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《速報解説》 改正企業結合会計基準を受け「財務諸表等規則」等の改正が公布~条件付取得対価に係る注記を追加~

《速報解説》 改正企業結合会計基準を受け「財務諸表等規則」等の改正が公布 ~条件付取得対価に係る注記を追加~   公認会計士 阿部 光成   Ⅰ はじめに 平成31年4月26日、「財務諸表等の用語、様式及び作成方法に関する規則及び連結財務諸表の用語、様式及び作成方法に関する規則の一部を改正する内閣府令」(内閣府令第27号)が公布された。これにより、平成31年2月18日から意見募集していた公開草案が確定することになる。 これは、平成31年1月16日に公表された「企業結合に関する会計基準」(改正企業会計基準第21号)などによる条件付取得対価に関する改正を受けたものである。 文中、意見に関する部分は、私見であることを申し添える。   Ⅱ 条件付取得対価に関する改正 財務諸表等規則8条の17第1項8号(取得による企業結合が行われた場合の注記)を次のように改正する(連結財務諸表規則15条の12第1項9号も同様)。   Ⅲ 適用時期等 改正後の府令は公布の日(平成31年4月26日)から施行する。 次のように経過措置が規定されている。 (了)

#No. 316(掲載号)
#阿部 光成
2019/04/26

プロフェッションジャーナル No.316が公開されました!~今週のお薦め記事~

2019年4月25日(木)AM10:30、 プロフェッションジャーナル  No.316を公開! プロフェッションジャーナルのリーフレットは 全国のTAC校舎で配布しています! -「イケプロが実践するPJの活用術」「第一線で活躍するプロフェッションからPJに寄せられた声」を掲載!-   - ご 案 内 - プロフェッションジャーナルの解説記事は毎週木曜日(AM10:30)に公開し、《速報解説》は随時公開します。

#Profession Journal 編集部
2019/04/25

山本守之の法人税“一刀両断” 【第58回】「なぜ休憩スペースがあると外食扱いとなるのか」-軽減税率の判定をめぐる疑問-

山本守之の 法人税 “一刀両断” 【第58回】 「なぜ休憩スペースがあると外食扱いとなるのか」 -軽減税率の判定をめぐる疑問-   税理士 山本 守之   日本の消費税増税がいよいよ2019年10月1日に施行されますが、同日から適用される8%の軽減税率をめぐって、国が定める適用の基準は複雑になっています。 飲食料品やそばの出前、宅配ピザなどは軽減税率8%が適用されるのに対して、スーパーやコンビニで買った弁当を「イートインコーナー」で食べる場合は外食扱いとなるため、標準税率10%が適用されます。さらに、単なる「休憩スペース」がある店で購入する弁当も、そこで食べれば10%、持ち帰れば8%が適用されます。 この場合、実際は品物と金銭を受け渡す段階で「テイクアウト」か「外食」かを選ばなければなりません。そうなると、テイクアウトとして品物を受け取っていながらイートインコーナーか休憩スペースで飲食をしたら、取扱いはどうなるのでしょうか。 答えとしては、品物を受け取った段階では持ち帰りとしても、その後に外食に変えれば、外食扱いとして10%が適用されます。 平成30年11月に国税庁が改訂した「消費税の軽減税率制度に関するQ&A(個別事例編)」のQ&A46では、次のように定めています。 (スーパーマーケットの休憩スペース等での飲食) 売場にイスがあれば、一般的には「お休みください」という意味であり、必ずしも「外食」で使用するとは限りません。上記のQ&Aでは、設備の有無で「外食」と決めつけてしまっています。 また、Q&A47では、次のように書かれています。 (飲食可能な場所を明示した場合の意思確認の方法) テーブルやイスを置きながら「飲食はお控えください」という意味は分かりかねます。「飲食設備」があることで「外食」という判断はいかがなものでしょうか。 さらに、Q&A48は次のようになっています。 (イートインスペースで飲食される物の限定) フランスでは、軽減税率は5.5%、外食は10%の取扱いとなっていますが、品物を渡すときに「テイクアウトか外食か」を客に選ばせ、テイクアウトであれば品物を紙に包み(5.5%)、外食であればトレーにのせてくれます(10%)。 しかし日本では、コンビニなどでイートインコーナーはなくとも休息スペースはあるという場合に「飲食はお控えください」と掲示をした上で、実際に客に飲食させていなければ一律8%とし、客への意思確認は不要だとしています。 問題は、品物引渡し時に「テイクアウト」としながら店で食べると脱税になるのか、また、引渡し時の判定でいいのかということです。 フランス方式でいえば、品物の引渡し時にはテイクアウトと意思表示したものの、店内で飲食(外食)してしまったという場合です。日本方式では「税を免れる」と言うそうですが、フランス方式では品物の引渡し時に判定を行うのだから問題にしないという考え方もあります。 休憩スペースがあるということは、そこで休んだり、飲食したりすることも許されるということであり、税の問題にはならないという考え方はできないのでしょうか。「疲れたからイスに座って休む」、「イスに座って楽しい時間を過ごす」ということは、人として自然な行動ではないでしょうか。 「店に飲食コーナーがあれば、そこでの飲食は10%となる」、「休憩タイムにイートインコーナーを利用すれば外食になる」という単純な考え方でいいのでしょうか。 イスとテーブルがあるか否かだけではなく、「判定は引渡し時に決めるので、その後は問題にしない」という考え方が日本でもできるはずです。 (了)

#No. 316(掲載号)
#山本 守之
2019/04/25

谷口教授と学ぶ「税法の基礎理論」 【第10回】「租税法律主義と実質主義との相克」-税法の目的論的解釈の過形成②-

谷口教授と学ぶ 税法の基礎理論 【第10回】 「租税法律主義と実質主義との相克」 -税法の目的論的解釈の過形成②-   大阪大学大学院高等司法研究科教授 谷口 勢津夫   Ⅰ はじめに 第7回では、税法の目的論的解釈の過形成①として、外国税額控除余裕枠利用[りそな銀行]事件・最判平成17年12月19日民集59巻10号2964頁を素材にして、課税減免制度濫用の法理を検討し、同法理の下で行われる法創造は租税法規の趣旨・目的の法規範化論ともいうべきものであり租税法律主義の下では許容されない旨を述べた。そこでは、課税減免制度濫用の法理は、課税減免制度の趣旨・目的からいわば「不文の濫用規制要件」ともいうべき法規範を創造し、これを事案に適用して課税減免制度の適用を否認する考え方であることを明らかにした。 今回は、税法の目的論的解釈の過形成に関する研究の一環として、課税減免制度が濫用規制要件を明文で定める場合における当該規定(濫用禁止規定)の解釈適用について、いわゆるヤフー事件・最判平成28年2月29日民集70巻2号242頁を素材にして、検討することにする。なお、以下の叙述は、拙稿「権利濫用」金子宏=中里実編『租税法と民法』(有斐閣・2018年)15頁、25頁以下をベースにして、これに加筆したものである。   Ⅱ ヤフー事件最判の判断枠組み ヤフー事件は、適格合併等について未処理欠損金額の引継ぎを認める課税減免規定(法税57条2項)をその趣旨・目的に反して利用(濫用)しその適用を受けることによる租税回避(税法上の課税減免規定の濫用による租税回避。【66】=拙著『税法基本講義〔第6版〕』(弘文堂・2018年)の欄外番号。以下同じ)を否認するために、濫用禁止規定(法税57条3項、132条の2)を適用することができるかどうかが争われた事件である。 最高裁は、未処理欠損金額の引継ぎの制限規定(法税57条3項)という個別的濫用禁止規定と、組織再編成に係る行為計算否認規定(同132条の2)という包括的濫用禁止規定とを、いわば「重畳的に」適用することができることを前提とした上で、後者の解釈適用に関する判断枠組みについて次のとおり判示した(下線・太字・[]書筆者)。 以上の判断枠組みについて若干の整理・検討を行うと、第1に、❶の下線部は、法人税法132条の2の不当性要件の解釈によって定立された規範であるが、この規範は、不当性要件という規範的要件を、「濫用」という規範的評価を要する要素を含む「濫用要件」ともいうべき規範的要件に言い換えたものと解される。 第2に、❸の下線部は、「『濫用』という用語が抽象的な概念であるため、その意味内容を具体的に敷衍して示したもの」(徳地淳=林史高「判解」法曹時報65巻5号(2017年)1504頁)であり、濫用要件(規範的要件)の評価根拠事実を説示した部分であると解される。したがって、「観点」の中で説示された事実が、(不当性要件の言い換えである)濫用要件に該当する事実(要件事実)であると解される。このことは、この判決における「当てはめ」に関する次の判示(下線・[]書筆者)からも、明らかである。 第3に、この「当てはめ」に関する判示は、裁判官による事実判断の構造のうち「間接事実から要件事実を推認する事実判断の構造」(伊藤滋夫『事実認定の基礎-裁判官による事実判断の構造〔初版補訂〕』(有斐閣・2000年)77頁)を前提とするものと解される。つまり、❸の下線部の「観点」の中で説示された事実が要件事実(主要事実)であり、これを推認させる間接事実が、❷の下線部の「事情」の中で説示された事実であると解されるのである。この点については、「前述[=❷の下線部]の考慮事情の①及び②において、法人の行為・計算が不自然であり、かつ、租税回避以外にその合理的な理由となる事業目的等が存在しない場合には、上記の租税回避の意図の存在[=❸の下線部の前半]を推認し得るのが通常であると解されよう。」(徳地=林・前掲1531頁)と解説されているところである。   Ⅲ 制度濫用基準と経済的合理性基準 ヤフー事件最判の判断枠組みに関する以上の整理・検討を基にして、❸の下線部で説示された「観点」と、❷の下線部で説示された「事情」との内容的関連について、検討しておこう。 ❸の「観点」は、前述したように、「濫用」という抽象的な概念の「意味内容を具体的に敷衍して示したもの」であるから、「観点」の中で説示された内容が「濫用」の具体的内容である。 今回の冒頭に掲げた平成17年最判では、「取引自体によっては外国法人税を負担すれば損失が生ずるだけである」という経済的合理性のない取引によって(外国税額控除の余裕枠の利用による)租税利益を享受しようとすることをもって、「外国税額控除制度を濫用するもの」(制度濫用基準)とされたのであるから、ここでいう「濫用」は、経済的合理性のない取引による租税利益の享受を意味するものと解される。 この意味での「濫用」概念を、ヤフー事件最判のいう「濫用」は継承したものと解される(法税132条の2の不当性要件に係る制度濫用基準)。すなわち、同最判で組織再編税制に係る各規定(具体的には法税57条2項)の「濫用」とされたのも、❸の「観点」の中で示された、経済的合理性のない行為によって(欠損金の引継ぎによる)租税利益を享受しようとすることであると解されるのである。その理由は以下のとおりである。 確かに、❸の「観点」の中で説示された事実は、一見すると、経済的合理性のない行為であるようには思われないかもしれない。しかし、組織再編税制は、「近年、わが国企業の経営環境が急速に変化する中で、企業の競争力を確保し、企業活力が十分発揮できるよう、商法等において柔軟な企業組織再編成を可能にするための法制等の整備が進められてきている。」(税制調査会「会社分割・合併等の企業組織再編成に係る税制の基本的考え方」(平成12年10月3日)第一(1))ことを受けて、税制上も一定の企業組織再編成を経済的合理性のある行為として承認し、その承認のための適格要件を充足する企業組織再編成(適格企業組織再編成)について資産の譲渡損益の課税繰延べ、欠損金の引継ぎ等の措置を講じたものと考えられる。 したがって、❸の「観点」の中で説示された「組織再編税制に係る各規定の本来の趣旨及び目的から逸脱する態様」の行為は、内容的には、経済的合理性のない行為を意味すると解される。つまり、適格要件は、企業組織再編成について税制の観点から「経済的合理性のある行為」と「経済的合理性のない行為」とを切り分けるための要件であるということができるのである。 要するに、❸の「観点」の中で説示された事実は、前述のとおり、濫用要件(規範的要件)の要件事実であるが、この事実は、私人の実際の経済生活における多種多様な経済活動のうち、企業組織再編成という活動の場面における経済的合理性を前提にして、そのような経済的合理性のない行為を表現したものと解されるのである。 そうであるからこそ、従来、法人税法132条1項の解釈適用において経済的合理性の欠如(不当性要件の評価根拠事実=要件事実)を推認させる間接事実として述べられてきた事実が、❷の「事情」の中で説示されたものと解される。法人税法132条1項について、通説は次のように述べている(金子宏『租税法〔第23版〕』(弘文堂・2019年)533頁)。 この見解のいう①と②は、❷の下線部における「①」と「②」の「事情」にそれぞれ対応すると考えられる。 以上のように考えてくると、ヤフー事件最判は、法人税法132条1項の不当性要件に係る経済的合理性基準にいう「不合理、不自然」(最判昭和53年4月21日訟月24巻8号1694頁が是認する札幌高判昭和51年1月13日訟月22巻3号756頁)を要件事実論の観点から分解して、「不自然」を❷の「事情」のうち「①」の中で、「不合理」を❷の「事情」のうち「②」の中で考慮することによって、法人税法132条の2の不当性要件に係る制度濫用基準を、同法132条1項の経済的合理性基準に「接合」しようとしたものと解される(法人税法132条1項と同法132条の2における不当性要件の統一的解釈)。 以上を要するに、ヤフー事件最判が示した制度濫用基準は、経済的合理性基準の一場合であるといえよう。あるいは、経済的合理性基準は制度濫用基準の実質的内容をなすといってもよかろう(【71】)。   Ⅳ おわりに ❷の「事情」に関する以上の理解から、不当性要件=濫用要件の評価根拠事実(要件事実)である経済的合理性の欠如に係る次のような事実判断の構造を導き出すことができよう。 ❷の「事情」のうち、「①当該法人の行為又は計算が、通常は想定されない組織再編成の手順や方法に基づいたり、実態とは乖離した形式を作出したりするなど、不自然なものである」という事情は、経済的合理性の欠如を推認させる間接事実であるのに対して、「②税負担の減少以外にそのような行為又は計算を行うことの合理的な理由となる事業目的その他の事由が存在する」という事情は、上記の推認を覆す事実(積極否認事実)である。 このような事実判断の構造は、❷の「事情」の認定について国(税務官庁)と納税者に対して対等な攻撃防御(主張立証)の機会を保障するものといえよう。このことは、不当性要件について「不当に」という不確定法概念の故に、同要件の趣旨・目的(租税負担の公平の実現)を斟酌した緩やかな解釈(「過形成」)がその余地を生み出す、税務官庁の要件判断に関する裁量に対して、司法的統制を及ぼすことに資するであろう(第4回参照)。 ヤフー事件最判は、以上で述べたとおり、法人税法132条の2の不当性要件に係る制度濫用基準を、同法132条1項の不当性要件について判例が確立してきた経済的合理性基準に「接合」することを前提にして、国(税務官庁)と納税者に対して対等な攻撃防御の機会を保障する事実判断の構造を明確に示すことによって、不当性要件の目的論的解釈の場面で、その過形成に対して「歯止め」をかけ、その目的論的解釈を租税法律主義の下で許容される解釈の枠内にとどめたという意味で、妥当な判断である。 (了)

#No. 316(掲載号)
#谷口 勢津夫
2019/04/25

〈事例で学ぶ〉法人税申告書の書き方 【第37回】「別表6(25) 革新的情報産業活用設備を取得した場合の法人税額の特別控除に関する明細書」

〈事例で学ぶ〉 法人税申告書の書き方 【第37回】 「別表6(25) 革新的情報産業活用設備を取得した場合の 法人税額の特別控除に関する明細書」   公認会計士・税理士 菊地 康夫   Ⅰ はじめに 本連載では、法人税申告書のうち、税制改正により変更もしくは新たに追加となった様式、実務書籍への掲載頻度が低い様式等を中心に、簡素な事例をもとに記載例と書き方のポイントを解説していく。 今回は、前回解説した生産性の向上に関するいわゆる「コネクテッド・インダストリーズ税制(IoT税制)」のうち、特別償却に代えて税額控除制度を適用する場合の「別表6(25) 革新的情報産業活用設備を取得した場合の法人税額の特別控除に関する明細書」の記載の仕方を採り上げる。   Ⅱ 概要 この別表は、青色申告法人で生産性向上特別措置法第29条に規定する主務大臣の確認を受けた場合におけるその革新的データ産業活用を行う事業者(以下「認定革新的データ産業活用事業者」という)であるものが、平成30年改正後の租税特別措置法第42条の12の6第2項(革新的情報産業活用設備を取得した場合の法人税額の特別控除)の適用を受ける場合に作成する。 すなわちこれは、青色申告を提出する認定革新的データ産業活用事業者が、指定期間内(平成30年6月6日から平成33年3月31日までの間)に、特定ソフトウエアの新設又は増設をする場合において、その新設又は増設に係る革新的情報産業活用設備の取得等をして、その事業の用に供したときは、その事業の用に供した日を含む事業年度において、その革新的情報産業活用設備の取得価額の3%又は5%(注)の税額控除ができる制度である。 (注) 平成30年度の税制改正で改組された、いわゆる所得拡大促進税制でいうところの、継続雇用者給与等支給額から継続雇用者比較給与等支給額を控除した金額の継続雇用者比較給与等支給額に対する割合が3%以上である場合には、税額控除割合は5%となる。 この税額控除の対象となる資産(革新的情報産業活用設備)は、前回解説した特別償却の対象資産と同じである。 なお、本税額控除制度は、中小企業者等以外の法人が平成30年4月1日から平成33年3月31日までの間に開始する各事業年度において、研究開発税制等の生産性の向上に関する税額控除制度を適用しようとする場合に、以下の(イ)及び(ロ)の要件のいずれにも該当しない場合には、適用ができないことになっている。詳細は、【第35回】の解説を参考にしていただきたい。   Ⅲ 「別表6(25)」の書き方と留意点 (1) 設例 (2) 今回の別表が適用される事業年度 平成30年6月6日以後終了する事業年度。 (3) 別表の記載例 ※画像をクリックすると、別ページでPDFが開きます。 (4) 別表の各記載欄の説明 〔特定税額控除規定の適用可否〕欄 〔法人税額の特別控除額の計算〕欄 〔継続雇用者給与等支給額及び継続雇用者比較給与等支給額の計算〕欄 〔設備の概要〕欄 (了)

#No. 316(掲載号)
#菊地 康夫
2019/04/25

「税理士損害賠償請求」頻出事例に見る原因・予防策のポイント【事例73(法人税)】 「資本金を1億円に減資し、中小法人になった場合のメリットを聞かれた際、「繰越欠損金を制限なく控除できる」旨の説明を行わなかったため、減資のタイミングが遅れ、繰越欠損金を当期所得の50%しか控除できなくなってしまった事例」

「税理士損害賠償請求」 頻出事例に見る 原因・予防策のポイント 【事例73(法人税)】   税理士 齋藤 和助       《基礎知識》 ◆青色申告書を提出した事業年度の欠損金の繰越し(法法57) 内国法人の各事業年度開始の日前10年(平成29年3月31日以前に開始する事業年度においては9年)以内に開始した事業年度において生じた欠損金額(欠損金の繰戻しによる還付の規定により還付を受けるべき金額の計算の基礎となったものを除く)がある場合において、次の要件を満たす場合には、当該欠損金額に相当する金額は、当該各事業年度の所得の金額の計算上、損金の額に算入する。 ただし、中小法人等以外の法人は、当該各事業年度の所得の金額の100分の50に相当する金額を限度とする。 ◆中小法人等(法法57⑪-) 「中小法人等」とは、各事業年度終了の時において次の法人に該当するものをいう。 ◆資本金を1億円に減資した場合 資本金を1億円に減資し、中小法人等となった場合には、次のような税メリットを受けることができる。       (了)

#No. 316(掲載号)
#齋藤 和助
2019/04/25

収益認識会計基準と法人税法22条の2及び関係法令通達の論点研究 【第2回】

収益認識会計基準と 法人税法22条の2及び関係法令通達の論点研究 【第2回】   千葉商科大学商経学部講師 泉 絢也     第Ⅱ部 法人税法上の収益計上時期・計上額①(概要) 第Ⅱ部では、収益認識会計基準の公表に伴い行われた法人税法等の改正内容を概観する。 1 法人税法の改正内容の概観と留意点 (1) 概観 平成30年度税制改正で創設された法人税法22条の2の細かな適用要件等については第Ⅲ部(連載【第4回】以降)で検討することとし、ここでは、その大まかな規定内容を確認する。 要するに、収益認識会計基準の公表に伴い、 に関する定めが、法人税法22条の2に設けられたのである。 同条の1項では、資産の販売等に係る収益の計上時期について、内国法人の資産の販売若しくは譲渡又は役務の提供に係る収益の額は、別段の定めがあるものを除き、その資産の販売等に係る目的物の引渡し又は役務の提供の日の属する事業年度の所得の金額の計算上、益金の額に算入することを規定している。2項及び3項では、確定決算又は申告調整により、目的物引渡日・役務提供日の近接日に収益計上することを認めている。 国税庁が作成したイメージ図により、法人税法22条の2の規定内容を確認しておく(国税庁「『収益認識に関する会計基準』への対応について~法人税関係」12~13頁)。次のイメージ図は、法人税法22条の2によって、資産の販売等に係る収益の額が、次のいずれかの日の属する事業年度の所得の金額の計算上、益金の額に算入することを表している。 (※) 国税庁ホームページより 次のとおり、資産の販売等についての収益の額は、引渡し等の日又は近接する日において収益経理している場合には、申告調整によりこれらの日以外の日に変更することはできない。 (※) 国税庁ホームページより 4項では、資産の販売等に係る収益の計上額について、別段の定めがあるものを除き、販売若しくは譲渡をした資産の引渡時の価額又はその提供をした役務につき通常得べき対価の額に相当する金額であることを規定している。5項では、この場合の引渡時の価額又は通常得べき対価の額は、貸倒れや買戻しの可能性がある場合でも、その影響を考慮しないことを明らかにしている。 平成30年度税制改正では、上記のほか次の改正もなされている。 (2) 留意点 国税庁は、平成30年度改正を踏まえて、収益の計上時期について、要旨次の留意点を示している(国税庁「『収益認識に関する会計基準』への対応について~法人税関係」14頁)。   2 法人税法施行令の改正内容の概観 法人税法22条の2第7項を受けて定められた同法施行令18の2の細かな適用要件等については第Ⅲ部で検討することとし、ここでは、その大まかな規定内容を確認する。 ※変動対価・・・顧客と約束した対価のうち変動する可能性のある部分。例えば、値引き、リベート、返金、インセンティブ、業績に基づく割増金、ペナルティー等の形態により対価の額が変動する場合や、返品権付きの販売等がこれに該当する(基準50、指針23)。ただし、法人税法施行令18の2の規定において、「変動対価」という語が用いられているわけではない。 (了)

#No. 316(掲載号)
#泉 絢也
2019/04/25

国外財産・非居住者をめぐる税務Q&A 【第28回】「国外居住財産の相続及び譲渡に係る帰国のタイミング」

国外財産・非居住者をめぐる税務Q&A 【第28回】 「国外居住財産の相続及び譲渡に係る帰国のタイミング」   税理士 菅野 真美   - 質 問 - 私X(日本国籍)は8年前に夫Y(外国籍)と外国へ移住しました。今年初めに夫が死亡し、財産はすべて私が相続することになっています。相続する財産は外国の居住用不動産と外国にある預金、日本にある銀行の支店に預けている定期預金ですが、相続税の申告は必要ですか。 また、外国での一人暮らしはとても寂しいので、年末までに家を売却して日本に戻ろうと考えています。帰国のタイミングで課税関係は変わりますか。日本は税金が高いので、何か税金が安くなる規定を利用することはできますか。   ◆ ◆ 解 説 ◆ ◆ ▷相続税の納税義務者 相続税や贈与税の納税義務者の定義については、平成時代において頻繁に改正が行われた。これは、制限納税義務者の場合、相続税課税の対象が国内財産に限定されることを利用して、国内財産を国外財産に転換させて贈与することによる節税策が目立ったことに起因する。 他方、節税防止策を過度に行ったことにより、外国籍の被相続人が相続時に日本に住んでいた場合は、外国居住の外国籍の相続人が取得した国外財産についても相続税が課されるという不合理さが生じた。 そこで現行の税制では、被相続人や相続人が外国籍か日本国籍かにより、日本での相続税の課税範囲が大きく異なり、被相続人も相続人も日本人の場合は、双方とも相続開始前10年超にわたって日本に住所を有していない場合に限り、国内財産のみに相続税が課されることになる(相法1の3①二イ)。 本件の場合、相続人が日本国籍であり、移住してから10年以内に相続が発生していることから、Xは非居住無制限納税義務者となり、Yから相続した全財産を課税対象として、日本での相続税の納税義務が生ずることになる。   ▷小規模宅地等の減額特例の適用可否 本件のように、外国に居住している人で日本に財産がほとんどないとしても、全世界財産について相続税の納税義務が生ずることがある。 相続税の申告にあたって、国外財産の場合は、時価を評価する必要がある。不動産については日本国内のように路線価方式や倍率方式を採用することが難しいことから、相続時点の時価に関する情報を得て評価する必要がある。もし、現地で相続税の申告に類似したものを行い、そこで不動産の価額がわかるならば、その価額を採用することが合理的である(前回参照)。 居住用不動産については、小規模宅地等の減額特例(措法69の4)は、たとえ居住用不動産が外国不動産であったとしても、国内不動産に限定するという制度設計がなされていないため、適用は可能である。本件においては、配偶者Xが相続により居住用不動産を取得することになるので、相続後の居住要件等を満たさなくとも特定居住用宅地等として80%減額を適用することは可能である。   ▷居住者・非居住者の所得課税の範囲 本件において、Xは、日本に帰国するタイミングを見計らって、外国居住用不動産を売却する予定である。外国居住中のXは非居住者(所法2①五)であるが、帰国後は居住者(所法2①三)となるため、所得税の課税範囲が変わる。 非居住者である期間中に売却した場合の譲渡所得は国外源泉所得となることから、日本での課税関係は生じない(所法5②)。しかし、帰国後に売却した場合は、居住者の国外源泉所得であることから課税関係が生ずることになる(所法5①)。   ▷居住用財産を譲渡した場合の3,000万円の特別控除の適用可否 Xが日本へ帰国した後に居住用不動産を売却した場合は、譲渡所得について日本で課税関係が生ずることになるが、外国の居住用不動産を売却した場合の売却益から3,000万円の特別控除(措法35)が適用できるかという論点がある。 居住用不動産の3,000万円控除については、国内の不動産に限ると定められていないので、外国の居住用不動産であったとしても要件を充たす限り、控除は可能である。よってXの外国の居住用不動産の譲渡所得について、3,000万円の特別控除は適用できる。なお、居住用財産を譲渡した場合の長期譲渡所得の課税の特例(措法31の3)については、居住用不動産の範囲が国内財産に限定されている。   ▷相続税の取得費加算特例の適用可否 相続税の申告期限から3年以内の相続財産の譲渡所得の計算については、その譲渡財産に対応する部分の相続税額を取得費に加算して計算することができる(措法39)。この加算の対象となる相続税に係る相続財産については、国内財産に限るという縛りがないことから、外国の相続財産に係るものであっても対象となる。   ▷外国税額控除の適用可否 居住用不動産を外国で譲渡した場合は、日本だけでなく、現地でも課税関係が生ずる可能性がある。この場合、譲渡所得について二重課税となることから、二重課税を避けるためには日本において外国税額控除の適用が必要となる(所法95)。 外国の居住用不動産を譲渡した日の属する年と、譲渡所得について外国所得税を納付することとなる日の属する年が異なる場合、譲渡年に納付した外国所得税額を控除することができない。しかし、国外源泉所得が生じていることから、譲渡年に外国税額控除の控除余裕額を記載した確定申告書を提出した場合、その後3年間、控除余裕額を繰り越すことができる。このため、外国所得税を納付した年において繰り越した控除余裕額を利用して外国税額控除をすることができる場合もある(所法95②)。 なお、以前は当初申告において外国税額控除の控除余裕額を記載しなかった場合は、原則的には外国税額控除は適用できないとされていたが、現在では、修正申告による控除余裕額の記載があった場合においても外国税額控除の適用が可能となっている(所法95⑩)。 【参考】平成30年度税制改正後の相続税及び贈与税の納税義務 (※) 財務省「平成30年度税制改正の解説」P581より   (了)

#No. 316(掲載号)
#菅野 真美
2019/04/25

措置法40条(公益法人等へ財産を寄附した場合の譲渡所得の非課税措置)を理解するポイント 【第9回】「「公益目的事業の用に直接供される」とは①」-賃貸アパートを寄附財産とする場合-

措置法40条(公益法人等へ財産を寄附した場合の 譲渡所得の非課税措置)を理解するポイント 【第9回】 「「公益目的事業の用に直接供される」とは①」 -賃貸アパートを寄附財産とする場合-   公認会計士・税理士・社会保険労務士 中村 友理香   - 質 問 - 現物寄附を行った際、取得価額と時価との差額についてのみなし譲渡課税が非課税となるための条件として、現物寄附を受領する公益法人等への寄附が「寄附があった日から2年を経過する日までの期間内に、当該寄附を受けた法人の公益目的事業の用に直接供される」ことが課されています。 この「公益目的事業の用に直接供される」とは、具体的にどういうことですか。例えば、賃貸アパートを公益法人に寄附した場合、私は租税特別措置法40条の一般特例の適用を受けることができるのでしょうか。   - 回 答 - 租税特別措置法施行令第25条の17第5項第2号に規定する「当該贈与又は遺贈があった日から2年を経過する日までの期間内に、当該公益法人等の当該贈与又は遺贈に係る公益目的事業の用に直接供され、又は供される見込みである」かどうかの判定は、寄附財産そのものが公益目的事業において直接利用されることをもって行われます。したがって、建物が寄附財産である場合には、その建物そのものが公益目的事業において使われなければなりません。 ただし、その財産の性質から直接供することができないものについては、例外として、その運用果実のすべてが公益目的事業に供される必要があります(措置法40条通達13)。 ○●○◆ 解 説 ◆○●○ 財産等が贈与又は遺贈に係る公益目的事業の用に直接供されるかどうかの判定は、原則として、当該財産等そのものが、当該贈与又は遺贈を受けた公益法人等の当該贈与又は遺贈に係る公益目的事業の用に直接供されるかどうかにより行われます。 ただし、株式、著作権などのように、その財産の性質上その財産を公益目的事業の用に直接供することができないものである場合には、各年の配当金、印税収入など、その財産から生ずる果実の全部が当該公益目的事業の用に供されるかどうかにより、当該財産が当該公益目的事業の用に直接供されるかどうかを判定することとなります。 なお、この場合において、各年の配当金、印税収入などの果実の全部が当該公益目的事業の用に供されるかどうかは、例えば、奨学事業を行う公益法人等においては学資として支給され、助成金の支給事業を行う公益法人等においては助成金として支給されるなど、当該果実の全部が直接、かつ、継続して、当該公益目的事業の用に供されるかどうかにより判定されます(措置法40条通達13)。 今回のお問い合わせについては、建物を賃貸の用に供し、当該賃貸に係る収入を公益目的事業の用に供することとなり、建物そのものを公益目的事業の用に供していることにはならないため、租税特別措置法40条の適用を受けることはできません。 また、配当金などの果実が毎年定期的に生じない株式などについても、租税特別措置法40条の適用を受けることはできません(措置法40条通達13注書)。   (了)

#No. 316(掲載号)
#中村 友理香
2019/04/25

M&Aに必要なデューデリジェンスの基本と実務-財務・税務編- 【第24回】「事業環境の分析(その2)」

M&Aに必要な デューデリジェンスの基本と実務 -財務・税務編-   【第24回】 「事業環境の分析(その2)」   公認会計士 石田 晃一   ←(前回) | (次回)→   本稿では前回に引き続き、事業環境の分析における各分析事項の解説を行う。   ▷内部環境分析のフレームワーク 買収対象企業の内部要因を分析するためのフレームワークとしては、以下のようなものが挙げられよう。 〈バリューチェーン分析〉 企業が生産/提供している製品/サービスの価値の源泉が、事業活動のどの工程をどのように経て創出されているかを把握・分析するものであり、いずれの工程の内製化が当該製品/サービスの提供にとって重要であるか、外部に委託可能な工程はいずれか等についても把握することでコア・コンピタンス(企業の中核となる強み)の把握にも有用な分析となり得る。 また、間接部門との関わり度合いについても合わせて検討することにより、経営資源の適正配分について同時に分析することも可能である。 バリューチェーン分析を行うことにより、買収に際して、価値の創出に重要な部門/人材の特定が可能となるだけでなく、場合によっては、分析の結果、M&Aによって買収すべき部門が部分的に留まるというケースも生じるかもしれない。   ▷収益性やコスト構造に関する分析 バリューチェーン分析等のフレームワークを用いた内部環境分析は一般的に定性的な分析と言えるが、他方、会計等の数値データを集計することで収益環境に関する定量的な分析を行うことも有益である。 例えば売上高や売上総利益、限界利益などの金額について以下のようなメッシュ(切り口)で把握・集計・分析することで、今後注力すべき分野を明確化したり、撤退を検討すべき領域を判断したりすることが可能となる場合がある。 こうした「収益力分析」及び「固変分解」などについては、次回以降の項で詳述する。   ▷競合他社とのベンチマーク分析 売上高利益率や原価率、人件費率、外注費率、1人当たり売上高等、主要な財務数値については、一般に公表されている経営指標との比較を行うことで、強みや弱みのありどころについて考察することも有益である。 比較対象となる経営指標は多く公表されているが、公益的なものや無償で利用可能な主なものを以下に掲げておく。 なお、ベンチマーク分析は相対的な分析であって、比較結果が絶対的な真実を表しているとは限らない。指標の大小関係のみをもって、対象会社の損益構造を評価することはできない点に留意が必要である。 例えば、通常は売上原価として処理される費目が販売費及び一般管理費として処理されていれば、売上総利益率は業種平均よりも高く見えてしまう。 【実務事例24-1】 S社の「売上総利益率」は20.0%と、同業他社の経営指標である16.0%よりも格段に高い水準にあった。ただし、当該会社の会計処理として、副材料費などを含む消耗品費は売上原価でなく販売費及び一般管理費として計上されており、当該費目を売上原価とした場合の売上総利益率は14.0%であった。 さらに、対象会社が売上や費用の計上時期をズラして処理していたり、在庫を水増しして計上しているような場合には、当然ながら見かけ上の利益率は業種平均よりも高く見えることになる。 また、例えば対象会社が原材料については得意先から全て無償支給を受けていたり、自社生産は行わず全てを外注先に委託生産している等、同業他社とは異なるビジネスモデルを採用している場合にも、見かけ上の利益率は同業他社とは異なって見えるはずである。 いずれの場合においても、収益力・コスト/損益構造分析を行うことでこうした不整合を補正し、同業他社との相違点を把握しながら、業界平均値との乖離について、その原因を分析していくことで、対象会社の強み・弱みを把握していくことが必要である。   ▷ SWOT分析 外部環境と内部環境に関する分析手法として一般的なものに「SWOT分析」がある。 内部環境要因から「強み」と「弱み」、外部環境要因から「機会」と「脅威」を抽出、4象限に当てはまる項目を列挙することで、最終的には伸ばすべき強みや機会を認識し、一方で強化すべき弱みや守るべき脅威への対策を立案する手法である。 分析に際しては、例えば上記のような項目について列挙していくが、「強み」と「弱み」、「機会」と「脅威」はそれぞれ表裏一体となっている場合も多い。例えば「ベテラン設計者が多く在籍」という強みの裏には「人件費の高止まり」や「若年層の育成不足」といった弱みが見え隠れしているであろうし、「高齢者の健康志向の高まり」という機会の裏には「高齢化進展による人口減」という脅威が併存しているだろう。 強み、弱み、機会、脅威の4象限が出揃った後、さらに「クロスSWOT分析」と呼ばれる方法で、「伸ばすべき強みはいずれか」、「備えるべき脅威を低減させるために強化すべき弱みはいずれか」等、強化すべきポイントを明確にすることができる。 M&Aによる買収対象会社に対してSWOT分析/クロスSWOT分析を行うことの意義は、買収対象会社の強み・弱みなどを把握するため、というよりも、むしろ自社の弱みや脅威、伸ばすべき強みや捉えるべき機会を確実なものにするために、対象会社の買収によって自社の弱みをカバーすることが可能であるか、自社の強みをさらに伸ばすための経営資源を当該買収で得ることができるか、といった観点からの分析にあると言えよう。 その意味では、SWOT分析/クロスSWOT分析は、M&Aに際して実施すべきものであると同時に、M&Aに先立ち自社に対して行った分析結果を踏まえ、自社の強みをさらに強化したり、自社の弱点を補強するような相手先を見つけるために行われるものでもあると言えよう。 (了)

#No. 316(掲載号)
#石田 晃一
2019/04/25
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