検索結果

詳細検索絞り込み

ジャンル

公開日

  • #
  • #

筆者

並び順

検索範囲

検索結果の表示

検索結果 10663 件 / 7611 ~ 7620 件目を表示

《速報解説》 減価償却方法の見直しに係る改正法人税法施行令第48条の2を確認~新法令は平成28年4月1日以後終了事業年度から適用

《速報解説》 減価償却方法の見直しに係る 改正法人税法施行令第48条の2を確認 ~新法令は平成28年4月1日以後終了事業年度から適用   Profession Journal編集部   既報のとおり平成28年度税制改正では減価償却方法の見直しが行われ、平成28年4月1日取得分から、下表の通り建物附属設備及び構築物については定率法が廃止され定額法一本とされた。また鉱業用減価償却資産についても定率法が廃止され定額法又は生産高比例法のみとされている。 (※) 平成28年度税制改正の大綱(財務省ホームページ)より 減価償却資産の償却方法については法人税法施行令に規定されており改正法案ではその内容を確認することができなかったが、3月31日公布の「法人税法施行令等の一部を改正する政令」でその規定が明らかとなった。 以下では特に大きく改正された法人税法施行令第48の2第1項の規定振りを確認したい。 (※) 平成19年3月31日以前取得分の償却方法を定めた第48条は改正されていない。 なお改正前の旧法人税法施行令(以下、旧法令)については下記を参照されたい。 改正された法人税法施行令(以下、新法令)第48条の2第1項は次のような規定となっている(赤字が改正部分、《 》内は編集部追記)。 上記のように、旧法令では第一号で「建物」の償却方法を定額法と定めていたが、新法令の第一号では「建物、建物附属設備、構築物(鉱業用減価償却資産及びリース資産を除く)」の償却方法として と、イで改正前の建物附属設備と構築物の償却方法をまとめ、ロでそれ以外の償却方法をすべて定額法と規定している。 また旧法令で鉱業用減価償却資産の償却方法を定めた第三号は、新法令において、鉱業用減価償却資産のうち と、こちらも取得時期によりイ、ロに分け償却方法を規定した構成となっている。 また大綱に記載のあったとおり、リース資産の償却方法としてリース期間定額法を定めた第六号については、改正は行われていない。 なお、本改正については改正法令の附則第6条(減価償却資産の償却の方法等に関する経過措置)において、「法人の施行日(H28.4.1)以後に終了する事業年度の償却限度額の計算について適用」することとされており、上記取得時期に加え適用事業年度についても留意しておきたい。 (了)

#No. 164(掲載号)
#Profession Journal 編集部
2016/04/07

《速報解説》 各都府県の超過課税税率に関する条例が出揃う~税効果会計に適用する税率に関する適用指針の実務対応~

《速報解説》 各都府県の超過課税税率に関する条例が出揃う ~税効果会計に適用する税率に関する適用指針の実務対応~   公認会計士・税理士 八代醍 和也   Ⅰ はじめに 企業会計基準委員会が平成28年3月14日に「税効果会計に適用する税率に関する適用指針」(企業会計基準適用指針第27号、以下「本適用指針」という)を公表したことを受け、既にこれまで下記拙稿において、税効果会計に適用する税率に関する改正点・留意点及並びに設例を用いた実際の取扱いについての解説を行った。 また、平成28年3月29日の平成28年度税制改正法案(所得税法等の一部を改正する法律案及び地方税法等の一部を改正する等の法律案)(以下、「改正税法」という)の成立に足並みを合わせ、平成28年3月31日までに、外形標準課税適用法人に係る法人事業税について超過課税による税率を採用する8都府県でそれぞれ、改正地方税法等を受けた条例が成立した。 このような状況を受け、改正後の条例を受けた実際の計算方法について補足解説を行う。   Ⅱ 改正条例における法人事業税の超過課税税率の概要 各都府県において成立した条例における軽減税率不適用法人の法人事業税所得割の税率の概要を示すと下表のとおりである。 【表1】 軽減税率不適用法人の法人事業税所得割の税率の概要 上表のとおり、法人事業税について超過課税による税率を採用するすべての都府県において、平成28年3月31日時点で改正地方税法等を受けた改正条例が成立しているため、連載【第2回】で解説した3つの設例のうち『〈設例2〉超過課税の税率によるケース(その1)』により、法定実効税率を計算することになる。   Ⅲ 改正条例の税率による法定実効税率の計算例 Ⅱの改正条例を受け、以下の計算式に基づき、東京都、大阪府の平成29年3月期の法定実効税率を計算すると以下のようになる。 なお、法人市町村民税の税率は各自治体により異なるため、実際の計算にあたっては、各自治体のホームページ等で確認されたい。 【東京都】 前提:法人都民税16.3%(23区内・超過課税)として計算している。 【大阪府】 前提:法人府民税4.2%(超過課税)、法人市民税率11.9%(大阪市・超過課税)として計算している。 (了) ↓お薦め連載記事↓

#No. 164(掲載号)
#八代醍 和也
2016/04/07

プロフェッションジャーナル No.164が公開されました!~今週のお薦め記事~

2016年4月7日(木)AM10:30、 プロフェッションジャーナル  No.164を公開! プロフェッションジャーナルのリーフレットは 全国のTAC校舎で配布しています! -「イケプロが実践するPJの活用術」「第一線で活躍するプロフェッションからPJに寄せられた声」を掲載!-   - ご 案 内 - プロフェッションジャーナルの解説記事は毎週木曜日(AM10:30)に公開し、《速報解説》は随時公開します。

#Profession Journal 編集部
2016/04/07

monthly TAX views -No.39-「消費増税延期に伴う政治リスク」

monthly TAX views -No.39- 「消費増税延期に伴う政治リスク」   中央大学法科大学院教授 東京財団上席研究員 森信 茂樹   消費増税の先送り論が、日に日に強まりつつある。 表向きは内外経済情勢の悪化ということだが、本音は衆議院解散の大義名分、つまり解散するのは「国民に消費税率を法律通り引き上げることが望ましいかどうかの是非を問うため」という政治の論理だろう。 官邸に米国ノーベル賞学者のスティグリッツ氏やクルーグマン氏などを招いて「国際金融経済分析会合」を開催した。 米国のように、消費税(付加価値税)も導入されておらず、社会保障も十分でなく、国民が1%と99%に分断されている国の経済学者に、わが国の国家主権そのものである税と社会保障のアドバイスを求める、というのはブラックジョークだが、すでに株式市場なども消費増税延期を織り込みつつある。 しかし筆者は、消費増税先送りは、様々なリスクを顕在化するので、そんなに安易・簡単な選択ではないと考えている。 第1に、消費増税先送りは、アベノミクス失敗に直結する。 安倍政権3年間の経済成長をならしてみると、民主党時代より低いことがわかる。3本の矢とか異次元の金融政策とか、いろいろやったが結局はこの程度なのか、という国民の失望感が出始めている。 「リーマンショックや大震災並みの経済変動」が起こらない限り増税を行うと繰り返し明言していたわけだから、増税延期は「今がそのような状況なのだ」ということになり、「アベノミクスは失敗」という政治リスクの引き金を引くことになる。 第2に、一億総活躍社会という公約の実現には財源が必要だが、消費増税延期でそれが出てこないので、国民の失望につながる。 保育園待機児童問題一つとってみても、根本的な解決には財源が必要だ。消費税10%を見込んで子育て・介護などの政策は決まっており、財源待ちの状態だ。 消費増税先送りは、財源問題の困難性を通じ、国民安心のための政策に大きな影響を及ぼす。 最後に、マーケットの反応である。 増税先送りは、株式市場にとっては朗報であろう。 一方、国債マーケットではどうか。 20年プライマリーバランス黒字化という(国際)公約は、すっ飛んでしまう。当面は日銀が国債を買い続けるので、何も起きないだろうが、ボディーブローのように、今後のリスクとなる。 わが国がいずれ迎える金融緩和の「出口」問題も、全く見えなくなる。不確実性の中に突っ込んでいく怖さがじわじわ出始める。 *  *  * このように考えていくと、安倍総理の本音が消費税先送りにあるとしても、その決断は大きな政治リスクを呼び起こす引き金になりかねない。 わが国の経済状況は、「需要不足」ではなく、「実力不足」である。少子化対策、女性の活躍、国民の安心の確保など、実力を引き上げる政策(供給側の政策)を本気で行うことが、国際的にも求められている政策のはずだ。 (了)

#No. 164(掲載号)
#森信 茂樹
2016/04/07

通勤手当の非課税限度額の引上げに関する経過措置について-本年1月から3月支給分の源泉徴収は改正前規定による-

通勤手当の非課税限度額の引上げに関する経過措置について -本年1月から3月支給分の源泉徴収は改正前規定による-   公認会計士・税理士 篠藤 敦子   平成28年度税制改正に関する「所得税法等の一部を改正する法律」が3月29日に国会で可決・成立した。関係する政省令も3月31日に公布されており、原則として4月1日から施行されている。 平成28年度税制改正では、通勤手当の非課税限度額の引上げ(10万円→15万円)が行われており、本改正については税制改正大綱公表時に《速報解説》として、下記拙稿にて取り上げたところである。 今回公布された改正所得税法施行令の附則には、通勤手当の非課税限度額の引上げに関する経過措置が設けられており、実務への影響があるため留意されたい。 経過措置の内容は、次の2点である。 今年の1月から3月に支給した給与については、給与計算システムの関係で、改正前の規定(非課税限度額10万円)にもとづいて源泉徴収が行われていると思われる。この場合、4月以降に、改正後の規定(非課税限度額15万円)を適用して源泉徴収税額を修正する必要はなく、年末調整で精算を行えばよいことになる。 (了)

#No. 164(掲載号)
#篠藤 敦子
2016/04/07

改正国税通則法と新たな不服申立制度のポイント 【第2回】「原則二段階の不服申立手続から選択制へ」~あえて「再調査の請求」をする意義とは~

改正国税通則法と 新たな不服申立制度のポイント 【第2回】 「原則二段階の不服申立手続から選択制へ」 ~あえて「再調査の請求」をする意義とは~   弁護士 坂田 真吾   1 旧通則法と新通則法 (1) 旧通則法下の不服申立て制度 旧通則法では、処分に不服を申し立てる納税者は、原則として、「異議申立て」と「審査請求」という二段階の不服申立手続を踏む必要がある。 すなわち、税務署長のした処分については、その処分をした税務署長に対して異議申立てを行うこととされ、異議決定になお不服があるときは審査請求をすることができる(旧通則法75条1項1号、3号)。 この例外として、税務署長がした処分が青色申告書に係る更正等である場合や、税務署長ではなく国税局長がした処分である場合等の一定の場合には、納税者の選択により、異議申立をしないで審査請求をすることができる(同条1項2号、4項等)。 (2) 新通則法による不服申立て制度 以上に対し、新通則法では、「異議申立て」手続の名称を「再調査の請求」と改め、税務署長、国税局長等を問わず、すべての処分について、納税者の選択により、再調査の請求をまずは行ってもよいし、これをしないで当初から審査請求をしてもよいこととされた(新通則法75条1項)。   2 再調査の請求を行うべきか (1) 問題の所在 以上の改正により、今後(本年4月1日以降)、課税処分等を受けた納税者は、最初から国税不服審判所に審査請求をするべきか、それとも原処分庁(税務署長、国税局長)に再調査の請求を行うべきかの判断を行う必要があることになる。 そうすると、この判断はどのようにして行うのが妥当か、ということが問題となる。 (2) 検討 ① 何のために再調査の請求を行うか この問題は、「何のために再調査の請求を行うか」ということから考える必要がある。 これには大きく分けて2つの目的があると考えられる。 言うまでもなく①が主目的であるが、そうでなくても、②再調査の請求に対する決定書(従前の異議決定書)によって、課税庁側の課税の根拠を明らかにさせることも重要な目的となる場合がある。 これらの目的に応じて、あえて、(いきなり審査請求をするのではなく)再調査の請求を行うべきか否かを考えればよいと思われる。 ② 再調査の請求によって課税処分が取り消される可能性のある事案とは それでは、再調査の請求によって課税処分が取り消される可能性があるのは、どのような事案であろうか。 まず、通常の税務調査を経て修正申告の勧奨が行われたが納税者が納得せず、課税処分がなされる場合には、課税庁としては納税者の主張を相応に検討している。 そして、国税局の調査だけでなく、税務署の調査によって課税処分を行う場合でも、処分の適法性については国税局の審理課が事前の検討に関与しているし、税務署内でも重要事案審議会等が開催され、課税庁内部の判断がなされている。また、現在の運営では、税務署が異議審理庁となる場合でも、国税局の審理課が異議決定の判断に関与していると考えられ、これは異議申立手続が再調査の請求手続に変更されてからも同様であろう。 そうすると、再調査の請求においては、基本的には、一旦、以上の内部検討を経てなされた課税処分が取り消されるということは考えにくいと言える。 ただし、納税者が調査段階では行わなかった主張、立証を行う場合、これらについては処分前に課税庁内部で検討がなされていない。また、課税庁内部も人事異動(毎年7月)等によって担当者に変更がある場合もある。 したがって、処分の取消しを期待して再調査の請求を行うのが妥当であるのは、 等であると考えられる。 このように述べると、あまり異議申立て(再調査の請求)には期待をできないようにも思えるが(なお、異議段階での取消し率は毎年10%程度である)、個人的には、異議申立てで調査段階での主張を深掘りして書面で主張し、法的理論を構成した場合等には、それなりに異議段階で取り消されることもあるという印象を抱いている。 したがって、早期に十分な主張、立証を行うことが肝要である。 ③ 課税の根拠を明らかにさせる意義 次に、異議申立て(再調査の請求)で取消しがされないとしても、課税の根拠を明らかにさせるために、これを行う意味のある場合がある。 すなわち、課税処分については理由が付記されるものの(なお、平成23年度税制改正によって、すべての処分が理由付記の対象となった)、通常の理由付記はかなりあっさりとしたものが多い。 これに対し、異議決定書では、①処分が根拠とした法令、通達、裁判例、②処分が根拠とした事実関係、証拠の内容、③計算過程などが、かなり詳細に記載される。 実際のページ数としても、理由付記は1~2ページ程度(課税判断だけをみれば、数行程度)の事案が多いのに対し、異議決定書は、少なくとも数ページ、場合によっては数十ページに及ぶものが多く、記載される情報量は10倍以上異なるといってよい。 したがって、再調査の請求に対する判断(決定)を見ることにより、審査請求まで争うか、争うとしてどのように争うか(課税庁の主張、立証のどこを攻撃すべきか)等を検討することができる。 実務上、審査請求において、原処分庁が最初に提出する答弁書は、異議決定書をほぼそのまま丸写しした内容のものが多い。そうすると、異議申立て(再調査の請求)に対する決定を検討することにより、審査請求段階で、当初から、原処分庁の主張に対して説得的な主張、立証をすることが可能となる場合がある。   3 終わりに 法改正後、審査請求をいきなり行う前に、一旦再調査の請求を行うことのメリットは以上のとおりである。 したがって、以上のことに特段のメリットがないと判断される事案では、当初から審査請求を申し立てることを検討することになろう。 なお、再調査の請求や審査請求で、どのような主張、立証をするのが効果的と考えられるのかということについては、本連載の【第5回】で述べたい。 (了)

#No. 164(掲載号)
#坂田 真吾
2016/04/07

租税争訟レポート 【第27回】「分掌変更に伴う役員退職金の分割支給(東京地方裁判所判決)」

租税争訟レポート 【第27回】 「分掌変更に伴う役員退職金の分割支給(東京地方裁判所判決)」   税理士・公認不正検査士(CFE) 米澤 勝     【事案の概要】 本件は、原告が、創業者であり、前代表取締役である非常勤取締役(以下「本件役員」という)に対して退職慰労金として支給することを決議した2億5,000万円について、平成19年8月期に7,500万円、平成20年8月期1億2,500万円と分割して支給した退職慰労金のうち、平成20年8月期に支給した役員退職慰労金(「以下「本件第二金員」という)について、(1)退職給与に該当するかどうか、(2)支給した事業年度の損金の額に算入できるかどうかをめぐって、争われた裁判である。   【原告による退職慰労金の決議状況及び経理処理】 1 平成19年8月期における原告の決議状況及び経理処理 (1) 株主総会決議 平成19年8月4日、株主全員が出席した食事会の席上、本件役員は、同月末日をもって、原告の代表取締役を辞任して、非常勤取締役になる旨を表明。出席者は、退職慰労金規程の定めに従い退職慰労金を支給すること、退職慰労金の金額はおおむね2億円ないし3億円を目安とし、金額や支給方法等の詳細は原告の取締役会で決定することを決議した。 (2) 取締役会決議 上記の総会決議を受けて、取締役らは、本件役員に対する退職慰労金を2億5,000万円とし、同金額を3年以内(平成22年8月まで)に、2、3回に分けて分割支給する旨の方針を決めた。 (3) 経理処理 原告は、平成19年8月31日、原告の代表取締役を辞任して、非常勤取締役に就任した本件役員に対し、同日、原告から本件分掌変更に伴う退職慰労金の一部として、7,500万円から源泉徴収税額を控除した金額を支給するとともに、平成19年8月期において、同額を損金経理した。 (4) 源泉税の納付 原告は、本件役員の退職給与に係る源泉徴収については、退職慰労金2億5,000万円を前提とする源泉徴収税額を計算した上で、これを7,500万円の割合により案分計算した金額を源泉所得税として納付した。   2 平成20年8月期における原告の決議状況及び経理処理 (1) 取締役会決議 原告は、平成20年8月期において、本件役員に対し、本件退職慰労金の一部として1億7,500万円を支給することを予定していたが、原告が赤字とならない範囲で支給可能な金額を検討し、退職慰労金の一部として1億2,500万円(本件第二金員)を支給するとの方針を決め、8月初旬に、平成20年8月期における本件退職慰労金の支給額を1億2,500万円とすることを決議した。 (2) 経理処理 原告は、平成20年8月29日、本件役員に対し、退職慰労金の一部として、1億2,500万円から源泉徴収税額を控除した金額を支給するとともに、平成20年8月期において、本件第二金員を損金経理した。 (3) 源泉税の納付 原告は、本件役員の退職給与に係る源泉徴収については、退職慰労金2億5,000万円を前提とする源泉徴収税額を計算した上で、これを1億2,500万円の割合により案分計算した金額を源泉所得税として納付した。   【本件で問題になった2つの通達】 本訴訟で争点となった2つの法人税基本通達を引用する(下線は引用者)。 法人税基本通達9-2-28下線部は、役員退職金の損金算入時期について、株主総会の決議の日の属する事業年度ではなく、支払った日の属する事業年度とすることを認めている。つまり、債務確定主義の例外を認めた規定である。一方、法人税基本通達9-2-32下線部は、同じ退職金であっても、分掌変更の場合には、退職給与として支給した給与に含まれるのは実際に支給したものだけであると制限を設け、未払金として計上した額は含まれないと規定している。 これは、明らかに債務確定主義を否定するものであり、課税要件法定主義の観点からは大いに問題のある通達であると言えよう。   【裁判所の判断】 1 退職給与の該当性について 裁判所は、法人税法34条1項において損金の額に算入しないこととされている役員給与から除外されている退職給与について、以下のように定義している(一部、かっこ書き等を割愛している。以下の引用についても同じ)。 つまり、裁判所は、「分掌変更による退職金」もまた、法人税法34条1項に規定する退職金に該当するという判断を明解に示す一方、被告の主張について、次のように斥けている。   2 通達に関する裁判所の考え方 通達について、裁判所は次のように定義している。 そのうえで、被告による、本件退職慰労金の分割支給は、原告が利益調整を意図して行ったものであり、法人税基本通達9-2-28ただし書の趣旨に反するという主張に対しては、次のように、納税者の経理処理は、公正処理基準に従ったものであるとした。 また、被告の主張の矛盾について次のように指摘し、本件訴訟で問題になっている2つの通達の規定が、「整合性がない」ことをはっきり言明している。   【解説】 分掌変更に伴い支給される役員退職金をめぐっては、課税庁と納税者との間で争いになることが多く、外形的に法人税基本通達9-2-32の要件を満たしている場合であっても、実質的に法人の経営に参画しているなどとして、役員賞与の認定を受けることも考えられる(※1)。 (※1) 実際の裁決事例としては、国税不服審判所平成26年10月16日裁決(東裁(法)平26第34号)などがある。 そうした税務調査の現場に大きな影響を与えそうな判断が本件判決で示され、確定した。 裁判所の判断を要約すると、以下のとおりである。 ①の結論に至る理由は、租税要件法定主義のもと、法人税基本通達9-2-32が課税要件の特例を規定することは許されないことから、分掌変更による支給であっても退職給与に該当し、その結果、基本通達9-2-28ただし書きの適用を認めないとする課税庁の主張を否定したものである。 この判決の評釈では、私たち実務家が、「分掌変更の場合の退職金、未払金計上はダメ」とばかりに、通達の内容に深く踏み込まず、規定に盲従した判断を行ってきたことの警鐘であるという指摘(※2)も多くみられるところである。 (※2) 例えば、山本守之「法人税事例の検討――課税要件法定主義を背景にした判決」『月刊税務事例』2015年6月号50ページ以下。 なお、本稿執筆時点において、法人税基本通達9-2-32注書きについては変更されていない。 (了)

#No. 164(掲載号)
#米澤 勝
2016/04/07

包括的租税回避防止規定の理論と解釈 【第12回】「行為計算の主体など」

包括的租税回避防止規定の 理論と解釈 【第12回】 「行為計算の主体など」   公認会計士 佐藤 信祐   【第7回】から【第11回】までは、同族会社等の行為計算の否認が創設規定なのか、確認規定なのかについて争われた裁判例の分析を行った。 第12回に当たる本稿では、行為計算の主体について判示された事件、「行為」「計算」について判示された事件をそれぞれ紹介することとする。 7 判例分析②(行為計算の主体) (1) 東京地裁昭和45年2月20日判決(TAINSコード:Z059-2527) (2) 評釈 本事件は、審査請求の段階で、課税庁が更正では触れられていなかった同族会社等の行為計算の否認を突如として主張した事件である。そのため、東京地裁でもその点は争われているが、「審査請求を棄却する理由として示したものにすぎず、これにより新たな課税標準を確定する処分をしたものではないことはいうまでもない。」として、原告の主張は認められなかった。 そして、原告らは、原告会社が同族会社等の行為計算の否認の規定にいう同族会社ではないと主張したが、東京地裁では、いわゆる名義株を含めた場合には同族会社に該当するものとして、原告の主張は認められなかった。 このような理論構成は、東京高裁(東京高裁昭和48年3月14日判決・TAINSコード:Z069-3071)でも維持されているが、事件の問題となった株式の時価につき誤りがあったということで、最終的には納税者が勝訴する結果となっている。 そうは言いながらも、同族会社等の行為計算の否認において、名義株の認定を行ったということは今後の実務においても参考にすることができると考えられる。現行法上は、法人税基本通達1-3-2において、「法第2条第10号《同族会社の意義》に規定する『株主等』は、株主名簿、社員名簿又は定款に記載又は記録されている株主等によるのであるが、その株主等が単なる名義人であって、当該株主等以外の者が実際の権利者である場合には、その実際の権利者を株主等とする。」と規定されているため、名義書換が終了していなくても、「株主名簿に記載されていない実質上の株主が株主名簿上の形式的な株主と特殊な間柄にある等の事情によってその者の株主権を実質的に支配することができる」場合には、これらの者が有する株式を含めて同族会社の判定をすべきことは言うまでもない。 そして、平成18年度税制改正により、同族会社の判定基準に、一定の議決権及び持分会社の社員の数が追加された(法法2十、法令4③⑤)。そして、法人税法施行令4条6項にて、「個人又は法人との間で当該個人又は法人の意思と同一の内容の議決権を行使することに同意している者がある場合には、当該者が有する議決権は当該個人又は法人が有するものとみなし、かつ、当該個人又は法人(当該議決権に係る会社の株主等であるものを除く。)は当該議決権に係る会社の株主等であるものとみなして、第三項及び前項の規定を適用する。」と規定され、法人税基本通達1-3-7において、「令第4条第6項《同族関係者の範囲》に規定する『同一の内容の議決権を行使することに同意している者』に当たるかどうかは、契約、合意等により、個人又は法人との間で当該個人又は法人の意思と同一の内容の議決権を行使することに同意している事実があるかどうかにより判定することに留意する。」と規定されるようになったことから、現行法上では、名義株を利用することにより、同族会社から除外することはかなり困難になったということができる。 なお、同令4条6項が定められた結果として、「株式の所有が組合形態で行われている場合で特定の組合員の意思により議決権が行使される旨の合意がある場合、株式の所有が信託形態で行われている場合で委託者又は受益者の意思(指図)により議決権を行使する旨の合意がある場合、相互持合いで議決権の行使についてお互いの意に沿うよう行使する旨の合意がある場合など」(※1) も、同族会社に含まれる可能性があることになる。 (※1) 『平成18年版改正税法のすべて』大蔵財務協会284頁 このように、同族会社等の行為計算の否認は、同族会社等に対して適用されるものであることから、同族会社等に該当するか否かの判定をまず行う必要があるということがいえる。所得税法、相続税法における本規定も、同族会社等の行為又は計算により、所得税、相続税が不当に減少した場合に適用されるものであることから、同様のことがいえる。 なお、矢内一好『一般否認規定と租税回避判例の各国比較』財経詳報社122-124頁(平成27年)では、所得税における同族会社等の行為計算の否認について争われた事件(東京地裁昭和54年9月26日判決・TAINSコード:Z106-4470)も列挙されているが、本稿では解説を省略することとする。 8 判例分析③(行為・計算) (1) 大阪高裁昭和35年12月6日判決(TAINSコード:Z033-0974) ① 原審(大阪地裁昭和33年9月25日判決・TAINSコード:Z026-0673) ② 裁判所の判断 大阪高裁は、東京地裁の判断を基本的には踏襲しているが、指定寄附金についての判断がやや異なるため、以下ではその部分を抜粋する。 ③ 評釈 このように、大阪地裁は、個人の寄附たるの性質を有するか否かという問題を「行為」の問題であるとし、会社の支出した寄附金としては多額に過ぎるか否かという問題を「計算」の問題であるとし、後者については同族会社等の行為計算の否認を適用する余地があるものの、「規定の趣旨が寄附金中本来の損金性を有する部分と然らざる部分とを区別することのためのものである場合に処するのは、何等成法上の根拠を見出すことができず違法というの外はない」として更正処分を取り消した。 このような「行為」と「計算」の区別を組織再編成における包括的租税回避防止規定(法法132の2)に当てはめると、非適格組織再編成に該当するものを、不自然・不合理な手法により適格組織再編成に該当させる「行為」と、合併比率を調整することによりみなし配当を発生させないようにする「計算」などが考えられよう。実際に、「行為」と「計算」を明確に区別できるかどうかについての議論はあり得ようが、いずれこの連載でも触れたいと思う。 さらに、大阪高裁で特筆すべきは、寄附金の制度趣旨に遡って、同族会社等の行為計算の否認の適用を議論しているという点である。すなわち、仮に不自然・不合理な行為又は計算により法人税が減少したとしても、制度趣旨に反するのでなければ、同族会社等の行為計算の否認の適用対象から除外される可能性があることを示唆している。制度趣旨と租税回避との関係についても、いずれこの連載で触れる予定である。 次回では、最高裁昭和52年7月12日判決(山菱不動産株式会社事件)について解説を行う予定である。 (了)

#No. 164(掲載号)
#佐藤 信祐
2016/04/07

特定株主等によって支配された欠損等法人の欠損金の繰越しの不適用(法人税法57条の2)の取扱い~「繰越欠損金の使用制限」が形式的に適用される事例の検討~ 【第6回】「〈事例4〉欠損等法人を適格合併又は清算で整理するケース(第4号事由)」

特定株主等によって支配された欠損等法人の 欠損金の繰越しの不適用(法人税法57条の2)の取扱い ~「繰越欠損金の使用制限」が形式的に適用される事例の検討~ 【第6回】 「〈事例4〉欠損等法人を適格合併又は清算で 整理するケース(第4号事由)」   公認会計士・税理士 税理士法人トラスト パートナー 足立 好幸   〈事例4〉 欠損等法人を適格合併又は清算で整理するケース(第4号事由) 《検討》 〈事例1〉のように、買収したい会社に、休眠会社がおまけのようについてくる場合、何らかの方法により、休眠会社を整理する必要が生じる。この場合、欠損等法人となる休眠会社を合併法人、事業子会社を被合併法人とした合併をすると、休眠会社及び事業子会社の繰越欠損金と含み損に使用制限が生じてしまう。 そこで、本ケースのように①休眠会社を被合併法人、事業子会社を合併法人とする逆さ合併を行うか、②休眠会社を清算するか、のいずれかについて、欠損等法人の繰越欠損金の使用制限の規定(法法57の2、60の3)が適用されるかを検討する必要が生じる。   [検討1] A社及びB社は欠損等法人に該当するか? 〈事例1〉の[検討1]のとおり、A社及びB社は、欠損等法人に該当する。   [検討2] 特定事由に該当するか? 次に、欠損等法人A社又は欠損等法人B社において、一定の期間までに特定事由が生じたかを検討する。 まず、A社について、欠損等法人A社は買収前から事業を行っていないが、〈事例1〉と異なり、欠損等法人A社は被合併法人又は残余財産確定法人となるため、第1号事由に該当しない。また、第2号事由、第3号事由、第5号事由にも該当しない。 しかし、欠損等法人A社は第4号事由に該当することとなる。 ここで、第4号事由は、次の2つの要件に該当する場合をいう。 本ケースでは、要件1について、①に該当し、要件2について、【1】又は【2】のいずれかに該当するため、欠損等法人A社は、特定支配日以後5年を経過した日の前日(平成30年9月30日)までに第4号事由に該当することとなる。 この場合、特定事由に該当することとなった日(該当日)は、適格合併の日の前日(平成27年12月31日)又は残余財産の確定日(平成28年1月1日)となる。 B社については、買収前の事業を継続しており、今後も継続する見込みであること(第1号、第2号、第4号事由)、B社に対する債権の売買も行われていこと(第3号事由、第4号事由)、買収を起因とした役員の退任もないこと(第5号事由)から特定事由には該当しない。   [検討3] 使えなくなる繰越欠損金と繰越欠損金が使えなくなる事業年度は? 欠損等法人A社において、適格合併の場合、平成27年4月1日~平成27年12月31日事業年度(適用事業年度)、残余財産の確定の場合、平成27年4月1日~平成28年1月1日事業年度(適用事業年度)から、平成26年4月1日~平成27年3月31日事業年度以前の事業年度に生じた繰越欠損金が使用できなくなる。 また、平成27年4月1日から平成30年3月31日までの適用期間(実際には、A社は平成27年12月31日又は平成28年1月1日で最終事業年度が終了する。なお、特定支配日以後5年を経過する日は、平成30年9月30日となる)において生ずる特定資産の譲渡等損失額は損金不算入となる。   [検討4] 合併又は残余財産の確定に係る税務上の取扱いは? 合併又は残余財産の確定に係る税務上の取扱い、具体的には合併法人B社又は残余財産確定法人の株主P社における税務上の取扱いはどうなるであろうか。 内国法人B社と欠損等法人A社の間でB社を合併法人、A社を被合併法人とする適格合併が行われる場合、又は内国法人P社との間にP社による完全支配関係がある欠損等法人A社に残余財産が確定する場合、欠損等法人A社の適用事業年度前の事業年度に生じた繰越欠損金は、合併法人B社又は残余財産確定法人の株主P社には引き継げない。 ただし、欠損等法人A社の適用事業年度(最終事業年度)の繰越欠損金は組織再編税制に係る引継要件、清算課税に係る引継要件を満たす場合に、合併法人B社又は残余財産確定法人の株主P社に引き継ぐことができる。 一方、合併法人B社の繰越欠損金については、組織再編税制に係る利用要件を満たす場合に利用制限が生じない(本ケースでは、設立日又は5年前からの支配関係継続要件を満たしているため、利用制限は生じない)。 また、欠損等法人A社がその適用期間(平成27年4月1日から平成30年3月31日までの期間)内に自己を被合併法人とする適格合併によって、その有する特定資産を合併法人B社に移転した場合は、合併法人B社を特定資産の譲渡等損失額の損金算入制限の規定の適用を受ける欠損等法人とみなして、継続して損金算入制限の規定が適用される。 以上より、本ケースでは、法人税法第57条の2及び60条の3の適用により、第4号事由に該当する場合、欠損等法人A社の適用事業年度前の事業年度に生じた繰越欠損金は切り捨てられ、特定資産の譲渡等損失額が損金不算入となる。 〈事例4〉 ※画像をクリックすると、別ページでPDFが開きます (了)

#No. 164(掲載号)
#足立 好幸
2016/04/07

〈Q&A〉印紙税の取扱いをめぐる事例解説 【第25回】「贈与契約書」

〈Q&A〉 印紙税の取扱いをめぐる事例解説 【第25回】 「贈与契約書」   税理士・行政書士・AFP 山端 美德   土地を贈与するにあたり、贈与契約書を作成しましたが、課税文書に該当しますか。また、課税文書に該当した場合、印紙税額はいくらになりますか。   記載金額のない第1号の1文書(不動産の譲渡に関する契約書)に該当し、印紙税額は200円となる。   [検討1] 贈与契約とは 贈与契約とは、贈与者が自己の財産を無償で受贈者に与える(譲渡する)契約である。 したがって、課税文書に該当するかどうかは贈与する目的物によって異なる。 [検討2] 贈与契約の記載金額は 贈与契約はもともと無償契約であり、贈与契約書に評価額等が記載されていたとしても、この金額は譲渡の対価ではなく、記載金額には当たらない。 つまり、土地評価額1,530万円と記載しても、無償で給付するものであるため、参考値にしかすぎず、契約金額として証明するものとは認められない。したがって、記載金額のない契約書に該当する。 ただし、受贈者が贈与者の債務の引き受けを条件とする負担付贈与契約で負担の価格が目的物と同等あるいはそれ以上の場合等で、実質売買契約あるいは交換契約と認められる場合は、負担の価格が記載金額と取り扱われることとなる。 なお、譲渡契約とは、売買、交換、贈与、代物弁済、法人等に対する現物出資、寄附行為等がある。   ▷ まとめ   (了)

#No. 164(掲載号)
#山端 美德
2016/04/07
#