公開日: 2015/05/14 (掲載号:No.119)
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平成27年度税制改正における「受取配当等の益金不算入制度」の見直しについて 【前編】

筆者: 安積 健

平成27年度税制改正における

「受取配当等の益金不算入制度」の見直しについて

【前編】

 

辻・本郷税理士法人
税理士 安積 健

 

1 改正前の制度の概要

内国法人が受ける配当金については、二重課税排除のため、原則として、益金の額に算入されない。しかし、株式を保有する目的は一律ではなく、利殖が目的と考えられる場合には、配当金の50%相当額は課税の対象となる。これに対し、企業支配を目的とする場合には、原則通り、課税の対象とはされない。

利殖目的か、企業支配目的かは、株式に対する持株比率により判断することになっており、改正前は25%以上保有する場合が企業支配目的とされていた。ただし、借入金等の負債利子がある場合には、負債がない場合と比べて課税の公平を保つため、配当金から一定の計算式で得られた負債利子を控除した上で、益金不算入額を計算する。

 

2 改正の内容

平成27年度税制改正では、実効税率の引下げに伴う、代替財源の確保のための一環として本制度が見直され、持株比率基準の見直し、継続保有要件の見直し、非支配目的株式等の創設、負債利子控除制度の見直し、証券投資信託の収益の分配金に対する課税の見直しなどの諸点が改正された。

(1) 持株比率基準の見直し

改正前は、上記で見た通り、持株比率25%以上保有する場合(関係法人株式等)を支配目的と考え、負債利子は考慮するものの、配当金の全額を益金不算入の対象とした。ただし、配当金を受け取る法人と、これを支払う法人との間に完全支配関係が成立している場合(完全子法人株式等)には、負債利子は考慮しないことになっている。

これに対して、改正後は、支配目的の基準が「25%以上」から、「3分の1超(33%超)」へと変更された。また、名称も「関係法人株式等」から「関連法人株式等」へと改正された。改正後の関連法人株式等の定義は次の通りである。

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平成27年度税制改正における

「受取配当等の益金不算入制度」の見直しについて

【前編】

 

辻・本郷税理士法人
税理士 安積 健

 

1 改正前の制度の概要

内国法人が受ける配当金については、二重課税排除のため、原則として、益金の額に算入されない。しかし、株式を保有する目的は一律ではなく、利殖が目的と考えられる場合には、配当金の50%相当額は課税の対象となる。これに対し、企業支配を目的とする場合には、原則通り、課税の対象とはされない。

利殖目的か、企業支配目的かは、株式に対する持株比率により判断することになっており、改正前は25%以上保有する場合が企業支配目的とされていた。ただし、借入金等の負債利子がある場合には、負債がない場合と比べて課税の公平を保つため、配当金から一定の計算式で得られた負債利子を控除した上で、益金不算入額を計算する。

 

2 改正の内容

平成27年度税制改正では、実効税率の引下げに伴う、代替財源の確保のための一環として本制度が見直され、持株比率基準の見直し、継続保有要件の見直し、非支配目的株式等の創設、負債利子控除制度の見直し、証券投資信託の収益の分配金に対する課税の見直しなどの諸点が改正された。

(1) 持株比率基準の見直し

改正前は、上記で見た通り、持株比率25%以上保有する場合(関係法人株式等)を支配目的と考え、負債利子は考慮するものの、配当金の全額を益金不算入の対象とした。ただし、配当金を受け取る法人と、これを支払う法人との間に完全支配関係が成立している場合(完全子法人株式等)には、負債利子は考慮しないことになっている。

これに対して、改正後は、支配目的の基準が「25%以上」から、「3分の1超(33%超)」へと変更された。また、名称も「関係法人株式等」から「関連法人株式等」へと改正された。改正後の関連法人株式等の定義は次の通りである。

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連載目次

「平成27年度税制改正における「受取配当等の益金不算入制度」の見直しについて」(全2回)

【 前 編 】
1 改正前の制度の概要
2 改正の内容
 (1) 持株比率基準の見直し
 (2) 継続保有要件の見直し
 (3) 非支配目的株式等の創設
 (4) 負債利子控除制度の見直し①

【 後 編 】
 (5) 負債利子控除制度の見直し②
 (6) 負債利子控除制度の見直し③
 (7) 証券投資信託の収益の分配金に対する課税の見直し
3 適用時期
4 改正の影響
 (1) 持株比率33%超100%未満の株式等に係る配当等
 (2) 持株比率25%以上33%以下の株式等に係る配当等
 (3) 持株比率5%超25%未満の株式等に係る配当等
 (4) 持株比率5%以下の株式等に係る配当等
 (5) 基準年度変更に伴う影響

筆者紹介

安積 健

(あづみ・けん)

辻・本郷税理士法人
税理士

平成2年早稲田大学政治経済学部卒業。平成4年税理士試験合格。
平成8年本郷会計事務所(現辻・本郷税理士法人)入所。
平成15年税理士登録。

現在は審理室部長として、税務署に提出する法人税や相続税の申告書等の審査に従事しているとともに、セミナーの講師や原稿の執筆等も行っている。

【著書】
『Q&A重要税務事例45』(税務経理協会)
『交際費・寄附金の実務』(清文社、共著)
ほか

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