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プロフェッションジャーナル No.179が公開されました!~今週のお薦め記事~

2016年7月28日(木)AM10:30、 プロフェッションジャーナル  No.179を公開! プロフェッションジャーナルのリーフレットは 全国のTAC校舎で配布しています! -「イケプロが実践するPJの活用術」「第一線で活躍するプロフェッションからPJに寄せられた声」を掲載!-   - ご 案 内 - プロフェッションジャーナルの解説記事は毎週木曜日(AM10:30)に公開し、《速報解説》は随時公開します。

#Profession Journal 編集部
2016/07/28

山本守之の法人税“一刀両断” 【第25回】「租税法の解釈②」-通達の読み方とその問題点(貸倒損失を事例として)-

山本守之の 法人税 “一刀両断” 【第25回】 「租税法の解釈②」 -通達の読み方とその問題点(貸倒損失を事例として)-   税理士 山本 守之   1 貸倒れの法律規定 法人税法第22条第3項は所得金額の計算上損金の額に算入すべき金額を次のように規定しています。 「貸倒損失」は上記のうち(3)の損失の額に該当します。 損失の額は、元来、収益との対応にも期間との対応にもなじまないものといえます。その点から考える限りは、収益を得るために直接必要なものであったといえない面もあります。 しかし、損失の額は、法人の生み出した剰余を減殺しており、所得計算上のマイナス要素であることは明らかで、しかも、法人は、その活動の全てを通じて剰余を生み出そうとしており、その活動の中で剰余を減殺するものが存在する限り、それが収益を生むために直接必要であったか否かを問わず損金の額に算入されるべきです。 このような考え方から、その事業年度に発生した損失の額は、所得の金額の計算上の損金の額に算入します。 (注) 純資産が減少しても法人の意図した事業に関係のない支出は、ここにいう損失の額には含まれず、利益の処分とするのであるという考え方もあります。 損失の額は、発生の事実によってこれをとらえるから、法人税法においては、臨時巨額の損失を繰り延べることはしません。 「資本等取引以外の取引に係る」と規定されているのは、剰余の減殺される原因が対資本等取引によるものである場合は、資本等取引として資本の払戻しと考えられますので、所得金額の計算上は損金の額に算入しないのです。 なお、損失の額とは、例えば災害による資産の減損失、貸倒れによる債権の喪失、消滅時効完成による債権の消滅等が考えられますが、資産の譲渡損失はこれには含まれません。資産の譲渡対価は益金の額に算入され、譲渡原価が損金の額に算入されます。   2 貸倒れの通達規定 「貸倒損失とは何か」については、法令は全く規定しておらず、法人税基本通達9-6-1~3に定めているため、課税要件法定主義に反するのではないかという疑問が生じます。 これに対して「何が貸倒損失か」は専ら事実認定の問題ですから、課税要件に該当しないという考え方もあります。 そういえば、国税庁では解説書(『法人税基本通達逐条解説』税務研究会)で、 としています。 国税庁、財務省によるOBの解説もほぼこのようになっています。 しかし、法人税基本通達9-6-1~3は次のように法人の経理要件までも定めており、単なる事実認定ではないとも考えられます。やはり課税要件法定主義に反していると考えられます。 法人税基本通達9-6-1~3で貸倒損失とするのは、次の3つの場合です。 ところで、上記3つの場合は次のように経理要件が付されています。 上記のうち、法人税基本通達9-6-1は法律的に金銭債権が消滅したのですから、法人が貸倒損失の経理をしていようといまいと絶対的な損金ですから「損金の額に算入する」と表現したのです。一般的には、法人が法人税基本通達9-6-1を適用した場合は税務調査で「貸倒処理を否認する」という処理はできません。もっとも、回収不能な金銭債権を放棄したような場合は、「寄附金」という処理はなされるでしょう。 法人税基本通達9-6-2については、解説書等に「損金経理を要する」と書かれていますが、これは誤りです。確かに、昭和55年の改正前までは「損金経理した場合はこれを認める」とされていたのを「損金経理することができる」と改められたのです。 この改正理由については、課税庁で、 と解説しています(『税経通信』Vol.36/No.5/通巻488号/1981戸島利夫)。 つまり、回収不能が明確になった事業年度で貸倒処理をすべきで、「当期は赤字だから、次の事業年度で」という処理は認められないということです。経理処理を「損金経理した場合はこれを認める」から「損金経理することができる」とした理由を事例で考えてみましょう。 平成X年3月でA社がB社に対して有する債権の回収不能が明らかになったが、その事業年度では何の処理もせずに、次の事業年度(平成X+1年3月期)で貸倒れとして損金経理したという場合に、損金経理要件を付していると次のようになってしまいます。 これでは、A社は永久に貸倒損失とする機会を失ってしまいます。そこで、経理要件は「損金経理することができる」としたのです。 いずれにしても、通達で経理要件まで定めながら「これは事実認定だから課税要件法定主義に反さない」とする言い訳は通用しません。   3 法律上の債権消滅 法人の有する金銭債権について、次に掲げる場合に該当することになったときのその金額は、金銭債権が法律上も消滅したのですから、貸倒れとして損金の額に算入されます。法人が貸倒処理をしていない場合であっても、税務においては進んで損金の額に算入するのです(法基通9-6-1)。 ここで、③(イ)の関係者協議における「合理的基準」とは何かが問題になります。 課税庁OBの執筆した解説書では、「切捨額は一律でなければならない」としていますが、そのようなことはありません。 『法人税基本通達逐条解説』(税務研究会)では、 としています。 実務では、債務者の親会社は責任があるから切捨額が多く、他の債権者は切捨額は少ないということはいくらでもあります。 ④の書面による債務免除は、債務者の債務超過の状態が相当期間継続し、金銭債権の弁済を受けることができないと認められるときに、債務者に書面で通知した額が貸倒損失となるという意味です。 ところで、気になるのは「相当期間」について、「3年~5年と解する」とする解説書や質疑応答集等があります。しかし、ここで重要なことは「その貸金の弁済を受けることができない」と認められる場合であり、「債務超過の状態が相当期間継続」というのは、その弁済不能の判断期間における債務者の状態を表しているに過ぎません。 法人の取引先のなかには、債務超過にあるものが少なからず存在し、それだけで債権者が回収を断念することはないでしょう。 金銭債権の回収に関してさまざまな方途を講じ、回収に関して努力をするものと思われます。しかし、ある時期には回収を断念しなければならない時期が到来するかもしれません。 「相当期間」は、債務者の経営状態を見るために、ある程度のウォッチ期間が必要であり、「最終判断のために見極めをつける期間」という意味を持っているのです。 したがって、債務者が天災地変などで回収不能の損害を受け、それが基因となって債務超過の状態になったとすれば、経営状態の判断はごく短期間でつくと考えられます。これに反して、取扱商品に対する消費者のニーズが低下したため慢性的に経営状態が悪化していく場合は、新製品の発売等により反発する機会も十分あるのですから、ある程度長期的に経営状態を判断しなければならないでしょう。 「相当期間」は、回収不能を判断することについて合理的と認められる期間と解すべきであって、一律に3年ないし5年と固定すべきものではありません。 債権者による一方的な処理ですから、債務者に支払能力があるなどその免除が相手方に贈与したと認められるときは、寄附金又は賞与等として取り扱われます。   4 会計認識上の貸倒れ 法律的に金銭債権が消滅した場合でなくとも、債務者の資産状況、支払能力等からみて、全額の回収不能が明らかになった場合、その明らかになった事業年度において貸倒れとして損金経理することができます(法基通9-6-2)。 もっとも、担保物がある場合には、その担保物を処分した後でなければ損金経理することができませんし、保証債務については現実にこれを履行した後でなければ貸倒れの対象とはなりません。 「資産状況、支払能力からみて」と抽象的に表現したのは、貸倒れに関する事実認定に関し、個々の事案に即した弾力的運用を行うという意味のほか、通常の回収努力も払わずに意識的に貸倒損失にしたというようなものでない限りは、回収不能に陥るまでの動機なりプロセスを問わないという考え方を表現したものです。 昭和42年の改正前では、事実認定に関して破産、和議、強制執行、資産の整理、死亡、行方不明、債務超過の状況が相当期間継続し事業再起の見通しがない場合、天災事故、経済事情の急変など対象となる事実は列挙されていたのです。しかし、「このような基準は・・・一般的には妥当であるが、個々の債権についてその回収不能を認定するに当っては、この基準は多くの場合厳格すぎるきらいがあり、税務官庁と企業との間にこれを巡って争いが絶えない」(昭和41年11月「税法と企業会計原則との調整に関する意見書」)という批判によって列挙しないこととしたのです。   5 日本興業銀行事件に学ぶ 法人税基本通達9-6-2では、貸倒れとするか否かは債務者の資産状況、支払能力等から判断することになっています。しかし、平成16年12月24日の最高裁第二小法廷判決では、債務者の事情だけでなく、債権者側の事情や経済的環境も踏まえて判断しなければならないという判示を行いました。 これについての高裁段階の判決では、債権者を同一の地位にあると判断した場合には、計数的には債権の全額回収は可能であるし、 として貸倒れを否認しました。 この考え方の背後には、貸倒れか否かを判定する場合は、専ら債務者側の事情だけで判断するという古い考え方があったようです。 税務訴訟をめぐる古い考え方では、「訴訟で勝つか負けるかは高裁段階が分かれ目であり、最高裁は憲法違反など一定のものしか受け付けないから高裁判決を最終なものとして覚悟しよう」というものでした。 しかし、最近の租税訴訟では上告審(最高裁)で納税者が逆転勝訴することが少なくありません。これは高裁までは裁判官はしょせん官僚であって、最高裁では弁護士出身者も裁判官になっており(例えば裁判長滝井繁男氏(元大阪弁護士会会長))、民間の感覚が強く出てくるからです。 旧日本興業銀行事件も最高裁で納税者が逆転勝訴したものであり、貸倒れの設定をめぐり、債務者の事情だけではなく、債権者の事情、経済的環境も考慮するという民間の血が入った判決となりました。 この事件では、住宅金融専門会社(A社)の設立母体である銀行(旧日本興業銀行)が、A社の経営が破たんしたため放棄した同社に対する貸付債権について、その金額が当時回収不能となっており、法人税法第22条第3項にいう「当該事業年度の損失の額」として損金の額に算入されるべきであるか否かが争われたものです。 この事件でA社の設立母体5社(旧日本興業銀行、D銀行、証券会社3社)は、平成8年3月29日、旧日本興業銀行、D銀行及び一般行の債権放棄額を確認し、旧日本興業銀行とD銀行は、A社の営業譲渡の日までに同債権放棄額に対応する貸出債権を全額放棄するものとすることを確認する旨の書面を作成し、旧日本興業銀行は、同月29日、A社との間で債権放棄約定書を取り交わし、A社の営業譲渡の実行及び解散の登記が同年12月末日までに行われたことを解除条件として本件債権を放棄する旨を合意しました。 これによって旧日本興業銀行は、A社に対する貸倒れを計上したのですが、課税庁はこれを否認する更正を行い、これが争いとなったのです。 これに対して、最高裁第二小法廷では、下記のとおりとしました。 ここでは、A社の母体行である旧日本興業銀行が非母体金融機関に対して債権額に応じた損失の平等負担を主張することは社会通念上不可能であり、A社の資産等の状況からすると本件債権金額の回収不能は客観的に明らかであり、しかも、「このことは、本件債権放棄が解除条件付でされたことによって左右されるものではない。」としています。 回収不能の金銭債権の貸倒れを定めた法人税基本通達9-6-2では「法人の有する金銭債権につき、その債務者の資産状況、支払能力等からみてその全体額が回収できないことが明らかになった場合には、その明らかになった事業年度において貸倒れとして損金経理することができる。」としています。 この場合の取扱いを適用する場合、「債務者の資産状況、支払能力等からみて金銭債権の全額が回収できないことが明らかになった」かどうかの事実認定については、 とされており(『法人税基本通達逐条解説』)、ここでは、専ら債務者側の事実については考慮されていますが、最高裁判決でいう「債権者の事情及び経済環境」については考慮されていません。 例えば、債務者P社の債権者会議が開かれ、債権者代表Q社(親会社)から債権の70%一律カットが提案されたとしましょう。これに対して出席債権者は、親会社の責任で、Q社の債権は全額カットとし、不足分については親会社以外の債権者は50%カットと逆提案し、これが可決されたとします。 これなどは債権者側の事情、経済環境などが配慮されたものといえます。債権者が均一の立場で債権放棄をしなければならないという硬直的な考え方は通用しないでしょう。 貸倒損失を弾力的に行うためには、通達等に依存するのではなく、債権者、債務者双方の関係やそれぞれの事情、経済的環境等が配慮されなければならないということです。 しかし、国税庁では、判例解説における と述べられています(最高裁判所判例解説民事篇平成16年度(下)845頁)。 これを基礎にして、 として債務者を中心として貸倒れを判断する通達の表現を変えていません(『法人税基本通達逐条解説』)。 この点は最高裁判所を尊重して債権者の事情も配慮すべきだとする民間の考え方と合致していません。 この訴訟において最高裁の裁判長を務めた滝井繁男氏はその著書『最高裁判所は変わったか』(岩波書店)で次のように述べています。   6 通達と国税庁ホームページ 国税庁では平成24年11月2日にホームページの質疑応答事例を改訂し、貸倒処理について実質的(弾力的)処理方法を明らかにしました。 これは、従来通達等で硬直的に定めていたことを反省したものです。 この意味では、貸倒れについても通達の表現が硬直的でありましたが、これを実務上の処理として弾力的に改訂されるようになったホームページの記述は評価できます。 ただし、本来は通達を直すべきで、ホームページだけ改めるのはよくないと考えます。 これを事例によって解説します。 【問題点】 税務上の貸倒れについては、法人税基本通達9-6-1~3までに記載されていますが、いずれも官僚的、硬直的なものでした。 例えば、担保物がある場合はそれを処分した後でなければ貸倒処理を認めない。保証債務は現実に履行後でなければ貸倒れ対象としない。第三者に対する債務免除後も貸倒処理はできない等です。 しかし、担保物の順位が劣後だったり、保証人の保証能力がない場合は基本通達を表面的に適用するわけにはいきません。この点について、国税庁では後ればせながらホームページを改訂したというわけです。 【検討】 (1) ケース1について 事例の場合の一般的取扱いについては、国税庁ホームページでは、 としています。 しかし、同時にホームページでは、 としています。ここでは注書きで ともしています。 ケース1の事例では、B社は債務超過の状態が相当期間継続して回収の見込みがないということですから、貸倒処理は容認されます。 なお、国税庁ホームページ注書きで、 としていますが、「相当期間」を従来の庁内の研修で「3年~5年」としていた時代よりもかなり進歩しています。 (2) ケース2について 貸倒れの一般的取扱いについては、法人の有する金銭債権につき、その債務者の資産状況、支払能力等からみて全額が回収できないことが明らかになった場合には、その明らかになった事業年度において貸倒れとして損金経理をすることができる(法基通9-6-2)とされています。 しかし、債権に対して担保物がある場合について国税庁ホームページでは、 としています。しかし、これでは、担保物が劣後であってもその担保物を処分した後でなければ貸倒処理ができないことになってしまいます。 幸いなことに今次のホームページ改訂で としています。 ケース2では担保物が第5順位で、担保物を処分しても配当が見込めないのですから、貸倒処理は容認されるでしょう。 (3) ケース3について ケース3の場合は金銭債権に保証人がいる場合について、国税庁ホームページでは、「保証人があるときには、保証人からも回収できないときに貸倒処理ができます。」という簡単な回答になっています。 ただ、ケース3の事情からみると、①保証人の収入は生活保護と変わらない、②有する資産は差押禁止財産(破産法34、民事執行法131)となっているというのですから、実質的に保証人からの回収が見込めない(債務者は自己破産)ので貸倒処理は容認されるでしょう。   7 通達と審理課情報 役員の分掌変更の場合の退職給与については、次のような取扱いがあります(法基通9-2-32)。 通達は分掌変更に際して、「実質的に退職したと同様の事情があること」について、例えば常勤役員が非常勤役員になったこと、取締役が監査役になったこと、その分掌変更後における報酬が概ね50%以上減少したこと等を例示しています。 通達はあくまで例示で、退職と同様の事情があったか否かはその分掌変更後における職務の内容、役員としての地位の激変等の事実により実質的に判定するべきものなのです。 しかし、一般の税実務では、通達に書かれている例示があたかも課税要件のように受け取れます。 その意味からすれば、このような「例示」は通達に書くものではなく、退職という事実の判定は納税者の法解釈に委ねるべきであったかもしれません。 実は、平成18年2月10日の京都地裁判決(平成18年10月25日大阪高裁同旨)では、法人税基本通達9-2-32に定めた事実に該当するとしても、「退職の事実」はあくまでも実質的に判断すべきだとしています。 この意味では、通達に書かれた事実に盲目的に従っている税実務に対して警鐘を鳴らした判決であるといえましょう。 事例では当期中に保険金1億円を収受しているため法人税額の増額を避けるため、甲、乙を退職させたものと受け取られることも考慮すべきかもしれません。 上記の法人税基本通達9-2-32の(1)から(3)は実質的な退職を判定するための通達上の要件を示しているものに過ぎず、退職の事実はあくまでも実質的に判定すべきです。 また、同通達の(1)から(3)は通達が示した例示に過ぎず、役員としての地位の激変は実質的に判定すべきで、通達に頼って税務の解釈をすることは危険です。 通達を適用する場合は、適用上の背景を無視してはなりません。 税理士が租税法を自ら解釈することなく、通達やQ&Aに頼り、これを課税要件のように受け取っていると、税法自体の耐用年数が経過し、賞味期限を過ぎてしまいます。 ところで、京都地裁判決、大阪高裁判決(平成18年10月25日)の後、国税庁審理室は次のような情報を発信しました。 この情報は、課税要件法定主義に反する通達が判決で敗れたことに対する反省がないと批判されても仕方ないでしょう。 (了)

#No. 179(掲載号)
#山本 守之
2016/07/28

〈事例で学ぶ〉法人税申告書の書き方 【第6回】「別表6(10) 中小企業者等が機械等を取得した場合の法人税額の特別控除に関する明細書」

〈事例で学ぶ〉 法人税申告書の書き方 【第6回】 「別表6(10) 中小企業者等が機械等を 取得した場合の法人税額の特別控除に関する明細書」   公認会計士・税理士 菊地 康夫   Ⅰ はじめに 本連載では、法人税申告書のうち、税制改正により変更もしくは新たに追加となった様式、複数の書き方パターンがある様式、実務書籍への掲載頻度が低い様式等を中心に、簡素な事例をもとに記載例と書き方のポイントを解説していく。 第6回目は、実務上適用例が増えてきているものの、一般的な書籍等では解説される機会がまだ少なく、かつ最近様式改訂があった「別表6(10) 中小企業者等が機械等を取得した場合の法人税額の特別控除に関する明細書」を採り上げる。   Ⅱ 概要 この別表は、いわゆる中小企業等投資促進税制(中小企業者等が機械等を取得した場合の特別償却又は税額控除)のうち、税額控除を適用する場合に記載する。 本制度の税額控除は、中小企業者等のうち資本金が3,000万円以下の法人(特定中小企業者等という)について、特定の要件を満たした機械等(※1)を 平成29年3月31日までに取得又は製作し、指定事業の用に供した場合に、その取得価額に7%を乗じた金額を法人税額から控除できる(当期の法人税額の20%が上限)ものである。なお、税額控除の限度額を超える金額については、翌事業年度に繰り越すことができる(1年間)。 適用の対象となる主な資産の要件は、次の通りとなっている。 (※1) 中古品、貸付の用に供する設備等は原則として対象外。 (※2) 少額の減価償却資産の取得価額の損金算入(法令第133条)又は一括償却資産の損金算入(法令第133条の2)の規定の適用を受けるものを除く。 指定事業は以下の通り。 なお上記の対象設備のうち、連載【第1回】で解説した生産性向上設備投資促進税制(生産性向上設備等を取得した場合の特別償却又は税額控除)の特定生産性向上設備等に該当する場合には、以下の特別償却又は税額控除の上乗せ措置の適用がある。 (注) ただし、貨物自動車、内航船舶については上乗せ措置の適用はない。また、デジタル複合機は、上乗せ措置のうちA類型の適用はない。なお、平成28年度の税制改正大綱(2015年12月24日閣議決定)によれば、この生産性向上設備投資促進税制は、平成29年3月31日までの適用期限をもって廃止されることになっている。 特定生産性向上設備等とは、生産等設備を構成する機械及び装置、工具、器具及び備品等並びに一定のソフトウエアで、先端設備(A類型)又は生産ラインやオペレーションの改善に資する設備(B類型)として、産業競争力強化法第2条第13項に規定するものをいう。 この生産性向上設備等の範囲など産業競争力強化法に関する内容については、経済産業省のホームページを参照のこと。     Ⅲ 「別表6(10)」の書き方と留意点 (1) 設例 (2) 今回の別表が適用される事業年度 平成28年4月1日以後終了する事業年度。 (3) 別表の記載例 ※画像をクリックすると、別ページでPDFが開きます。 (4) 別表の各記載欄の説明 〔法人税額の特別控除額の計算〕 〔翌期繰越税額控除限度超過額の計算〕 ※画像をクリックすると、別ページでPDFが開きます。 ※画像をクリックすると、別ページでPDFが開きます。 (了)

#No. 179(掲載号)
#菊地 康夫
2016/07/28

「税理士損害賠償請求」頻出事例に見る原因・予防策のポイント【事例40(贈与税)】 「代表者及びその配偶者が所有する同族会社債権を放棄させたため、同族会社の株主間で株価上昇分の価値の移転が発生し、みなし贈与となった事例」

「税理士損害賠償請求」 頻出事例に見る 原因・予防策のポイント 【事例40(贈与税)】   税理士 齋藤 和助       《基礎知識》 ◆同族会社に対する債権放棄とみなし贈与(相法9、相基通9-2) 同族会社に対して、株主等から債権放棄、資産の無償又は低額譲受け等があったことにより、その同族会社の株式又は出資の価額が増加した場合には、債権放棄等を行った者から、他の株主に、その株式の価額の増加分に相当する利益の供与があったものとして、贈与税が課税される。         (了)

#No. 179(掲載号)
#齋藤 和助
2016/07/28

金融・投資商品の税務Q&A 【Q5】「外国法人が発行した外貨建利付債券の利子の取扱い」~「国外」で受け取る場合~

金融・投資商品の税務Q&A 【Q5】 「外国法人が発行した外貨建利付債券の利子の取扱い」 ~「国外」で受け取る場合~   PwC税理士法人 金融部 パートナー 税理士 箱田 晶子   ●○ 検 討 ○● 所得税法上、公社債の利子は利子所得として取り扱われます。平成27年12月31日以前は、国外発行の公社債の利子で、支払の取扱者による源泉徴収がなされていないものについては、利子所得として総合課税の対象とされていました。しかし平成25年度税制改正により、平成28年1月1日以後は、特定公社債の利子については上場株式等の配当所得等として申告分離課税の対象となります。 なお、発行日が平成27年12月31日以前の公社債についても、利子の支払われるべき日が平成28年1月1日以後の場合は、新税制が適用されます。   1 源泉徴収 国外で発行された特定公社債の利子については、国内における支払の取扱者を通じてその交付を受ける場合、交付の際に支払を受けるべき金額(外国所得税が課されている場合は控除後の金額)に対し源泉徴収がなされます(【Q4】参照)。 おたずねの場合、外国証券会社の国外口座で利子の支払を受けるということですので、利子の金額(円換算額)に対して日本の源泉税は課されません。   2 申告分離課税 国外発行の特定公社債の利子は、支払の取扱者による源泉徴収がなされていない場合、原則として申告が必要となり、上場株式等の配当所得等として申告分離課税20.315%(国税15.315%、地方税5%)が適用されます。上場株式等(特定公社債を含む)に係る一定の譲渡損失との損益通算等が可能です。 この場合における利子所得として収入金額に計上すべき金額は、外貨建の利子の金額をその収入すべき日(利子につき支払開始日と定められた日)におけるTTM(電信仲値相場)により円換算した金額となります。 (了)

#No. 179(掲載号)
#箱田 晶子
2016/07/28

連結納税適用法人のための平成28年度税制改正 【第6回】「地方創生応援税制(企業版ふるさと納税)の創設」

連結納税適用法人のための 平成28年度税制改正 【第6回】 「地方創生応援税制(企業版ふるさと納税)の創設」   公認会計士・税理士 税理士法人トラスト パートナー 足立 好幸   [8] 地方創生応援税制(企業版ふるさと納税)の創設 1 制度内容 地方公共団体が行う一定の地方創生事業に対する企業の寄附について、現行の損金算入措置に加え、住民税、事業税、法人税の税額控除の優遇措置を新たに講じ、地方創生に取り組む地方を支援する制度として、地方創生応援税制(企業版ふるさと納税)が創設された。 地方創生応援税制の優遇措置を受けるための手続は次のとおりである。 なお、内閣府地方創生推進事務局のウェブサイトに、「活用の手引き」(企業版ふるさと納税を検討する企業向けに制度の概要、手続の流れ、留意事項等が記載されている)が掲載されている。 以上の内容を盛り込んだ「地域再生法の一部を改正する法律」及び関係する政省令等は、平成28年4月20日に公布及び施行されている。 連結納税適用法人の地方創生応援税制の取扱いは、以下のようにまとめられる。 《連結納税適用法人の地方創生応援税制の取扱い》 具体的な取扱いは次のとおりとなる。 (1) 事業税 連結親法人又は連結子法人が、改正地域再生法の施行日(平成28年4月20日)から平成32年3月31日までの間に、地域再生法に規定する認定地方公共団体に対してまち・ひと・しごと創生寄附活用事業に関連する寄附金(特定寄附金)を支出した場合には、特定寄附金を支出した日を含む連結事業年度(寄附金支出連結事業年度)において支出した特定寄附金の額(注1)の合計額(注2)の10%に相当する金額を事業税額から控除するものとする(平成28年地法改正法附則9の2の2①、平成28年地令改正法令附則6の2の2)。 ただし、寄附金支出連結事業年度の事業税額の20%(地方法人特別税は廃止される平成29年4月1日以後に開始する連結事業年度から15%)に相当する金額を上限とする(平成28年地法改正法附則9の2の2①、地方法人特別税等に関する暫定措置法2②、平成28年地法改正法9、平成28年地法改正法附則1三)。 (注1) 寄附金支出連結事業年度の法人税の連結所得の金額の計算上損金の額に算入されたものに限る。 (注2) 分割法人の場合は、分割基準により按分して計算した金額とする。 (2) 道府県民税 連結親法人又は連結子法人が、改正地域再生法の施行日(平成28年4月20日)から平成32年3月31日までの間に、地域再生法に規定する認定地方公共団体に対してまち・ひと・しごと創生寄附活用事業に関連する寄附金(特定寄附金)を支出した場合には、特定寄附金を支出した日を含む連結事業年度(寄附金支出連結事業年度)において支出した特定寄附金の額(注3)の合計額(注4)の5%(平成29年4月1日以後に開始する連結事業年度分にあっては、2.9%)に相当する金額を道府県民税の法人税割額から控除するものとする(平成28年地法改正法附則8の2の2③、平成28年地令改正法令附則5の3)。 ただし、寄附金支出連結事業年度の道府県民税の法人税割額の20%に相当する金額を上限とする(平成28年地法改正法附則8の2の2③)。 (注3) 寄附金支出連結事業年度の法人税の連結所得の金額の計算上損金の額に算入されたものに限る。 (注4) 分割法人の場合は、個別帰属法人税額の分割基準となる従業者の数に按分して計算した金額とする。 (3) 市町村民税 連結親法人又は連結子法人が、改正地域再生法の施行日(平成28年4月20日)から平成32年3月31日までの間に、地域再生法に規定する認定地方公共団体に対してまち・ひと・しごと創生寄附活用事業に関連する寄附金(特定寄附金)を支出した場合には、特定寄附金を支出した日を含む連結事業年度(寄附金支出連結事業年度)において支出した特定寄附金の額(注5)の合計額(注6)の15%(平成29年4月1日以後に開始する連結事業年度分にあっては、17.1%)に相当する金額を市町村民税の法人税割額から控除するものとする(平成28年地法改正法附則8の2の2⑨、平成28年地令改正法令附則5の3)。 ただし、寄附金支出連結事業年度の市町村民税の法人税割額の20%に相当する金額を上限とする(平成28年地法改正法附則8の2の2⑨)。 (注5) 寄附金支出連結事業年度の法人税の連結所得の金額の計算上損金の額に算入されたものに限る。 (注6) 分割法人の場合は、個別帰属法人税額の分割基準となる従業者の数に按分して計算した金額とする。 (4) 連結法人税 連結親法人又は連結子法人が、改正地域再生法の施行日(平成28年4月20日)から平成32年3月31日までの間に、地域再生法に規定する認定地方公共団体に対してまち・ひと・しごと創生寄附活用事業に関連する寄附金(特定寄附金)を支出した場合には、連結親法人及び各連結子法人の税額控除限度額(注7)の合計額を寄附金支出連結事業年度の連結所得に対する調整前連結税額(注8)から控除することとする(措法68の15の3①)。 ただし、連結親法人又は各連結子法人ごとに、寄附金支出連結事業年度における税額控除限度額が連結親法人又は連結子法人の寄附金支出連結事業年度の法人税額基準額(注9)を超えるときは、その税額控除限度額は、法人税額基準額を限度とする(措法68の15の3①)。 (注7) 税額控除限度額とは 税額控除限度額とは、連結親法人又は連結子法人の寄附金支出連結事業年度において支出した特定寄附金の額(※1)の合計額の20%に相当する金額から特定寄附金の支出について道府県民税及び市町村民税(都民税を含む)に係る税額控除額として政令で定める金額(※2)を控除した金額をいう。ただし、当該金額が連結親法人又は連結子法人の寄附金支出連結事業年度において支出した特定寄附金の額の合計額の10%に相当する金額を超える場合には、当該10%に相当する金額をいう。 (※1) 当連結事業年度の連結所得の金額の計算上損金の額に算入されるものに限る。 (※2) 特定寄附金の支出について道府県民税及び市町村民税(都民税を含む)に係る税額控除額として政令で定める金額とは、「調整前個別帰属法人税額(個別所得金額に連結法人税率を乗じた金額)から控除対象個別帰属調整額及び控除対象個別帰属税額等を控除した金額(※3)」(個別帰属法人税額)に2.58%(平成29年4月1日以後に開始する連結事業年度は1.4%)を乗じて計算した金額という(措令39の45の3①、平成28年措令改正法令附則28)。この2.58%(1.4%)とは、住民税からの税額控除の限度額である20%に住民税率12.9%(7%)を乗じた率となる。 (※3) 連結確定申告書等に控除対象個別帰属調整額及び控除対象個別帰属税額等の金額を明らかにする書類の添付がない場合には、控除額は0となる(措令39の45の3③)。 (注8) 調整前連結税額とは 調整前連結税額とは、留保金課税、所得税額控除、外国税額控除、租税特別措置法上の税額控除を増額又は減額する前の連結法人税額をいう(措法68の9⑥二。以下、[8]に同じ)。 (注9) 法人税額基準額とは 法人税額基準額とは、次の①又は②の金額のうち、いずれか少ない金額をいう(措令39の45の3④)。  この取扱いは、連結確定申告書及び地方税申告書等に別表の添付があり、かつ、別表に記載された寄附金が特定寄附金に該当することを証する書類として財務省令で定める書類を保存している場合に限り、適用する(措法68の15の3③、平成28年地法改正法附則8の2の2⑤⑪、9の2の2②)。この場合において、税額控除額は、別表に記載された特定寄附金の額を基礎として計算した金額に限るものとする(措法68の15の3③、平成28年地法改正法附則8の2の2⑤⑪、9の2の2②)。 《連結法人税に係る地方創生応援税制の税額控除額》 ※画像をクリックすると、別ページでPDFファイルが開きます。 [地方創生応援税制に係る税額控除額の個別帰属額の計算方法] 上記で計算された連結税額控除額のうち、各連結法人の個別帰属額は、各連結法人の税額控除額(税額控除限度額又は法人税額基準額)となる(措法68の15の3④、措令39の45の3⑤)。 [地方法人税における地方創生応援税制に係る税額控除額の取扱い] 法人税における地方創生応援税制の税額控除額は、地方法人税の課税標準となる基準法人税額の計算において連結法人税額から控除される(地方法6三)。 この場合、各連結法人の地方創生応援税制の税額控除額の個別帰属額に地方法人税率(4.4%又は10.3%)を乗じた金額が地方法人税個別帰属額の計算において減算される(措法68の15の3④、措令39の45の3⑤、地方法15①)。 [住民税における地方創生応援税制に係る税額控除額の取扱い] 連結親法人又は連結子法人の各連結事業年度の個別帰属法人税額(道府県民税及び市町村民税の課税標準)の計算において、法人税における地方創生応援税制に係る税額控除額の個別帰属額は個別帰属法人税額から控除されない(つまり、連結法人税個別帰属額に加算される。地方税法附則8⑥⑧、地法23①四の三、292①四の三)。   2 適用時期 改正地域再生法の施行日(平成28年4月20日)以後に特定寄附金を支出した場合に,その支出をした日を含む連結事業年度から適用される(平成28年所法等改正法附則1十二、平成28年地法改正法附則1十一)。 (了)

#No. 179(掲載号)
#足立 好幸
2016/07/28

理由付記の不備をめぐる事例研究 【第16回】「宥恕規定・収用換地等特別控除」~やむを得ない事情がないと判断した理由は?~

理由付記の不備をめぐる事例研究 【第16回】 「宥恕規定・収用換地等特別控除」 ~やむを得ない事情がないと判断した理由は?~   中央大学大学院商学研究科 博士後期課程 (酒井克彦研究室所属) 泉 絢也   今回は、青色申告法人X社に対して、修正申告書において損金の額に算入された収用等の特別控除を否認した法人税更正処分の理由付記の十分性が争われた、国税不服審判所平成13年6月27日裁決(裁決事例集61号427頁。以下「本裁決」という)を取り上げる。   1 更正通知書に記載された更正の理由(本件理由付記) (注) 素材とした本裁決の裁決文から読み取ることができる理由付記の一部を筆者が加工している。   2 本件理由付記から読み取ることができる関係図   3 本裁決の判断 本裁決は、大要次のとおり、理由付記に不備はないと判断した。 (1) 法人税法130条2項の趣旨 (2) 理由付記の十分性   4 私見 (1) 関係法令等の確認 租税特別措置法65条の2第1項の収用換地等の場合の所得の特別控除の規定は、確定申告書等にこれらの規定により損金の額に算入される金額の損金算入に関する申告の記載があり、かつ、当該確定申告書等にその損金の額に算入される金額の計算に関する明細書及びこれらの規定の適用を受けようとする資産につき公共事業施行者から交付を受けた買取り等の申出があったことを証する一定の書類の添付がある場合に限り、適用するものとされている(措法65の2④)。 他方で、税務署長は、この4項の記載又は添付がない確定申告書等の提出があった場合においても、その記載又は添付がなかったことについてやむを得ない事情があると認めるときは、当該記載をした書類並びに同項の明細書及び財務省令で定める書類の提出があった場合に限り、1項の規定を適用することができるといういわゆる宥恕規定を用意している(措法65の2⑤)(※)。なお、修正申告書は上記の確定申告書等には含まれない(措法2②二十七)。 (※) 素材とした本裁決の事案では、X社は、当初の確定申告においては、収用換地等の場合の所得の特別控除の規定の適用を受けていなかったが、確定申告後に、宥恕規定の適用を求める陳情書を課税庁に提出し、その数ヶ月後、同規定を適用した修正申告書を提出した。これに対して、課税庁が、上記確定申告書等には修正申告書は含まれないことを理由に(措法2②二十七)、特別控除の規定の適用はできないとする本件更正処分を行った、という経緯がある。 (2) 求められる理由付記の程度 本件更正処分は、X社の帳簿書類記載の事実そのものを否定したものではなく、X社が、×年×月×日に提出した修正申告書において、収用等の特別控除額〇〇〇円を損金の額に算入しているところ、当該修正申告書は租税特別措置法65条の2に規定する確定申告書等に該当しないことを理由に、その損金算入を認めないものであるから、帳簿書類の記載自体を否認することなしに更正をする場合に該当すると考える。 したがって、理由付記の程度としては、更正通知書記載の更正の理由が、そのような更正をした根拠について帳簿記載以上に信憑力のある資料を摘示するものでないとしても、更正の根拠を更正処分庁の恣意抑制及び不服申立ての便宜という理由付記制度の趣旨目的を充足する程度に具体的に明示するものである限り、法の要求する更正理由の付記として欠けるところはないことになる(最高裁昭和60年4月23日第三小法廷判決・民集39巻3号850頁等参照)。 (3) 理由付記の十分性 本件理由付記は、法の求める理由付記として十分なものであると考える。 すなわち、本件理由付記は、X社が提出した修正申告書は租税特別措置法65条の2に規定する確定申告書等に該当しないことから、収用等の特別控除額〇〇〇円は損金の額に算入されないという処分理由を明記している。したがって、本件理由付記は、その記載内容から法令上の根拠が明らかになるものであり、かつ、法令上の要件に対応する具体的な事実を記載するものであり、これによって課税庁の判断過程が明らかとなるものであるから、更正処分庁の判断の慎重、合理性を担保してその恣意を抑制するとともに、更正の理由を相手方に知らせて不服申立ての便宜を与えるという理由付記の趣旨目的に適うものであると考える。 これに対して、本件理由付記には課税庁が宥恕規定の適用がないと判断したことについての記載がないという主張もあり得よう。しかしながら、本件理由付記の記載内容から、宥恕規定に該当するようなやむを得ない事情はないと課税庁が判断したものであることは推察可能である。 そもそも、宥恕規定に該当する事情は、X社が主張・立証すべきであることを前提とすれば、本件において宥恕規定の適用がないことについての記載がないとしても、このことのみをもって直ちに上記理由付記の趣旨に悖ることにはならないという反論もなし得る。 X社とすれば、宥恕規定に該当するようなやむを得ない事情を主張・立証すればよいのであるから、本件理由付記程度の記載であっても、相手方に不服申立ての便宜を与えるという趣旨目的に適うと解しておく。 (4) 異なる視点 今後の議論の発展のためにも、以下では、上記と異なる視点を示しておく。 素材とした本裁決の事案では、X社が、確定申告後において、課税庁に提出した宥恕規定の適用を求める陳情書には、やむを得ない事情として次のような記載があったが、この点に関する課税庁の判断は理由付記に記載されていない。 審査請求において、課税庁は、宥恕規定におけるやむを得ない事情とは、自然的災害等の客観的に見て本人の責めに帰すことのできない事情をいい、個人的事情は該当しないという解釈を主張しているが、このような解釈の下で、課税庁が上記陳述書に照らして、宥恕規定の適用の有無について、具体的にどのような検討・判断を行ったのかが本件理由付記に記載されていない。 このように、陳述書の存在を踏まえた上で、本件理由付記が更正処分庁の恣意抑制又は不服申立ての便宜という理由付記の趣旨目的に適うものであるといえるのかという点について、再検討することは可能である。 この点、本連載の【第3回】において取り上げた大阪高裁平成25年1月18日判決(判時2203号25頁)は、法人のこれまでの申告状況、過去の税務調査の状況、更正処分の前提となった税務調査の状況などから、行政処分庁の判断の慎重、合理性を担保してその恣意を抑制するともに、更正の理由を相手方に知らせて不服申立ての便宜を与える必要がある論点を抽出した上で、理由付記にはこの点について何ら記載するものではなく、行政処分庁の判断過程を検証することができないとしている。 この判決を参考として、本件における宥恕規定の適用を求める陳情書の記載内容や税務調査におけるX社と調査担当職員とのやりとりの状況などから、行政処分庁の判断の慎重、合理性を担保してその恣意を抑制するともに、更正の理由を相手方に知らせて不服申立ての便宜を与える必要がある論点は宥恕規定の適用の有無であるとした上で、本件理由付記にはこの点についての記載がなく、課税庁の判断過程を検証することができないという観点から、理由付記に不備があるという主張を展開することも考えられよう。 *  *  * 次回は、青色申告承認取消処分の理由付記制度の概要と関連する裁判例等を確認する。 (了)

#No. 179(掲載号)
#泉 絢也
2016/07/28

裁判例・裁決例からみた非上場株式の評価 【第12回】「譲渡制限株式の譲渡②」

裁判例・裁決例からみた 非上場株式の評価 【第12回】 「譲渡制限株式の譲渡②」   公認会計士 佐藤 信祐   前回は、譲渡制限株式の譲渡が経営権の移動に準じて取り扱うことができる場合として、東京高裁平成20年4月4日決定について解説した。 本稿では、類似の裁判例であるが、福岡高裁平成21年5月15日決定について解説を行うこととする。   2 福岡高裁平成21年5月15日決定・金判1320号20頁 (1) 事実の概要 本事件は、発行済株式総数200株を発行する株式会社ホスピカの株式のうち、94株を保有する株式会社システム医療研究所が、申立人に当該株式を譲渡したのに対し、当該株式の譲渡を承認しない旨及び相手方を買取人として指定する旨の通知を受けたため、売買価格の決定の申立てがなされた事件である。 本事件では、仮装譲渡・権利の濫用についても争われているが、本稿では、売買価格の決定についてのみ解説を行うこととする。 (2) 申立人の主張 (3) 相手方の主張 (4) 原決定(福岡地裁平成20年4月8日決定・金判1320号27頁) (5) 裁判所の判断 (6) 評釈 本事件では、DCF法に疑義があるものとしながらも、全く無視するのは相当ではないとして、純資産法との折衷方式により売買価格を決定している。 そして、DCF法の算定内容としては、申立人は161万7,590円、247万3,000円と算定しているのに対し、相手方は22万6,485円と算定しており、裁判所は後者を採用したようである。 これは、純資産価額法との乖離が少ないことから裁判所も採用しやすかったという点が大きな理由であり、そのような採用の仕方が望ましいのかは疑問があるところである。 前回でも解説したが、支配株主にとっての株式価値を算定するに際しては、DCF法を採用しながらも、一定の場合には純資産価額法との折衷方式を採用するというのが裁判所の傾向として存在する。 本事件では、介護事業の特殊性からして、事業計画や資本還元率の算定が困難であったことから、純資産価額法の折衷割合を増やさざるを得ず、そのことが、本決定の内容に繋がったと考えられる。 次回では、大阪高裁平成元年3月28日決定について解説を行う予定である。 (了)

#No. 179(掲載号)
#佐藤 信祐
2016/07/28

税務判例を読むための税法の学び方【87】 〔第9章〕代表的な税務判例を読む(その15:「「退職所得」の意義②」(最判昭58.9.9))

税務判例を読むための税法の学び方【87】 〔第9章〕代表的な税務判例を読む (その15:「「退職所得」の意義②」(最判昭58.9.9))   立正大学法学部准教授 税理士 長島 弘   今回より、実際の判決の内容についてみていく。   4 裁判所の判断(第一審(東京地裁昭和51年10月6日判決)の判断) これは裁判所HPや法務省訟務重要判例集データベース等、入手しやすい形では公開されていないため、ここに当事者の主張(一部)も紹介する。また同じ理由で、判決の過半を紹介する。少し長くなるがご容赦願いたい。 *   *   * 次回は、控訴審(東京高裁昭和53年3月28日)の判断を取り上げる。 (続く)

#No. 179(掲載号)
#長島 弘
2016/07/28

フロー・チャートを使って学ぶ会計実務 【第28回】「IFRS15(収益認識の基本)」

フロー・チャートを使って学ぶ会計実務 【第28回】 「IFRS15(収益認識の基本)」   仰星監査法人 公認会計士 西田 友洋   【はじめに】 2014年5月28日にIFRS第15号「顧客との契約から生じる収益(以下、「IFRS15」という)」が公表されている。IFRS15は、原則、2018年1月1日以後開始する事業年度から適用される。 また、日本においても、IFRS15の強制適用日に適用が可能となることを当面の目標として収益認識に関する包括的な会計基準の開発が検討されている(「収益認識に関する包括的な会計基準の開発についての意見の募集(以下、「意見募集」という)」15)。 今回は、IFRS15の「基本」について解説する。IFRS15では、収益認識は履行義務単位で行う。そして、5つのSTEPに分けて検討する。 ※各ステップをクリックすると、それぞれのページに移動します。 ※画像をクリックすると、別ページでPDFが開きます。 ※画像をクリックすると、別ページで拡大表示されます。 まず、顧客との契約を識別する。契約とは、強制可能な権利及び義務を生じさせる複数の当事者間の合意であり、以下の識別要件のすべてに該当するものをいう(意見募集197)。 契約の識別の要件を満たした場合、【STEP2】を検討する。満たさない場合、以下のように収益認識を行う。 顧客との契約が契約の識別要件を満たさず、企業が顧客から対価を受け取る場合には、企業は、以下のいずれかの事象が発生している場合にのみ、受け取った対価を収益として認識する(意見募集200)。また、【STEP2】以降の検討は不要である。 IFRS15では、収益認識は履行義務単位で行う。ここでは、契約においていくつの財又はサービスを約束しているか(履行義務があるか)を検討する。 顧客に約束している財又はサービスが、以下の要件の両方に該当する場合には、別個の履行義務であるとする(意見募集204~206)。 (1)は財又はサービスの性質の観点から別個のものとなることが可能かどうかについて検討する要件であり、(2)は契約の観点から財又はサービスを移転する約束が別個のものであるかどうかについて検討する要件である(意見募集204)。 ここでは、取引価格を算定する。取引価格とは、約束した財又はサービスの顧客への移転と交換に企業が権利を得ると見込んでいる対価の金額であり、第三者に代わって回収する金額(例えば、一部の売上税)を除くものである。顧客との契約において約束された対価には、固定された金額、変動性のある金額、あるいはその両方が含まれる場合がある(意見募集225)。 取引価格を算定する際には、以下の4つについて検討する。 ※画像をクリックすると、別ページで拡大表示されます。 (1) 変動対価 契約において約束された対価に変動対価を含んでいる場合には、企業は、約束した財又はサービスの顧客への移転と交換に権利を得ることになる対価の金額を見積もる(意見募集226)。見積り方法には、「期待値法」と「最頻値法」がある(意見募集229)。 見積もられた変動対価の金額について、当該変動対価に関する不確実性がその後において解消される際に、認識した収益の累計額に重大な戻入れが生じない可能性が非常に高いと判断される範囲の金額のみを取引価格に含める(意見募集230)。 (2) 重要な金融要素 契約が金融要素を含んでいるかどうか及び金融要素が契約にとって重要であるかどうかを評価する。 ① 重要な金融要素の評価 評価する際には、関連するすべての事実及び状況を考慮しなければならないが、これには以下の両者が含まれる(意見募集234)。 なお、上記(ⅰ)及び(ⅱ)に関わらず、顧客との契約は、以下の要因のいずれかが存在する場合には、重要な金融要素を含まないと判断される(意見募集236)。 重要な金融要素を含んでいると評価された場合、②を検討する。含んでいないと評価された場合、(3)を検討する。 ② 重要な金融要素を含んでいる場合 契約が重要な金融要素を含んでいる場合には、企業は、約束された対価の金額を貨幣の時間価値の影響について調整する(意見募集233)。つまり、割引計算を行う。割引計算を行う際に、企業は、契約開始時における企業と顧客との間での独立した金融取引に反映されると考えられる割引率を使用する(意見募集235)。 なお、契約開始時において、企業が約束した財又はサービスを顧客に移転する時点と顧客が当該財又はサービスに対して支払を行う時点との間の期間が 1年以内となると見込まれる場合は、重要な金融要素の影響について調整する必要はない(意見募集注43)。 (3) 現金以外の対価 企業が現金以外の対価を受領する場合には、当該対価を公正価値で測定する。現金以外の対価の公正価値を合理的に見積もることができない場合には、当該対価の測定を、約束した財又はサービスの独立販売価格を参照して間接的に行う(意見募集237)。 (4) 顧客に支払われる対価 顧客に支払われる対価では、以下の検討が必要である。 ① 顧客に支払われる対価が、区別できる財又はサービスに対する支払いであるか 顧客に支払われる対価が、区別できる財又はサービスに対する支払いであるか否かにより会計処理が異なるため、まず、顧客に支払われる対価が、区別できる財又はサービスに対する支払いであるか否かを検討する。 顧客に支払われる対価が、区別できる財又はサービスに対する支払いである場合、③を検討する。区別できる財又はサービスに対する支払いでない場合、②を検討する。 ② 顧客に支払われる対価が、区別できる財又はサービスに対する支払いでない場合の会計処理 顧客に支払われる対価を、取引価格の減額(収益の減額)として会計処理する(意見募集240)。 顧客に支払われる対価を取引価格の減額として会計処理する場合には、以下の事象のうち遅い方が発生する時点で(又は発生するにつれて)、収益を減額しなければならない(意見募集242)。 次は、【STEP4】を検討する。 ③ 公正価値の合理的な見積り 顧客に支払われる対価が、区別できる財又はサービスに対する支払いである場合、企業は受け取る財又はサービスの公正価値を合理的に見積もることができるかどうかを検討する。 公正価値を合理的に見積もることができる場合、④を検討する。合理的に見積もることができない場合、②を検討する。 ④ 公正価値を超過するか 区別できる財又はサービスに対して支払われる対価が、③で算定した受け取る財又はサービスの公正価値を超過する場合、⑤を検討する。超過しない場合、⑥を検討する。 ⑤ 公正価値を超過する場合の会計処理 顧客に支払われる対価が、企業が顧客から受け取る別個の財又はサービスの公正価値を超える場合には、企業はその超過額を取引価格の減額として会計処理する(意見募集241)。残りの金額は、当該財又はサービスの購入を仕入先からの他の購入と同じ方法で会計処理する(意見募集241)。 ⑥ 公正価値を超過しない場合の会計処理 顧客に支払われる対価が、企業が顧客から受け取る別個の財又はサービスの公正価値を超えない場合には、当該財又はサービスの購入を仕入先からの他の購入と同じ方法で会計処理する(意見募集241)。 ここでは、【STEP3】で算定した取引価格を【STEP2】で決定した各履行義務へ配分する。 ※画像をクリックすると、別ページで拡大表示されます。 取引価格を配分する目的は、企業がそれぞれの履行義務に対する取引価格の配分を、企業が約束した財又はサービスを顧客に移転するのと交換に権利を得ると見込んでいる対価の金額を描写する金額で行うことである(意見募集246)。 実際の配分は、契約で識別されているそれぞれの履行義務に対する取引価格の配分を独立販売価格(企業が約束した財又はサービスを独立に顧客に販売するであろう価格)の比率に基づいて行う(意見募集247、注44)。独立販売価格として最善のものは、企業が当該財又はサービスを同様の状況において同様の顧客に別個に販売する場合における、当該財又はサービスの観察可能な価格である。 財又はサービスについて契約書に記載された価格や定価は、当該財又はサービスの独立販売価格である可能性があるが、独立販売価格であると推定してはならない(意見募集248)。 独立販売価格が直接的に観察可能ではない場合には、企業は、独立販売価格を取引価格の配分の目的(意見募集246)に合致するように見積もらなければならない(意見募集249)。独立販売価格を見積もるための適切な方法には、以下の3つがある(意見募集249、注46)。 ※画像をクリックすると、別ページで拡大表示されます。 【STEP5】では、いつ、どのように収益を認識するかを決定する。 企業は、約束した財又はサービスを顧客に移転することによって履行義務を充足した時に(又は充足するにつれて)、収益を認識する。財又はサービスは、顧客が当該財又はサービスに対する支配を獲得した時に(又は獲得するにつれて)、顧客に移転する(意見募集256)。 そして、【STEP2】に従って識別された履行義務のそれぞれについて、企業は、契約開始時に、企業が履行義務を「一定の期間」にわたり充足するのか、それとも「一時点」で充足するのかを決定する(意見募集258)。 (1) 一定の期間にわたり充足するか否か 以下の要件①から③のいずれかを満たす場合、一定の期間にわたって充足される履行義務となる。それ以外は、一時点で充足される履行義務となる(意見募集259)。 一定の期間にわたって充足する履行義務の場合、(2)を検討する。一時点で充足する履行義務の場合、(3)を検討する。 (2) 一定の期間にわたって充足する履行義務 一定の期間にわたり充足する履行義務については、その進捗に応じて収益を認識する(意見募集260)。 進捗度の測定方法としては、「アウトプット法」と「インプット法」がある(意見募集260)。企業は、いずれか適切な方法を選択する。 上記の方法で進捗度を合理的に算定できない場合も考えられる。しかし、進捗度を合理的に算定できない場合でも履行義務を充足する際に発生するコストを回収すると見込んでいる場合がある。このような場合、当該履行義務の結果を合理的に測定できるようになるまで、発生したコストが回収されると見込まれる範囲でのみ収益を認識する(意見募集262)。 (3) 一時点で充足する履行義務 一時点で充足する履行義務については、財又はサービスに対する支配が顧客に移転した時点で収益を認識する。 IFRS15では、支配の移転の指標として以下のものが例示されている(意見募集264)。 *   *   * 以上、5つのステップをまとめたフロー・チャートを再掲する。 ※画像をクリックすると、別ページでPDFが開きます。 (了)  

#No. 179(掲載号)
#西田 友洋
2016/07/28
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