《速報解説》 法人税基本通達等の 一部改正について OAG税理士法人 税理士 三原 万里子 国税庁は、9月14日、平成23年12月及び平成24年度の税制改正に対応し、『法人税基本通達等の一部改正について(法令解釈通達)』(平成24.9.12課法2‐17,課審6‐15)を公表した。 主な改正点は、次のとおりである。 1 法人税基本通達関係 平成23年12月の税制改正により、貸倒引当金繰入額の損金算入できる法人の範囲が限定されたが、 本通達では、貸倒引当金の設定対象となる「リース資産の対価の額に係る金銭債権」について、リース契約が中途で解除された場合に発生することとなるいわゆる規定損害金に係る金銭債権が含まれることを留意的に明らかにしている。(法基通11‐2‐1の3新設) 2 租税特別措置法関係通達(法人税編)関係 ① 租税特別措置法における適用額の制限措置 平成23年12月の税制改正により、試験研究を行った場合の法人税額の特別控除制度における特別控除税額について、確定申告書等に添付された書類に記載された試験研究費の額及び特別試験研究費の額以外の金額(法人税額や平均売上金額を計算する上での売上金額など)に変更がある場合には、変更後の金額により修正申告や更正の請求をもって特別控除税額を増加させることができる旨の改正が行われたことから、控除額を制限する従来の通達は廃止された。(措通42の4(3)‐4廃止) ② 特定資産の買換えに係る課税の特例関係 平成24年度の税制改正により、特定資産のいわゆる9号買換えについて買換資産の見直しが行われ、土地等の範囲が、①特定施設の敷地の用に供される土地等及び②駐車場の用に供される土地等で建物又は構築物の敷地の用に供されていないことにやむを得ない事情があるもので、その面積が300㎡以上のものに限定された。 本通達では、特定施設の敷地の用に供される土地等とは、取得時において特定施設の敷地の用に供されるのが確実であると認められるものを含むことを明らかにしている。 また、特定施設の敷地の用に供されることが確実であると認められるものに該当するものとは、例えば、具体的な計画があるものが該当する旨を明らかにしている。 このほか、長期所有の土地等の買換えに係る面積の判定、特定施設と特定施設以外の施設から成る一の施設の敷地の用に供される土地等の面積の判定などを明らかにしている。(措通65の7(1)‐30の2~4新設) ③ 過大支払利子税制 平成24年度の税制改正により、関連者等への一定の純支払利子等の額が調整所得金額の50%を超える場合は、一定の金額を損金の額に算入しないこととする制度(いわゆる「過大支払利子税制」)が創設された。 本通達では、利子に準ずるものに、金銭債権を債権金額を超える又は満たない価額で取得した場合における金利調整差額が含まれることを明らかにしている。 このほか、除外対象特定債券現先取引等に係る平均負債残高の計算方法等が創設された。(措通66の5の2‐1~16新設) 3 その他 その他には、「耐用年数の適用等に関する取扱通達関係」(以下、耐通)で200%定率法に係る未償却残額表が追加され(耐通付表7(3))、「東日本大震災の被災者等に係る国税関係法律の臨時特例に関する法律関係通達(法人税編)関係」(以下、震災特例通達)では、 避難解除区域において機械等を取得した場合の特別償却又は法人税額の特別控除(震災特例通達17の2の2‐1~3)、避難解除区域において避難対象雇用者等を雇用した場合の法人税額の特別控除(震災特例通達17の3の2‐1)等が創設されている。 (了) 【参考】国税庁ホームページ ・法人税基本通達等の一部改正について(法令解釈通達)