して一時に支払われる給与は、退職所得に該当するとされてはいるが、日本法人から支払われるものなのか海外法人から支払われるものなのかについては問われていない。このため、ご質問の海外法人から支払われる退職金も日本の所得税における「退職所得」に該当し、課税されることとなる。   3 退職所得の金額と特定役員退職手当等 退職所得については、他の所得と分離して、「退職所得の金額」に所得税の税率を乗じて税額を求めることとされている。 「退職所得の金額」は、その年中の退職手当等の収入金額から、勤務年数に応じて計算された退職所得控除額を控除した残額の2分の1に相当する金額とされている(所法30②)。 ただし、平成24年度税制改正により、退職手当等のうち、特定役員退職手当等(注)に該当するものついては、上記の残額の2分の1とする措置が廃止された。平成25年分以後は、特定役員退職手当等に該当する「退職所得の金額」は、特定役員退職手当等の収入金額から退職所得控除額を控除した残額に相当する金額とされた(所法30②括弧書)。 (注) 特定役員退職手当等(所法30④) 特定役員退職手当等とは、退職手当等のうち、役員等としての勤続年数(以下、「役員等勤続年数」という)が5年以下である者が、退職手当等の支払いをする者からこの役員等勤続年数に対応する退職手当等として支払いを受けるものをいう。 なお、役員等とは、公務員や議員のほか、法人の取締役、執行役、監査役、理事等、法人税法2条15号(定義)に規定する役員を指す。 海外の法人における役職が、必ずしも内国法人における役職と一致するとは限らないが、ご質問の海外子会社A社の社長である甲が、日本の所得税法に規定する役員等に該当することには疑義がないと思われる。 なお、甲がA社社長として勤務した期間は3年5ヶ月間であるため、甲の役員等勤続年数は4年(1年未満の端数は1年に切り上げる)となり、ご質問の役員退職金は「特定役員退職手当等」に該当することとなる。 甲がA社から受け取った500万円の役員退職金に係る所得税額の計算は、以下の通りである。   4 確定申告等 退職手当等を日本国内の勤務先から受け取る場合は、その勤務先により源泉徴収される。退職手当等に係る納税額がそのまま源泉徴収されるのが一般的であるため、通常、課税関係は源泉徴収により終了する(注)。 しかし、日本の所得税の源泉徴収義務のない海外法人A社から支給されるご質問の退職金については、退職金の受給者本人が確定申告をして税額を清算する必要がある。 このため、甲は、翌年(平成26年)の2月16日から3月15日までの間に、「確定申告書B」及び「分離課税用申告書(第三表)」等を提出して確定申告を行う必要がある。 確定申告に当たっては、ご質問の退職金500万円に対して課税されたA国の所得税(外国所得税)がある場合は、一定の控除限度額を限度として、甲の所得税額から控除することができる。このため、外国所得税が課税されたことを証する書類を入手しておく必要がある。 なお、翌年以後4年以内に甲が貴社から退職手当等を受け取る場合の退職所得控除額は、海外子会社A社の勤続期間と貴社の勤続期間が重複している期間(3年。1年未満の端数は切り捨てる)を勤続年数とみなして計算した退職所得控除額を控除した後の金額となる点に留意する必要がある。 (了)
#18(掲載号)
#郭 曙光
2013/05/09
会計 税務・会計 解説 解説一覧 IFRS

会計リレーエッセイ 【第5回】「IFRS財務諸表は投資家にとって有用か?」

会計リレーエッセイ 【第5回】 「IFRS財務諸表は投資家にとって有用か?」   前IASB理事 Warren McGregor   はじめに 本稿は、企業経営者及びそのアドバイザーによって指摘されているIFRS財務諸表に対する批判を評価するものである。   投資家はIFRS財務諸表を読むことはない 企業経営者が、投資家やアナリストがIFRS財務諸表を読んでいないと主張するのを聞くことは、まれなことではない。 その証拠として、彼らは、財務諸表に関する投資家やアナリストからの質問をほとんど受けたことがないという事実を指摘している。 真剣な投資家やアナリストがIFRS財務諸表に興味を示さないということはほとんどあり得ないことを考えると、この主張は、IFRS財務諸表それ自体の主要な欠陥というよりも、おそらく、通常は年次報告期間末から数ヶ月後である財務報告の公表のタイミングによって、より影響を受けたものであろう。 投資家やアナリストが、利益情報リリースや投資家説明会など、よりタイムリーに提供される情報に焦点を当てていることは事実であるが、このようなコミュニケーションには、年次IFRS財務諸表と整合的な財務情報が含まれている。 逸話的な証拠によると、投資家やアナリストは、年次財務諸表を、利益情報リリースの内容を確認し、興味のある特定事項に関する詳細を入手し、そして、財務諸表の数字が監査されているという安心を得るために利用している。 しかし、投資家がIFRS財務諸表に興味がないという主張に抗弁することが難しい、より根本的な理由がある。 投資家は、投資意思決定を行う際に、規制されている財務報告をより重視する。このことは、「強くかつ効率的な資本市場を維持するために、企業報告が重要であることが確認された。3大陸の6ヶ国の投資専門家とのインタビューでは、財務諸表は財務分析の根幹であるという事実が強調された。財務諸表は、ある企業に投資するかどうかに関する重要な意思決定を支えている。」ということを明らかにしたプライスウォーターハウスクーパースが行った投資専門家の国際的調査によって確認された*1。 *1 PricewaterhouseCoopers, 2007. Corporate reporting. Is it what investment professionals want? International survey of investors’ and analysts’ views on the information that companies provide, p 8. The countries surveyed were the UK, USA, Canada, Germany, Australia and France.   投資家は「基礎利益」指標に焦点を当てている IFRS財務諸表の批判者は、投資家やアナリストの需要に対応して、企業によって非会計基準利益指標やその他の財務測定基準が開発されたことを、IFRS財務諸表が投資家やアナリストにとってそれほど有益でない証拠だと指摘している。 非会計基準指標は、投資家やアナリストの評価モデルへの適切なインプットとして彼らの需要を満たすためのものである。投資家やアナリストは、将来の利益を予想する際に、反復しない又は「1回限り」とみなされる収益及び費用項目に比べて、継続するとみなされる収益及び費用項目に異なる重き(又は乗数)を置いている。 しかし、投資家やアナリストが用いるこれらの測定基準は、IFRS財務諸表によって提供される情報に対して補完的なものである。多くの場合、非会計基準利益指標のスタートとなるのはIFRSによる金額であり、これに「反復しない」項目が加算又は減算されている。 上述したように、投資家やアナリストは、IFRS財務諸表によって提供される客観的な枠組みを高く評価している。 企業を分析する投資家やアナリストにとって特に重要なのは、ある企業の業績を他の企業の業績と比較するために、規制されている財務諸表を用いることができることである。IFRSは、比較のための基盤を提供している。投資家やアナリストは、IFRSに準拠した財務諸表を作成している国内及び海外の企業の業績及び財政状態を比較することができる。 これに代わる方法は、世界中がIFRSを採用する以前のように、企業が、異なる各国の基準に準拠して財務諸表を作成することである。比較することは不可能ではないが、相当な努力を行わない限り困難である。 投資家は、企業が用いている報告フレームワークに習熟していない場合には、次の2つのうちの1つを行うであろう。 彼らは、その報告フレームワークを理解する努力をする準備ができていないので当該企業に投資をしないか、又は、当該企業への投資のコストを値付けする際にプレミアムを課すか、どちらかをするであろう。 そのプレミアムは、時として(財務報告の)不確実性に対するプレミアムと表現されるが、資金調達のコストを増加させる。ある人々は、投資家やアナリストは、IFRS財務諸表に明確に支持を示しておらず、IFRS財務諸表について企業経営者に問い正すことに積極的ではないと主張しているが、これ代わる方法は、好ましいものではなく、究極的には、投資家及び企業にとって便益の少ないものであろう。 財務諸表の利用者のニーズを満たす目的をもって、独立した国際的な会計基準設定主体によって開発された基準に準拠して作成された財務諸表は、投資家やアナリストに対して、企業の業績及び財政状態を評価し、そして、世界中の他の企業と比較するための客観的な枠組みを提供する。 このような枠組みを持つか、持っていないかという選択肢に直面する合理的な投資家は、明らかに前者を好むであろう。   IFRS財務諸表は複雑すぎる 投資家やアナリストにとってのIFRS財務諸表の有用性に対して疑問を呈する人々による共通した批判は、財務諸表が複雑になりすぎてしまったというものである。 彼らは、投資家やアナリストにとっては、財務諸表によって提供される情報のいくつかを理解し、そして、それらの情報の総体的重要性を評価するのが困難であると主張している。ある人々は、後者の懸念を「情報過多」と呼んでいる。 投資家やアナリストが直面しているIFRS財務諸表を理解することの困難性に関する懸念は、部分的には、IFRSに準拠して作成された財務諸表が対象としている読者についての理解の不足に起因している。 ある批判者は、財務諸表は、「お母さんお父さん投資家」といわれる投資家を含むすべての投資家が理解できるものでなければならないと信じている。しかし、IASBは、IFRS財務諸表は、合理的に財務的に教養のある投資家を志向していることを明確にしている。 IASBは、その財務報告のための概念フレームワークにおいて、「財務報告は、ビジネス及び経済活動についての合理的な知識を有し、情報を入念に精査し分析する利用者のために作成される。」とし、「時として、十分な情報を持ち勤勉な利用者であっても、複雑な経済事象に関する情報を理解するためにはアドバイザーの助けを求めることがある。*2」と付け加えている。 *2 International Accounting Standards Board, 2010. The Conceptual Framework for Financial Reporting, paragraph QC32.   IFRS財務諸表がターゲットとする読者は、ある批判者が期待し、又は、要求しているものより狭いにもかかわらず、投資家やアナリストに対するこれら財務諸表の有用性は、企業の財務報告の中に、より絞られた焦点を彼らに提供することによって補強される。 全体としての企業の財務報告に対する有用性及び財務報告及びその財務諸表の構成要素の実用性に関する正統な懸念は、2つの主要な理由によって確かに存在する。 すなわち、重要でない財務情報の増加傾向及びいわゆる「紋切り型情報」が財務諸表に含まれていること、及び、財務報告及びアニュアル・レポートのその他の部分にIFRSによって要求されていない追加財務情報が含まれていることである。 企業が、重要でない開示を財務諸表に含める傾向が増加している。IFRSは、この点に関して明快である。 もし、IFRSの認識、測定及び開示に関する要求に従わないことが、利用者が財務諸表に基づいて行う経済的意思決定に影響を与えることになるような除外又は虚偽表示となってしまう場合に、企業には、認識、測定及び開示に関する要求に準拠することが求められているのみである。 残念ながら、この重要性テストを適用することなくIFRSに含まれているすべての開示を含めることを選択する企業数が増えている。 これには多くの理由があると思われるが、最もあり得るのは、後になって間違いであったと判明するかもしれず、取締役会が訴訟となる可能性のある重要性の判断を行うことを恐れているため、及び(又は)、企業の監査人と長期化する議論を避けるためである。 同様に、財務諸表に紋切り型の開示を含める企業が増える傾向がある。 これらは、判断の行使を求める開示であり、例えば、不確実性の予測の源泉に関する情報であるが、監査人の反対がなければ、企業は訴訟のリスクを低減するために紋切り型の開示を行っている。不適切な部分を削除することで、企業は財務諸表を投資家にとって有用性の少ないものにしている。 アニュアル・レポート及び財務報告における情報過多に関する懸念は、多くの原因から生じている。財務諸表に重要でない開示が含まれているという上述の問題が、その1つである。 もう1つは、IFRSによって要求されていない情報がアニュアル・レポートの異なる部分に含まれているというものである。これらの開示は、健全性又はその他の規制当局が求めているものであり、報酬及びリスク報告といったものが含まれる。   結論 世界中の企業がますますIFRSを使うようになるにつれ、財務諸表の有用性に関する疑問が提起されている。 これらの批判のうちのいくつかは、明らかに理にかなったものであり、IASBに、例えば、財務諸表、特に損益計算書における情報の表示に関する懸念といったことに対応するように、との挑戦を突きつけている。 本稿では、より一般的な批判のうちの3つを評価し、それらは、根拠がないか、又は、IASBがコントロールできない要因に依っていることを明らかにした。 本稿が、読者に、ここで取り上げた問題に関して情報を提供でき、IFRS財務諸表が投資家にとって有用かどうかに関する自分自身の判断を行うのに役立つことを願っている。 (原文) Are IFRS financial statements useful to investors? 1   Introduction This article evaluates some of the criticisms that have been directed at IFRS financial statements by company executives and their advisors.   Investors never read IFRS financial statements It is not uncommon to hear company executives claim that investors and analysts never read IFRS financial statements. As evidence they point to the fact that they rarely if ever receive questions from investors and analysts about the financial statements. This claim is probably driven more by the timing of publication of the financial report, normally some months after the end of the annual reporting period, than any major deficiencies in the IFRS financial statements themselves, since it seems highly unlikely that serious investors and analysts would take no interest in the IFRS financial statements. It is true that investors and analysts focus on information that is provided on a timelier basis, such as earnings releases and investor presentations, but these communications contain financial information that is consistent with the annual IFRS financial statements. Anecdotal evidence suggests that investors and analysts use the annual financial statements to confirm the earnings releases, obtain more details about particular items of interest and obtain comfort that the numbers have been audited. There is, however, a more fundamental reason why a claim that investors are not interested in IFRS financial statements is difficult to defend. Investors place great importance on regulated financial reporting when making investment decisions. This was confirmed in an international survey of investment professionals conducted by PricewaterhouseCoopers who found that “The importance of corporate reporting in sustaining strong and effective capital markets is confirmed. Interviews with investment professionals in six countries, from three continents, emphasise the fact that financial statements are the bedrock of financial analysis. They underpin critical decisions on whether to invest in a company or not.”2   Investors focus on “underlying profit” measures Critics of IFRS financial statements sometimes point to the development of non-GAAP profit measures and other financial metrics by companies in response to demands by investors and analysts, as evidence that IFRS financial statements are of little use to investors and analysts. Non-GAAP profit measures meet a demand by investors and analysts for relevant inputs to their valuation models. Investors and analysts place different weights (or multipliers) on income and expense items that are deemed to be continuing compared with those that are deemed to be non-recurring or “one off”, when estimating future earnings. However, investors’ and analysts’ use of these metrics is complementary to the information provided by IFRS financial statements. In many cases the starting point for non-GAAP profit measures is the IFRS amounts, with “non-recurring” items being added or subtracted. As noted above, investors and analysts value highly the objective frame of reference provided by IFRS financial statements. Of particular importance to investors and analysts in analysing a company is being able to use regulated financial statements to compare one company’s performance with another. IFRSs provide the basis for that comparison. Investors and analysts can compare the results and financial position of domestic and foreign companies who prepare their financial statements in accordance with IFRSs. The alternative is for companies to prepare their financial statements in accordance with idiosyncratic national standards, as was the case before the adoption of IFRS around the world, or each company’s own rules. Comparisons would be difficult if not impossible without a great deal of effort. Investors will do one of two things if they are not familiar with the reporting framework used by a company. They will either not invest in the company because they will not be prepared to make the effort to understand the framework, or they will charge a premium when pricing the cost of an investment in the company. That premium, which is sometimes described as a premium for (financial reporting) uncertainty, increases the cost of funding. While some may claim that investors and analysts are not openly supportive of IFRS financial statements, and appear reluctant to probe company executives about them, the alternatives would seem to be far less palatable and, ultimately, far less beneficial to investors and companies. Financial statements prepared in accordance with standards developed by an independent international standard setting body with the objective of meeting the needs of users of financial statements provide investors and analysts with an objective frame of reference for assessing the performance and financial position of companies and for comparing them with other companies around the world. A rational investor faced with the choice of having this frame of reference or not having it, would surely opt for the former.   IFRS financial statements are too complex A common criticism by those who question the usefulness of IFRS financial statements for investors and analysts is that the financial statements have become too complex. They assert that it is difficult for investors and analysts to understand some of the information provided in the financial statements and for them to assess the relative importance of the information. Some refer to the latter concern as “information overload”. Concerns about the difficulty investors and analysts face in understanding IFRS financial statements stem in part from a failure to understand the audience to whom financial statements prepared in accordance with IFRSs are directed. Some critics believe the financial statements should be comprehensible to all investors, including so-called “mum and dad investors”. However, the IASB has made it clear that IFRS financial statements are directed to investors who are reasonably financially sophisticated. In its Conceptual Framework for Financial Reporting the IASB states that “Financial reports are prepared for users who have a reasonable knowledge of business and economic activities and who review and analyse the information diligently...” and they add “...At times, even well-informed and diligent users may need to seek the aid of an adviser to understand information about complex economic phenomena.”3. Notwithstanding that the target audience for IFRS financial statements is narrower than some critics would expect or demand, the utility of those financial statements to investors and analysts could be enhanced by giving them a sharper focus in a company’s financial report. Legitimate concerns about the usefulness of a company’s annual report as a whole and the utility of the financial report and statements components thereof do exist for two main reasons: the growing tendency for immaterial financial information and so-called “boiler plate information” to be included in the financial statements, and the inclusion in the financial report and other parts of the annual report of additional financial information not required by IFRSs. There has been a growing tendency for companies to include immaterial disclosures in the financial statements. IFRSs are clear on this point; companies are only required to comply with the recognition, measurement and disclosure requirements of IFRSs if failure to do so would result in omissions or misstatements that could influence the economic decisions that users make on the basis of the financial statements. Unfortunately a growing number of companies are choosing to include all of the disclosures included in IFRSs without applying this materiality test. This could be due to a number of reasons, but most likely it is for fear of making a materiality judgement which later proves to be erroneous and potentially subjects the board of directors to litigation and/or to avoid protracted discussions with the company’s auditors. Similarly, there has been a growing tendency for companies to include boiler plate disclosures in their financial statements. These are disclosures that require the exercise of judgement, for example information about sources of estimation uncertainty, that companies, without objection from their auditors, "boiler plate" in order to reduce the risk of litigation. By sanitising these disclosures, companies are making the financial statements less useful to investors. Concerns about information overload in the annual and financial reports stem from a number of sources. The inclusion of immaterial disclosures in the financial statements mentioned above is one. Another is the inclusion in a different part of the annual report of information not required by IFRSs. These disclosures may be driven by prudential or other regulators and could include things like remuneration and risk reports.   Conclusion As more and more companies around the world use IFRSs, questions are being raised about the usefulness of the resulting financial statements. Some of these criticisms are undoubtedly justified and pose a challenge for the IASB to address, for example concerns about the presentation of information in the financial statements, particularly the income statement. However some of the criticisms would appear to be unjustified. This article has evaluated three of the more common criticisms and has found them to be either without foundation or caused by factors beyond the control of the IASB. It is hoped that this article will make readers better informed about these issues and better placed to make their own judgement about whether IFRS financial statements are useful to investors. 1 This article is based on a paper, published in February 2013, by the same author, titled “In defence of IFRS financial statements”. See CPA Australia website: http://www.cpaaustralia.com.au/cps/rde/xbcr/cpa-site/defence-of-ifrs-financial-statements.pdf 2 PricewaterhouseCoopers, 2007. Corporate reporting. Is it what investment professionals want? International survey of investors’ and analysts’ views on the information that companies provide, p 8. The countries surveyed were the UK, USA, Canada, Germany, Australia and France. 3 International Accounting Standards Board, 2010. The Conceptual Framework for Financial Reporting, paragraph QC32.   (了)
#18(掲載号)
#Warren McGregor
2013/05/09
会計 税務・会計 管理会計 解説 解説一覧

林總の管理会計[超]入門講座 【第2回】「なぜ原価計算をするんですか?」

林總の 管理会計[超]入門講座 【第2回】 「なぜ原価計算をするんですか?」   公認会計士 林 總   (了)
#18(掲載号)
#林 總
2013/05/09
会計 税務・会計 解説 解説一覧 財務会計 退職給付会計

経理担当者のためのベーシック会計Q&A 【第5回】退職給付会計②「退職一時金制度」─数理計算上の差異

経理担当者のための ベーシック会計Q&A 【第5回】 退職給付会計② 「退職一時金制度」 ─数理計算上の差異   仰星監査法人 公認会計士 西田 友洋   〈事例による解説〉 期中の会計処理(退職給付費用の計上及び退職金の支払)後の退職給付債務は5,400です。また、退職給付債務の計算を依頼している受託機関からの報告によると、期末の退職給付債務の実際額は6,000です。 さらに、未認識数理計算上の差異は翌期以降、従業員の平均残存勤務期間である15年、定額法で費用処理を行います。 当社の退職金制度は、非積立型の退職一時金制度であるため、年金資産はありません。 なお、税効果会計は適用していません。 〈会計処理〉   (仕訳なし) 〈会計処理の解説〉 退職給付債務の算定の際には、見積数値が用いられます。そして、見積数値と実際数値には、差異が生じます。この差異が、「数理計算上の差異」です。 具体的には、数理計算上の差異は、退職給付債務の数理計算に用いた見積数値と実績との差異及び見積数値の変更等により生じます。 また、本事例では、年金資産はありませんが、年金資産の期待運用収益と実際の運用成果の差異によっても、数理計算上の差異が生じます(退職給付会計に関する実務指針(中間報告)第23項)。 さらに、数理計算上の差異のうち、費用処理及び負債計上していないものを「未認識数理計算上の差異」といいます。 本事例では、期中に、「勤務費用+利息費用-期待運用収益」の合計額である退職給付費用の計上及び退職金の支払いの結果、期末の退職給付債務は5,400となっています。これが、期末時点の「予測」の退職給付債務となります。また、「実際」の退職給付債務は6,000となっています。 したがって、数理計算上の差異は600となります。 そして、数理計算上の差異は、発生しただけでは退職給付引当金を構成せず、費用処理をして初めて、退職給付引当金を構成します。費用処理は、数理計算上の差異が発生した期の翌期(又は発生した期)から定額法(又は定率法)により、従業員の平均残存勤務期間以内で行います(退職給付に係る会計基準三2(4)、退職給付会計に関する実務指針(中間報告)第27項)。 本事例では当期に費用処理しないため、当期末の未認識数理計算上の差異は600となり、当期に発生した数理計算上の差異は、当期末の貸借対照表には計上されません。 なお、本事例において、平均残存勤務期間の15年、定額法で費用処理するため、翌期の会計処理は以下のようになります。 (会計処理) (了)  
#18(掲載号)
#西田 友洋
2013/05/09
会計 税効果会計 税務・会計 解説 解説一覧 財務会計

税効果会計を学ぶ 【第9回】「タックスプランニング」

-お知らせ- 適用指針等を織り込んだ最新版の『税効果会計を学ぶ』が好評連載中です。   税効果会計を学ぶ 【第9回】 「タックスプランニング」   公認会計士 阿部 光成   前回に引き続き、「繰延税金資産の回収可能性の判断に関する監査上の取扱い」(監査委員会報告第66号。以下「監査委員会報告第66号」という)の内容について解説を行う。 なお、文中、意見に関する部分は、私見であることを申し添える。   Ⅰ タックスプランニング 「個別財務諸表における税効果会計に関する実務指針」(会計制度委員会報告第10号。以下「個別税効果会計実務指針」という)21項では、大きく分けて を規定している。 個別税効果会計実務指針21項(2)では、「将来減算一時差異の解消年度及び繰戻・繰越期間又は繰越期間に含み益のある固定資産又は有価証券を売却する等、課税所得を発生させるようなタックスプランニングが存在すること」が繰延税金資産の回収可能性の判断要件として規定されている。 資産の含み益等の実現可能性を判断するに当たっては、当該資産の売却等に係る会社としての意思決定の有無及び実行可能性並びに売却される当該資産の含み益等に係る金額の妥当性を検討する必要がある(監査委員会報告第66号6(1))。   Ⅱ タックスプランニングに係る実現可能性 監査委員会報告第66号における過去の業績等に基づいた回収可能性の判断指針をまとめると、次のようになる(監査委員会報告第66号6(2))。 (了)
#18(掲載号)
#阿部 光成
2013/05/09
労働基準関係 労務 労務・法務・経営

〔時系列でみる〕出産・子を養育する社員への対応と運営のヒント 【第2回】「産前・産後期間中の対応(1)」 ―就業制限と保険料負担―

〔時系列でみる〕 出産・子を養育する社員への 対応と運営のヒント 【第2回】 「産前・産後期間中の対応(1)」 ―就業制限と保険料負担―   社会保険労務士 佐藤 信   1 はじめに 女性雇用者数の長期的な推移は増加傾向にあり、雇用者総数に占める女性の割合は昭和60年に35.9%であったものが、平成23年には42.7%まで伸びている(【参考】を参照)。 また、前回(第1回)の冒頭に触れたとおり、少子化の進行により労働力人口は減少することが見込まれ、それらの変化に対応することができるよう人材活用の方法、社内体制などを見直すことが必要になってくるものと思われる。 今回は、男女雇用機会均等法及び労働基準法により、妊娠中や産後の労働者に対し会社がすべきこと(又はしてはならないこと)とされているものについて触れる。 これまで妊娠・出産に伴う退職者が多かった職場については、これを機に、今後どのような制度を整備していくかを検討する際の材料としていただければ幸いである。 なお、記事の後半では、平成24年8月に改正された産前・産後休業中の保険料免除について触れることとする。   2 保健指導又は健康診査 会社は、妊産婦が保健指導又は健康診査を受診するために必要な時間を確保することができるようにしなければならないとされている(男女雇用機会均等法22条)。 (1) 必要な時間の確保回数 健康診査等を受診するために確保しなければならない回数は、次の通りである。 (2) 必要な時間の確保方法 健康診査等を受けるために必要な時間の付与方法や付与単位は会社が決めることとなるが、決定に当たっては、労使で話し合うことが望ましい。 なお、時間の確保においては、妊娠中の労働者との調整だけではなく、周囲の労働者の理解や協力が不可欠である。 このため、従業員が利用できる制度について社内掲示、説明資料の配布など、普段から周知しておきたい。 また、時間の確保には、他の労働者による補助や社員間の業務の引継ぎなどが必要となることもある。 日頃から同じグループの労働者の業務内容や進捗状況を可視化(定例のミーティングやメール等で各自の作業の進捗を公開するなど)し、他の労働者によるサポートが可能となる体制作りを構築していく等の方法がある。 このような体制作りは、妊娠・出産を控えた労働者のサポートだけでなく、病欠社員や異動により欠員が生じるときの引継ぎを円滑に進め、業務の滞りを最小限に食い止めるといった効果も期待できる。   3 医師の指導事項を守るための措置 妊娠中及び出産後の女性労働者が、健康診査等を受け、医師等から指導を受けた場合は、その女性労働者が受けた指導を守ることができるようにするために、下記のように必要な措置を講じなければならない(男女雇用機会均等法13条)。 (1) 通勤緩和措置の具体例 通勤緩和措置の例としては、次のものがある。 (2) 休憩に関する措置 休憩に関する措置の例としては、次のものがある。 (3) 医師からの指導事項の把握 会社が母性健康管理の措置を適切に講ずるため、「母性健康管理指導事項連絡カード」(【参考】を参照)などを利用しながら、女性労働者に対して出された医師等の指導事項を的確に把握しておきたい。   4 産前・産後休業、業務転換等による母性保護 労働基準法では、妊産婦の保護規定として、以下のようなものがある(労働基準法6章の2)。 (1) 産前・産後休業 ① 産前6週間(多胎妊娠の場合は14週間)の女性が請求した場合は労働させてはならない 「請求した場合」がポイントであり、妊娠中であっても、労働者が就業する意思があるときは労働させても構わない。 ② 産後8週間の女性は労働させてはならない ①の期間と異なり、請求の有無にかかわらず就業が禁止される点に注意を要する。 ただし、産後6週間を経過後に、女性本人が請求し、医師が支障ないと認めた業務については、就業させることは差し支えない。 (2) 妊婦の軽易業務転換 妊娠中の女性が請求した場合には、他の軽易な業務に転換させなければならないとされる。 ただし、新たに軽易な業務を創設して与える義務まで課されているわけではないため、現在社内にある業務の中で軽易と思われる業務に転換させることでよい。 こちらも(1)①と同様に、労働者からの「請求」があった場合の措置である。 (3) 妊産婦等の危険有害業務の就業制限 妊産婦等を妊娠、出産、保育等に有害な業務に就かせることはできない。 就業制限については、平成24年10月に改正が行われているため、化学物質を取り扱う会社については、以下の【参考】にも注意を要する。 (4) 妊産婦に対する変形労働時間制の適用制限 変形労働時間制を採用している会社であっても、妊産婦が請求した場合には、1日及び1週間の法定労働時間(8時間、40時間)を超えて労働させることはできない。 この規定も「請求」があった場合の措置である。 (5) 妊産婦の時間外労働、休日労働、深夜業の制限 妊産婦が請求した場合には、時間外労働、休日労働、又は深夜業をさせることはできない。 この規定も「請求」があった場合の措置である。   5 妊娠・出産等を理由とする不利益取扱いの禁止(男女雇用機会均等法9条) 会社は、女性労働者が妊娠、出産、産前・産後休業の取得、妊娠中の時差通勤などの男女雇用機会均等法による母性健康管理措置や深夜業免除など労働基準法による母性保護措置を受けたことなどを理由として、次のような不利益取扱いをしてはならないとされている。 人事部門の者だけではなく、グループ長など各労働者に直接指揮命令をする者なども、これらのことを把握した上で各労働者と接していく必要がある。   6 産前・産後期間の社会保険料免除 現在、産後8週間経過後から3歳到達までの育児休業期間については社会保険料を免除とされているが、産前・産後の休業期間〔前記4(1)①②〕については免除の対象とされていない。 この規定が平成24年8月に改正され、今後は免除となる予定である。 注:施行日は公布日の平成24年8月22日から2年の範囲内で政令で定める日とされ、本稿公開時点では未定である。   7 おわりに 今回は妊娠中から産後にかけて、会社がとるべき事項について触れた。 妊娠・出産予定の申出を受けてからの急な社内体制の整備では、当人のほか周囲の労働者についても変化に対応することが困難となることもあるため、少しずつ検討を始めておきたい。 次回は、産前・産後期間の保険給付について触れていくこととする。 (了)
#18(掲載号)
#佐藤 信
2013/05/09
労働基準関係 労務 労務・法務・経営

残業代の適正な計算方法 【第2回】 「残業時間の考え方①」

残業代の適正な計算方法 【第2回】 「残業時間の考え方①」   社会保険労務士 井下 英誉   1 はじめに 前回の「労働時間の基本をおさえる」を基に、今回から2回にわたり、労働時間の一部である残業時間について解説する。   2 残業時間とは 残業時間とは、予め労働契約で定められた労働時間(「所定労働時間」という)を超えて労働した場合の超過労働時間のことを指す。一般的には時間外労働といい、法定労働時間(1日8時間、1週40時間)を基準にして「法定内時間外労働」と「法定外時間外労働」に分けられる。 ① 法定内時間外労働 ア 1日当たりの法定内時間外労働 1日の所定労働時間が8時間未満の場合で、所定労働時間を超えて8時間まで労働したときの労働時間のこと。 例えば、始業時刻が9時、終業時刻が17時の所定労働時間7時間(休憩1時間)で労働契約を締結している労働者が、17時を超えて18時まで労働した場合、17時から18時までの1時間は法定内時間外労働となる。 イ 1週当たりの法定内時間外労働 1週の所定労働時間が40時間未満の場合で、所定労働時間を超えて40時間まで労働したときの労働時間のこと。 例えば、1日7時間、月曜日から金曜日まで週5日勤務(週所定労働時間は35時間)で労働契約を締結している労働者が、土曜日(法定外休日)に5時間労働した場合、その5時間は法定内時間外労働となる。 ② 法定外時間外労働 ア 1日当たりの法定外時間外労働 1日8時間を超えて労働した労働時間のこと(労働基準法32条の2から32条の4に定める労働時間制度の場合を除く(【第1回】参照)) 例えば、始業時刻が9時、終業時刻が18時の所定労働時間8時間(休憩1時間)で労働契約を締結している労働者が18時を超えて労働した場合、18時を超えた時間は法定外時間外労働となる。 イ 1週当たりの法定外時間外労働 1週40時間を超えて労働した労働時間のこと(労働基準法32条の2から32条の4に定める労働時間制度の場合を除く) 例えば、1日8時間、月曜日から金曜日まで週5日勤務(週所定労働時間は40時間)で労働契約を締結している労働者が、土曜日(法定外休日)に5時間労働した場合、その5時間は法定外時間外労働となる。   3 法定外休日と時間外労働 労働基準法35条では、1週間に1日の休日を与えることが義務付けられている。これを「法定休日」という。一方、法定休日を上回る休日のことを「法定外休日」という。 例えば、完全週休2日制で土曜日と日曜日が休日の場合、土曜日と日曜日のどちらか1日が法定休日となり、残りの1日が法定外休日となる。どちらを法定休日とするかは会社の任意である。 同じ休日労働であっても、法定休日に労働させた場合は、法律上の休日労働として扱うが、法定外休日に労働させた場合は、法律上は時間外労働として扱って問題ないことになっている。   4 残業時間の把握と集計 毎月の残業代を適正に計算するには、まず、残業時間を適正に計算する必要がある。 ここでは、1日の残業時間をどのように計算し、1ヶ月の残業時間をどのように集計するかについて解説する。 ① 1日の残業時間の計算方法 1日の残業時間を計算するにあたり、15分や30分というような単位時間を設け、単位時間に満たない時間は切り捨てる方法は、労働基準法24条1項の「賃金全額払いの原則」に違反するため、無効である。 したがって、1日の残業時間の計算は必ず1分単位で行う必要がある。 ② 1ヶ月の残業時間の集計方法 1日の残業時間の計算が1分単位である以上、1ヶ月の残業時間の集計方法も1分単位が原則である。 しかしながら、1ヶ月の合計残業時間については、その合計時間に1時間未満の端数がある場合に30分未満を切り捨て、30分以上は1時間に切り上げるという方法は、常に労働者の不利となるものではなく、事務簡便を目的としたものであるため、認められている。 (了)
#18(掲載号)
#井下 英誉
2013/05/09

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