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経理担当者のためのベーシック会計Q&A 【第93回】人件費に関する会計処理④「労働保険料」

経理担当者のための ベーシック会計Q&A 【第93回】 人件費に関する会計処理④ 「労働保険料」   仰星監査法人 公認会計士 竹本 泰明     〈事例による解説〉 〈会計処理〉 【毎月の会計処理】 [4月30日] [5月31日] [7月10日] [7月31日] [3月31日] 期中では「前払金」勘定で処理し、決算時に前払金がマイナス(貸方)残高となる場合には「未払金」に振り替える処理が一般的です。 なお、理論的に厳格に会計処理を行う場合は、毎月の実績額で費用計上する方法が考えられます。 〈会計処理の解説〉 労働保険料はその納付方法(分割納付)に特徴がありますが、会計上は発生主義に基づき費用計上を行う必要があるため、毎月費用計上する必要があります。 毎月の費用計上額は、年度更新(*)時に申請する当年度の概算額を均等に按分した金額によることが多く、当年度の概算額と実績額の差額は翌年度に処理することが一般的です。 (*) 労働保険の保険料は、毎年4月1日から翌年3月31日までの1年間を単位として計算され、その金額は「賃金×保険料率」で算定されます。労働保険では、年度ごとに概算で保険料を納付し、年度末に賃金総額が確定した後に概算額と実績額の差額を精算します。前年度の保険料の精算は、翌年度の概算保険料の申告・納付と同時に行われ、この前年度の保険料を精算するための確定保険料の申告・納付と新年度の概算保険料を納付するための申告・納付の手続を「年度更新」といいます。 また、事業年度中は前払金がマイナスになることもありますが、最終的には決算でどの勘定科目で表示するかを判断することとなります(下図参照)。 【経過勘定の残高の推移イメージ】  ※画像をクリックすると、別ページで拡大表示されます。 なお、当該処理方法による場合と理論的に厳格な会計処理を行った場合とでは毎月の費用計上額が異なり、特に前者の場合、当年度の概算額と実績額の差額を翌年度に処理することになるため、前年度の概算額と実績額の差額を処理した月の「法定福利費」の金額が大きくなる又は小さくなるといった歪みが生じてしまいます。 特に、経営管理目的で作成される月次決算では影響が顕著となる可能性もあるため、この歪みの原因については把握しておく必要があるでしょう。 *   *   *  次回は、人件費に関する会計処理のうち、役員賞与引当金について解説します。 (了)

#No. 135(掲載号)
#竹本 泰明
2015/09/10

中小企業事業主のための年金構築のポイント 【第12回】「配偶者と年金」

中小企業事業主のための 年金構築のポイント 【第12回】 「配偶者と年金」   特定社会保険労務士 古川 裕子   厚生年金保険は、「世帯」を単位とした年金である。受給権者に配偶者や子がいれば加給年金が支給され、その配偶者には振替加算が加算される。つまり、配偶者等がいる世帯といない世帯とでは年金額が異なる。したがって、世帯としての年金額を検討する必要がある。   1 加給年金と振替加算 【第4回】で示したとおり、老齢基礎年金には、振替加算額が加算される場合がある。 例えば、夫の老齢厚生年金の加給年金額の算定対象となっていた妻が、65歳になって老齢基礎年金の受給権を取得したときに、老齢基礎年金の年金額に受給者の生年月日(昭和41年4月1日以前に生まれた者に限る)に応じて加算されるものである。 〈事例1〉 振替加算は老齢基礎年金を受ける人の生年月日で異なる(下図参照)。 この事例の姉の場合、「昭和26年4月2日~昭和27年4月1日に生まれた者」に該当するので、年額75,400円の振替加算額が老齢基礎年金に加算されている。 この事例の妻の場合は、「昭和33年4月2日~昭和34年4月1日に生まれた者」に該当するため、年額が33,300円の振替加算額が老齢基礎年金に加算される。   2 繰下げ受給と振替加算 繰下げ受給とは、老齢基礎年金及び老齢厚生年金を65歳のときに請求せずに、66歳以降に申し出をした場合に一定の割り増しの年金が受給できる制度である(【第6回】参照)。 1で示したように、振替加算は老齢基礎年金に加算されるが、振替加算が加算される妻が老齢基礎年金の繰下げ受給するために65歳のときに老齢基礎年金を請求しない場合、その間は振替加算を受け取ることができない。振替加算は繰下げの申し出をした翌月から加算される。ただし、振替加算は繰下げの増額の対象にはならない。 〈事例2〉 平成27年9月20日に65歳。2年(24ヶ月)繰り下げることにより、16.8%増額することになる。 平成29年9月に繰下げの申し出をすれば、翌月の10月から992,656円(平成27年度価額で試算)の年金が支給される。夫の加給年金の対象となっているため、振替加算が支給されるが、振替加算分は、増額の対象にならない。   3 老齢厚生年金と繰下げ受給と加給年金 加給年金は、厚生年金保険の加入期間が20年以上ある人が65歳未満の配偶者や18歳年度末までの子等を生計維持している場合に、定額部分が支給されるとき又は65歳から加算される(【第10回】参照)。 繰下げの申し出をした場合、申し出をした翌月から加給年金が加算される。ただし、加給年金は、繰下げの増額の対象にはならない。 〈事例3〉 5つ年下の妻なので、夫が65歳に達した翌月から加給年金が加算される。平成27年度価格で390,100円になるので、5年間受給できる場合、390100円×5=1,950,500円である。 老齢厚生年金を繰り下げると、繰り下げている間は、加給年金は受給できない。加給年金は、妻が65歳になると支給されなくなるので、例えば、70歳まで繰り下げをした場合は、加給年金が支給されなくなる。年金額の増額のために繰下げ受給を考えているのであれば、老齢厚生年金の繰下げではなく、老齢基礎年金のみの繰下げを検討する必要がある。   《おさらいQ&A》 (了)

#No. 135(掲載号)
#古川 裕子
2015/09/10

養子縁組を使った相続対策と法規制・手続のポイント 【第7回】「離縁の要件・離縁を認めなかった裁判例」

養子縁組を使った相続対策と 法規制・手続のポイント 【第7回】 「離縁の要件・離縁を認めなかった裁判例」   弁護士・税理士 米倉 裕樹   [1] はじめに 普通養子縁組は、当事者はいつでも協議により戸籍上の届出のみで離縁をすることができ(民811)、離縁の訴えを提起することもできる(民814)。これに対し、特別養子縁組については、原則として離縁を認めず、養親による虐待、悪意の遺棄その他養子の利益を著しく害する事由があり、かつ実父母に相当の監護能力がある場合に限り、例外的に家庭裁判所の審判によってのみ認められ(民817の10①②)、協議による離縁を認めていない。 また、特別養子縁組の場合、養親からの離縁の審判請求は認められておらず(民817の10①)、特別養子が成年に達して監護の必要性がないときには特段の事情がない限り、離縁させることはできない。 このように、特別養子離縁では厳格な要件のもと、必ず家庭裁判所の審判が必要となる反面、普通養子離縁は当事者の協議によって可能であるため、離縁が当事者間の話し合いによって合意できるのであれば、何ら特別な理由は必要でない。もっとも、話し合いによる解決が困難な場合には、最終的に裁判によって解決されなければならないことから、それ相当の離縁事由が必要となる。 そこで、以下、普通養子離縁が訴訟上認められる要件について、問題となった裁判例とともに紹介する。   [2] 離縁原因 離縁当事者の一方は、①悪意で遺棄されたとき、②3年以上の生死不明、③その他縁組を継続し難い重大な事由があるときは、離縁の訴えを提起できる(民814①)。 養子が15歳未満の場合には、離縁後に養子の法定代理人となる者が訴えを提起でき(民815)、例えば、養子の実父母が生存中でかつ婚姻中である場合には、実父母が訴えを提起することとなる。 なお、離縁の訴えを提起するには、まず、家庭裁判所に調停の申立を行わなければならない(調停前置主義・家法244・257①)。 1 悪意の遺棄 「悪意」とは、遺棄の事実の認識にとどまらず、積極的にこれを認容する意思のことをいう。「遺棄」とは、単なる扶養義務違反に限定されず、親子関係として要請される物質的・精神的な共同生活を正当な事由なく破棄し顧みないことをいう。 問題となった裁判例として、老齢で資力のない養親に対し家計費をほとんど渡さず、酒色にふける生活を続け、約半年間の養親との同居生活においても養子の生活態度は変わらないままに別居し、養親と円満な養親子関係を維持する意思を欠くものとして悪意の遺棄を認めた福島家昭和42年9月12日審判が存在する。 2 3年以上の生死不明 昭和62年の民法改正により、「養子の生死」となっていたものが、子のための養子制度という理念から、「他の一方の生死が3年以上明らかでないとき」と見直された。音信不通では足りず、3年以上継続して生死不明であることを要する。 なお、この事由に関し戦後に公刊された裁判例は見当たらない。 3 その他縁組を継続し難い重大な事由 悪意の遺棄、3年以上の生死不明は「その他縁組を継続し難い重大な事由」の例示とされ、「縁組を継続し難い重大な事由」とは、養親子としての精神的経済的生活関係を維持もしくは回復することがきわめて困難なほどに縁組を破綻せしめる事由の存する場合を意味し、具体的な事案ごとに総合的判断によって認定される(中川善之助・山畠正男編『新版注釈民法(24)』有斐閣、2002年、509頁以下)。公表されている裁判例もこの事由に集中している。 以下、問題となった裁判例を行為態様ごとに紹介する。 (ア) 暴行・虐待・暴言・侮辱等 などが存在する。 (イ) 別居 婚姻と異なり、同居義務のない養親子関係においては、単に別居しているというだけで直ちに破綻を意味するものではない。 裁判例では、養子縁組後、同居したことがないというにとどまらず、当初は相互に交流はあったものの、その後、年賀状を出したり、電話をかけたり、互いの家を訪問したり、一緒に食事をとることもなかったことから、互いに養親子として交流を図る意思がなく、養子縁組関係が破綻しているとして、養子縁組を継続し難い重大な事由を認めた東京地裁平成16年8月23日判決が存在する。 (ウ) 財産的トラブル などが存在する。   [3] 有責当事者からの離縁請求 かつて裁判例は、縁組の破綻に責任を有する者(有責当事者)からの離縁請求は認められないとの立場を堅持してきたが、最近の裁判例は軟化傾向にあり、有責当事者からの離縁請求も認められる余地がある。 東京高裁平成5年8月25日判決では、成人の養子縁組の場合に、親子関係が正常な状態を欠くに至った期間が相当の長期間に及ぶ場合には、有責当事者からの離縁請求を認容することが著しく社会正義に反するといえるような特段の事情が認められない限り、離縁の請求を認容することができると判示している。同裁判例の原審(新潟地高田支判平成4年5月21日)では、破綻期間が10年を超えたことを理由に離縁を認めている。 なお、有責当事者からの離縁請求が拒否されるのは、相手方の意思に反する場合であるから、相手方にも離縁意思があるときには、単に報復のためや財産的請求のために離縁に応じなくても、有責当事者から離縁請求は認容される(東京弁護士会法友全期会家族法研究会編『離婚・離縁事件実務マニュアル第3版』ぎょうせい、2015年、378頁)。   [4] 財産分与・慰謝料 離縁に伴う財産分与については、明文の規定もないことから、実務上は離縁において財産分与請求権は認められていない。 離縁調停や離縁訴訟の和解においては、財産分与を考慮した給付合意がなされることはあるが、審判や訴訟での判決において財産分与が認められた事例は審判例が1件存在するだけであり、同審判例においても具体的な根拠は示されていない(東京弁護士会法友全期会家族法研究会編『離婚・離縁事件実務マニュアル第3版』ぎょうせい、2015年、392頁)。 他方、慰謝料については、離婚の場合と同様に、縁組当事者の一方は、有責な相手方に対して慰謝料を請求できることに争いはない。慰謝料の算定においては、養親子関係の破綻原因、有責割合、縁組(同居)期間、双方の収入、資産、年齢等が重視される。 (了)

#No. 135(掲載号)
#米倉 裕樹
2015/09/10

常識としてのビジネス法律 【第27回】「会社法《平成26年改正対応》(その8)」

常識としてのビジネス法律 【第27回】 「会社法《平成26年改正対応》(その8)」   弁護士 矢野 千秋   第7 会計参与 1 会計参与の新設 株式会社は、定款の定めによって、会計参与を置くことができる(326条2項)。会計参与は、株主総会の決議によって選任され(329条1項)、取締役または執行役と共同して計算書類等を作成する(374条1項6項)。これにより計算書類の適正性・正確性を高めることを目的とする。 会計監査人と会計参与が並存しうるが、会計参与が計算書類を作成する機関であるのに対し、会計監査人は作成された計算書類が会社の財産・損益の状況を正しく表しているかを監査する機関であるため、両者の役割は異なっている。   2 会計参与の資格 会計参与は、公認会計士、監査法人、税理士または税理士法人でなければならない(333条1項)。 また、以下の①~③のいずれかに該当する者は、会計参与になることができない(同条3項)。 なお、会計参与となった公認会計士または監査法人は、会計監査人を兼任することはできない(337条3項1号)。   3 会計参与の選任等 (1) 会計参与の選解任 会計参与は、株主総会の普通決議で選任され(329条1項)、普通決議により、会計参与をいつでも解任することができる(339条1項)。会計参与の選任決議・解任決議の定足数は、定款をもってしても、議決権を行使できる株主の有する議決権の総数の3分の1未満にすることはできない(341条)。 (2) 会計参与の任期 会計参与の任期は原則として選任後2年(指名委員会等設置会社の場合は1年)以内に終了する事業年度のうち最終のものに関する定時総会の終結の時までとする。ただし、定款または株主総会の決議によって、その任期を短縮することを妨げない(334条1項、332条1項3項)。 非公開会社(監査等委員会設置会社及び指名委員会等設置会社を除く)については、定款で、その任期を選任後10年以内に終了する事業年度のうち最終のものに関する定時総会の終結の時まで伸長することがきる(334条1項、332条2項)。   4 会計参与の職務と責任   第8 監査等委員会設置会社 1 総説 監査等委員会設置会社とは、定款に基づいて、監査等委員会を設置するものである(2条11号の2)。この場合、監査役、監査役会は設置されない(327条1項3号、4項、5項)。 監査等委員会設置会社は取締役会設置会社(327条1項3号)で、会計監査人設置会社(327条5項)であることを要する。 監査等委員会は、指名委員会等設置会社の監査委員会が有する権限に加え、監査等委員以外の取締役の選任等(指名委員会)および報酬等(報酬委員会)につき株主総会における意見陳述権を有しており、これが監査「等」と呼ばれる理由である。   2 取締役、取締役会 (1) 選任解任 取締役が監査等委員である取締役の選任議案を総会に提出するには、監査等委員会に、議案への同意権および議題議案の提案権があり(344条の2)、かつ総会において監査等委員はその選任等につき意見陳述権を有する(342条の2第1項)。 監査等委員以外の取締役の選任解任について、監査等委員会の意見を述べることができる(342条の2第4項)。 監査等委員の解任には総会の特別決議が必要である(344条の2第3項)。 (2) 任期 監査等委員の任期は選任後2年以内に終了する事業年度のうち最終のものに関する定時総会の終結の時までである(332条1項)。監査等委員以外の取締役は1年である。 (3) 業務執行の決定 業務執行の決定は取締役会、代表取締役、業務執行取締役等によって行われる(399条の13等)。 以下の①または②の要件を充たせば、取締役会は指名委員会等設置会社が執行役に委任できるのと同じ業務執行事項の決定を取締役に委任できる(416条4項)。 取締役会は内部統制システムの整備に関する決定を行うことが義務付けられている(399条の13第1項1号ハ)。   3 報酬等、責任 (1) 報酬等 定款に定めがなければ総会の決議で決定されるが(361条1項)、決議の際、監査等委員とそれ以外の取締役とを区別して定めることを要し、監査等委員はその報酬等について意見を述べることができる(361条2項5項)。 また、監査等委員会が選定する監査等委員は、総会で監査等委員である取締役以外の取締役の報酬等について監査等委員会の意見を述べることができる(361条6項)。 (2) 責任、一部免除 責任の実体規定については、監査役会設置会社と大きく異なるところはない(ただし423条4項は監査等委員会設置会社のみの特徴的規定である)。一部免除についてもほぼ同様である。   4 監査等委員会 (1) 組織運営 監査等委員会は、3人以上の委員(いずれも取締役)によって構成され、委員の過半数は、社外取締役である(331条6項、399条の2第2項)。 監査等委員は、(社外取締役でない者についても)その会社または子会社の業務執行取締役、支配人その他の使用人などを兼務してはならない(331条3項)。 招集権(399条の8)は委員である各取締役が招集でき、招集手続(399条の9第1項、2項)、決議方法(399条の10第1項、2項)、議事録等は、基本的に取締役会の場合と同じである。 (2) 権限 監査等委員会は、原則、指名委員会等設置会社の監査委員会が有する権限と同様の権限を有する(例えば、委員会による監査は適法性監査のみならず妥当性監査にも及ぶと解されるなど)(399条の3~7)。すなわち取締役の職務の執行を監査し監査報告を作成する(399条の2第3項1号)。 ① 調査権限 監査等委員会が選定する監査等委員は、いつでも取締役以下に対し、職務執行に関する事項の報告を求め、また会社の業務・財産の状況の調査ができる(399条の3第1項)。子会社に対しても同様である(399条の3第2項)。 ② 是正権限 監査等委員会が選定する監査等委員は、監査等委員である取締役以外の取締役会社間の訴訟につき会社を代表する(399条の7第1項2号)。 各監査等委員は取締役の違法行為の差止請求権を有する(399条の6)。 各監査等委員は取締役が不正の行為等をする等の場合は遅滞なくその旨を取締役会に報告しなければならない(399条の4)。 ③ 報告権限 監査等委員会は各事業年度ごとに監査報告を作成する(399条の2第3項1号)。 監査等委員は、取締役が総会に提出しようとする議案等につき、法令定款違反または著しく不当な事項があると認めるときは、その旨を総会に報告しなければならない(399条の5)。 ④ 経営評価権限 監査等委員会は、監査等委員である取締役以外の取締役の選任等および報酬等につき意見を決定し、選定する監査等委員は株主総会における意見陳述権を有している(399条の2第3項3号)。   第9 計算関係をめぐる基礎知識 1 財源規制を課す剰余金の分配の範囲 次に掲げる行為により株主に対して交付する金銭等(当該株式会社の株式を除く)の帳簿価額の総額は、当該行為がその効力を生ずる日における分配可能額を超えてはならない。(461条、166条1項但書、170条5項)。   2 財源規制の課されない場合とその例外 下記のように、会社が不可避的に、または法律の規定に基づき義務的に、自己株式を有償で取得する場合には、財源規制を課すことは不合理であることから規制が課されない。 上記の例外として、 を行う場合で、当該種類株主の種類株主総会決議を要しない場合の、反対株主の株式買取請求による自己株式の取得については、分配可能額を超えた場合に業務執行取締役または執行役その他業務執行者(462条)の超過額の弁済責任が生じる(116条1項、464条)。 株式譲渡制限を新設する定款変更等に対する買取請求に応じる場合も、会社が義務的に自己株式を取得する場合であるが、こうした場合に財源規制を課さないと、会社が単独で大量の自己株式を取得することが可能となるので、新法では、会社が単独で行う行為に起因する買取請求については財源規制の対象としたものである。   3 「剰余金の額」 「剰余金の額」については、最終事業年度の末日における資産の額と自己株式の帳簿価額の合計額の総額から、負債の額、資本金および準備金の合計額ならびにその他法務省令に定める勘定科目に計上した額の合計額の総額を控除した額に、以下の最終事業年度末日後の変動の調整を加えた額とされる(446条)。   4 「分配可能額」の計算 「分配可能額」とは、剰余金の額と臨時決算手続をとった場合の期間利益の額および臨時決算の対象期間の自己株式処分の対価の合計額から、自己株式の帳簿価額(分配可能額計算時のもの)、最終事業年度の末日後の自己株式処分の対価、臨時決算手続をとった場合の期間損失の額およびその他法務省令で定める額の合計額を控除した額とされる(461条2項)。   5 純資産額による剰余金の配当の制限 純資産額が300万円を下回る場合は剰余金の配当ができない(458条)。 最低資本金制度は廃止されることとなったものの、剰余金配当の場面では300万円の最低資本金の規制が課されているのと同じことになる。   6 資本その他 株式会社の資本金の額は、この法律に別段の定めがある場合を除き、設立又は株式の発行に際して株主となる者が当該株式会社に対して払込み又は給付をした財産の額とする。払込み又は給付に係る額の2分の1を超えない額は、資本金として計上しないことができる。 株式会社は、資本金の額を減少することができる。この場合においては、株主総会の特別決議によって、減少する資本金の額、減少する資本金の額の全部又は一部を準備金とするときは、その旨及び準備金とする額、資本金の額の減少がその効力を生ずる日を定めなければならない。 資本金として計上しないこととした額は、資本準備金として計上しなければならない(445条1項2項3項)。 なお会社法上では資本準備金と利益準備金の取扱いに区別がなくなり、共に「準備金」と総称されることとなった(445条4項)。 剰余金の配当をする場合には、株式会社は、法務省令で定めるところにより、当該剰余金の配当により減少する剰余金の額に10分の1を乗じて得た額を準備金として計上しなければならない(4項)。 株式会社は、準備金の額を減少することができる。この場合においては、株主総会の普通決議によって、減少する準備金の額、減少する準備金の額の全部又は一部を資本金とするときは、その旨及び資本金とする額、準備金の額の減少がその効力を生ずる日を定めなければならない(448条1項)。 (了)

#No. 135(掲載号)
#矢野 千秋
2015/09/10

従業員等からの『マイナンバー』入手の手順 【第6回】「よくある質問(Q&A)」

従業員等からの 『マイナンバー』入手の手順 【第6回】 (最終回) 「よくある質問(Q&A)」   仰星監査法人 公認会計士 岡田 健司   前回までの5回にわたって、マイナンバーの入手方法、本人確認の意義、従業員等及び外部の個人の本人確認の方法、その他実務上検討が必要な論点など、マイナンバー入手にあたって問題となる事項について、ひととおり説明を行った。 最終回となる本稿では、前回までに紹介できなかったその他のよくある質問について解説を行い、マイナンバーの入手についての総括を行いたい。 取り上げるQAは以下のとおりである。                                    (連載了)

#No. 135(掲載号)
#岡田 健司
2015/09/10

此の国にも『日本企業』! 【第9回】「《パラグアイ》 好奇心をビジネスチャンスに~(有)オニギリ・パラグアイ社~」

此の国にも『日本企業』! 【第9回】 「《パラグアイ》 好奇心をビジネスチャンスに ~(有)オニギリ・パラグアイ社~」   中小企業診断士 西田 純     〈大学生が起業したのは、地球の反対側〉 日本から見るとちょうど地球の反対側にあたる南米・パラグアイの首都アスンシオンに、昨年3月オープンしたお寿司とおにぎりのテイクアウト専門店「オニギリ・パラグアイ」の1号店があります。 この店を経営するのは若手経営者の伊賀上眞海(いがうえ・まさひろ)さん。まだ地元の大学に在学中なのですが、ビジネスマインドの豊かな同級生と一緒に起業して約1年半、アスンシオンの食に対する好奇心が高い層をターゲットに、順調にビジネスを展開しているということでお話を伺いました。   〈知られていないことがビジネスチャンス〉 目下のところ、扱っている商品は海苔巻とサーモン及びエビを中心とした握り寿司、それに鶏・牛肉・サーモンのお握り3種のみという限られた品揃えながら、珍しいもの好きなお客さんのウケは上々ということで「一度買った人が次も買ってくれる」いわゆるリピーターが続出しているのだそうです。 そもそもどうしてパラグアイで日本食を?という問いに、伊賀上さんは「パラグアイでは日系人が導入した日本米や大豆が育てられており、みそやしょうゆなどの食材も他国に比べて比較的簡単に手に入る、それなのにパラグアイ人の伝統的な食事は肉とパスタが中心で、地元の人に日本食はほとんど食べられていなかった。食に対する好奇心が旺盛な現代のパラグアイ人になら、必ず日本食は受けるはず」との目算があったことを語ってくれました。 実際に、地元の友人たちを実験台に試したところでは、「梅干しと納豆」以外は何でも喜んで食べてくれたのだそうです。それが起業を決心させるきっかけになったのだとか。   〈異国でビジネスをする難しさに直面して〉 それでも開店から一年半を経て、いまだに売上と天候の相関関係が読めず、雨なのに売り上げが上がる日があるかと思えば好天で全く売れない日もある等、ケータリングビジネスの難しさを感じているところだそうです。 また現地では、サーモンやエビ以外の海産物については冷凍モノしか手に入らないのも悩みのタネだとか。品質を担保するために、特に寿司ネタは冷凍モノを使いたくないが、そうするとどうしても品揃えが限られてしまうのが頭の痛いところだと伺いました。 さらに難しいのは、現在5人いる現地の従業員さんに整理整頓など日本的な習慣を教えること、だとのこと。パラグアイの飲食店では、洗い物は貯めておいて一気に片づけるのが普通なところ、オニギリ・パラグアイの厨房では洗い物は出るたびにきれいにする、というルールになっているのだがなかなか実践されない、またコメを研ぐときに必ず何粒かこぼしてしまう、それはダメだ、コメを大事にしろと言ってもなかなか伝わらない、のだそうです(筆者:これは最近の日本でも発生しているトラブルかもしれません・・・)。   〈次は南米のランチにデコ弁・キャラ弁を〉 それでも何とか順調なビジネスの今後について、伊賀上さんは2016年春をめどに、お弁当の販売とデリバリーを組み合わせたビジネスを計画中であると明かしてくれました。パラグアイ人は昼食を外食やデリバリーで済ませる人が多く、日本のお弁当のような彩り豊かな昼食は「これまでなかった」のだそうです。そこでデリバリー業態も取り入れて「開けるのが楽しみな」デコ弁・キャラ弁などをぶつけてみたい、現代のパラグアイ人はきっと興味を持ってくれるはず、伊賀上さんはそんなふうにご自身の計画を語ってくれました。 このビジネスがうまく行けば店舗数を増やし、そして将来は学びたい人に無償で日本料理を教えられるような料理学校を持ちたい、というのが現在の伊賀上さんの夢だそうです。 日本から遠く離れた南米・パラグアイにも、こんなお店があったんですね。 [オニギリ・パラグアイ:Facebookは↓↓こちら↓↓] (了)

#No. 135(掲載号)
#西田 純
2015/09/10

《速報解説》 修正国際基準(JMIS)を受けた改正連結財務諸表規則等が公布

《速報解説》 修正国際基準(JMIS)を受けた 改正連結財務諸表規則等が公布   公認会計士 阿部 光成   Ⅰ はじめに 平成27年9月4日、「連結財務諸表の用語、様式及び作成方法に関する規則等の一部を改正する内閣府令」(内閣府令第52号)が公布された。 これは、平成27年6月30日に、 企業会計基準委員会から公表された「修正国際基準(国際会計基準と企業会計基準委員会による修正会計基準によって構成される会計基準)」を受けたものである。これにより、平成27年6月30日から意見募集されていた公開草案が確定することになる。 なお、文中、意見に関する部分は、私見であることを申し添える。   Ⅱ 連結財務諸表規則等の改正 主な改正内容は次のとおりである。   Ⅲ 適用時期等 平成27年9月4日付で、公布・施行されている。 主な適用時期等は、次のとおりである(附則2条、10条2項)。 (了)

#No. 134(掲載号)
#阿部 光成
2015/09/09

《速報解説》 厚生労働大臣から経団連等各団体へ、労働者派遣に対する対価の勘定科目について実態を反映した名称を用いるよう要請~改正派遣法審議中の指摘受け~

《速報解説》 厚生労働大臣から経団連等各団体へ、 労働者派遣に対する対価の勘定科目について 実態を反映した名称を用いるよう要請 ~改正派遣法審議中の指摘受け~   公認会計士 阿部 光成   Ⅰ はじめに 平成27年9月7日付けで、厚生労働大臣から、一般社団法人日本経済団体連合会、日本商工会議所及び全国中小企業団体中央会に対し、労働者派遣に対する対価の会計処理及び表示に関して、要請がなされた。 これに関連して、金融庁総務企画局長から、周知の依頼がなされている(下記(公)財務会計基準機構のホームページを参照)。 なお、文中、意見に関する部分は、私見であることを申し添える。   Ⅱ 主な内容 第189回通常国会において、「労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律等の一部を改正する法律案」の審議が行われている。 審議のなかで、労働者派遣に対する対価の勘定科目について、例えば、「物件費」という科目が使われているが、それは派遣労働者を物扱いしていることの表れであるとの指摘があった。 そこで、労働者派遣に対する対価の会計処理及び表示について、独立掲記する際には、例えば、「人材派遣費」などの名称を用いるなど、労働者の派遣を受けて人材を活用しているという実態を適切に反映するように配慮する要請が行われたものである。 (了)

#No. 134(掲載号)
#阿部 光成
2015/09/08

《速報解説》 国交省、空き家の耐震改修工事・除去費用に関する所得税額控除制度の創設を要望~平成28年度税制改正要望

《速報解説》 国交省、空き家の耐震改修工事・除去費用に関する 所得税額控除制度の創設を要望 ~平成28年度税制改正要望   Profession Journal 編集部   国土交通省が公表した平成28年度税制改正要望において、空き家対策としての所得税の税額控除制度の創設を要望していることが明らかとなった。 〇空き家対策の現状 長年放置された空き家が倒壊や火事、衛生上の問題などを引き起こし社会問題となっていることから、本年5月より「空家等対策の推進に関する特別措置法」が施行され、空き家のうち一定の条件に当てはまる特定空家等に対しては、各市町村によって除却、修繕、立木竹の伐採等の措置の助言又は指導、勧告、命令が可能となり、さらには行政代執行の方法による強制執行も可能となった。 なお、上記の行政代執行によって空き家が強制撤去された場合、その費用についてはすべて空き家の所有者に請求される。 税制面においても平成27年度税制改正において、上記の「勧告」が行われた特定空家等については、住宅用地に係る固定資産税(及び都市計画税)の課税標準の特例措置の対象から除外される措置が講じられている。 くわしくは下記を参照。 〇税制改正要望の内容 そしてこのたび新たな空き家対策が国土交通省による「平成28年度税制改正要望」に織り込まれている。 具体的には、「空き家の発生を抑制するため、旧耐震基準の下で建築された居住用家屋を相続し、相続後一定期間内に耐震リフォーム又は除却を行った場合に、標準工事費の10%を所得税額から控除する」というもの。 空き家については特に耐震基準に係る問題が大きく、国土交通省による「平成21年度空家実態調査」でも空き家化している住宅の約76%が旧耐震基準の下で建築されたものであることが明らかとなっている。 さらに国土交通省資料によると、空き家化する契機としては「相続時」が最多であり、耐震改修費用や除去費用の負担(概ね150万円~250万円)を要するため、そのまま放置され空き家化へつながっているとのこと。 ただし、そのまま放置していても上記の特別措置法により空き家の管理コストを負担する必要に迫られることから、その費用負担を軽減することを目的とした税制面での支援策として今回の要望がなされたようである。 平成28年度税制改正は今後各省庁等からの要望事項について議論されていくが、実現した場合は相続財産として空き家を相続したクライアントへの周知を忘れないようにしたい。さらに現在、耐震改修や除去の検討を行っている場合にも今後の改正動向を注視しておきたい。 【参考図】 (「国土交通省税制改正要望事項」p9より) (了)

#No. 131(掲載号)
#Profession Journal 編集部
2015/09/08

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#Profession Journal 編集部
2015/09/03
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