公開日: 2013/05/02 (掲載号:No.17)
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〔知っておきたいプロの視点〕病院・医院の経営改善─ポイントはここだ!─ 【第7回】「診療密度の意味するところ」

筆者: 井上 貴裕

〔知っておきたいプロの視点〕

病院・医院の経営改善

─ポイントはここだ!─

【第7回】

「診療密度の意味するところ」

 

東京医科歯科大学医学部附属病院
特任講師 井上 貴裕

 

1 診療密度とは

2012年度診療報酬改定においてDPC/PDPSにおいて基礎係数が導入され、医療機関群の設定が行われた。このことは、一見するとDPC対象病院だけが影響を受けるものと捉えがちであるが、医療政策のメッセージが散りばめられており、あらゆる病院にとって注目すべき事項が含まれている。

本稿では、Ⅱ群に入るための実績要件の1つである診療密度について取り上げ、これからの病院経営を考えていく。

診療密度は、1日当たり包括範囲出来高換算点数によって評価されている。
これは、DPC/PDPSにおける包括評価の範囲内でどのくらいの医療資源を投入したかが反映されたものであり、入院中に検査や投薬などを実施した場合に密度が濃いという判定がなされる。

この考え方について、DPC/PDPSの効率化を促すという趣旨に反するものであり、適切な評価ではないという批判もある。ただし、粗診粗療を防ぐことも包括払いにとっては重要な課題であり、急性期病院らしく重症患者を受け入れていれば、密度は濃くならざるを得ないと捉えることもできる。

つまり、中小規模の地域一般的な病院や大規模であっても地域全体から患者を受け入れる地域独占型の病院では、軽症者も多く診ることであろうから、全体としての診療密度は低下することが予想される。

 

2 診療密度に影響を及ぼす要因

① 在院日数の短縮
診療密度に影響を及ぼす要因として、まず在院日数を挙げることができる。

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〔知っておきたいプロの視点〕

病院・医院の経営改善

─ポイントはここだ!─

【第7回】

「診療密度の意味するところ」

 

東京医科歯科大学医学部附属病院
特任講師 井上 貴裕

 

1 診療密度とは

2012年度診療報酬改定においてDPC/PDPSにおいて基礎係数が導入され、医療機関群の設定が行われた。このことは、一見するとDPC対象病院だけが影響を受けるものと捉えがちであるが、医療政策のメッセージが散りばめられており、あらゆる病院にとって注目すべき事項が含まれている。

本稿では、Ⅱ群に入るための実績要件の1つである診療密度について取り上げ、これからの病院経営を考えていく。

診療密度は、1日当たり包括範囲出来高換算点数によって評価されている。
これは、DPC/PDPSにおける包括評価の範囲内でどのくらいの医療資源を投入したかが反映されたものであり、入院中に検査や投薬などを実施した場合に密度が濃いという判定がなされる。

この考え方について、DPC/PDPSの効率化を促すという趣旨に反するものであり、適切な評価ではないという批判もある。ただし、粗診粗療を防ぐことも包括払いにとっては重要な課題であり、急性期病院らしく重症患者を受け入れていれば、密度は濃くならざるを得ないと捉えることもできる。

つまり、中小規模の地域一般的な病院や大規模であっても地域全体から患者を受け入れる地域独占型の病院では、軽症者も多く診ることであろうから、全体としての診療密度は低下することが予想される。

 

2 診療密度に影響を及ぼす要因

① 在院日数の短縮
診療密度に影響を及ぼす要因として、まず在院日数を挙げることができる。

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連載目次

「〔知っておきたいプロの視点〕病院・医院の経営改善─ポイントはここだ!」(全24回)

筆者紹介

井上 貴裕

(いのうえ・たかひろ)

東京医科歯科大学医学部附属病院特任講師、病院長補佐

医療政策学修士(MMA、東京医科歯科大学大学院)、経営学修士(MBA)
医療法人の副理事長、大手監査法人を経て、現在は、長野市民病院、武蔵野赤十字病院、山形県立中央病院、諏訪赤十字病院、君津中央病院等のアドバイザーとして地域中核病院の経営を支えている。
また、東京医科歯科大学医学部附属病院の病院長の経営参謀を勤めている。

【主な著書】
〔清文社〕
・『病院経営』(分担執筆)2010年4月
・『戦略的 病院経営マネジメント~医療の質と経済性の両立をめざす』(編著)2014年6月
〔日本医療企画〕
・『日本の医療関連サービス』2010年5月
・『診療科別・病院経営戦略の理論と実践』、2012年2月
・『診療報酬制度と医業収益』2012年7月
・『だれでもわかる!医療現場のための病院経営のしくみ2』(分担執筆)2011年5月
・『医療経営白書2009年度版~DPC時代の戦略的病院経営~』2009年10月
・『医療経営白書2010年度版~病院グループの戦略的経営』2010年9月
〔メディカ出版〕
・『学び直しのマネジメント基礎科目 国・数・英』2011年12月
・『算定もれ・持ち出しゼロの診療報酬マネジメントBOOK』2012年8月号

 

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