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《速報解説》 金融庁、平成30年3月期以降の事業年度に係る有価証券報告書の作成・提出に際しての留意すべき事項を公表~繰延税金資産の回収可能性について適切ではないと考えられる事例等を紹介~

《速報解説》 金融庁、平成30年3月期以降の事業年度に係る有価証券報告書の 作成・提出に際しての留意すべき事項を公表 ~繰延税金資産の回収可能性について適切ではないと考えられる事例等を紹介~   公認会計士 阿部 光成   Ⅰ はじめに 平成30年3月23日、金融庁は次のものを公表した。 平成30年3月期以降の有価証券報告書の作成に当たっては、これらに記載されている事項に特に注意し、適切に作成する必要があると考えられる。 なお、文中、意見に関する部分は、私見であることを申し添える。   Ⅱ 有価証券報告書の作成・提出に際しての留意すべき事項について 平成30年3月期以降の事業年度に係る有価証券報告書の作成・提出に際しての留意すべき事項として、次のことを述べている。 1 新たに適用となる開示制度に係る留意すべき事項 「企業内容等の開示に関する内閣府令等の一部を改正する内閣府令」(平成30年1月26日、内閣府令第3号)に関する次のものである。 2 有価証券報告書レビューの審査結果及び審査結果を踏まえた留意すべき事項 平成29年度の有価証券報告書レビューに関して、現在(平成30年3月23日時点)までの実施状況を踏まえ、複数の会社に共通して記載内容が不十分であると認められた事項に関し、記載に当たっての留意すべき事項について述べている(「別紙1」参照)。 今回、記載内容が不十分であると認められた事項は、会計監査の対象となる財務諸表等に関わるものであるので、留意すべき事項については、有価証券報告書提出会社だけでなく、監査を実施する公認会計士又は監査法人においても、十分に留意いただきたいと記載されているので、改めて有価証券報告書の作成に際しては注意が必要である。 平成29年度有価証券報告書レビューでは、以下の重点テーマに着目して審査している。 本稿では、「審査結果」において確認された事例について、「適切ではない事例」として紹介する。 なお、「別紙1」では「留意すべき事項」として具体的な財務諸表等規則などの根拠規定が紹介されているので、実際に有価証券報告書を作成する際にお読みいただきたい。   Ⅲ 有価証券報告書レビューの実施について(平成30年度) 平成30年度の有価証券報告書レビューについては、次のテーマに着目し、平成30年3月31 日以降を決算期末とする有価証券報告書の提出会社の中から審査対象会社を選定するとのことである。 有価証券報告書提出会社は、別添の「調査票」に回答することが求められているので、有価証券報告書の作成に際して注意が必要である。 財務局等からの質問状には、次の観点も反映していると述べられており、本3月期の有価証券報告書の作成に際しても、下記の観点を十分に考慮し、開示の要否を判断すべきものと解される。 (了)

#No. 261(掲載号)
#阿部 光成
2018/03/27

《速報解説》 改正財務諸表等規則等が公布、平成30年4月1日以後開始事業年度から適用へ~「税効果会計に係る会計基準」の一部改正等に対応し注記事項を見直す~

《速報解説》 改正財務諸表等規則等が公布、 平成30年4月1日以後開始事業年度から適用へ ~「税効果会計に係る会計基準」の一部改正等に対応し注記事項を見直す~   公認会計士 阿部 光成   Ⅰ はじめに 平成30年3月23日、「財務諸表等の用語、様式及び作成方法に関する規則等の一部を改正する内閣府令」(内閣府令第7号)が公布され、主に次のものが改正された。 これは、平成30年2月16日に、企業会計基準委員会が公表した「『税効果会計に係る会計基準』の一部改正」などに対応するものである。 これにより、平成29年10月13日から意見募集されていた公開草案が確定することになる。なお、「『財務諸表等の用語、様式及び作成方法に関する規則等の一部を改正する内閣府令(案)』等に対するパブリックコメントの概要及びそれに対する金融庁の考え方」が公表されている。 文中、意見に関する部分は、私見であることを申し添える。   Ⅱ 財務諸表等規則に関する改正の主な内容 1 税効果会計に関する注記 「税効果会計に関する注記」(財規8条の12)を次のように改正する。 2 繰延税金資産及び繰延税金負債の表示 繰延税金資産は投資その他の資産の区分に表示し、繰延税金負債は固定負債の区分に表示する(財規16条の2の削除、17条1項12号の削除、31条の3の削除、48条の2の削除、49条1項8号の削除、51条の2の削除、54条1項の削除、31条5号の新設、51条に「繰延税金負債」を規定)。 3 財務諸表等規則ガイドラインの改正 財務諸表等規則ガイドラインの8の12-2-1に次の規定を新設する(連結財務諸表規則ガイドライン15の5は財務諸表等規則ガイドラインの準用規定の新設)。   Ⅲ 連結財務諸表規則等に関する改正の主な内容 連結財務諸表規則に関する改正は、前述の財務諸表等規則に関する改正と同様である。 その他の規則に関する改正は、財務諸表等規則の改正に伴う条文番号の改正である。   Ⅳ 適用時期等 「財務諸表等の用語、様式及び作成方法に関する規則等の一部を改正する内閣府令」(内閣府令第7号)は、公布の日(平成30年3月23日)から施行する。 改正後の財務諸表等の用語、様式及び作成方法に関する規則(「新財務諸表等規則」という)の規定は、平成30年4月1日以後に開始する事業年度に係る財務諸表について適用し、同日前に開始する事業年度に係る財務諸表については、なお従前の例による。 ただし、平成30年3月31日以後最初に終了する事業年度に係る財務諸表については、新財務諸表等規則の規定を適用することができるなど、経過措置が設けられている。 (了)

#No. 261(掲載号)
#阿部 光成
2018/03/27

《速報解説》 会計士協会、監査法人の計算書類及び監査報告書の文例に関する研究報告(公開草案)を公表~監査法人GCを受け、監査品質の向上に向けた取組に関する情報開示を充実~

《速報解説》 会計士協会、監査法人の計算書類及び監査報告書の文例に 関する研究報告(公開草案)を公表 ~監査法人GCを受け、監査品質の向上に向けた取組に関する情報開示を充実~   公認会計士 阿部 光成   Ⅰ はじめに 平成30年3月23日、日本公認会計士協会は、「監査法人の計算書類及び監査報告書の文例に関する研究報告」(公開草案)を公表し、意見募集を行っている。 これは、平成20年3月に公表した研究報告「監査法人の計算書類作成に係るひな型」について、「監査法人の組織的な運営に関する原則」(監査法人のガバナンス・コード)の公表を契機として、見直しを行ったものである。 意見募集期間は、平成30年6月25日までである。 文中、意見に関する部分は、私見であることを申し添える。   Ⅱ 主な内容 1 監査法人の説明書類 監査法人は、会計年度ごとに、業務及び財産の状況に関する事項を記載した説明書類(以下「説明書類」という)を作成し、監査法人の事務所に備え置き、公衆の縦覧に供することが義務付けられている(公認会計士法34条の16の3、公認会計士法施行規則39条)。 すべての監査法人は、説明書類の公衆縦覧に加え、会計年度経過後2ヶ月以内に業務報告書とともに計算書類を内閣総理大臣に提出することが求められている(公認会計士法34条の16第2項、公認会計士法施行規則31条)。 業務報告書には、業務の概況、社員、使用人等の概況、事務所の概況及び被監査会社等の内訳等を記載する(公認会計士法施行規則38条)。 計算書類は、貸借対照表、損益計算書、社員資本等変動計算書、注記表及び附属明細書から構成される(公認会計士法34条の16、公認会計士法施行規則31条)。 2 計算書類の作成例 研究報告は、以下の計算書類の作成例を示している。 また、有限責任監査法人は、会計期間における収益の額が10億円以上の場合、当該計算書類について、特別の利害関係のない公認会計士又は監査法人により監査を受けることが求められている(公認会計士法34条の32、公認会計士法施行令24条)ことから、監査法人の計算書類に添付する監査報告書の文例も示されている。 (了)

#No. 261(掲載号)
#阿部 光成
2018/03/27

《速報解説》 仮想通貨交換業者の財務諸表監査に関する実務指針の公開草案が公表される~ブロックチェーン等仮想通貨の特徴や交換業者の取引形態に係る留意点を取りまとめ~

《速報解説》 仮想通貨交換業者の財務諸表監査に関する 実務指針の公開草案が公表される ~ブロックチェーン等仮想通貨の特徴や交換業者の取引形態に係る留意点を取りまとめ~   公認会計士 阿部 光成   Ⅰ はじめに 平成30年3月23日、日本公認会計士協会は、業種別委員会実務指針「仮想通貨交換業者の財務諸表監査に関する実務指針」(公開草案)を公表し、意見募集を行っている。 これは、平成28年6月3日に資金決済法が改正され、仮想通貨交換業者が事業年度ごとに内閣総理大臣へ提出する財務に関する報告書に対して、公認会計士又は監査法人の監査報告書を添付することが求められたことを受けたものであり、仮想通貨交換業者の財務諸表監査に固有と考えられる留意点について述べている。 意見募集期間は、平成30年4月24日までである。 仮想通貨に関しては次のものが公表されている。 文中、意見に関する部分は、私見であることを申し添える。   Ⅱ 適用範囲 実務指針は、仮想通貨交換業者の財務諸表監査に関する実務上の指針を提供するものである(1項)。 次のことに留意する(3~4項、11項、12項)。   Ⅲ 仮想通貨交換業者 1 仮想通貨交換業者の行う取引 「仮想通貨交換業者」は、資金決済法が求める登録(資金決済法63条の2)を受けた者をいい、以下の行為のいずれかを業として行う者をいう(資金決済法2条7項及び8項。実務指針6項)。 実務指針は、これらの仮想通貨交換業者の行為について詳細に解説しており、仮想通貨交換業者の取引形態の理解に資するものと考えられる(7~12項)。 2 財務諸表監査 仮想通貨交換業者の財務諸表監査においては、通常、仮想通貨の取引記録又は残高に関する監査証拠としてブロックチェーン等の記録を利用する(13項)。 公認会計士又は監査法人による監査の目的は、仮想通貨交換業者の作成する財務諸表の適正性に関する意見を表明することであり、仮想通貨交換業者が保有又は取引する仮想通貨及びその基盤となるブロックチェーン等の記録の性質に関して何ら保証を与えるものではない(16項)。 監査契約上の主な留意事項、リスク評価に関する主な留意事項、仮想通貨交換業者の内部統制の理解に関する主な留意事項などについて記載されている。 3 自己(自己の関係会社を含む)の発行した資金決済法に規定する仮想通貨 自己(自己の関係会社を含む)の発行した資金決済法に規定する仮想通貨に関して、次のことに留意する(29項(7))。   Ⅳ 適用時期等 実務指針の確定版の公表日から適用する予定である(30項)。 (了)

#No. 261(掲載号)
#阿部 光成
2018/03/27

《速報解説》 国税不服審判所「公表裁決事例(平成29年7月~9月)」~注目事例の紹介~

 《速報解説》 国税不服審判所 「公表裁決事例(平成29年7月~9月)」 ~注目事例の紹介~   税理士・公認不正検査士(CFE) 米澤 勝   国税不服審判所は、平成30年3月19日、「平成29年7月から9月分までの裁決事例の追加等」を公表した。今回追加された裁決は表のとおり、全12件であった。 今回の公表裁決では、国税不服審判所によって課税処分等の一部又は全部が取り消された裁決が6件、棄却又は却下された裁決が6件となっている。税法・税目としては、国税通則法が4件、法人税法が3件、所得税法及び消費税法が各2件、国税徴収法が1件であった。 なお、前回の公表裁決事例から、争点については棄却しながら、原処分庁による処分の誤りを是正するための一部取消し事例について、文末に理由が追記されている事例がみられるようになったが、今回では、下記に掲げる⑤・⑩の裁決事例要旨にも同様の記述がみられる。公表裁決のわかりやすさを高めようとする取組みの一環であろうと理解し、評価したい。 【表:公表裁決事例平成29年7月~9月分の一覧】 ※本稿で取り上げた裁決 本稿では、公表された12件の裁決事例のうち、国税通則法に規定する加算税に対する審判所の判断が示された2件の裁決③④と、国税徴収法における滞納処分の停止の取消しが争点となった裁決⑫について、紹介したい。いつものお断りであるが、論点を整理するため、複数の争点がある裁決については、その一部を割愛させていただいていることを、あらかじめお断りしておきたい。   1 無申告加算税:期限後申告が決定を予知して提出されたものか否か・・・③ (1) 争点 争点は、本件各期限後申告書の提出は、「その申告に係る国税についての調査があったことにより当該国税について決定があるべきことを予知してされたものでないとき」に該当するか否か、である。 (2) 審判所の判断 国税不服審判所は、通則法第66条第5項の趣旨が、納税者の自発的な申告を奨励する点にあるとしたうえで、同項に規定する調査について、次のように判示した。 そのうえで、期限後申告書の提出が、その申告に係る国税についての調査があったことにより当該国税について決定があるべきことを予知してされたものでないことの判断に当たっては、「調査の内容・進捗状況、それに関する納税者の認識、期限後申告に至る経緯、期限後申告と調査の内容との関連性の事情を総合考慮して判断すべきである」として、次のように事実を認定した。 請求人の配偶者に係る税務調査において、請求人の子及び申告を包括的に依頼していた税理士が、請求人名義の不動産に係る調査を認識していたことから、請求人もまた、本件各期限後申告に係る調査があったと認められ、請求人は当該調査を認識していたものと認められる。 しかし、調査担当職員は、当初、請求人の配偶者が請求人名義の不動産から生じる不動産所得を申告していることについて疑問又は是正を要するとの認識を持っておらず、また、申告を依頼されていた税理士は、請求人の配偶者の実姉の相続税の申告のために相続財産を検討したことを契機として請求人の配偶者の申告の誤りに気付いて、期限後申告を提出する旨の意思表明である申出を行ったという請求人の主張が明らかに不合理であるともいえない。 よって、請求人による各期限後申告書の提出は、決定があるべきことを予知して行ったものでないと認められる。   2 重加算税:隠ぺい又は仮装の認定・・・④ (1) 争点 本件の争点は、本件修正前申告は、事実を隠ぺいし又は仮装したところに基づくものか否か、である。 (2) 原処分庁の主張 国税不服審判所がまとめた原処分庁の主張は、請求人が、①確定申告書の作成を依頼していた税理士に本件通帳を提示しなかったこと、②本件調査において、調査担当職員より本件収入の申告漏れを指摘されるまで本件通帳を提示しなかったことからすると、当初から所得を過少に申告することを意図し、その意図を外部からうかがい得る特段の行為をしたと認められるから、事実の隠ぺい又は仮装があったとするものである。 (3) 審判所の判断 これに対し、審判所は、最高裁判所平成7年4月28日判決を引用するかたちで、重加算税を課するための要件を次のように述べる。 そのうえで、審判所は、請求人については、産業医や内科医として極めて多忙であり、売上げの集計を自ら行わず、本件通帳を含む預金通帳への記帳も保険会社の担当職員に頼んでいたなど、自己の金銭管理について平素より気にかけていなかったといえること、事業所得に係る収入に計上していなかった収入が振り込まれていた本件預金口座の入出金を一度もしていないことに加えて、請求人は、調査担当職員による質問調査から一貫して、本件収入が別の銀行口座に入金されていると思っていた旨申述及び答述していることからすると、請求人は、税理士に対し、手持ちの源泉徴収票及び支払調書に加えて、別の銀行口座の通帳を提示していたことにより、本件収入についても適正に申告していると誤解していたと考える余地が残るというべきである、と認定した。 こうした事実認定に基づき、審判所は、請求人が当初から所得を過少に申告することを意図していたとは認められないから、本件は、納税者が、当初から所得を過少に申告することを意図し、その意図を外部からうかがい得る特段の行動をした上、その意図に基づく過少申告をしたような場合には当たらないことから、本件修正前申告は、事実を隠ぺいし、又は仮装したところに基づくものとは認められない、と結論づけた。   3 滞納処分に関する猶予の取消し・・・⑫ (1) 争点 争点は、「(1)請求人に滞納処分の停止の取消事由が認められるか否か」と「(2)本件払渡請求権は、徴収法第76条第1項の給料等に該当するか否か」の2点である。 (2) 国税徴収法第153条第1項(滞納処分の停止の要件等) 国税徴収法は、あまりなじみのない法律ということもあるので、滞納処分の停止の要件等を規定した第153条第1項の規定を引用しておきたい(本裁決に関連のない一部の文言や括弧書きは省略している)。 請求人は、この規定に基づき、滞納処分の取消事由が認められないと主張した。 (3) 審判所の判断 国税不服審判所は、上記の規定に基づく請求人の主張について、以下のように検討したうえで、その主張を斥ける判断を示した。 (4) 憲法違反を主張する請求人に対する審判所の判示 また、国税不服審判所は、請求人による、最低限度の生活を維持することが困難であるにもかかわらず本件差押処分を行うことは、憲法において認められた生存権を脅かすものであることを理由に、本件差押処分は違憲であること及び本件差押処分の根拠法令が違憲であるという主張に対し、次のように述べて、審判所での審理の対象ではないことを示した。 (了)

#No. 261(掲載号)
#米澤 勝
2018/03/23

プロフェッションジャーナル No.261が公開されました!~今週のお薦め記事~

2018年3月22日(木)AM10:30、 プロフェッションジャーナル  No.261を公開! プロフェッションジャーナルのリーフレットは 全国のTAC校舎で配布しています! -「イケプロが実践するPJの活用術」「第一線で活躍するプロフェッションからPJに寄せられた声」を掲載!-   - ご 案 内 - プロフェッションジャーナルの解説記事は毎週木曜日(AM10:30)に公開し、《速報解説》は随時公開します。

#Profession Journal 編集部
2018/03/22

山本守之の法人税“一刀両断” 【第45回】「相続の改正方向を探る」

山本守之の 法人税 “一刀両断” 【第45回】 「相続の改正方向を探る」   税理士 山本 守之   1 法制審議会答申の内容 今年の2月16日、法制審議会(法相の諮問機関)は新しい相続制度を提案しました。これによって1980年以来の大幅な見直しが行われます。民法改正案は3月上旬に閣議決定し、国会に提出されます。 相続制度に関する改正要綱の主なポイントは次の通りです。 この相続法制の見直しは1980年以来約40年振りとなるものです。 最も大きな改正は①の「配偶者居住権」の新設です。今の制度では、夫が家屋を所有し、夫婦で長年住み続けた住居を夫の死亡で所有者が第三者になると、妻はその家に住み続けられないという悲劇がありました。この改正は事実上の相続で不便になっていたところを「国民の要求」として受け入れるものです。 日本では残された配偶者に「居住権」を与えるというものになりますが、諸外国ではどのような制度があるのでしょうか。 例えば、フランスでは「ビアジェ契約」があります(スペインでもほぼ同様の「レンタビタリシア契約」があります)。これは、家に住み続けながら家屋を第三者に売却するという高齢者が利用できる不動産売買契約です。パートナーの死後、残されたパートナーがその家に住み続けながら利用したり、夫婦が共に生存中に利用するなどの様々な選択ができます。価格は通常の不動産売買と同様に不動産の鑑定をし、売り手の年齢から平均余命を元に決めます。この価格を元に買い手は初期費用に加えて売り手が死ぬまで定期的に支払をします。売り手が長生きすれば買い手にとって高い買い物に、早く死ねば安い買い物になります。 ②は配偶者が夫から生前贈与を受けたり、遺言で贈与の意思を示している住居は、遺産分割の対象外となって残された配偶者がその家屋に住み続けることができ、住宅以外の遺産の取り分も多くなります。 ③は息子の妻などは遺産を受け取る権利がありません。しかし、義父の介護は息子の妻が担うということが多くあります。このように6親等内の者が介護に尽力した場合は相続人に金銭要求ができるという、常識で言えば当然のことが見直されます。 ④は普通預金であっても遺産分割前のものは使えず、不便になっていました。預貯金を引き出すためには遺産分割協議書などを銀行に提出しなければ引き出せなかったからです。 ⑤は、遺言書の財産目録はパソコンの印字は不可という前時代的な現状をパソコンでもよいとする民法の改正です。 法制審議会の要求は国民の「生活要求」として当然のものですので、1日も早く改正してほしいと思っています。 同じ改正でも税法の改正は政府税制調査会では学者が定め、与党の税制調査会では政治家が決めるので、国民の「生活要求」となっていません。早急に直すべきなのです。   2 事例にあてはめると 【事例1】 遺産と分割 【事例2】 6親等内の親族が介護 【事例3】 夫が妻に住居を生前贈与していた場合 (了)

#No. 261(掲載号)
#山本 守之
2018/03/22

組織再編税制の歴史的変遷と制度趣旨 【第30回】

組織再編税制の歴史的変遷と制度趣旨 【第30回】   公認会計士 佐藤 信祐   (《第4章》 平成13年から平成17年までの議論) (5) 特定役員の範囲 法人税基本通達1-4-7、12-1-3、12の2-2-2では、 ことが明らかにされた。 さらに、平成14年4月4日に公表された「平成14年2月15日付課法2-1「法人税基本通達等の一部改正について」(法令解釈通達)の趣旨説明について(情報)」では、 と指摘されている。 なお、同通達(注)において、「専務取締役及び常務取締役の意義については9-2-1の3による。」と規定されていたが、平成18年度の法人税基本通達改正で削除された。しかし、副社長、専務取締役、常務取締役は、会社法で規定されていないことから、事実認定の問題であると思われるため、現在においても同様に解するべきであると思われる。 (6) 主要な資産及び負債の判定 法人税基本通達1-4-8では、 と規定された。 ここで重要なのは「事業再編計画」まで含まれているという点である。すなわち、組織再編の当事者が重要であると決めた場合には、課税当局も一応は尊重せざるを得ないということが言える(※1)。その後の課税当局からの説明でも、そのように解説しているものも多く、本連載を通じて、その内容について解説を行う予定である。 (※1) 山谷耕平(発言)阿部泰久ほか「企業組織再編通達をめぐって」税務弘報50巻5号70-71頁(平成14年)。 なお、平成14年4月4日に公表された「平成14年2月15日付課法2-1「法人税基本通達等の一部改正について」(法令解釈通達)の趣旨説明について(情報)」では、 とされている。 さらに、法人税基本通達1-4-11では、 と規定された。 これにより、土地が主要な資産に該当する場合であっても、借地権を移転すれば、主要資産等引継要件に抵触しないことになる(※2)。 (※2) 阿部泰久(発言)前掲(※1)70-71頁。 (7) 従業者が従事することが見込まれる業務 法人税基本通達1-4-9では、従業者が従事することが見込まれる業務は、「合併により移転した事業、分割事業又は現物出資事業に限らない」ことが明らかにされている。すなわち、組織再編後の配置転換により、合併法人等の内部で異なる業務に従事することがあっても、従業者引継要件に抵触しないこととされている。 (8) 3社合併の取扱い 法人税基本通達12-1-4では、 と規定された。会社法が施行された後でも、3社以上の法人を被合併法人とする新設合併があった場合には、同様に取り扱うこととされている。 しかし、会社法の施行により、2社以上の法人を被合併法人とする吸収合併を行った場合には、被合併法人と合併法人との間の2社間取引とされ、複数の合併が同時に行われたと考えるようになった(国税庁 文書回答事例「三社合併における適格判定について」参照)。 そのため、当時の法人税基本通達12-1-5、12の2-2-5において、吸収合併を行った場合の合併法人における繰越欠損金の使用制限、特定資産譲渡等損失額の損金不算入の計算につき、最も遅い日を特定資本関係発生日とする旨が規定されていたが、その後の改正により廃止されることになった。 (9) 特定資産譲渡等損失 法人税基本通達12の2-2-3では、 と規定され、同通達12の2-2-4では、 と規定された。これも当然のことを規定した確認規定であると言える。 上記で取り上げた以外にも、繰延資産や役員退職慰労金について規定されたが、細かいところであるため、本稿では解説を省略した。 *   *   * 次回では、平成13年から平成17年までの間に、国税局の職員が租税研究で行った講演の内容について解説する予定である。 (了)

#No. 261(掲載号)
#佐藤 信祐
2018/03/22

〔平成30年4月1日から適用〕改正外国子会社合算税制の要点解説 【第2回】「外国関係会社の範囲及び納税義務者」

〔平成30年4月1日から適用〕 改正外国子会社合算税制の要点解説 【第2回】 「外国関係会社の範囲及び納税義務者」   税理士 長谷川 太郎   1 押さえておきたいポイント   2 外国関係会社及び納税義務者に関する改正の概要 平成29年度税制改正前においては、居住者、内国法人及び特殊関係非居住者がその発行済株式等の50%超を直接及び間接に有する外国法人(外国関係会社)で、その本店所在地国等における所得に対して課される税負担が我が国において課される税負担に比して著しく低いもの(特定外国子会社等)の所得に相当する金額(適用対象金額)のうち、その特定外国子会社等の発行済株式等の10%以上を直接及び間接に有する内国法人のその有する株式等に対応する部分として計算した金額(課税対象金額)をその内国法人の収益の額とみなして、その所得の計算上、益金の額に算入することとされていた(旧措法66の6①)。 平成29年度税制改正においては、トリガー税率が廃止されたことで「特定外国子会社等」という概念がなくなり、外国関係会社は①特定外国関係会社、②対象外国関係会社、③部分対象外国関係会社のいずれかに分類され、租税負担割合に応じて適用免除、会社単位の合算課税、受動的所得の合算課税のいずれかが適用されることになっている。 また、外国関係会社に関する判定において、間接保有割合の計算を「掛け算方式」から50%超の株式の保有を通じた「連鎖方式」へ改正されており、納税義務者や外国関係会社に関する判定において、新たに実質支配基準という概念が導入されている。 ※画像をクリックすると、別ページで拡大表示されます。 【用語の意義等】   3 外国関係会社の定義に関する改正 ① 概要 改正後は次のいずれかに該当する外国法人が「外国関係会社」とされている(措法66の6②一)。 間接保有割合の計算が「掛け算方式」から50%超の株式の保有を通じた「連鎖方式」へ改正されるとともに、新たに実質支配基準という概念が導入されている。 例えば、以下のような判定を行うこととなる。 (※) 財務省「平成29年度税制改正の解説」P662より抜粋 ② 間接保有割合の判定が「掛け算方式」から「連鎖方式」へ改正 外国関係会社の判定における間接保有割合について、従来のいわゆる「掛け算方式」から、50%超の株式等の保有の連鎖に基づいて算定する「連鎖方式」に改められた。 この結果、改正により新たに外国関係会社となるケース〔例1〕や改正により外国関係会社に該当しなくなるケース〔例2〕の典型例は以下の通りである。 〔例1〕改正により新たに外国関係会社となるケース 下記のケースにおいては、改正前の「掛け算方式」によると外国法人S2は50%超保有されていない(48%)ため、外国関係会社に該当しないとされていたが、改正後は50%超の支配関係が連続している(80%>50%、60%>50%)ことから、外国法人S2は外国関係会社に該当することになる。 〔例2〕改正により外国関係会社に該当しなくなるケース 改正前においては、内国法人(P2)と外国法人である上場会社(S3)が50%ずつ出資して外国子会社(S4)を設立した場合において、共同出資の相手方である外国法人(S3)の株式を日本の居住者・内国法人等が1株でも保有している場合には、外国法人(S4)は外国関係会社に該当するという状況があった。 実務上、このような場合には適用除外の別表を添付している法人も多くあったが、改正後は、外国法人(S4)は外国関係会社に該当しないため、このような問題は解消されることになる。 ③ 実質支配基準の導入 改正前は、外国法人との資本関係を持たず、契約関係等により実質的に外国法人を支配すれば外国子会社合算税制を回避することが可能であった。 しかし、改正により居住者または内国法人と外国法人との間に実質支配関係がある場合におけるその外国法人が、外国関係会社の範囲に追加されている。また間接保有割合の計算上も実質支配している外国法人が保有する外国法人株式は間接保有割合に含めることとなる。 実質支配関係の判定 「実質支配関係」とは、居住者または内国法人と外国法人との間に次に掲げる事実その他これに類する事実が存在する場合におけるその居住者または内国法人とその外国法人との関係(一定の場合を除く)とされている(措法66の6②五、措令39の16①)。   4 制度の適用を受ける内国法人(納税義務者)に関する改正 外国子会社合算税制の適用を受ける内国法人は、改正前と同様に外国関係会社の持分割合等の10%以上を直接及び間接に有する内国法人となっている。 今回の改正で実質支配基準が導入されたことに伴い、以下のように整理される。 (※) 財務省「平成29年度税制改正の解説」P670より抜粋 (了)

#No. 261(掲載号)
#長谷川 太郎
2018/03/22

国外財産・非居住者をめぐる税務Q&A 【第15回】「みなし外国税額控除と更正の請求」

国外財産・非居住者をめぐる税務Q&A 【第15回】 「みなし外国税額控除と更正の請求」   税理士 菅野 真美   - 質 問 - 私は平成29年分の所得税について、ブラジル国債の利子を申告分離課税に含めて申告しました。ところが、申告が終わり、申告期限を過ぎたころに、ネットで、ブラジル国債の利子部分については、みなし外国税額控除の適用があることから、確定申告をすることにより還付することができるという情報を得ました。 そこで、更正の請求をして、源泉税部分も還付を受けようと考えていますが、認められるでしょうか。   ◆ ◆ 解 説 ◆ ◆ ▷外国債の利子所得の課税関係 債券の利子に対する課税は、その債権が特定公社債か否かによって異なる。特定公社債に該当する場合は、上場株式等のグループに属することから、利子所得は申告分離課税の対象となる(措法3①一、8の4①六)。ブラジル国債は、外国又はその地方公共団体が発行し、又は保証する債券に該当することから、特定公社債となる。 日本で金融機関等支払の取扱者を経由して、居住者に外国公社債の利子が支払われる場合、日本において所得税、復興特別所得税、住民税が源泉徴収されるが、特定公社債であることから、外国で支払った外国所得税がある場合は、外国税額控除後の残額に所得税等の税率を乗じて源泉徴収されることになる(措法3の3②・④二)。 例えば、外国の利子の収入が1万円で、外国で1,000円の所得税が源泉徴収された場合の日本での源泉徴収額は(1万円-1,000円)×20.315%(※)=1,828円となる。 (※) 20.315%=所得税及び復興特別所得税15.315%(うち復興特別所得税は0.315%(=15%×2.1%))+住民税5% この場合、1万円の利子収入について、外国所得税と日本での所得税の両方が課されることから二重課税状態となり、その調整のために確定申告をすることにより外国税額控除をすることができる。   ▷みなし外国税額控除 外国税額控除は、実際に納付した外国所得税の控除が原則であるが、実際には外国所得税を納付しなかったとしても、納付したものとみなして外国税額控除ができる場合があり、租税条約により定められている。 なぜ、みなし外国税額控除が認められているのかというと、発展途上国に対し日本からの投資を引き出すために、日本の投資家の投資利益に対する所得税を減額して手取りを増やすインセンティブを与えたからである。このため、相手国の経済の進展に伴い、現在では租税条約を改正して、みなし外国税額控除の適用を見直す傾向がある。 本事例の対象となるブラジルにおいては、現在もみなし外国税額控除が認められている。   ▷ブラジルとの租税条約では? それでは、ブラジルとの租税条約(所得に対する租税に関する二重課税の回避のための日本国とブラジル合衆国との間の条約)はどのように定められているのだろうか。一部抜粋して確認してみよう。 このように国債の利子にかかるブラジルでの税は10%を超えないとされているが、実際には0である。 上記の租税条約の軽減がなかったならば支払われたであろう税額(税率)は、20%として取り扱われている。 ブラジル国債の利子収入が1万円の場合、ブラジルでは源泉税率0であることから、日本の金融機関を通じて支払を受けた場合、金融機関で2,031円(1万円×20.315%)の所得税等が源泉徴収されて、手取りが7,969円となる。しかし、確定申告をする場合、外国所得税を2,000円(1万円×20%)支払ったものとして計算することになるから、原則的には2,000円分の税金の還付と同様の効果があり、結果として、手取りが9,969円となる。つまり、復興特別所得税分(0.315%)だけ、手取りが減少することとなる。   ▷更正の請求はできるか それでは、確定申告期限経過後に外国税額控除を失念したことに気づいた場合、更正の請求をして、還付を受けることができるだろうか。 以前の規定では、外国税額控除は確定申告に限られ、かつ、申告した限度額の範囲でしか適用できないとされていた。しかし、裁判でこのような取扱いが否定され、税制改正が行われ、現在では、当初申告要件や控除額の制限の見直しができることから、当初申告において外国税額控除の適用を失念していたとしても、更正の請求により適用が認められている。期限は法定申告期限から5年以内である(通則法23①)。 よって、本件の場合、更正の請求をして外国税額控除の適用をすることができる。   (了)

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#菅野 真美
2018/03/22
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