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税務判例を読むための税法の学び方【5】 〔第2章〕法令の解釈方法(その4)

税務判例を読むための税法の学び方【5】 〔第2章〕法令の解釈方法 (その4)   自由が丘産能短期大学専任講師 税理士 長島 弘   (5 論理解釈の種類) ③ 反対解釈 ある法令が甲という事項について規定していながら、類似の乙や丙について規定していない場合に、規定されていない以上、乙や丙に適用がないと考える解釈である。 例えば、民法第737条1項には「未成年の子が婚姻をするには、父母の同意を得なければならない。」とあるが、このことから、成年の子ならば、婚姻をするについて父母の同意を得る必要がないと解釈するものである。 税法においては、多くの例がある。 ある法の適用を受けるものについて限定列挙している場合には、そこに挙がっていないものには適用がないことになる。 所得税法第9条には「次に掲げる所得については、所得税を課さない。」とあり、各号に一定の通勤手当やオリンピックの賞金等が挙げられている。 したがって、ここに挙げられていない所得には所得税が課されることになる。 例えばこの中の13号には次のようにある。 この中のホには「ノーベル基金からノーベル賞として交付」とあることから、ノーベル経済学賞の賞金は課税されることになる。 というのも、ノーベル経済学賞は他の分野のものと異なり、アルフレッド・ノーベル自身が設置したものではなく、賞金はスウェーデン国立銀行から拠出されており、ノーベル基金からの交付ではないからである。 ④ 類推解釈 前述の反対解釈と異なり、ある法令が甲という事項について規定していながら、類似の乙や丙について規定していない場合に、規定されていなくとも乙や丙にも適用があると考える解釈である。 甲に限っての適用とし乙や丙には適用しないとして反対解釈をするか、たまたま甲について規定したのは念のためであって特に乙丙について排除する趣旨ではないとして類推解釈をするかで、結論は全く逆の結果を生ずることになる。 甲の中に乙丙を含めるという点では、この類推解釈は、拡張解釈の一種ともいわれる。しかし刑法においては、前回述べたように、罪刑法定主義から類推解釈は禁止されているのに対し拡張解釈は認められており、拡張解釈と類推解釈は厳然と区別されている。 前回、罪刑法定主義を原則とする刑法においても、類推解釈が禁じられているのに対し、拡張解釈が許される理由として、法の予想しうる限度での当罰性に応じた実質的な解釈を禁じるものではない旨述べた。 この点をここでもう少し詳しく見てみよう。 まず、前回挙げた電気窃盗以外に罪刑法定主義に反しないとして認められた事例を見てみる。 刑法第129条に「過失により、汽車、電車若しくは艦船の往来の危険を生じさせ、又は汽車若しくは電車を転覆させ、若しくは破壊し、若しくは艦船を転覆させ、沈没させ、若しくは破壊した者は、30万円以下の罰金に処する。(当時の原文はカタカナ表記)」と規定されているが、中勢鉄道の列車であるガソリンカーを転覆させ乗客を死傷に至らしめた事案について、動力源が石炭であるかガソリンであるかはこの犯罪の本質的内容に影響しないものであり、大審院は、刑法129条の汽車なる用語にガソリンカーをも包含するものとする旨判示した(昭和15年8月22日大審院判決)。 次に、類推解釈に当たるとされた事例を見る。 人事院規則14-7(政治的行為)は、公務員の政治活動を規制しているが、その第5項第1号に「特定の候補者を支持し又はこれに反対すること。」と規定している。 この「特定の候補者」の中に、立候補しようとする特定人が含まれるか否かが問題となった事案で、最高裁は、「「特定の候補者」とは、「法令の規定に基づく立候補届出または推薦届出により、候補者としての地位を有するに至った特定人」を指す」(昭和30年3月1日最高裁判決)と判示し、これを含めることは類推解釈に当たるとして否定した。 法律の制定当時と比べ、科学技術の発展や社会の変化といった要因で、制定段階では予想できなかった事態が生じた場合に、新たな技術や文化をその都度法律によって規定し対応していくことは大変難しい。 そのため、文言上から読み取れる範囲の解釈でそういった事態に対処することが国民の処罰意思に沿ったものと考えられる場合には、罪刑法定主義に反することにはならないと考えられている。 しかしある事項が、このいずれになるかの判断は困難な場合が多く、結局は、両者の区別は、法益保護機能と自由保障機能のいずれを重視するかの価値判断によって決まるともいわれている。 しかし、電気窃盗もガソリンカーも、科学技術の発展や社会の変化といった要因で、法律の制定段階では予想できなかった事態が生じた場合であり、構成要件要素の本質には影響がないものであって、そしてそれが国民の処罰意思にも沿ったものと考えられる場合には拡張解釈に当たり、そうでない場合には、類推解釈に当たるとして禁じられるものと思われる。 類推解釈には、もう一つの態様がある。 甲法令には規定がないが、類似の他の法令乙に規定がある場合に、乙の規定を甲法令の適用対象に類推して適用することにより甲の規定を適用する場合であり、これを「類推適用」という。 税法においては、この類推適用の例が多い。 所得税法においては「国内にある資産」(所得税法第161条第1号と164条第1項第4号)に関する規定がありながら、この「国内にある資産」の定義等については法律上規定が設けられていない。 しかし、財産の所在の判定についての詳細な規定が消費税法第4条や相続税法第10条に設けられている。 法令は違っていても、同様の考え方によるべきものとして、消費税法や相続税法の規定を所得税についても類推適用するのが適当と認められる。 ⑤ 勿論(もちろん)解釈 条文の文言としては規定されていないが、文言に規定されているものに適用があるならば当然適用されるという解釈である。これも類推解釈の一種ともいわれる。 租税特別措置法の規定に「確定申告書に……旨の記載がない場合には、適用しない。」(同法第26条第3項、第30条第3項)といった規定があるが、確定申告書を提出しても記戦がない場合には適用されないのであるから、確定申告書の提出がない場合には当然適用がないと解釈することになるのである。 この例示は、条文が「・・・適用しない。」というものであるため、条文の適用があると措置法による特例が適用されないことになる。すなわち、措置法の特例が文言に規定されているものに適用がないならば当然適用がないことになるため、言葉の使い方としては反対の結果になるが、それは条文の規定を適用した結果である。 ⑥ 変更解釈 条文の規定の文字を変更して、本来それが意味するところよりも別の意味に解釈することである。 立法上の誤りがあることが明らかである場合など、そのよう解釈が認められる事情が非常にはっきりしている場合に限って許されるべきである。 例えば、ある法律が改正されて条文の番号が変わった場合、通常その条文を参照・引用する他の法律の方でも番号を変えるのであるが、その変更が漏れた場合等は改正後の条文番号に読み換えて解釈する場合などである。 (了)

#No. 9(掲載号)
#長島 弘
2013/03/07

企業不正と税務調査 【第3回】「税務調査と内部監査・会計監査との相違点」

企業不正と税務調査 【第3回】 「税務調査と 内部監査・会計監査との相違点」   税理士・公認不正検査士(CFE) 米澤 勝   1 税務調査の視点・手法・武器 (1) 税務調査の視点 税務調査の視点は、基本的には「性悪説」―つまり、納税者には、できるだけ税金を少なくしたいという動機が存在する―に立つ。 こうした姿勢が、業務監査や会計監査との大きな違いであることは言うまでもなく、おまけに、国税調査官は、納税者による不正の事例を数多く知っているため、どのあたりをつつけば脱税行為を発見できるかというノウハウを豊富に有している。 脱税というのは、しょせん、売上を減らすか、仕入や経費を増やすかして、利益を少なくすることでしか達成できないため、独創的な手口というのは考えづらい。 そういう視点からすれば、国税調査官が脱税の手口を知識として身につけておくことが大事であるように、不正を発見すべき側の人間も、不正の手口、不正が行われている場合の兆候について、発覚した他社事例を検討して、それを自社に置き換え、どこにリスクがあるかを検証するというのは、不正防止・発見のための知見を獲得するためには大変有効なアプローチであるといえる。 (2) 税務調査の手法 税務調査は、必ず、「三現主義」に基づいて行われる。顧客、仕入先とのやり取りをした書類、預金通帳など、当然、コピーやPDFは絶対受け付けない。 脱税には文書の偽造・捏造はつきものであり、国税調査官はその知識と経験から、これを知り尽くしているためである。 また、少しでも不正の臭いを感じた商談については、必ず、取引全体の流れを見る。 重視するのは、モノの流れとカネの流れ、最終納品先であるエンドユーザーである。 下図は、卸売業における商談の流れを簡単に表したものだが、業務監査は赤い枠で囲ったように、概ね「営業」とか「購買」といった部門単位で行われており、会計監査は黄色い枠で囲ったように経理部門を中心に行われているのが現状である。 【業務フローの一例(卸売業)】 実際の不正の兆候は、部門内のタテの流れには現れない。 こうした業務の流れを担当するのは同一人であることが多く、不正を働こうとすれば、一連の商談に関する書類には、不審な点を残すことはない。 また、経理部門へ書類やデータが送られたときには、不正はきれいに糊塗されているから、経理部門で保管している証憑やデータからは、不正の端緒を見つけることは難しい。 不正は、上図のような卸売業においては、営業と購買とのやり取りの中に、あるいは、営業と顧客、購買と仕入先といった社外とのやり取りの中(ヨコの矢印)に潜んでいる。 したがって、税務調査では、必ず商談全体の証憑を、原本で確認する。 第7回目以降に説明する予定だが、営業担当者、購買担当者が不正を働く場合には、必ず共犯者が存在する。 こうした共犯関係を類推させるようなやり取りの痕跡、営業から購買に対する、あるいは購買から営業に対する不自然な依頼、見積金額の大幅な変更、商談条件がいつもと異なっているなど、不正を感じさせる端緒が潜んでいそうなところ、それが、部門間のやり取りであり、外部とのやり取りである。 小さな会社、小さな組織では、この図のように営業と購買の機能が分離されておらず、同一人に集中している場合がある。 この場合には、相互牽制機能がないわけだから、大きなリスクのもとに業務を遂行しているという認識をもって、監査に臨まなければならない。 通り一遍の監査では、担当者に対し、「すべての業務に精通している」という誤った評価を与えてしまうことになりかねない。 (3) 質問検査権 税務調査を行う租税職員の有する武器、外部の人間、監査部の人間が有していない武器が質問検査権である。 質問検査権の特徴は以下の3点にある。 一つ目は、任意調査であること。 すなわち合理的な理由が説明できれば、調査期日の延期などの申し出は認められる。一方、合意のない調査に基づく課税処分は無効であり、それが取り消されるだけでなく、国家賠償法による損害賠償請求の対象となる。 二つ目は、任意調査とはいいながら、納税義務者による調査拒否、不答弁や虚偽の答弁に対しては罰則が科されること。 三つ目は、犯罪の調査を行うのは査察であって、通常の質問検査権の行使は犯則調査ではないこと。 質問検査権に関する規定は、平成23年12月改正で、すべて国税通則法に移管されることになり、平成25年1月1日から改正国税通則法が施行されている。 条文のポイントは、「必要があるときは」という規定である。 必要があるかどうかを判断するのは、あくまで課税庁の職員であり、判例では、「客観的な必要性」が要求されることになっているものの、一般に質問検査権の行使にあたって、「○○が問題だから調査をしたい」という明言はなく、「法人税額の計算について確認させてください」という言い方が一般的である。   2 内部監査・会計監査との相違点―税務調査の手法をどう活用するか 以上のことから、税務調査と内部監査・会計監査の相違点をまとめると、以下のようになる。 では、国税調査官ではない者が、上記の手法を取り入れ、事前に企業不正の実態をつかむことはできるのだろうか。 (1) 質問検査権に代替する手法はあるか 税務調査が、企業内の不正に対して有効に機能するのは、質問検査権を有した国税調査官が、調査先企業だけでなく、取引金融機関、顧客や調達先といった関係者から、半強制的に資料の提出を求め、事情を聞くことができる点にあることはいうまでもない。 では、業務監査において、こうした手法は取れないだろうか。 不審な商談を発見した場合に、監査対象を組織ではなく、個別商談に絞って、一連の流れを追いかけることはできそうである。 その過程で、担当者が受発信したメールを解析して、発注部門や顧客とのやり取りに不正をうかがわせるものがないかを探り、さりげなく同僚の評判を聞くことも可能であろう。 もちろん、調達先からも取引状況を確認すべきだし、委託倉庫にある商品の現物確認は欠かしてはならない。 また、現金の取扱いが多い部門に関しては、無予告で監査を実施することも検討に値する。 業務に支障が出るような監査は論外としても、例えば、社内の「監査実施基準」の中に、「必要があると認めるときは、予告なしで監査を実施することができる」旨を定めておき、部門長にその方針を説明しておくだけでも抑止効果が期待できるし、実際に一度でも無予告で現金実査や在庫確認を行ったということが分かれば、現場はこれまで以上に緊張感をもって管理に当たるのではないだろうか。 (2) 他社の不正事例を活用する 上述のとおり、国税調査官は、実際の調査を通じて、あるいは税務署内の研修において数多くの脱税事例に触れ、その手口、不正の兆候、不正を立証する手法についての知識と経験を有している。 他社の不正事例を題材にして、不正の手口を知り、それがどのような過程を経て発見につながったのかを検討すること。そして、自社に置き換えて、リスクとそれに対するコントロールを分析して、脆弱な部分を監査対象とすること。 そうした検証作業には、前回紹介した、Think as a fraudster(不正実行者の立場になって考える)という視点が欠かせない。 例えば、循環取引は、今では管理部門の人間なら誰でも知っている用語になっているが、循環取引という不正の手口を知らなければ、どれだけその不正の兆候が目の前にあっても気づくことができないというのは、多くの会計不正に関する調査報告書が教えている。 次回からは、3回にわたって、経営者の不正について、その特徴、税務調査による不正発見のメカニズムを概説し、業務監査部門や外部の職業会計人として、いかにして不正の兆候に気づき、税務調査で発覚する前に不正を根絶するかについて検討する。 (了)

#No. 9(掲載号)
#米澤 勝
2013/03/07

〔税の街.jp「議論の広場」編集会議 連載9〕 個人が太陽光発電装置を取得した場合についての所得税の取扱いについて

〔税の街.jp「議論の広場」編集会議 連載9〕 個人が太陽光発電装置を取得した場合についての 所得税の取扱いについて   税理士 大塚 直子   1  はじめに 平成24年7月から、再生可能エネルギーの固定価格買取制度が開始されることに伴い、平成24年5月29日から、グリーン投資減税の対象設備の定義が変わり、太陽光・風力発電設備については、所定の要件を満たせば、取得価額を初年度に即時償却できるようになった。 太陽光・風力発電設備については、初年度に即時償却できるようになったこともあり、昨今のエネルギー事情も相俟って、設備メーカーなどが積極的に設置を呼びかけているところでもある。 国税庁の質疑応答事例にも、太陽光発電設備を設置した場合の所得税の取扱いについて、いくつかの事例が掲載されているところ、これらを参考にしながら、個人が太陽光発電装置を取得した場合の所得税の取扱いをまとめてみる。   2 グリーン投資減税について エネルギー環境負荷低減推進税制(以下「グリーン投資減税」という)は、従来の設備取得価額の7%相当額の税額控除制度及び取得価額の30%相当額を限度として償却できる特別償却制度の他に、平成24年度税制改正により新たに取得価額の全額を償却できる即時償却の制度が加わった。 また平成24年度税制改正において、太陽光発電設備は10kW以上で、かつ、再生可能エネルギーの固定価格買取制度の認定を受ける必要があることとされた。 なおグリーン投資減税制度は、青色申告書を提出する個人で事業所得を生ずべき事業を行っている者についてのみ適用がある。   3 所得税の取扱いについて (1) 国税庁の質疑応答事例で例示されている事例 国税庁では、個人が太陽光発電設備を設置し、電力を電力会社に売却した場合の売却収入に係る所得区分及び太陽光発電設備についての減価償却について、いくつかの例をあげて説明している。 回答要旨は以下の通りである。 たとえ全量売電を行っている場合の売電収入も、事業として行われている場合を除き、雑所得に該当 事業として行っている場合や、他の事業所得がありその付随業務として行っているような場合には事業所得に該当すると考えられる 家事用資産として使用し、その余剰電力を売却しているような場合は雑所得 太陽光発電設備は機械装置として、17年の耐用年数で償却 必要経費に算入する減価償却費の額は、発電量のうちに売却した電力量の占める割合を業務用割合として計算する 回答要旨は以下の通りである。 売却した電力の収入はすべて事業所得の付随収入となる 設備は兼用であっても、設備から発電される電力が事業所得を生ずべき業務の用に供されている限り、減価償却資産(事業用資産)に該当 減価償却費は売却した電力量の割合の合計を事業用割合として計算 適用要件に該当する場合、グリーン投資減税の適用を受けることができるが、事業用割合に基づき計算を行う この回答では、上記①において家事用(雑所得)であるとした居住用建物部分に相当する部分に係る売却収入について、これを区分することなく、売却した電力の収入すべてが事業所得の付随収入になるとしている。 回答要旨は以下の通りである。 共用部分で使用した発電は不動産所得の必要経費を少なくする効果 →不動産所得との関連性から不動産所得の収入金額に算入する 特別償却や税額控除は事業所得上の特例(措法10の2の2)につき、不動産所得や雑所得には適用がない 全量売電の場合、不動産所得の関連性が認められないので、事業として行われている場合を除き雑所得 この照会事例は、平成24年度の税制改正を受けて全量売電の場合を含めて回答したものである。 注目すべきは、不動産所得を生ずる資産の上に設置した設備について、その設備である資産から生じた収入については、あくまでもその収入を生じる基因となった事象に基づいて所得を判断するとしたことである。 一見不動産所得を生ずる資産の上に設置したものであるから、不動産所得の付随収入として不動産所得となると思われがちだが、そこは不動産所得との関連性は認められないとされている。 これは賃貸用不動産の上に設置した携帯電話の基地局(アンテナ)等などの設置に係る収入とは異なる。 (2) 国税庁の質疑応答事例で例示されていない場合 上記(1)でみたように、国税庁の質疑応答事例で例示されているものはごく僅かである。 例えば、 ●太陽光発電設備を自らが保有する土地の上に設置した場合 ●太陽光発電設備を賃借した土地の上に設置した場合 などについては、国税庁の質疑応答事例では回答されていない。 以下にこれらについて、国税庁の質疑応答事例を参考に取扱いを考えてみる。 ① 太陽光発電設備を自らが保有する土地の上に設置した場合 国税庁の質疑応答事例でも度々述べられているように、全量売電の場合、事業として行われている場合を除き、雑所得とされている。 どこに設置されていようと、全量売電の場合、事業として行われている場合を除き雑所得に該当するものと考えられる。 この時問題になるのは、事業として行われている場合ということが、具体的にどのような場合をいうのであるか、である。 例えば開業届け等を出し、事業所得としての申告をすれば事業所得になるのかといった疑問がある。売電行為が事業として認められるには、事業の意義にあるとおり、自己の計算と危険において営利を目的として対価を得て継続的に行われていなければならない。 ② 太陽光発電設備を賃借した土地の上に設置した場合 基本的には①と同様であると考える。 昨今、この賃借した土地の上に設置するようなケースにおいては、業者が土地を一括賃借し、代理店が造成及びメンテナンスを行い、区画ごとに投資家を募りその投資家に区画を再転貸するようなケース(すべてがパッケージ化されており、個人の手間としては、投資することに関する契約に係る部分だけ)もあるようである。 このようなケースにおいては、投資家である個人について、その投資資金が太陽光発電設備の取得に充てられようとも、その行為から生ずる所得が事業所得であるとは言い難いと考える。当然事業所得でなければ、グリーン投資減税の適用はない。 上記に見たように、太陽光発電に係る売電収入については、事業所得に該当するか否かでグリーン投資減税の適用の有無が異なり、また事業所得に該当すれば当然他の所得との通算が可能となることから、事業所得に該当するか否かで税務上は大きく取扱いが異なることとなる。 事業所得に該当するか否かについては、裁判例も多くあり度々議論になる部分である。今ひとつ踏み込んだ照会事例が欲しいところである。 (了)

#No. 9(掲載号)
#大塚 直子
2013/03/07

平成25年4月1日以降に適用される会計基準等のポイント

平成25年4月1日以降に適用される 会計基準等のポイント   公認会計士 阿部 光成   平成25年4月1日以降適用の会計基準等としては、次のものがあげられる。 本稿ではこれらの概要を述べており、適用忘れのないように注意が必要である。 なお、文中意見にわたる部分については私見であることをあらかじめ申し添える。 平成24年12月21日、企業会計審議会監査部会は「監査における不正リスク対応基準(仮称)の設定及び監査基準の改訂について(公開草案)」を公表している。 同公開草案は平成26年3月決算に係る財務諸表の監査から実施することを予定しているが、監査に関する基準であるので、本稿には含めていない。 また、平成25年1月11日、企業会計基準委員会は「企業結合に関する会計基準(案)」及び関連する他の会計基準等の改正案を公表している。 同公開草案は、適用時期について、基本的に平成27年4月1日以後開始する連結会計年度の期首からとすることを予定しているので、本稿には含めていない。   Ⅰ 一定の要件を満たす特別目的会社に係る取扱い 1 概要 「連結財務諸表制度における子会社及び関連会社の範囲の見直しに係る具体的な取扱い 三」に定められる特別目的会社の取扱いを一部見直している。 すなわち、一定の要件を満たす特別目的会社については、当該特別目的会社に対する出資者及び当該特別目的会社に資産を譲渡した会社の子会社に該当しないものと推定するとされているが、当該取扱いを会計基準の中で定めることとし、また、当該取扱いは資産の譲渡者のみに適用されることとしている。 関連して、「連結財務諸表に関する会計基準」注11-2、注16が改正されている。 本改正により影響を受ける企業は、特別目的会社を利用している企業になるので、事業会社全般に影響を与えるものではないと思われる。 2 連結の範囲に含まれる企業の明確化 商法上の匿名組合出資について、営業者及び匿名組合が、いずれも匿名組合員の子会社に該当する場合において、当該匿名組合の事業を含む営業者の損益のほとんどすべてが匿名組合員に帰属するようなときは、営業者ではなく匿名組合自体を連結の範囲に含めることが適当であるとされている(「投資事業組合に対する支配力基準及び影響力基準の適用に関する実務上の取扱い」(実務対応報告第20号)Q1のA3)。 3 適用時期等 平成25年4月1日以後開始する連結会計年度の期首から適用する(連結会計基準44-4(1)。早期適用可)。 適用初年度における経過的な取扱いが規定されているので、適用に際しては注意が必要である(連結会計基準44-4(3)、(4)及び(5))。   Ⅱ 退職給付会計 1 従来の会計基準からの改正点 (1) 未認識数理計算上の差異及び未認識過去勤務費用の処理方法 ① 貸借対照表上での取扱い 未認識数理計算上の差異及び未認識過去勤務費用を、税効果を調整の上で(連結)貸借対照表の純資産の部(その他の包括利益累計額)で認識し(退職給付会計基準24、25)、積立状況を示す額をそのまま負債(退職給付に係る負債)又は資産(退職給付に係る資産)として計上する(退職給付会計基準13)。 ② 連結損益計算書及び包括利益計算書(又は損益及び包括利益計算書)上での取扱い 未認識数理計算上の差異及び未認識過去勤務費用の費用処理方法については従来と同様に、平均残存勤務期間以内の一定の年数で規則的に費用処理する。 ただし、数理計算上の差異及び過去勤務費用の当期発生額のうち、費用処理されない部分についてはその他の包括利益に含めて計上し、その他の包括利益累計額に計上されている未認識数理計算上の差異及び未認識過去勤務費用のうち、当期に費用処理された部分についてはその他の包括利益の調整(組替調整)を行う(退職給付会計基準15)。 ③ 個別財務諸表における当面の取扱い 個別財務諸表においては、当面の間、上記の「①貸借対照表上での取扱い」及び「②ただし書き」の改正を適用しないで、改正前会計基準等の取扱いを継続する(退職給付会計基準39)。 (2) 退職給付債務及び勤務費用の計算方法 ① 退職給付見込額の期間帰属方法の見直し 退職給付見込額の期間帰属方法として、次の方法の選択適用を行う(退職給付会計基準19)。 (a) 期間定額基準 (b) 給付算定式基準(退職給付制度の給付算定式に従って各勤務期間に帰属させた給付に基づき見積った額を、退職給付見込額の各期の発生額とする方法)   なお、この方法による場合、勤務期間の後期における給付算定式に従った給付が、初期よりも著しく高い水準となるときには、当該期間の給付が均等に生じるとみなして補正した給付算定式に従わなければならない。 ② 割引率の見直し 割引率は、退職給付支払いごとの支払見込期間を反映するものでなければならず、例えば、退職給付の支払見込期間及び支払見込期間ごとの金額を反映した単一の加重平均割引率を使用する方法や、退職給付の支払見込期間ごとに設定された複数の割引率を使用する方法が含まれる(退職給付適用指針24)。 ③ 予想昇給率の見直し 退職給付見込額の見積りにおいて合理的に見込まれる退職給付の変動要因には「予想される」昇給等が含まれる(退職給付会計基準注5)。 (3) 開示の拡充 退職給付債務や年金資産の増減の内訳など、開示項目が拡充される(退職給付会計基準30。退職給付適用指針の開示例参照)。 (4) その他 上記のほかに、次の事項が規定されている。 ① 複数事業主制度の取扱いの見直し ② 長期期待運用収益率の考え方の明確化 ③ 名称等の変更 退職給付会計基準に関連する税効果会計の取扱いについては、「税効果会計に関するQ&A」Q15が新設されている。 2 適用時期等 退職給付会計基準は、平成25年4月1日以後開始する事業年度の年度末に係る財務諸表から適用する。ただし、平成25年4月1日以後開始する事業年度の期首から適用できる(退職給付会計基準34)。 ―適用時期一覧―  (了)

#No. 9(掲載号)
#阿部 光成
2013/03/07

会社が取り組む社員の健康管理【第1回】「健康管理を規定する法令」

会社が取り組む 社員の健康管理 【第1回】 「健康管理を規定する法令」   社会保険労務士 佐藤 信   1 はじめに 働き方の多様化が進む中で、長時間労働に伴う脳・心臓疾患や精神障害の増加など労働者の生命や生活に関わる問題が注目され、労働環境の改善が、健康で安全な社会を作るための企業貢献として高く評価されるようになってきた。 職業性疾病や災害性疾病の予防対策はもとより、働く人の生活習慣病の予防を中心にした健康作り対策、メンタルヘルス対策を積極的に推進していくことがより大切になっている。 そこで、当連載では会社が取り組む社員の健康診断の実施方法や注意点、健康の保持増進措置、安全衛生管理体制の整備等について取り上げていくこととしたい。   2 労働者の健康管理に関する法令の定め 労働安全衛生法やその他の法令において、労働者の健康管理に関するルールが定められ、また、労働契約法では「使用者は、労働契約に伴い、労働者がその生命、身体等の安全を確保しつつ労働することができるよう、必要な配慮をするものとする。」とし、労働者に対する安全配慮義務(健康配慮義務)を明文化している。 労働契約法には罰則がないが、安全や健康への配慮を怠った場合、 などを根拠に、使用者に多額の損害賠償を命じる判例が多数存在する。 まずは会社がどのような措置を講じていくべきかを把握し、健康障害・死亡事故等が生じた後で「そのような規定があることは知らなかった」となることのないよう気を付けたい。 以下、「健康管理」について規定された主な法令を紹介していくこととする。 (1) 労働安全衛生法 作業環境の管理、健康管理、労働衛生教育等について定められているが、例えば、健康管理は、健康診断の実施項目やその結果に基づく事後措置、健康測定結果に基づく健康指導まで含めた広い内容について規定されているため、会社は「健康診断を実施している」というだけでは足りず、必要に応じ事後措置等もとっていかなければならない。  ※健康診断や健康の保持増進措置の詳細については、第2回以降にて掲載予定。 (2) 労働時間等設定改善法(労働時間等の設定の改善に関する特別措置法) 労働時間、休日数などを設定する際に労働者の健康と生活に配慮するとともに、多様な働き方に対応したものへ改善することなどが定められ、事業主の責務として次の事項が掲げられている。 こちらは努力規定であるが、働き方を見直しながら休暇を取得しやすい職場環境(参考:年次有給休暇の取得率は依然として5割を下回っている)や長時間労働を抑える措置を講じていくことが望ましい。 (3) 労働基準法 労働基準法では、労働時間の上限(1日8時間、1週40時間)や、確保しなければならない休日数(1週間に1日又は4週間に4日)、年次有給休暇の付与など労働条件の最低限のルールが定められている。 長時間労働は、健康障害を生じさせる要因のため、過重労働が恒常的に行われている職場では労働時間短縮、休日増に向けた施策を講じておきたい。 なお、労働時間については一定の手続により弾力的な運用(変形労働時間制という)が認められているため、業務の繁閑が見込まれる職場の場合は、変形労働時間制を採用することで繁忙期は労働時間を長めにし、閑散期は労働時間を短かく設定することも可能となる。 総労働時間の短縮策の1つとして、検討の余地があると思われる。 その他、労働基準法では次の保護規定が設けられており、母性健康管理のための措置も講じていかなければならない。   (4) 男女雇用機会均等法(雇用の分野における男女の均等な機会及び待遇の確保等に関する法律) 男女雇用機会均等法における母性健康管理の規定としては次のものがあり、上記労働基準法上の措置と併せて配慮を要する。 第1回は健康管理に関する主な規定等について概要を触れたが、これらは法令にあわせて単に就業規則を整備しただけで実態が伴わないことも十分に考えられる。 適正に運用するためにも各労働者への周知、協力体制の構築、相談窓口の設置など、実際に健康障害の防止、健康保持増進につなげていくことを見据えた上で社内ルールの整備を進めておきたい。 次回以降は健康診断等について記載し、健康診断の内容や検査項目、具体的な実施の流れ(会社で行う準備等)について触れることとする。 (了)

#No. 9(掲載号)
#佐藤 信
2013/03/07

改正高年齢者雇用安定法の実務上の留意点 【第1回】「法改正のポイントと雇用確保措置の整理」

改正高年齢者雇用安定法の 実務上の留意点 【第1回】 「法改正のポイントと 雇用確保措置の整理」   社会保険労務士 平澤 貞三   法律の改正点 希望者全員の65歳までの安定した雇用確保を目的とした「高年齢者等の雇用の安定等に関する法律の一部を改正する法律」(以下「改正高齢法」)が、平成25年4月1日付で施行となる。 法律の改正点は、以下のとおりである。   高齢法9条の整理 今回の改正の目玉は、継続雇用制度の対象者を限定できる仕組みの廃止である。 この仕組みの廃止は、平成18年度以降適用されている高年齢者雇用確保措置(高齢法9条)に関する改正であるが、今回の改正の趣旨を理解するために、まず改正前高齢法9条との新旧を比較し、内容を整理しておく必要がある。 上記2項の「事業主は、労働者の過半数~」と触れているところが、いわゆる「継続雇用制度の対象者を限定できる仕組み」の部分である。 現在、多くの企業で採用されている雇用確保措置は、1項2号の継続雇用制度の導入であり、具体的には嘱託再雇用制度である。 高齢法の狙いの一つは、60歳以降の無年金、無収入者を出さないこと、つまり、65歳までの安定した雇用確保であるが、これには経済界の強い反発もあり、平成18年成立の現行法においては、再雇用基準を設けることで継続再雇用する人間を限定できる仕組みを容認した格好になっている。 つまり、現行法では嘱託再雇用できる人間を選別できる制度があり、これが高齢法9条2項「継続雇用制度の対象者を限定できる仕組み」として反映されているのである。 今回の改正では、9条1項はそのままに、従来の2項(継続雇用制度の対象者を限定できる仕組み)は削除、新たな2項及び3項が追加となった。 次回では、「継続雇用制度の対象者を限定できる仕組みの廃止」の具体的な内容について触れていくこととする。 (了)

#No. 9(掲載号)
#平澤 貞三
2013/03/07

誤りやすい[給与計算]事例解説〈第9回〉 【事例⑬】退職後に支給する給与 ・ 【事例⑭】銀行口座への振込支給

誤りやすい [給与計算] 事例解説 〈第9回〉   税理士・社会保険労務士  安田 大   (4 控除額の計算―源泉所得税) 【事例⑬】―退職後に支給する給与― 〔正しい処理〕 〔解   説〕 1 源泉徴収税額表の適用 源泉徴収税額表には、月額表と日額表があり、日額表は、日払いや週払いの場合に使用することになり、月払いの場合には、月額表を使用することになる。 月額表には、甲欄と乙欄があり、「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」が提出されている場合には甲欄を、提出されていない場合には乙欄を使用する。 2 扶養控除等申告書の効力 扶養控除等申告書については、原則として退職により効力を失うことになる。 そのため、扶養控除等申告書を提出して給与の支払いを受けていた従業員が退職し、給与の締日の関係で、退職後に給与の支払いが生じるような場合については、扶養控除等申告書が提出されていない場合に該当するので、乙欄を適用して源泉徴収税額を算定することになる。 3 例外的取扱い その退職後、その年中に退職した者に給与等の追加払い等をする場合、その追加払い等をする時において、他の給与等の支払者に扶養控除等申告書を提出していないことが明らかなときは、扶養控除等申告書が、退職後も引き続き効力を有するものとして甲欄を適用して計算して差し支えない、こととされている。 したがって、4月25日の時点で他の給与等の支払者に扶養控除等申告書を提出していないことが明らかなときは、甲欄により源泉徴収をすることができるが、4月25日の時点で他の給与等の支払者に扶養控除等申告書を提出していることがわかっている場合はもとより、不明である場合についても、甲欄により源泉徴収をすることはできない。    5 差引支給額 【事例⑭】―銀行口座への振込支給― 〔正しい処理〕 〔解   説〕 1 通貨払いの原則 労働基準法上、給与の支払いは通貨(貨幣)で行わなければならないこととされている。いわゆる現物給与として、通貨以外のモノで支給することは、原則として禁止されている。 ただし、労働協約で定めれば賃金の一部の現物支給が可能である。 2 銀行口座振込の取扱い 給与の銀行口座への振込みについては、 ① 本人の同意を得る ② 本人の指定する口座への振込みとする ③ 給与支給日当日の午前10時頃までに全額が引き出せる ことを条件として認められている。 したがって、本人の同意を得て、本人の指定する銀行口座に振り込む必要があり、会社が一方的に振込先の銀行を指定することはできない。 (了)

#No. 9(掲載号)
#安田 大
2013/03/07

親族図で学ぶ相続講義【第3回】「数次相続と遺産分割(その2)」

親族図で学ぶ相続講義 【第3回】 「数次相続と遺産分割(その2)」 司法書士 Wセミナー専任講師 山本 浩司 では、前回(2013年2月7日 No.5)の続きです。 みなさんの税理士事務所に、被相続人の甲野太郎が所有していた「X不動産の名義を甲野一郎にしたい」という依頼があったらどうするか。 本問は「数次相続」の案件ですから、「相続は1件ずつ」という原則に従って考えることになります。 では、まず、第一の相続(平成24年3月20日に甲野太郎が死亡)について検討しましょう。 依頼者の要望に応えるためには、第一の相続においてX不動産を甲野一男に相続させなければなりません。 いろいろと手はあるのですが、今回の講義では遺産分割の方法によってこのことを実現させてみましょう。 まず、基本からお話します。 遺産の分割は、「共同相続人」がすることができます(民法907条1項)。 ここに、共同相続人とは「相続人全員」のことを意味します。 仮に、相続人の一部を欠いて遺産分割をすると、その遺産分割は「無効」です。 このことも実務上、とても重要な話ですから注意しておきましょう。 さて、甲野一郎の「共同相続人」は、甲野花子(配偶者)と甲野一男(養子)です。 問題は、甲野一男がすでに死亡していることですね。 そして、甲野一男の死後に、甲野花子(配偶者)と甲野一男(養子)の遺産分割をする方法があるのか、ということが問題になります。 甲野一男の生前であれば、甲野花子(配偶者)と甲野一男(養子)で遺産分割をして、X不動産を甲野一男の所有とすることは、両者の合意があれば至極カンタンな話でありました。 では、甲野一男の死後はどうか。 ここで、「甲野一男は、甲野太郎の遺産の分割をすることができた」という法律上の地位は、甲野一男の死亡によって「どこへ行ったのか」が問題になります。 次の基本条文の中に、その答えがあります。 相続の効果は「包括承継」といわれており、相続人は、被相続人の財産に属した「一切の権利義務」を承継します。 ですから「甲野一男は、甲野太郎の遺産の分割をすることができた」という法律上の地位もその相続人に承継されます。 つまり、甲野一男の財産法上の地位は、すべて次の3名に承継されるわけです。 以上で答えが出ました。 次の内容の遺産分割を行えば、第一の相続においてX不動産を甲野一男に相続させることができます。 以上で、第一の相続については決着しますが、本事例においては一つ特殊事例があります。 というのは、上記の登場人物のうち、甲野一男(平成11年生まれ)と甲野次男(平成13年生まれ)は、どう見ても未成年者(中学生になるかならないかという程度)ですね。 そこで、次のように修正しましょう。これによって実際に使える遺産分割協議書となります。 以上で、第一の相続で甲野一郎にX不動産を相続させることに成功しました。 次回は、第二の相続では、どうすればX不動産を甲野一郎に相続させることができるかという問題です。 この点は、次回のお楽しみとしましょう。 (了)

#No. 9(掲載号)
#山本 浩司
2013/03/07

〔知っておきたいプロの視点〕病院・医院の経営改善─ポイントはここだ!─ 【第3回】「DPC/PDPSとは何か?」

〔知っておきたいプロの視点〕 病院・医院の経営改善 ─ポイントはここだ!─ 【第3回】 「DPC/PDPSとは何か?」   東京医科歯科大学医学部附属病院 特任講師 井上 貴裕   連載第2回では外来診療を取り上げたが、第3回では、診療収益の7割を支える入院の診療報酬で注目されるDPC/PDPSについて解説する。   1 DPC/PDPSとは DPC(Diagnosis Procedure Combination)は、多様な患者を臨床的な視点から分類したものであり、D(Diagnosis)は傷病名などの診断名を意味しており、P(Procedure)は手術・処置等の診療行為であり、その組み合わせ(Combination)により構成されている。 つまり、どのような病名の患者に対して、どのような診療行為を行ったかを組み合わせたものである。 このDPCは急性期入院医療の包括払いに用いられていることから、DPC/PDPS(Diagnosis Procedure Combination Per Diem Payment System)と呼ばれているが、同質的な患者をグルーピングしているため、診療ベンチマークにも積極的に活用されており、医療の質や効率性の比較を一定程度行うことが可能となる(図表1)。 図表1 診断群分類の仕組み このDPC/PDPSは、急性期入院医療における診療報酬の評価として、2003年(平成15年)に導入され、当初は特定機能病院等82施設のみが対象とされたが、現在は1,500を超える病院が当該制度での診療報酬の支払いを受けている。 なお、DPCは大規模病院だけに適用されていると思われがちである。 確かに、2006年度DPC対象病院までは大規模病院が中心だったが、今日では中小規模の病院も多数参加している。 図表2に示すように、全体でみると200床未満の病院が3割を占めている。 図表2 DPC対象病院の病床数の現状 出所:厚生労働省 中央社会保険医療協議会 総会第222回をもとに作成   2 入院診療単価に占めるDPC包括部分の割合 DPCは急性期入院医療の包括評価に用いられているが、急性期病院の入院収入のすべてが包括払いというわけではない。図表3に示すように、この包括評価の範囲には、いわゆるホスピタルフィー的要素といわれる、入院基本料、検査、画像診断、投薬、注射、1,000点未満の処置料等が含まれている。 それに対して、いわゆるドクターフィー的な要素として、手術料、麻酔料、放射線療法、カテーテル検査、1,000点以上の処置料等があり、これらは出来高評価になっている。 一般的には入院診療単価が高い病院ほど包括収入の割合が低く、出来高収入の割合が高い傾向がある。 図表3   3 在院日数の短縮が入院診療単価向上の鍵 包括評価の範囲については、診断群分類ごとの1日当たり点数によって決定されている。原則的な包括評価の方法では、入院日数に応じて3段階に設定されている。 上記図表3に示すように、入院期間Ⅰは入院日数の25パーセンタイル値であり、ここまでは全国のDPC対象病院の平均点数に15%が加算され、高い入院診療単価が期待できる。また25パーセンタイル値から平均在院日数までの入院期間Ⅱは、平均在院日数まで入院した場合の1日当たり点数の平均点が1日当たり平均点を段階を設けずに設定した場合と等しくなるように設定されている。 つまり、図表3のAとBの面積が等しくなるように、入院期間Ⅱの点数は決定されていることになる。 さらに入院期間Ⅱを超えると15%の減算が行われ、平均在院日数から標準偏差の2倍を超える入院期間Ⅲを超える期間には出来高算定が行われる仕組みになっている。在院日数を短縮することが高い入院診療単価につながるので、DPC/PDPSの環境下ではクリニカル・パス等を活用しながら、在院日数を短縮する病院の取組みが評価される。 (了)

#No. 9(掲載号)
#井上 貴裕
2013/03/07

事例で学ぶ内部統制【第13回】「運用評価でエラーが発生した場合の再評価時の対応」

事例で学ぶ内部統制 【第13回】 「運用評価でエラーが発生した場合の 再評価時の対応」   株式会社スタンダード機構 代表取締役 島 紀彦   はじめに 今回は、PLCの運用評価をめぐる3つ目のテーマとして、運用評価でエラーが発生した場合に、各企業が再評価でどう対応しているのか、その工夫の実例を取り上げる。 筆者(株式会社スタンダード機構)主催の実務家交流会では、1回目の運用評価でエラーが発生した場合、再運用評価を行うまでの待機日数、再運用評価で抽出するサンプル件数、エラーの重要性に対応した再運用評価のあり方について意見交換を行った。 各社の創意工夫を見てみよう。   再運用評価を行うまでの待機日数の事例 議論に入る前に、用語の意義を確認しておきたい。 実施基準では、内部統制の不備又は内部統制の開示すべき重要な不備という用語が登場し、“エラー”という用語は使われていない。 実務では、音感に強い否定的な響きを持つ不備という言葉を避けて、エラーという用語が人口(じんこう)に膾炙(かいしゃ)している。 本稿でも、実務の慣例に従い、不備をエラーと呼ぶこととするが、その意味するところは不備と同じである。 では、1回目の運用評価でエラーが発生した場合、エラーの原因を分析して改善し、改めて再運用評価を行うまでにどれくらいの日数を空けているのだろうか。 これが、再運用評価を行うまでの待機日数の問題である。 意見交換をしてみると、参加企業の対応は、大きく3つに分かれた。 いずれも内部統制の年間スケジュール、運用評価のサンプルの対象期間、サンプル件数という他のテーマにおける対応と密接に関連していた。 総括を先取りすれば、待機日数の設定の方法が企業間で大きく異なっている。 その差は内部統制のモニタリングの根幹である運用評価のスケジュール、ひいては内部統制監査の業務負荷に影響を与える要因になる。 そこで、複数の参加企業が、「他社事例を参考に待機日数を監査法人と協議したい」と、待機日数の問題を内部統制の制度運用に関する協議の俎上に載せる考えを示した。 【パターン1】 コントロールの発生頻度毎に待機日数を決めるアプローチ 参加企業Aは、「エラーとなったコントロールが、改善され有効に運用されていると結論づけるため、コントロールの発生頻度毎に改善日後のコントロール運用期間を確保している。これが、議論になっている待機日数になる。待機日数の数え方は、コントロールの改善完了日から再運用評価の対象となる最初のサンプルが発生する最も古い日までの日数を数えている」(商社)と、その待機日数を次のようにまとめた。 参加企業Bも、「A社さんと同じように、コントロールの発生頻度毎に、改善後に一定の待機日数を確保しているが、個別の待機日数は違っている。最初の運用評価で月次や四半期次のコントロールに求められるサンプル件数が他社さんよりも多く、それぞれ3件と2件なので、エラーが発生した場合の待機日数も長くなってしまう。なお、待機日数の数え方はA社さんと同じで、起算日は改善完了日にしている」(運輸)と、次のような待機日数を確保していた。 参加企業が設定した個々の待機日数は一様でないが、いずれも1回目の運用評価で抽出するサンプル件数やサンプルの対象期間との整合性を図っていた。 【パターン2】 年間スケジュールを運用評価と再運用評価に分けるアプローチ コントロールの発生頻度毎に待機日数を決めるのではなく、内部統制の運用評価の年間スケジュールにおいて、期初から起算した一定期間を1回目の運用評価期間として運用評価を行い、エラーが発生した場合は、1回目の運用評価期間の半分以上を目安に再運用評価期間を設定するアプローチである。 この類型においても、多種多様な形態が報告された。例えば、3月決算を前提に報告された事例は次のとおりである。 参加企業Cは、「内部統制の年間スケジュールにおいて、4月から9月までを1回目の運用評価期間として運用評価し、エラーが発生した場合に、10月から12月までを再運用評価期間としている。10月以降で必要なサンプル件数がそろえば、随時再運用評価を始める」(航空会社)と話した。 参加企業Dは、「C社さんと同じく、年間スケジュールを大きく2つに分けて対応しているが、待機日数は意識している。4月から9月までを1回目の運用評価期間として運用評価し、エラーが発生した場合に、原則として3ヶ月間の待機日数を確保し、その運用実績に基づき、1月から3月までを再運用評価期間としている」(部品メーカー)と話した。 【パターン3】 待機日数を定めないアプローチ 参加企業Eは、「待機日数についてマニュアルで定めていない。再運用評価が可能なサンプル件数がそろう時点で適宜再運用評価を開始し、年度末までに完了している。これまでの実績では、だいたい68日間だった。」(建設会社)と、待機日数に無頓着であった。   再運用評価で抽出するサンプル件数の事例 次に、各社は再運用評価で抽出するサンプル件数をどのように設定しているのかを議論した。 この議論の要点は、最初の運用評価と同じ件数か否かという点に絞られ、その対応は2つに分かれた。 【同じサンプル件数を抽出するアプローチ】 再運用評価で1回目の運用評価と同じサンプル数を抽出する方法である。 前出の参加企業Cは、「日次コントロールの1回目の運用評価で25件であれば、再運用評価でも改めて25件抽出している」と話した。 【異なるサンプル件数を抽出するアプローチ】 再運用評価で1回目の運用評価よりも多い又は少ないサンプル数を抽出する方法である。 複数の参加企業が、「一会計期間で200件以上日常反復継続的に発生するコントロールでエラーが出た場合、再運用評価では25件でなく改めて40件抽出している」と、サンプル件数を増やしていた。 参加企業Fは、「日次コントロールの再運用評価では、25件でなく15件に限定して抽出しているが、皆さんの話を聞いておかしいと感じたので、監査法人に確認する」(小売)と、議論を契機にサンプル件数の見直しを検討し始めた。   エラーの重要性に対応した再運用評価のあり方 待機日数やサンプル件数の他に、各社はどのような工夫をしているのだろうか。 筆者が、「1回目の運用評価で発生したエラー件数に応じて再運用評価のやり方を変えているか」と質問したところ、いずれの参加企業も、エラー件数に応じてやり方を変えることはないとの意見で一致した。 参加企業Gは、「エラーの件数よりも、エラーの内容に応じてコントロールオーナーに対して要請する是正措置を変えている。軽微なエラーと判断する場合は、待機期間後に再運用評価を行うが、重要なエラーと判断する場合は、リスクコントロールの再構築を要請して、整備状況の有効性を確認してから、改めて運用評価を行っている」(情報通信)と話した。 では、そのエラーが軽微なのか重要なのかを判断する基準とは、何であろうか。 次回は、エラーの重要性を掘り下げながら、開示すべき重要な不備の判断をめぐる実務の実態を紹介する。 (了)

#No. 9(掲載号)
#島 紀彦
2013/03/07
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