《編集部レポート》 日本公認会計士協会東京会「青年部会設立式典」を開催 Profession Journal 編集部 平成27年2月21日(土)、日本公認会計士協会東京会はグランドプリンスホテル新高輪「飛天」において、公認会計士試験合格後10年以内の若手会員等の相互啓発及び交流を目的とした「青年部会設立式典及び大同窓会」を開催した。 第一部の設立式典では“CPA TALKS for our future”と題し、3名のプレゼンターによるアメリカの講演会として有名なTED形式でのプレゼンテーションが行われ、自身のこれまでの経験から、それぞれ来場した若手の公認会計士へ、今後の活躍と期待について熱いメッセージを送った。 (斎藤祐馬氏:トーマツベンチャーサポート(株)事業統括本部長、公認会計士) (岡本拓也氏:認定NPO法人カタリバ常務理事兼事務局長、公認会計士) (桜内文城氏:政治家、公認会計士) (了)
テレワーク・在宅勤務制度導入時に 気をつけたい労務問題 【第1回】 「制度のメリットと導入をめぐる現況」 社会保険労務士法人スマイング 代表社員 特定社会保険労務士 成澤 紀美 〈テレワークとは?〉 最近、“テレワーク”という言葉をよく耳にするようになった。 テレワークとは、パソコンなどITを活用することで時間や場所にとらわれない柔軟な働き方を指し、以下のように様々な形態がある。 〈テレワーク導入のメリットは?〉 テレワークは、労働者・企業ともに、以下のメリットがあるとされている。 一方で、テレワーク時の労働時間の管理があいまいになったり、業務上災害をどう判断するかなど、労務管理上の問題も生じやすい。 また、詳細は次回取り上げるが、情報セキュリティ上の問題なども想定され、どこまで労働関係法令が適用されるのかが明確ではなく、メリットばかりというわけではない点にも留意が必要である。 〈利用者数は増加傾向〉 国土交通省調査による在宅型テレワーカーの人数は2011年から増加傾向にあり、2012年の930万人より減少はしたものの、最新の2013年推計では720万人に達している。 また同調査では、「週1日以上終日在宅で就業する雇用型在宅型テレワーカー」の数についても、2013年時点で260万人と推計されている。 労働側としては、育児や介護において共にテレワークに対する一定のニーズがある状況だが、企業側のテレワーク制度の導入率で見てみると、直近では10%前後で推移しており、在宅勤務においては平成25年末では2.0%と低い状況にあることから、必ずしも普及が進んでいない状況が分かる。 加えて、従業員規模別に比較してみると従業員1,000人以上の大企業に比べ、従業員1,000人未満の企業については導入率が低い傾向にある。これは従業員規模が大きい企業では、テレワークに対する仕組みと理解、インフラ整備が進んでいる影響があるものと推測される。 * * * 次回は、テレワーク・在宅勤務制度導入時において特に注意すべき『情報管理の問題』についてお伝えしたい。 (了)
改正会社法と 本年の株主総会実務対応 三井住友信託銀行 証券代行コンサルティング部 担当部長 斎藤 誠 いよいよ本年5月1日に改正会社法が施行されることとなった。現行の会社法が2006年5月に施行されて以来の実に9年ぶりの大改正である。 本年の株主総会実務対応の留意点は、まさに改正会社法対応となろう。 ここでは改正会社法への対応を中心に本年株主総会対応のポイントを解説する。 なお、文中意見にわたる部分は筆者の個人的見解であることをあらかじめお断りしておく。(本稿での会社法、会社法施行規則についての条文は改正後の条文を指すものとする。) 1 社外取締役を置くことが相当でない理由の説明 事業年度末に社外取締役を置いていない会社(監査役会設置会社、大会社かつ有価証券報告書提出会社)では定時株主総会で「社外取締役を置くことが相当でない理由」を説明しなければならない(会社法327条の2)。この規定には経過措置が設けられていないので、改正会社法の施行日以降に定時株主総会を開催する会社は、即、同法の適用を受けることとなる。 なお、当該定時株主総会で社外取締役を選任する場合であっても、説明義務があるので注意が必要である。具体的な説明の内容は、社外取締役を「必要としない」理由ではなく、置くことがかえって「マイナスとなる」というレベルとされているため、説明にはかなり頭を悩ませることになろう。説明のタイミングとしては、報告事項の報告において「対処すべき課題」または「役員の状況」等で説明することが考えられる。 2 事業報告の作成について 事業報告の作成に関しては、施行日の前にその末日が到来した事業年度のうち最終のものに係る事業報告についてはなお従前の例によるので(改正法務省令附則2条6項本文)、本年3月決算会社であれば事業報告の作成は従前のとおり改正前会社法で基本的にはOKとなる。 しかしながら、上記「相当でない理由」については、施行日以後に監査役の監査を受ける事業報告に関しては記載しなければならないので(同附則2条6項ただし書き)、現実的に3月決算会社の場合には「相当でない理由」の記載が必要となるであろう。 なお、実際の記載に際しては「役員の状況」等に記載することが考えられる。その理由は「当該事業年度における事情に応じて記載し、社外監査役が2人以上あることのみをもってその理由とすることはできない」(会社法施行規則124条3項)とされる。 なお、事業報告に関する改正対応としては以下のものがあり、原則本年5月決算会社から適用となる。 3 株主総会参考書類の作成について 株主総会参考書類の作成に関しては、施行日前に招集の手続きが開始された株主総会に係る株主総会参考書類の記載については、なお従前の例によるとの経過措置が設けられた(改正法務省令附則2条5項)。 この場合の「招集の手続」とは「株主総会参考書類の記載も含む招集事項を決定する取締役会」を指すものである。3月決算会社では5月の連休明け以降の取締役会で招集を決定することが一般的であることから、その場合には株主総会参考書類は改正会社法対応での記載となることに注意しなければならない。 社外取締役を置いていない会社が、取締役選任議案を提出するのにもかかわらず、社外取締役選任議案を提出しない場合には、株主総会参考書類に社外取締役を置くことが「相当でない理由」を記載しなければならない(会社法施行規則74条の2第1項)。記載に際しては、会社の「その時点における事情に応じて記載しなければならず、社外監査役が2人以上いることのみをもって理由とすることができない」とされる(同条3項)。 その他株主総会参考書類に関しては以下のとおり、主に社外取締役・社外監査役の要件の厳格化等に伴う改正事項がある。 なお、役員選任議案に関しては、候補者のふりがなの記載、新任者である旨の表示、独立役員である旨の記載など任意ではあるが、株主の検討材料としての記載が多くみられるようになってきた。候補者の顔写真を掲載している事例もあり見やすさ分かりやすさについても配慮が必要であろう。そのほか社外役員に関しては独立性の説明についても注意したい。 4 ウェブ開示の拡大 今般、会社法施行規則等の改正によりウェブ開示の対象範囲が大幅に拡大された。拡大されたウェブ開示の対象は以下のとおりであるが、特段の経過措置が付されていないので、本年6月株主総会でも活用できることとなった。 連結株主資本等変動計算書は現在でもウェブ開示の対象なので(会社計算規則134条4項)、個別の株主資本等変動計算書がウェブ開示の対象となれば、連結と個別の株主資本等変動計算書をセットでウェブ開示の対象とすることが考えられるであろう。 なお、「相当でない理由」については、事業報告および株主総会参考書類ともウェブ開示は不可であるので注意されたい(会社法施行規則94条1項、133条3項)。 5 本年の総会準備に際して 改正会社法への対応が本年株主総会でのメインテーマではあるが、現在策定が進められているコーポレートガバナンス・コードについても本年6月1日からの適用開始が予定されている。同コードでは独立社外取締役を2名以上確保することが求められているほか、株主との対話を求める施策が盛り込まれている。 株主総会は株主との対話の有効な機会であることから、本年は株主総会での株主との対話のあり方についても注目されるであろう。まずは会社側からの情報開示として招集通知の早期発送への取組みや情報量の拡大などが考えられる。情報量もただ増やせばいいというものではなく、いかにわかりやすく有用なものとするかが重要である。 そのほか本年は監査等委員会設置会社への移行の検討など会社のガバナンス対応についても注目が集まることとなるので、総会準備の早い段階から対応事項について整理しておくことをお勧めする。 (了)
現代金融用語の基礎知識 【第15回】 「監査等委員会設置会社」 事業創造大学院大学 准教授 鈴木 広樹 1 主流の監査役会設置会社 株式会社が採り得る機関設計の類型は様々だが、上場会社が採り得る機関設計の類型は、現在のところ「監査役会設置会社」と「委員会設置会社」の2つである。そのうち、監査役会設置会社とは、株主総会のほかに、取締役会、代表取締役、監査役会という機関が置かれる会社である。 経営に関わることはもっぱら取締役会が決定し(会社法362条2項1号)、取締役会が決定したことを代表取締役が会社を代表して行う(会社法363条1項1号)。そして、監査役会が取締役会の決定や代表取締役の行為を監査する(会社法390条)。 上場会社は監査役会設置会社と委員会設置会社のどちらかを選択できるのだが、主流は監査役会設置会社であり、委員会設置会社は極めて少数である。平成27年2月12日時点で、東京証券取引所上場会社3,470社のうち、委員会設置会社は58社のみであり、ほかは全て監査役会設置会社である。 【監査役設置会社の機関設計】 2 数が少ない委員会設置会社 委員会設置会社には、代表取締役や監査役は置かれず、執行役や、指名委員会、監査委員会、報酬委員会という3つの委員会(これらは取締役会の内部機関)が置かれる。経営に関わることの決定を取締役会から執行役に委任することが可能なため(会社法416条4項)、迅速な意思決定が可能となるのだが、そのままでは執行役の権限が大きくなり過ぎるため、委員会を置いて、取締役会の執行役に対する監督機能を強化するのである。 委員会のうち、監査委員会は監査役会と同様に監査等を行うのだが(会社法404条2項。監査役会による監査よりも対象が広い)、指名委員会は役員の人事を(会社法404条1項)、報酬委員会は役員の報酬を(会社法404条3項)決定する。そして、各委員会の委員の過半数は社外取締役でなければならない(会社法400条3項)。 おそらく人事と報酬の権限が指名委員会と報酬委員会に分離されていること(ワンマン経営者は絶対に採用したがらない)と、各委員会の委員の過半数は社外取締役でなければならないこと(社外取締役確保の困難、また、生え抜き役員の社外取締役への抵抗感)とが、委員会設置会社の数が少ないことの原因なのだろうと思われる。 【委員会設置会社の機関設計】 3 監査等委員会設置会社が主流に? 平成27年5月1日の改正会社法施行後は、上場会社が採り得る機関設計の類型に「監査等委員会設置会社」が加わる。なお、改正会社法施行後、委員会設置会社は「指名委員会等設置会社」という名称に変更される。 監査等委員会設置会社が委員会設置会社と異なる点は、執行役が置かれず、代表取締役が置かれること(会社法399条の13第3項。したがって、経営に関わることは原則として取締役会が決定)、そして、指名委員会と報酬委員会が置かれず、「監査等委員会」が置かれることである。監査等委員会の役割(会社法399条の2第3項)と、その委員の過半数は社外取締役でなければならないこと(会社法331条6項)は、委員会設置会社の監査委員会と変わらない。 このように監査等委員会設置会社は、指名委員会と報酬委員会が置かれないため、委員会設置会社よりも普及する可能性が高そうなのだが、日本版コーポレートガバナンス・コードで複数の社外取締役の設置が求められるようになると、一挙に増えるのではないかと思われる。監査役会は3人以上の監査役で構成され、そのうち半数以上は社外監査役でなければならないため(会社法335条3項)、監査役会設置会社を選択した場合、複数の社外監査役に加えて複数の社外取締役も置かなければならなくなるかもしれない。そのため、委員会設置会社よりは抵抗感が少ない監査等委員会設置会社を選択する会社が増える可能性があるのである。 本稿執筆時点で既に、バイテック、アンリツ、ジャフコ、岩塚製菓、サントリー食品インターナショナルといった会社が、監査等委員会設置会社への移行を表明している。今後は監査等委員会設置会社が上場会社の機関設計の主流となるかもしれない。 【監査等委員会設置会社の機関設計】 (了)
企業における 『マイナンバー導入プロジェクト』の 始め方&進め方 【第3回】 (最終回) 「プロジェクト発足後、具体的にどうやって進めるか」 仰星監査法人 公認会計士 岡田 健司 本連載では【第1回】において、プロジェクトへの参画が必要と考えられる部署を探り、プロジェクト化に当たっての企業内の‘旗振り役’となる存在の重要性について問いかけを行った。さらに【第2回】では、第1回で取り上げた影響のある部署の役割等について詳しく検証した。 本連載の最終回となる本稿では、「プロジェクト発足後、具体的にどうやって進めるか」と題して、企業全体でプロジェクトをどのように進めていくのかについて解説をし、本連載のまとめを行いたい。 1 プロジェクトの全体イメージ 【第1回】、【第2回】を参考にプロジェクト化を進めていただくと、おおむね次のような構成になっていくものと思われる。 〈マイナンバー導入プロジェクト体制(案)〉 ※画像をクリックすると、別ページでPDFファイルが開きます。 対応を進めていくにあたっては、自社だけでは解決できない、あるいは自信をもてないさまざまな問題点やスケジュール上の課題に直面する可能性がある。 そこで場合によっては、内部統制の構築や整備を専門とする公認会計士や、情報保護や個人情報保護法を専門とする弁護士等にアドバイザーになってもらうと安心である。 その他、最近では徐々に、番号法対応に向けたさまざまなサービスも提供されつつあるようである。具体的には、①個人番号をクラウドで管理し、本人確認もクラウド上で行うクラウドサービス、②既存の人事給与ソフトは改修せず、外付けで個人番号を管理する専用のパッケージソフトなどである。 このように、全体的な対応をどのように図っていくかを考えるうえで、外部の力を借りるのも一案である。 2 プロジェクトの進め方 プロジェクトが発足してからは、おおむね次の事項を検討する必要がある。 上記(1)から(3)について、以下詳しく述べることとする。 (1) スケジュール、ロードマップについて 対応期限から逆算して、全体的にどのようなスケジュール感で、どのようなロードマップ(工程)によって対応を進めていくかを可視化する必要がある。そのためには、 の特定・抽出が必要となる。 例えば前者の例示としては、 などである。 (※1) 安全管理措置とは、マイナンバーや特定個人情報を適切に管理するための方法や手段を意味し、それらの漏えい、滅失又は毀損の防止などのための具体的な措置をいう。具体的な内容はガイドラインやQ&Aを参照のこと。 次に、後者の例示としては、 などである。 ポイントとしては、マイナンバーの取扱いの流れとしては、およそ「取得」、「安全管理措置」、「保管」、「社内利用」、「社外提供」、「廃棄」という手順を経ることから、この手順の段階ごとに留意すべき事項はないか、プロジェクトでブレインストーミングを行うことであると思われる。 なお、例示として列挙した事項についてはあくまでも一例であることに留意されたい。 このように、各企業によって対応すべき事柄に細かな違いがあることから、当然対応に必要な業務量も異なることになる。そこで、対応を進めていくうえでのスケジュールやロードマップ(工程)を策定するうえでは、「自社で対応すべき事項や課題・論点の列挙」が重要となる。 そこで、プロジェクトがまずなすべきことは、 である。 次に、その結果、棚卸しされた対応事項について、対応スケジュールやロードマップ(工程)として落とし込んでいくことが必要となる。 上述のように対応スケジュールやロードマップ(工程)は各社で異なるが、読者への参考として、ポイントとなる期限と「業務」「情報システム」別に、対応すべき事項の概要をまとめた「全体スケジュール(例示)」を以下に示す。 〈全体スケジュール(例示)〉 ※画像をクリックすると、別ページでPDFファイルが開きます。 なお、読者のなかで上場企業に在籍あるいは関与されている方も念頭に置いて、内部統制評価報告制度上の対応事項についても「内部統制評価」として列記しておいた。ご参考にされたい。 (2) 役割分担、職務分掌について (1)で述べたとおり、対応スケジュールやロードマップ(工程)の策定にあたっては、各部署、各担当など実務者レベルへの落とし込みが必要である。 各部の役割については【第2回】で詳しく解説したため、こちらを念頭に、各部の役割分担や職務分掌を考えていきたい。 (3) アウトソーシング・外部委託の要否について 番号法の特徴の一つに、個人番号関係事務の一部(※2)を委託することができる(※3)点が挙げられる。そこで、費用対効果の観点から、番号法施行(※4)後の事務の一部をアウトソーシング・外部委託するか否かは、対応を進めるにあたって事前に検討しておく必要がある。 (※2) 例えば、従業員本人からの番号の入手、本人確認、源泉徴収票の作成・行政機関への提出を含め、給与関係事務をアウトソーシングすることなどが考えられる。 (※3) ただし、その前提として、委託先等において、本来委託元が果たすべき安全管理措置と同水準の措置を図られることが必要である。 (※4) 平成28年1月になるといわれているが、最新の情報(本稿公開時点)では番号法は段階的に施行され重要な一部の条文は平成27年10月に施行される予定となっている。 また、番号法施行前の準備段階において、準備にかかる業務の一部をアウトソーシング・外部委託することも、業務量や自社のマンパワーとの兼ね合いで考えたい。 例えば、冒頭に述べたようにプロジェクトのアドバイザーとして公認会計士や弁護士を活用することや、(その安全性が十分に検証されてからであるが)個人番号の管理そのものをクラウドで管理すべくクラウドサービスの利用を検討することも一考である。 なお、プロジェクトの全体管理を外部に委託するという声も聞かれるが、プロジェクトの全体管理はやはり自社で行うべきであると筆者は考える。 3 本連載のまとめ 本連載は、「企業における『マイナンバー導入プロジェクト』の始め方&進め方について」と題して、マイナンバー対応を対応期限から逆算して確実に、かつ、円滑に進めていくうえで必要となるプロジェクト、プロジェクトを構成する各部署のメンバーの役割、そして、全体的なスケジュール・ロードマップ、並びに進め方の全体像について、筆者の理解に基づいてできるだけ噛み砕いた説明を試みた。 今後対応を図っていく企業にとって多少なりとも参考になれば幸甚である。 (連載了)
《速報解説》 東証より「コーポレートガバナンス・コードの策定に伴う 上場制度の整備について」(公開草案)が公表 ~“Comply or Explain”の実行を求める~ 公認会計士 阿部 光成 Ⅰ はじめに 平成27年2月24日、東京証券取引所は、「コーポレートガバナンス・コードの策定に伴う上場制度の整備について」(公開草案)を公表し、意見募集を行っている。 「『日本再興戦略』改訂2014」は、コーポレートガバナンス・コードについて、上場規則により、上場企業に対して“Comply or Explain”(原則を実施するか、実施しない場合にはその理由を説明するか)を求めている。今回の公開草案はそのための整備を図るものである。 平成26年12月17日に、「コーポレートガバナンス・コードの基本的な考え方(案)」が公表されており、本年の6月1日から適用される予定である。 また、今回、独立社外取締役の円滑な選任に資するため、独立性に関する情報開示についての見直しも行っている。 意見募集期間は、平成27年3月26日までである。 なお、文中、意見に関する部分は、私見であることを申し添える。 Ⅱ 主な内容 1 コーポレートガバナンス・コード関係の整備 2 独立役員の独立性に関する情報開示の見直し Ⅲ 適用時期等 平成27年6月1日を目途に実施する予定である。 (了)
《速報解説》 「財産債務調書」に係る規定は国外送金等調書法へ組み込み ~過少申告加算税等の5%加減算措置等は「国外財産調書」の規定を準用~ (平成27年度税制改正法案) 税理士 佐藤 善恵 はじめに 平成27年度税制改正大綱は、平成28年1月1日から納税環境整備の一環として「財産債務明細書」を「財産債務調書」に名称変更するとともに提出義務者の範囲を狭めることとした(※)。また財産債務調書の提出にインセンティブを与えるため、国外財産調書と同様に所得税又は相続税に係る過少申告加算税等を5%加重又は軽減させる特別措置を講ずるとしていた。 2月18日、税制改正法案「所得税法等の一部を改正する法律案」が公表され、「財産債務調書」関係の規定は「内国税の適正な課税の確保を図るための国外送金等に係る調書の提出等に関する法律」(以下「国外送金等調書法」)へ組み込まれて過少申告加算税等の特別措置は、国外財産調書の規定が準用されることが明らかとなった。 以下、法案ベースで過少申告加算税及び無申告加算税(以下「過少申告加算税等」)の加減算措置について解説する。 1 過少申告加算税等の軽減 所得税又は相続税の申告漏れがあり過少申告加算税等が課されるときに、その申告漏れの対象となった財産を記載した財産債務調書を提出期間内に提出していた場合には、過少申告加算税等の税率が5%軽減される(国外送金等調書法6条1項の準用(同法6条の3第1項))。 2 過少申告加算税等の加重 所得税の申告漏れがあり過少申告加算税等が課されるときに、財産債務調書を提出すべき者であるにもかかわらず提出期限内に提出していなかった場合や、その修正申告等の基因となる財産債務の記載がなかった場合(記載不十分も含む)には、過少申告加算税等の税率が5%加重される。 なお、この加重措置は、相続税及び死亡した者の所得税等には適用されない(国外送金等調書法6条2項の準用(同法6条の3第2項))。 3 期限後の調書提出に軽減措置が適用されるケース 財産債務調書が期限後に提出される状況で修正申告等をする場合に、その財産債務調書の提出が、所得税又は相続税の調査があったことにより更正又は決定があるべきことを予知してされた提出でないときは、その財産債務調書は提出期限内に提出されたものとみなされて、過少申告加算税等の特例が適用される(国外送金等調書法6条4項の準用(同法6条の3第3項))。 したがって、例えば、不動産所得の基因となる財産を財産債務調書に記載して提出すべきであった者がその調書を期限内に提出しておらず、かつ、当該所得に関して期限内申告書も提出していなかったケースでは、その者が自主的に財産債務調書及び期限後申告書を提出すれば、無申告加算税については国税通則法上の5%(同法66条5項)から国外送金等調書法上の軽減措置5%が控除されて、結果的に0%となる(国外送金等調書法6条1項及び4項の準用(同法6条の3第3項))。 (了)
2016年1月のマイナンバー制度運用開始まで1年を切りました。 本年10月には国民全員にそれぞれの個人番号(マイナンバー)の通知が開始され、企業・団体は従業員のマイナンバーの収集が必要となります。 民間企業にとって、マイナンバー制度の下では、税と社会保険の関係で行政機関等に提出する書類の多くに個人番号・法人番号を記載しなければなりませんので、業務フローやITシステムの変更が必ず必要になります。 本セミナーでは、マイナンバーに関する最新の市販書籍 『企業・団体のための マイナンバー制度への実務対応』 (清文社より3月上旬発刊)の執筆者、弁護士 影島広泰氏が、マイナンバー制度や法律の規制の概要から本人確認・情報管理の実務対応まで、実務を構築するための必須の事項を具体的に解説します。 ★セミナー内容の詳細やお申込方法など、くわしくは下記からご覧ください。
《速報解説》 「工事進行基準等の適用に関する監査上の取扱い」(公開草案)が公表 ~不正事案発生リスクへの対応を示す~ 公認会計士 阿部 光成 Ⅰ はじめに 平成27年2月13日(掲載日)、日本公認会計士協会は、監査・保証実務委員会実務指針「工事進行基準等の適用に関する監査上の取扱い」(公開草案)を公表し、意見募集を行っている。 工事契約については、「工事契約に関する会計基準」(企業会計基準第15号)が適用されているが、その適用に当たっては、会計上の見積りの要素が大きく、工事進行基準の適用に関連する不正事案が散見されるとのことである。 監査・保証実務委員会実務指針ではあるが、工事進行基準の適用に関する具体的な問題が述べられているので、事業会社においても参考になるものと思われる。 意見募集期間は、平成27年3月13日までである。 なお、文中、意見に関する部分は、私見であることを申し添える。 Ⅱ 主な内容 1 重要な虚偽表示リスク 重要な虚偽表示リスクには、会計上の見積りの判断を誤ることによる誤謬だけでなく、意図的に工事原価総額の見積りを調整することや関連のない他の工事契約との間で工事原価の付替えを行うことによる決算日における工事進捗度の調整を通じた工事収益の操作などの不正によるものも含まれる(公開草案5項)。 2 リスク評価手続関係 工事進行基準に関する会計上の見積りの不確実性について、工事契約の変更が行われた場合でも、その変更金額が工事契約の変更の都度決まらないときがあることや、各工事契約に対する監視活動について、労務安全管理又は工程管理が重視されており、原価管理について実施されていても工事進行基準の適用の妥当性という観点からの監視活動が必ずしも十分に実施されていない可能性があることなどが述べられている(公開草案8項)。 このように重要な虚偽表示リスクが具体的に述べられているので、事業会社においても、参考になるものと思われる。 3 不正事例 次の不正事例が想定されると述べている(公開草案10項)。 4 関連のない他の工事契約に係る認識の単位との間の工事原価の振替及び付替えの防止に関する業務プロセス 原価の付替えを含む工事原価の振替について理解する業務プロセスとして、次の事項が例示されている(公開草案44項)。 これらの記載についても、事業会社においては、参考になるものと思われる。 Ⅲ 適用時期等 平成27年4月1日以後開始する事業年度に係る監査及び同日以後開始する中間会計期間に係る中間監査から適用することが予定されている。 「建設業における工事進行基準の適用に係る監査上の留意事項」(業種別委員会報告第27号)については、本指針の確定による廃止を検討している。 (了)
2015年2月19日(木)AM10:30、 Profession Journal(プロフェッションジャーナル) No.107 が公開されました。 - ご 案 内 - Profession Journalの解説記事は毎週木曜日(AM10:30)に公開し、《速報解説》については随時公開します。