此の国にも『日本企業』! 【第8回】 「《ベトナム》 自分で動けることの大切さを、ベトナムで、そして日本で ~(株)TESS~」 中小企業診断士 西田 純 今月は、ベトナムで「足こぎ車いす」の普及に取り組む東北のベンチャー企業・(株)TESSを取り上げます。 〈障害を持つ人、リハビリ中の人のための「足こぎ車いす」〉 事情を知らない人からは「足こぎ車いす」というと、車いすに乗る人の足が動くのか?という矛盾を指摘されることも多いそうですが、実物は車いすと自転車を融合させたような機械で、歩けない人でも、膝とかかとの関節が片足でも動けば、動くほうの足を使って自転車をこぐ要領で動かすことができる、というものです。 発進・停止や左右旋回も自由自在ですし、何より麻痺した体の部分を固定するベルトや、歩くときに使う杖を留めるためのホルダー、足こぎ車いすを固定するためのアタッチメントなどのオプション品が充実している点は、ユーザーにとって福音だろうと思います。 宮城県・仙台市に本社がある(株)TESSが、JICAの支援制度を活用してベトナムでの普及に取り組み続けた結果、現在ではベトナム全土の国立病院でリハビリメニュー化を目途として、足こぎ車いすはベトナム政府保健省の認可を受けるところまでこぎつけたと伺いました。 〈ベンチャーとしての出発、そしてベトナムへ〉 さて、そんな(株)TESSの成り立ちは一風変わっています。 元々は20年ほど前に東北大学で開発された技術だった足こぎ車いすを、当時山形県で小学校教諭をされていた現社長の鈴木堅之さんがテレビニュースで偶然目にすることがあったのだそうです。鈴木さんはそれを足の不自由な子供たちに使わせたいと一念発起して仕事を辞め、2009年に同社を立ち上げたのだそうですが、現在でも社員10名弱という正真正銘のベンチャー企業です。 ところがビジネス立ち上げ当初までの日本では、重度の障害者に対するリハビリ導入の必要性が必ずしも強調されておらず、医療現場ではリスク回避の考え方が優先される時代が長かったこともあって、なかなか普及が進まずビジネスでもご苦労が多かったとのこと。 それでもリハビリの現場に近い人から寄せられる期待の声が絶えることはなく、ベトナムとの縁も元々は「現地でリハビリのボランティアをしていた方からの問い合わせ」だったのだそうです。 ベトナム戦争当時に使われた枯葉剤の影響もあってか、現地では今でも多くの肢体不自由児が生まれており、リハビリのニーズは高いものがありました。そこで前述のJICA事業を活用し、足こぎ車いすの実機を見せたところ、国立病院の担当医師からの評価は大変高く、それまで難しいのではと考えられていたリハビリメニュー化の話が一気に進んだということでした。 〈海外に必要とされる技術で進出し、日本にないものを持ち帰る〉 ベトナムの良い点としては、医師を始めとして理学療法士・作業療法士・看護師・技師を一つのチームとしてヨコの連携を重視する考え方があるそうで、足こぎ車いすのような新しい技術をベトナムでどのように取り入れて行けばよいかという課題については、むしろチームがベトナムの事情に合わせた実施方法を考えてくれる、のだそうです。そうすることで、たとえ重度の障害があっても、死ぬまでの日々を有意義に過ごす“Quality of Death”を向上させられるというのがベトナム流の取り組み方だそうです。 ユーザーのことを考えれば、これは日本でも学ぶべき点だということで、鈴木さんは「たとえ小さなベンチャー企業でも、世界にはその技術を必要としてくれるところがあるとするなら、そこでビジネスモデルを作って日本に逆輸入するパターンもありだろう」と考えて、この事業に期待しているとのこと。 〈足こぎ車いすのさらなる普及へ向けて〉 相前後して、日本でもこの技術が評価されるようになってきており、昨年以降急激に出荷台数が伸びて、現在までに日本国内では5,000台以上の足こぎ車いすが各地で使われるようになっているのだそうです。併せてEUやアメリカでも公的な認証を取得し、今後の市場拡大が期待される状況にあるとのことです。 今後の(株)TESS、そして足こぎ車いすに注目です。 (了)
《速報解説》 相続税の取得費加算特例に係る措置法通達が改正 ~本年1月1日に遡って適用~ 税理士 齋藤 和助 平成27年7月7日付で国税庁のホームページにおいて「租税特別措置法(株式等に係る譲渡所得等関係)の取扱いについて」等の一部改正について(法令解釈通達)が発遣され(公表日は7月17日)、租税特別措置法第39条《相続財産に係る譲渡所得の課税の特例》関係について、すでに本年1月1日より施行されている法改正に伴う一部改正が行われた。 本稿ではこの改正通達につき、重要な点をピックアップした。 なお、制度改正の内容については下記の拙稿を参照されたい。 1 廃止となった通達 今回の改正で廃止となった通達項目は以下のとおりである。 このうち、改正法令の明確化(いわゆる格上げ)に伴い廃止されたものとしては、以下のものがある。 39-2(資産の譲渡に含まれる不動産等の貸付け)は、対象となる相続財産の譲渡には譲渡所得の基因となる不動産等の貸付けを含むこととされ(措法39①)、39-3(換地処分等により取得した資産を譲渡した場合)は、適用対象となる相続財産に含むものとし(措法39⑦)、39-7(農地等について相続税の納税猶予を受ける場合の相続税額)は、適用後の相続税額とする旨が法令で定められた(措法39⑥、措令25の16 ③)。 また、39-15(所得税の確定申告後に確定する相続税額)は、相続税申告書を提出した日の翌日から2月以内に限り、更正の請求により取得費加算の特例の適用を受けることができる旨が法律で定められた(措法39④)。 上記以外のものについては、譲渡した土地等に対応する相続税相当額のみを取得費に加算することとなったために廃止されたものである。 2 改正となった通達 改正となった通達のうち、改正法令の明確化に伴うものは以下になる。 39-11(土地等以外の資産を2以上譲渡した場合の取得費に加算する相続税額)については、取得費に加算する金額はその譲渡をした資産ごとに計算する旨を法律で規定し(措法39⑧)、新たに39-5(相続財産を2以上譲渡した場合の取得費に加算する相続税額)として残され、39-17(修正申告等により相続税額が異動した場合)については、政令で修正申告後の相続税額と規定し(措令25の16 ②)、新たに39-9(判決等により相続税額が異動した場合)として残された。 3 適用時期 この改正後通達は、平成27年1月1日以後に開始した相続又は遺贈により取得した財産につき遡及適用され、同日前に開始した相続又は遺贈により取得した財産については、改正前通達が適用される。 (了)
《速報解説》 「国境を越えた役務提供に係る消費税制度」の 経理処理等の取扱いに関する個別通達が改正 ~特定課税仕入れに係る消費税等額の仮勘定処理を認容、 登録国外事業者以外の者との取引に係る仮払消費税等は全額控除対象外消費税額等に~ アースタックス税理士法人 税理士 島添 浩 10月からの適用がせまる「国境を越えた役務提供に係る消費税制度」については、すでに消費税法基本通達が改正され関係様式の変更点も明らかとなっているが、先日公表された法人税(平成27年6月30日公表)及び所得税(平成27年7月7日公表)の個別通達の改正において、本制度の創設に基づく経理処理方法等の取扱いが明らかにされた。 具体的には、以下の個別通達の各項目が改正・創設された。 以下、それぞれの項目につき解説をしていくが、法人税の個別通達と所得税の個別通達の規定は、内容的には同様のものであるため、「特定課税仕入れに係る消費税等の額」「仮受消費税等及び仮払消費税等の清算」「登録国外事業者以外の者との取引に係る仮払消費税等の金額」の3つの規定をまとめて検討する。 1 特定課税仕入れに係る消費税等の額(5の2) 特定課税仕入れ(※)の取引については、取引時において消費税等の額に相当する金銭の受払いがないことから、その取引の都度行う経理処理において当該特定課税仕入れの取引の対価の額と区分すべき消費税等の額はないことに留意する。 ただし、法人又は個人事業者が当該特定課税仕入れの取引の対価の額に対して消費税等が課せられるものとした場合の消費税等の額に相当する額を、例えば、仮受金及び仮払金等としてそれぞれ計上するなど仮勘定を用いて経理処理することとしても差し支えない。 ▷解説 事業者向け電気通信利用役務の提供及び特定役務の提供を受けた国内の事業者が、リバースチャージ方式によりその対価に係る消費税額の納税義務が生じる場合には、国外の事業者に対して支払う消費税がないことから、その国内事業者が税抜経理方式を適用している場合であっても仮払消費税等が計上されることはない。 しかしながら、経理処理の方法として、その消費税額につき仮受金と仮払金を両建てして仕訳を行うことも個別通達の「ただし書き」により認めることとしている。 【リバースチャージ方式の考え方及び仕訳例】 ◆事業者向け電気通信利用役務の提供(広告の配信)を受け、国外事業者に100万円支払った。 (支払い時の仕訳:通常) (支払い時の仕訳:通達ただし書き) (※) この仮払金及び仮受金は、通常取引の仮払消費税等及び仮受消費税等と同様の取扱いとなる(リバースチャージ方式の場合、課税売上げと課税仕入れが同額で生じることとなる)。 2 仮払消費税等及び仮受消費税等の清算(6) 法人(又は個人事業者)が消費税等の経理処理について税抜経理方式を適用している場合において、簡易課税の規定の適用を受けたこと等により、課税期間の終了の時における仮受消費税等の金額(特定課税仕入れの消費税等の経理金額を含む)から仮払消費税等の金額(特定課税仕入れの消費税等の経理金額を含み、控除対象外消費税額等に相当する金額を除く)を控除した金額と当該課税期間に係る納付すべき消費税等の額又は還付を受ける消費税等の額(個人事業者が行う業務のうちに税込経理方式を適用しているものがある場合には、当該業務に係る取引がないものとして計算した納付すべき消費税等の額又は還付されるべき消費税等の額とする)に差額が生じたときは、当該差額については、当該課税期間を含む事業年度(又はその年の事業所得等の計算)において益金の額(若しくは総収入金額)又は損金の額(若しくは必要経費)に算入するものとする。 なお、特定課税仕入れの消費税等の経理金額とは、個別通達5の2(特定課税仕入れに係る消費税等の額)のただし書により、特定課税仕入れの取引に係る消費税等の額に相当する額として経理した金額をいう。 ▷解説 消費税の計算が原則として税込で計算することとなるため、事業者が税抜経理方式を適用している場合には、決算時に仮受消費税等の合計額と仮払消費税等の合計額を相殺した残額と実際に納付又は還付する消費税額が、端数処理上の関係で必ずしも一致しない。 また、簡易課税制度を適用した場合には、仕入税額控除の計算が実際に支払った消費税額(仮払消費税等)ではなく、課税標準額に対する消費税額に一定の率を乗じて計算することから、仮受消費税等の合計額と仮払消費税等の合計額を相殺した残額と実際に納付する消費税額に差額が生じることとなる。 この差額については、従来においても法人税又は所得税の計算上、益金又は総収入金額(損金又は必要経費)に算入することとしているが、上記1で解説した個別通達のただし書きによりリバースチャージ方式により仮受金及び仮払金として処理した金額を含めて計算した場合であっても差額が生じた部分は益金又は総収入金額(損金又は必要経費)に算入することを規定している。 なお、ここでいう差額には、仕入税額控除を個別対応方式又は一括比例配分方式を適用して生じる控除対象外消費税額等(下記3参照)は、含めないので留意しなければならない。 【仕訳例】 ◆決算時の残高が仮受消費税等の合計額1,550,000円、仮払消費税等の合計額520,000円、リバースチャージ方式による仮受金80,000円、仮払金80,000であり、その課税期間の消費税の納付税額が1,000,000円となる場合の清算の仕訳は以下のようになる。 (※) 差額の30,000円は、益金又は総収入金額に算入する。 3 登録国外事業者以外の者との取引に係る仮払消費税等の金額(法人税14の2、所得税11の2) 税抜経理方式を適用している法人又は個人事業者が行う取引のうち、登録国外事業者以外の国外事業者から受けた事業者向け以外の電気通信利用役務の提供の取引に係る仮払消費税等の金額(以下「未登録国外事業者に対する仮払消費税等の金額」という)は、全額が控除対象外消費税額等となることに留意する。 なお、当該仮払消費税等の金額が資産に係るものである場合には、法人税においては法人税法施行令第139条の4、所得税においては所得税法施行令第182条の2の規定の適用を受けることができる。 また、法人の場合において、当該仮払消費税等の金額がその法人が支出した交際費等に係るものである場合には、個別通達12(交際費等に係る消費税等の額)の注2の取扱いによる。 ▷解説 国境を越えた役務提供に係る消費税制度において、国内の事業者が未登録の国外事業者から受ける事業者向け以外の電気通信利用役務の提供については、リバースチャージ方式の適用はなく、その国外事業者に消費税を支払うこととなるが、経過措置により当分の間、その支払った消費税につき仕入税額控除を行うことができないこととされている。 したがって、国内事業者が税抜経理方式を適用している場合において、決算時に仮受消費税等と仮払消費税等を清算する際に差額が生じることとなるが、この差額は控除対象外消費税額等(※)として法人税法又は所得税法の規定を適用することを規定している。 (了)
2015年7月30日(木)AM10:30、 プロフェッションジャーナル No.130が 公開されました。 プロフェッションジャーナルのリーフレットは 全国のTAC校舎で配布中! - ご 案 内 - プロフェッションジャーナルの解説記事は毎週木曜日(AM10:30)に公開し、《速報解説》については随時公開します。
《平成27年度改正対応》 住宅取得等資金の贈与税非課税特例 【第2回】 「再適用の取扱い」 税理士 齋藤 和助 1 はじめに 前回は住宅取得等資金に係る贈与税の非課税特例について、平成27年度税制改正の内容を概観した。今回はその中から、改正により一部について認められることとなった「再適用」について、具体例を使って確認してみたい。 2 再適用の内容 平成27年1月1日から平成28年9月30日までに住宅を取得等して住宅取得等資金の贈与税非課税特例(住宅用家屋の取得等に係る対価の額又は費用の額に含まれる消費税等の税率が8%である場合)(以下「新法8%」という)の適用を受けた者が、平成28年10月以降にも住宅取得等資金の贈与税非課税特例(住宅用家屋の取得等に係る対価の額又は費用の額に含まれる消費税等の税率が10%である場合)(以下「新法10%」という)が適用される者として新たに住宅を取得等した場合には、原則として、再び特例の適用を受けることができる。 しかし、平成26年以前に改正前の旧法で特例の適用を受けている者は、平成28年10月以降に消費税率10%で新しく住宅を取得等しても、新法10%の適用を受けることはできない(【具体例1】)。 ①において既に旧法による非課税特例の適用を受けているため、②において消費税10%が適用される工事に係る住宅取得等資金の贈与を受けても非課税特例の適用はできない。 3 再適用が受けられる場合の非課税限度額 特別住宅資金非課税限度額(住宅用家屋の取得等に係る対価の額又は費用の額に含まれる消費税等の税率が10%である場合)及び住宅資金非課税限度額(住宅用家屋の取得等に係る対価の額又は費用の額に含まれる消費税等の税率が8%である場合)は、それぞれ次図のとおりである。 再適用については、新法8%において、住宅資金非課税限度額(上図の部分)まで特例の適用を受けた場合でも、新法10%により特別住宅資金非課税限度額(上図の部分)まで特例の適用を受けることができる(【具体例2】)。 ①の1,500万円及び②の3,000万円の合計4,500万円に非課税特例が適用される。 この場合の新法10%の特別住宅資金非課税限度額には、新法8%の住宅資金非課税限度額までの過不足分は考慮されない。つまり、新法8%で非課税限度額以上の贈与を受けた場合でも、その超過額は新法10%の非課税限度額から控除することはできず(【具体例3-1】)、また、新法8%で非課税限度額未満の贈与を受けた場合でも、その余裕額を新法10%の非課税限度額に上乗せすることはできない(【具体例3-2】)。 ①のうち非課税限度額の1,500万円まで、②のうち1,000万円に非課税特例の適用ができる。①の超過額500万円を②の余裕額500万円に充当することはできない。 ①の1,000万円、②のうち非課税限度額の1,500万円まで非課税特例の適用ができる。①の余裕額500万円を②の超過額500万円に充当することはできない。 なお、平成28年1~9月までの間に、新法8%の適用を受け、平成28年10~12月までの間に新法10%の適用を受ける場合(上図の(※)の部分)は、いずれの契約における贈与も平成28年中のものとなるため、いずれか多い金額までの適用となる(【具体例4】)。 ①②共、平成28年中の贈与になるため、①の1,200万円と②の3,000万円とのいずれか多い金額、つまり、3,000万円に非課税特例の適用ができる。 ただし、②において、契約だけが平成28年中に行われ、その資金の贈与が平成29年に行われた場合には、①の1,200万円及び②の3,000万円の合計4,200万円に非課税特例の適用ができる。 (了)
「教育資金の一括贈与に係る贈与税非課税措置」 平成27年度改正における拡充要件の確認 ミレニア綜合会計事務所 代表税理士 甲田 義典 1 はじめに 教育資金の一括贈与に係る贈与税非課税措置(以下「本制度」という)は、祖父母世代から孫世代への世代間で資産移転を促進させ、子育て世代が将来必要となる教育資金を早期に確保し、消費を拡大させるための経済活性化策の一環として、平成25年度税制改正において創設された。 一般社団法人信託協会の調査によれば、本制度の信託契約による適用状況は、平成25年4月から平成27年3月までの3年間で、契約数119千件、信託設定金額で約8,030億円となっている。 平成27年度税制改正(以下「本改正」という)では、経済活性化のために本制度が一定の効果が期待されることから、現在までの適用実態を踏まえて、その適用期限が延長され、本制度の対象となる教育資金の資金使途の範囲について拡充し、領収書等に関して金融機関への提出などの手続の簡素化が図られた。 本稿では、これら拡充等された要件について確認していくこととする。 2 改正の概要 本改正では、以下3点の拡充が図られている。 3 改正の主な内容 (1) 適用期限の延長 本制度の適用期限は、平成31年3月31日(改正前:平成27年12月31日)まで3年3ヶ月延長された(新措法70の2の2①)。 (2) 教育資金の使途拡充 改正前の制度では、教育に直接要する費用が対象とされており、輸送の対価である定期券購入費用などはそれに該当しないと考えられるため、本制度の適用対象外とされていた。 本改正では、交通費の中でも教育を受けるためには不可欠であり、かつ、証明が可能と考えられる次の3つについて、教育資金の使途の範囲に追加された(平成27年3月文部科学省告示第89号による改正後の平成25年3月文部科学省告示第68号の第2項第6号及び第7号)。 なお本改正は、平成27年4月1日以後に支払われたものについて適用される。 なお、上記の各費用の詳細及び実務上必要となる証明書類などは、文部科学省が公表している『教育資金の一括贈与に係る贈与税非課税措置(『教育資金』及び『学校等』の範囲)に関するQ&A』(以下「Q&A」という)で明らかにされており、主なポイントをまとめると以下のとおりとなる。 【参考】 往路に関する交通費の支出に係る確認書 ※画像をクリックすると、別ページでPDFファイルが開きます。 (3) 手続の簡素化 本制度では、教育資金の支出を確認するため、領収書等を金融機関に提出する必要があり、金融機関はその領収書等の内容を確認することになっている。 そのため、領収書等の記載事項に不備があれば、受贈者は支払先へその不備を補うことが求められ、金融機関へ領収証等の再提出を要するといったケースが生じていた。そして、受贈者は少額の領収書等を含め大量の領収書等を提出しなければならないため、大きな負担となっていた。 そこで本改正では、課税上の弊害がないと考えられる少額の領収書等に関しては、受贈者において必要事項(教育資金の①支払金額、②支払年月日、③支払先の氏名又は名称、④支払先の住所又は所在地、⑤支払の内容)を記載した明細書を提出すれば、領収証等の提出は不要とされた(新措法70の2の2 ⑦)。 その対象となる「少額の領収証等」とは、具体的には、1回の支払について1万円以下の領収書等で、かつ、年間(暦年ベースで)24万円以下のものである(新措規23の5の3⑦)。 なお、この年間24万円以下の金額に関しては、契約初年および最終年(つまり30歳に達した年)は、その年における契約期間が12ヶ月に満たないことが考えられるため、2万円に、その年における契約締結日以後の月数または契約終了日以前の月数(1ヶ月に満たない端数は1ヶ月)を乗じて計算することとされた。 本改正は、平成28年1月1日以後に提出する領収書等から適用される(改正法附則97③)。 (了)
ふるさと納税(平成27年度税制改正対応)のポイント 【第4回】 (最終回) 「実務で気になる疑問Q&A」 公認会計士・税理士 篠藤 敦子 (連載了)
これだけ知っておこう! 『インド税制』 【第1回】 「税制の全体像と法人所得課税」 公認会計士・税理士 野瀬 大樹 1 インド税制の全体像 (1) インドの直接税 インドにおける直接税は、大きく分けて以下の4つ。 税率や課税対象については別の回で詳しく解説するが、インドでは、課税期間は法人も個人も4月1日~3月31日である。個人は1月1日~12月31日、法人ならその会計期間となっている日本の税制とは大きな違いがある。さらに全ての会社に会計監査が必要となるインドにおいては、確定した数値により連結財務諸表を作る際に、この会計期間が大きなハードルになる。 個人所得税の申告期限は7月末、法人所得税の申告期限は9月末のため、日本とは少し決算の繁忙期がズレる点にも留意が必要となる。 (2) インドの間接税 インドにおける間接税は大きく分けて以下の5つ。 関税を除くと日本ではなじみがないものばかりだが、「消費税が何種類もある」と考えていただければ分かりやすいのではないだろうか。 さらにこの各間接税の中でも対象やシチュエーションにより税率が変わるので、そのあたりが日系企業にとっては対応が難しいポイントと考えられる。 ここからは上記の直接税のうち「法人所得税」についてより詳しく解説する。 2 インドの法人所得税 考え方は日本と同じ。益金から損金を差し引いた税務上の利益に「税率」を乗じることで税金が計算される。 ただ細かいところには違いもあるので、ここでは日本の法人税との違いに注目しながら、インドの法人所得税の概要を以下に示すことにする。 (1) 税率 基本税率は内国法人、つまりインド国内の法人は30%、外国法人は40%となるが、教育目的税や課徴金をさらにとられるため、実質税率はこのようになる。特に内国法人は課徴金の変更により本年度から税率が変更されているので注意を要する。 他のアジアの新興国の中でも税率の高さが目立つため、高止まりする人件費とともに「インド進出にはコストがかかる」と日本企業が二の足を踏む理由と考えられる。 (2) 納税のための準備 特に大がかりな準備は必要ないが、納税者番号PANの取得は必須。ただこれも、そもそも会社設立時に必要になるので、インドに拠点を持つ事業体は必ず保持していると考えられる。 (3) 計算期間 日本の場合、会社の決算日をもって1年の会計を締め、その数字をもとに税金の計算をするのが通常だが、インドの場合、納税に関してはその計算期間が4月1日から翌年3月31日と法律によって決められている。 日本企業にとってはここが悩みどころであり、親会社と決算月を合わせるためにインドの現地法人の決算月を仮に12月にしたとしても、税金計算のための3月末でもう一度決算をする必要がある。 これは会社にとって決して小さくない負担となることが予想される。 (4) 申告のタイミング 申告の期限は9月末なので、決算より2~3ヶ月という日本よりは余裕がある。ただし、インドでは法人所得税の前払いが徹底されており、6月15日、9月15日、12月15日、3月15日と四半期ごとに予定納税が求められる税額の不足に関しては月利1%の延滞金がかかるので、うっかりするとあとで少なくない負担が生じることになる。 また前述のように全ての会社に会計監査が義務づけられているため、この申告期限までにこの監査を終わらせる必要がある点にも留意が必要。 (5) 繰越欠損金 少し前に日本でも改正により7年から9年に延長された繰越欠損金の繰越期間だが、インドは8年となる。 (6) その他 最近よく受ける質問の一つが「インドで連結納税制度はありますか?」というものだが、日本では存在するこの制度もインドでは現状存在しない。 (了)
〈Q&A〉 印紙税の取扱いをめぐる事例解説 【第11回】 「税理士等が作成する文書」 税理士・行政書士・AFP 山端 美德 税理士と顧客との間で作成する顧問契約書や、顧問料を受領した際に作成する受取書には印紙税がかかりますか。 税理士と会社等との間で顧問契約書を結ぶ場合、一般的には税務相談料、決算書・申告書作成、記帳代行などを定めて結ぶこととなるが、報酬については月次報酬のほかに決算等の費用がある。 単なる、税務相談のみを目的として契約を結んだ場合は、委任契約として課税文書には当たらないが、税務書類の作成を目的とし、それに対して一定額の報酬を支払うというような契約の場合であれば、第2号文書(請負に関する契約書)に該当することとなる(基通第2号文書17)。 したがって、事例の場合における顧問契約書は、第2号文書(請負に関する契約書)に該当する。 また、税理士がその業務上作成する受取書は、営業に関しない受取書と取り扱われ、非課税である(基通第17号文書26)。 [検討1] 顧問契約書等の所属 税理士が会社等との間で報酬等に関して結ぶ契約は顧問契約書、委嘱契約書など名称は様々であり、契約形態、記載事項についても作成者により相違している。 したがって、印紙税の課税文書か否かの判断は個々に文書を見て判断しなければ最終的な判断はできないが、税理士の顧問契約の場合、相談業務のほか、業務の中に決算・申告書作成業務が含まれている場合が多い。この場合、それに対して一定額の報酬を支払う契約となると、単なる委任に関する契約書として非課税ということではなく、第2号文書(請負に関する契約書)として課税対象となる。 また、税理士との間で業務上作成される文書において、第7号文書(継続的取引の基本となる契約書)に該当する場合がないかというと、税理士は営業者には該当しないため、継続的取引であっても第7号文書には該当しない。 なお、税理士法人については出資者以外の者との取引では営業者となることから、継続的取引の場合は第7号文書にも該当する場合がある。 [検討2] 受取書の取扱い 受取書については税理士がその業務上作成する受取書は、営業に関しない受取書と取り扱われ、非課税である。 また、税理士法人の場合、会社法第621条(利益の配当)及び第622条(社員の損益分配の割合)を準用していることから、法令の定めにより利益金の分配等をすることができるものに該当する。 したがって、税理士法人が出資者以外の者に交付する受取書は、第17号文書(金銭又は有価証券の受取書)非課税物件欄2のかっこ書の規定により、営業に関する受取書として課税文書に該当する。 ▷ まとめ ◆税理士委嘱契約書 税理士委嘱契約書は、委任に関する契約書に該当することから課税文書には当たらないのであるが、税務書類等の作成を目的とし、これに対して一定の金額を支払うことを約した契約書は、第2号文書(請負に関する契約書)に該当するのであるから留意する(基通第2号文書17)。 ◆弁護士等の作成する受取書 弁護士、弁理士、公認会計士、経理士、司法書士、行政書士、税理士、中小企業診断士、不動産鑑定士、土地家屋調査士、建築士、設計士、海事代理士、技術士、社会保険労務士等がその業務上作成する受取書は、営業に関しない受取書として取り扱う(基通第17号文書26)。 ◆継続的取引の基本となる契約書の範囲 特約店契約書その他名称のいかんを問わず、営業者(法別表第1第17号の非課税物件の欄に規定する営業を行う者をいう)の間において、売買、売買の委託、運送、運送の取扱い又は請負に関する2以上の取引を継続して行うため作成される契約書で、当該2以上の取引に共通して適用される取引条件のうち目的物の種類、取扱数量、単価、対価の支払方法、債務不履行の場合の損害賠償の方法又は再販売価格を定めるもの(令26① 抜粋)。 (了)
連結納税適用法人のための 平成27年度税制改正 【第7回】 「地方拠点強化税制の創設(その1)」 公認会計士・税理士 税理士法人トラスト パートナー 足立 好幸 [8] 連結納税適用法人に係る地方拠点強化税制の創設 (1) 改正の概要 東京圏、中部圏中心部、近畿圏中心部にある本社機能等を地方に移転し、あるいは、地方にある本社機能等を拡充する企業の取組みを支援するため、オフィスに係る建物等の設備投資減税を創設するとともに、雇用促進税制を拡充する特例が創設された。 地方拠点強化税制は、「地域再生法の一部を改正する法律」(改正地域再生法)で定める次の2つの種類の地方拠点強化実施計画(地域再生法第17条の2第1項に規定する地方活力向上地域特定業務施設整備計画)について認定を受けた法人が対象となる。 ① 移転型計画 東京23区から地方(東京圏、中部圏中心部、近畿圏中心部を除く全地域のうち、国が認定した地域)へ本社機能(特定業務施設)を移転する計画(地方拠点強化実施計画で地域再生法第17条の2第1項第1号に掲げる事業に関するもの)をいう。 ② 拡充型計画 地方(東京圏、中部圏中心部、近畿圏中心部を除く一定の地域のうち、国が認定した地域。以下、「集中地域以外の地域」という)にある本社機能(特定業務施設)を拡充する計画(地方拠点強化実施計画で地域再生法第17条の2第1項第2号に掲げる事業に関するもの)をいう。 ここで、本社機能とは、経営意思決定、経営資源管理(総務、経理、人事)、各種業務統括(研究開発、国際事業等)などの事業所(工場及びその地域を管轄する営業所等は含まない)をいい、関係法令上は「特定業務施設」という。 地方拠点強化税制の詳細は次のとおりである。 なお、以下において、地域再生法の条文を記載している場合は、特段の断りのない限り改正地域再生法の条文を示している。 (2) 地方拠点建物等の取得費の特例措置(措法68の15の2、措令39の45の2) ① 地方拠点建物等の取得費の特別償却制度 連結親法人又は連結子法人で、改正地域再生法の施行日(平成27年8月10日:追記)から平成30年3月31日までの期間(指定期間)内に地方拠点強化実施計画について認定を受けたものが、認定日から同日の翌日以後2年を経過する日までの間に、集中地域以外の地域(注1)において、地方拠点強化実施計画に記載された特定業務施設に該当する建物、建物附属設備、構築物(一定規模以上のもの(注2)。特定建物等)(注3)を取得等して、事業の用に供した場合(貸付けの用に供した場合を除く)には、その事業の用に供した日を含む連結事業年度(供用年度)の特定建物等の償却限度額は、特定建物等の普通償却限度額と特別償却限度額(特定建物等の取得価額の15%(地方拠点強化実施計画が移転型計画である場合には25%)に相当する金額)との合計額とする(措法68の15の2①)。 以上より、この特別償却制度については、各連結法人ごとに適用可否を判断し、各連結法人ごとに適用することとなる。 なお、この特別償却制度は、連結確定申告書等に特定建物等の償却限度額の計算に関する明細書の添付がある場合に限り、適用する(措法68の15の2⑤)。 ② 地方拠点建物等の取得費の税額控除制度 【1】 概要 連結親法人又は連結子法人で、改正地域再生法の施行日(平成27年8月10日:追記)から平成30年3月31日までの期間(指定期間)内に地方拠点強化実施計画について認定を受けたものが、認定日から同日の翌日以後2年を経過する日までの間に、集中地域以外の地域(注1)において、地方拠点強化実施計画に記載された特定業務施設に該当する建物、建物附属設備、構築物(一定規模以上のもの(注2)。特定建物等)(注3)を取得等して、事業の用に供した場合(貸付けの用に供した場合を除く)には、その事業の用に供した日を含む連結事業年度(供用年度)の連結法人税額(注4)から連結親法人の税額控除限度額及び各連結子法人の税額控除限度額の合計額を控除する(措法68の15の2②)。 ただし、連結親法人又は各連結子法人ごとに、供用年度における税額控除限度額が連結親法人又は各連結子法人の供用年度の法人税額基準額を超えるときは、その税額控除限度額は、法人税額基準額を限度とする。 【2】 税額控除限度額 税額控除額となる連結法人の税額控除限度額は、その事業の用に供した特定建物等の取得価額に、認定を受けた日が次の各号に掲げる期間のいずれに含まれるかに応じ各号に定める割合を乗じて計算した金額の合計額をいう(措法68の15の2②)。 【3】 控除限度となる法人税額基準額 この税額控除制度は、各連結法人ごとに、税額控除額を計算することとなり、各連結法人ごとに、供用年度における税額控除限度額が供用年度の法人税額基準額を超えるときは、その税額控除限度額は、法人税額基準額を限度とする。 各連結法人の控除限度となる法人税額基準額は、次の①又は②のうちいずれか少ない金額となる(措法68の15の2②、措令39の45の2②)。 これにより、連結納税グループ全体の連結法人税額の20%のみならず、各連結法人の連結法人税個別帰属額の20%も税額控除限度額となる。 【4】 繰越控除制度 【2】税額控除限度額が【3】控除限度となる法人税額基準額を超える場合であっても、その超過額は翌連結事業年度に繰り越されない。 【5】 地方拠点建物等に係る税額控除制度の個別帰属額の計算方法 連結法人ごとに計算した税額控除限度額(法人税額基準額を限度とする)が、各連結法人の地方拠点建物等に係る税額控除額の個別帰属額となる(措法68の15の2⑦、措令39の45の2③)。 なお、この税額控除制度は、連結確定申告書等、修正申告書又は更正請求書に、控除の対象となる特定建物等の取得価額、控除を受ける金額及び当該金額の計算に関する明細を記載した書類の添付がある場合に限り、適用する(措法68の15の2⑥)。 また、この場合において、控除される金額は、連結確定申告書等に添付された書類に記載された特定建物等の取得価額を基礎として計算した金額に限るものとする(措法68の15の2⑥)。 【6】 地方法人税における地方拠点建物等の取得費の税額控除額の取扱い 法人税における地方拠点建物等の取得費の税額控除額は、地方法人税の課税標準となる基準法人税額の計算において連結法人税額から控除される(地方法6三)。 また、各連結法人の地方拠点建物等の取得費の税額控除額の個別帰属額に4.4%を乗じた金額が地方法人税個別帰属額の計算において減算される(措法68の15の2⑦、地方法15①)。 【7】 住民税における地方拠点建物等の取得費の税額控除額の取扱い 中小連結親法人又はその各連結子法人の各連結事業年度の個別帰属法人税額(道府県民税及び市町村民税の課税標準)の計算において、法人税における地方拠点強化税制に係る税額控除額の個別帰属額は個別帰属法人税額から控除される(連結法人税個別帰属額に加算しない。地方税法附則8④、地法23①四の三、292①四の三)。 中小連結親法人に該当しない連結親法人又はその各連結子法人については個別帰属法人税額から控除されない(連結法人税個別帰属額に加算する)。 (了)