検索結果

詳細検索絞り込み

ジャンル

公開日

  • #
  • #

筆者

並び順

検索範囲

検索結果の表示

検索結果 10845 件 / 9411 ~ 9420 件目を表示

生産性向上設備投資促進税制の実務 【第4回】「確認申請書の(別紙)『基準への適合状況』及び『根拠資料』〔記載例〕」

生産性向上設備投資促進税制の実務 【第4回】 「確認申請書の(別紙)『基準への適合状況』 及び『根拠資料』〔記載例〕」   税理士法人オランジェ 代表社員 税理士 小幡 修大   前回は、生産性向上設備投資促進税制(措法42の12の5)のうち設備ユーザーが作成する「産業競争力強化法の生産性向上設備等のうち生産ラインやオペレーションの改善に資する設備投資計画の確認申請書」の具体的な記載例を紹介した。 この書類には[別紙]として確認申請書の根拠資料を求められており、今回はそれらの具体的な記載内容等を紹介する。なお、記載内容の前提となる設備投資の内容については、前回紹介した確認申請書に基づいているため、そちらをご覧いただきたい。 《記載例》 「別紙(基準への適合状況)」 ※画像をクリックすると、別ページでPDFファイルが開きます。 (根拠資料①) 「生産計画総括表」 ※画像をクリックすると、別ページでPDFファイルが開きます。 (根拠資料②) 「売上増加見込額算定表」 ※画像をクリックすると、別ページでPDFファイルが開きます。 (根拠資料③) 「売上原価減少見込額算定表」 ※画像をクリックすると、別ページでPDFファイルが開きます。 (了)

#No. 74(掲載号)
#小幡 修大
2014/06/19

〔大法人のための〕交際費課税の改正ポイント 【第1回】「大法人の交際費等損金算入(平成26年度税制改正)に至る経緯」

〔大法人のための〕 交際費課税の改正ポイント 【第1回】 「大法人の交際費等損金算入(平成26年度税制改正)に至る経緯」   税理士法人山田&パートナーズ 税理士 吉澤 大輔   はじめに 平成26年度税制改正において交際費課税制度が見直され、大法人の交際費支出の一部を損金に計上することができるようになった。 そこで本連載では、大法人の交際費課税制度に焦点を当て、解説をしていく。   1 平成26年度税制改正の内容 租税特別措置法61条の4第1項は、平成26年度税制改正で新たに追加された条項である。 同項の始まりを「法人が・・・」と規定していることから、中小法人に限定されず、大法人を含むことになる。 同項の規定により損金算入される交際費等の額は、「各事業年度において支出する交際費等の額のうち接待飲食費の額(※)の50%相当額」である。 (※) 1人あたり5,000円以下の接待飲食費で一定のものは、交際費等の範囲に含まれず全額損金算入されるため、ここでいう接待飲食費の額には含まれない。   なお、本連載において対象とする大法人の判定方法は、下図のとおりである。 【大法人の判定フローチャート】     2 平成26年度税制改正の趣旨 平成26年度税制改正で大法人の交際費等支出の一部を損金計上することにしたのは、飲食店等における消費の拡大及び企業ビジネス上交際費は必要な経費であるとの考えによるものである。 交際費の支出は、1990年代初頭の約6兆円から3兆円を割る水準にまで減少したことから、現在の飲食店等の需要にマイナスの影響を及ぼしていると考えられている。 そこで飲食店等の需要を喚起し、かつ、企業活動を活性化させるため、交際費課税の見直しを行うこととされた。 また消費の拡大を通じて経済を活性化させるのであれば、中小法人のみを対象とした従来の交際費課税制度では効果が限定されてしまうため、1社あたりの交際費支出が中小法人の約38倍にも及ぶ大法人をも含めた見直しを行うこととなった。   3 大法人の交際費等支出が全額損金不算入となっていた経緯 交際費等の損金不算入規定が創設されたのは、昭和29年である。 一定額を超える交際費等の支出を損金不算入とする当時の規定の対象法人は「資本金500万円以上の法人」であった。 交際費等の損金不算入の対象を一定規模の法人に限定していた背景の一つに、社用族の問題がある。 当時、「会社の経費として支出した場合、税負担を考慮すると実際の会社負担は半分以下である」といった考え方から交際費の支出がルーズになっており、社用にかこつけて社費で役得する人たち(社用族)の存在が大法人で確認されていた。 一方、小法人はその大部分が同族経営であることを考えると、社用族の存在があまり考えられないとの見方から、創設当初は交際費等の損金不算入規定の対象外とされていた。 その他、資本金500万円未満の法人を交際費等の損金不算入の対象とすると、会社数が多く、税務官庁の手数も少なくないことも、大法人に限定されていた背景の一つである。 その後昭和57年度税制改正において、法人が支出した交際費等は原則損金不算入とした上で、資本金5,000万円以下の法人については定額控除制度を存続させることにした。 資本金5,000万円以下の法人における定額控除制度の存続は、昭和54年度税制改正において、次の理由から定額控除制度を企業の規模別に格差を設けることとした経緯があり、このような事情は昭和57年当時においても特段の変化がなかったため、なされた措置である。 その後、各年度の税制改正において、交際費課税制度は中小法人に対する損金算入限度額の縮減と拡充を繰り返してきたが、今回の改正まで、大法人の損金算入が認められることはなかった。 ◆  ◆  ◆ 次回は、今回の改正により生じる、大法人ならではの実務上の論点についてまとめたい。 (了)

#No. 74(掲載号)
#吉澤 大輔
2014/06/19

貸倒損失における税務上の取扱い 【第20回】「判例分析⑥」

貸倒損失における税務上の取扱い 【第20回】 「判例分析⑥」   公認会計士 佐藤 信祐   第19回目においては貸倒損失についての法人税法上の根拠を解説した。 第20回目以降においては、日本興業銀行事件に係る第1審判決において、被告及び原告のいずれとも論拠として主張している法人税基本通達9-6-1(3)(4)、9-6-2、9-4-1に当てはめを行う形でそれぞれ検討を行うこととする。 本稿においては、まずは、法人税基本通達9-6-1(3)について検討を行うこととする。 ② 法人税基本通達9-6-1(3)の検討 法人税基本通達9-6-1(3)においては、法令の規定による整理手続によらない関係者の協議決定で次に掲げるものにより切り捨てられることとなった部分の金額について、その事実の発生した日の属する事業年度において貸倒れとして損金の額に算入することが明らかにされている。 原告側の主張にもある通り、大蔵省及び農林水産省という行政機関たる「第三者」のあっせん・仲介によって行われた債権放棄であることから、まずは、法人税基本通達9-6-1(3)の検討を行うということはあり得る方向性である。 この点につき、第1審においては、 の2点が争われていた。 まず、債権放棄の効力が生じていたか否かについての被告側(麹町税務署長)の主張であるが、政府の住専処理策に対する「合意」は「基本的な枠組み」に対する「おおむね」の合意にすぎないものということを根拠としたうえで、各債権者の切捨額についての合意が成立したとはいえないとしている。この点に対する原告側(納税者)の反論は不明であるが、解除付債権放棄について、私法上の効力が生じていることを論拠としていると考えられる。債権放棄の効力が生じていたか否かという点については、法人税基本通達9-6-1(4)、9-4-1の議論と重なるため、法人税基本通達9-6-1(3)については重複を避けるために、判決文には明記されていないと考えられる。 また、債権放棄の負担が合理的な割合に基づいて行われていたかについては、被告側はプロラタ(比例按分)負担ではなく、少額債権者だけを優遇するものでもなく、母体行責任に基づいて、他の債権者よりも劣後する形で債権放棄を行っているため、法人税基本通達9-6-1(3)に規定する合理的な割合には該当しないとしている。これに対し、原告側は住専設立以来の経緯を反映しているということを論拠として、合理的な割合に該当するとしている。 このうち、債権放棄の効力が生じていたか否かという点については、第16回目で解説したように第一審判決ではその効力を認め、第17回目で解説したように控訴審判決ではそれを否定している。また、第18回目で解説したように上告審判決においては、法人税基本通達9-6-2で判断したと推定されるため、その点については触れられていなかった。 これに対し、後者については、原告側の主張はやや疑問を感じる点がある。そもそも法人税基本通達9-6-1(3)で規定する合理的な基準については、債権者平等主義の原則をどこまで修正することができるのかという点が問題となるべきであり、それを超えるものであれば、法人税基本通達9-4-1により判断すべきであると考えられるからである。なぜならば、法人税基本通達9-4-1、9-4-2の制定趣旨として、国税庁HPのタックスアンサー(No.5280 子会社等を整理・再建する場合の損失負担等に係る質疑応答事例等)においては、 としている。すなわち、母体行責任を理由として、法人税基本通達9-6-1(3)に掲げる合理的な基準に該当すると言ってしまえば、法人税基本通達9-4-1が適用される場面というものが「債権放棄」ではなく、追加の持ち出しである「債務の引受けその他の損失負担」のみとなってしまうことから、法人税基本通達9-4-1の文言に「債権放棄」を含めた理由がなくなってしまうからである。 しかしながら、日本興業銀行事件において、法人税基本通達9-6-2に該当するという判断に立つのであれば、全額回収不能であるという貸倒損失の判断において、母体行責任というものを加味するということになり、また、最高裁判決においてもその旨が明記されていることから、当然のことながら、法人税基本通達9-6-1(3)(4)における合理的な基準、回収不能の判断においても、母体行責任を考慮すべきであったと考えられ、ますます法人税基本通達9-4-1、9-4-2の位置付けが不明となってくる。 おそらくは、法人税基本通達9-4-1、9-4-2の文言に「債権放棄」を含めた理由については、法人税基本通達9-6-1(3)(4)で明確に判断することができないものについて、法人税基本通達9-4-1、9-4-2で救済するという程度の意味合いであったと推定される。また、中村慈美氏によると、法人税基本通達9-6-1(3)に規定する「合理的な基準」について、 としたうえで、 としており、法人税基本通達9-6-1(3)における「合理的な基準」の判断に同通達9-4-2の文言を根拠とするなど、同通達9-6-1(3)(4)と同通達9-4-1、9-4-2の線引きが極めて曖昧であることが分かる。さらに、私的整理ガイドライン、RCC企業再生スキーム、株式会社地域経済活性化支援機構、株式会社東日本大震災事業者再生支援機構、特定認証紛争解決手続等の私的整理に関する手続きのすべてにおいて、同通達9-4-2を貸倒損失が損金の額に算入することができる根拠としており、同通達9-6-1(3)について触れられていないことを考えると、同通達9-6-1(3)がどの時点で利用される通達であるのかという点に疑問を感じるときもある。 しかしながら、第1審、上告審における裁判所の判断においても、法人税基本通達の文言がほとんど触れられていないことを考えると、法人税法の一解釈に過ぎない法人税基本通達のどの条項に該当するのかという点を議論することは、それほど意味をなさないのかもしれない。これに対し、控訴審における裁判所の判断においては、 としていることから、法人税基本通達9-6-1(3)の適用を否定し、同通達9-4-1に基づいて判断をしようとしたとも考えられる。 私見ではあるが、法人税基本通達9-6-1、9-4-1、9-4-2に規定されているように法的に債権が消滅した場合と、同通達9-6-2、9-6-3に規定されているように実質的に債権を回収することができない場合のいずれかにおいて貸倒損失又は支援損失の損金算入を認めるという程度の話であることから、法人税基本通達9-4-1との線引きは曖昧であるとしても、法人税基本通達9-6-1(3)に規定する「合理的な基準」の判断には、母体行責任という債権者側の事情をも加味するという結論でも問題ないと考えられる。しかしながら、本事件においては、母体行のみが解除条件付債権放棄を行っており、他の金融機関と足並みを揃えたわけではないことから、本件債権放棄の法的効力を認めるとすれば、結局のところ、法人税基本通達9-6-1(4)、9-4-1で判断するという整理になると考えられる。 次回においては、法人税基本通達9-6-1(4)について検討を行うこととする。 (了)

#No. 74(掲載号)
#佐藤 信祐
2014/06/19

租税争訟レポート 【第18回】「勝馬投票券の払戻金に係る所得を雑所得と判断した事例(控訴審判決)」

租税争訟レポート 【第18回】 「勝馬投票券の払戻金に係る所得を雑所得と判断した事例(控訴審判決)」   税理士・公認不正検査士(CFE) 米澤 勝 【事案の概要】 被告人の元会社員は、3年間で28億7,000万円分の馬券を購入し、30億円余りの的中配当を得たが、競馬の払戻金を一切申告せず、約5億7,000万円を脱税したとして、所得税法違反の罪で大阪地検に告発され、起訴された。 第1審の大阪地方裁判所は、被告人の勝ち馬投票券の払戻しによる所得は雑所得であると認定し、外れ馬券の購入費用等を必要経費として認めて、所得税額を約5,200万円と認定し、執行猶予付きの判決を言い渡した(本連載【第10回】を参照)。 これを不服とする検察が、控訴したものである。   【検察の控訴趣意書に対する裁判所の判断】 1 「営利を目的とする継続的行為から生じた所得」に該当すること 検察は「馬券払戻金による所得は一時所得であり、被告人の本件馬券購入行為の特性を考慮しても、『営利を目的とする継続的行為から生じた所得』とは到底いえず、一時所得というべきである」と主張した。 これに対して、控訴審判決は「本件馬券購入行為は、条件に合致する馬券を、機械的に選択して網羅的に大量購入することを反復継続し、数年間にわたり、1日に数百万あるいは数千万円単位で、基準を充足する馬券を購入し続けるというものであり、3年間で、28億円以上の馬券を購入し、30億円以上の払戻金を得るという、極めて大きな規模なものであると同時に、それが客観的に明らかであることに鑑みると、その全体を一連の行為としてとらえるべきであり、その払戻金による所得は、『営利を目的とする継続的行為から生じた所得』に当たり、一時所得ではなく雑所得であると解するのが相当である」と結論づけた。 2 競馬の賭博性や馬券購入行為の性質等について 続いて検察は、「競馬の本質は賭博であり、競走結果としての勝敗は偶然の事情により決せられるもので、しかも、各競走は相互に法則性や関連性を持たず、競走ごとに独立して完結するから、馬券購入行為は所得発生の基礎として独立した行為であり、それがいくら繰り返されても独立した勝敗の集積に過ぎず、継続的行為とは評価できない」ため、「払戻金による所得が一時的、偶発的な所得である」から一時所得であると主張した。 この点についても控訴審判決は、競馬が賭博であることを認めたうえで、「賭博であり、払戻金の獲得が偶然に左右されること(所得の発生に偶然の要素があること)や射倖性から『営利を目的とする継続的行為から生じた所得』という要件に該当することが直ちに否定されるものではなく、馬券の大量購入を反覆継続した被告人の行為について営利目的や継続性を否定することはできない」として退けた。 3 一般的な馬券購入行為との区別について さらに、検察は、原判決の判断によった場合、「被告人以外の場合であっても、払戻金を得た者の馬券購入行為が、『営利を目的とする継続的行為』に当たると認められる場合には、雑所得になると解釈すべきことになる」ことを理由に、馬券の払戻金について、一時所得の場合と雑所得の場合の区分が困難となるという批判を含む主張をした。 これに対し控訴審判決は、「馬券の払戻金について画一的に一時所得と解することは、一般の競馬愛好家による一時的、臨時的な収入については妥当である」としながらも、馬券購入をめぐる環境に変化が生じている中では、この解釈は、「むしろ実態に即さず、所得税法の文言にも適合しない」としたうえで、さらに、「購入や払戻しの履歴が記録化され、態様や規模が客観的に明らかになる馬券購入行為については、その払戻金に課税しようとする場合、『営利を目的とする継続的行為から生じた所得』に当たるか、(それ)以外の一時の所得に当たるのかを明確に判断できるから、異なる所得区分になることを認める解釈によって生じる弊害も考えにくい」と判示し、馬券購入行為の態様や規模の相違によって所得区分が異なることを容認する考えを示した。 4 担税力について 検察は、原判決への反論として、「原判決の背景には被告人の担税力への配慮があると思われるが、担税力は所得発生の時点で捉えるべきで、本件では各払戻金の獲得時点で被告人に担税力があるのに、被告人は、納税のため本来留保すべき金員で馬券の購入を続けただけ」であるから、「被告人の資力を勘案して、本件馬券購入行為について雑所得と解するとすれば、本末転倒であり、正直者が馬鹿を見る結果となって、租税の公平性の観点から著しく不当である」と主張したが、控訴審判決は、「原判決は、税額が現時点での自己の支払能力を超えるほど多額になることが予想されるからといって、申告義務を免れないことを判示しており、納税時の担税力に配慮して雑所得説を採用したとは考えられない」と述べると同時に、「被告人は納税資金を本来留保しておくべきであったという主張も、1回の競走ごとの払戻金を一時所得と把捉することが前提となっているから、原判決への批判とはならない」として退け、検察の批判は失当であると結論づけた。 5 所得計算上控除すべき金額 被告人の本件馬券購入行為から生じた所得は雑所得に当たるから、所得計算上、必要経費が控除されることになる。 被告人の本件馬券購入行為の態様に照らすと、当たり馬券だけではなく外れ馬券を含めた全馬券の購入費用と競馬予想ソフトや競馬情報配信サービスの利用料が、所得計算の基礎となった払戻金を得るために『直接に要した費用』に当たり、必要経費として控除されると解するのが相当である。 したがって、当審と理由づけは異なるものの、原判決が、外れ馬券を含む全馬券の購入費用と上記ソフト及びサービス利用料が必要経費に含まれるとしたのは正当である。   【解説】 控訴審判決は、「当審とは理由付けは異なる」としながらも、全体として第1審判決を妥当なものとして、検察の控訴を却下した。それ以上に特筆すべきは、判決文は第1審より以上に、課税庁・検察に対する厳しい批判を含んだものとなっていることである。 検察は上告受理申立てを行っているが、紙の馬券を1枚1枚手で販売していた時代に発遣された通達がとうに時代遅れになっていることは、第1審、控訴審における判決から明らかであり、本件第1審判決後も、同じような課税処分を繰り返している課税当局の姿勢に対して、批判するマスコミ報道も多い。 1 公訴事実に対する厳しい指摘 控訴審判決は、「付言すると」と前置きしたうえで、外れ馬券を必要経費として認めない検察の公訴事実を厳しく批判している(下線は筆者による)。 2 相次ぐ同様の訴訟 マスコミ報道によると、本件以外にも、勝ち馬投票の払戻金をめぐっては、約78億円の払戻金を受けた北海道の公務員が、馬券の購入費計約73億円分を差し引いた約5億7,000万円を競馬の所得として申告したところ、札幌国税局から4億円以上の申告漏れを指摘されたため、これを不服として東京地裁に提訴しているということである。 また、馬券の購入によって2年間で約1,200万円の利益を得た横浜市の男性は、「競馬が仕事」だとして事業所得として申告したが、東京国税局は「一時所得」として約500万円を追徴課税。この男性は2月に横浜地裁に提訴したという報道もあった。 本控訴審判決が確定することになれば、少なくとも、馬券購入行為の態様や規模から、『営利を目的とする継続的な行為から生じた所得(=雑所得)』であることが認められれば、外れ馬券の購入金額や競馬ソフトなどの利用料も必要経費として認められることとなり、担税力を無視した課税を避けることは可能であるが、果たしてどの程度の馬券購入を続ければ、「営利目的」と認定されるのかという問題が、次に生じることは避けがたい。 上記2つの事例においても、前者は、本件大阪高裁判決よりも多額の馬券を購入しているから雑所得と認定されるにしろ、後者では認められないといったことにもなりかねず、控訴審判決は、「異なる所得区分になることを認める解釈によって生じる弊害も考えにくい」としているが、課税実務が混乱することは十分に考えられるのではないか。 むしろ、勝ち馬投票券の払戻しにより生じた利益は雑所得であるとしたうえで、高額の払戻金からは所得税を源泉徴収した方が、税制としてはすっきりしたものとなるはずである。 ただし、こうした改正は、売上不振が伝えられる競馬をはじめとする公営ギャンブルの主催者の根強い反対もあって、実現しそうにはない。 3 雑所得という所得区分にしたくない課税庁の思惑 検察の主張にはないことだが、実際問題として、勝ち馬投票券の払戻金が雑所得として課税され、外れ馬券が必要経費として認められることになると、競馬で損失を出した多くの競馬ファンのうち、他に雑所得を有する納税者は、損益通算をして、納税額を少なくすることが可能となる。 多くのサラリーマンは給与所得者であり所得区分が異なるので、馬券の損失による雑所得の赤字はなかったものとして損益通算はできないが、年金受給者であれば、公的年金等と馬券の損失は同じ雑所得に区分されるため、現行税制では、損益通算が可能となる。 課税庁が一時所得にこだわる真意がこのあたりにあるのではないかというのは、穿ちすぎた考えだろうか。 (了)

#No. 74(掲載号)
#米澤 勝
2014/06/19

〔しっかり身に付けたい!〕はじめての相続税申告業務 【第24回】 「小規模宅地特例の要件のうち特に注意すべき事項」

〔しっかり身に付けたい!〕 はじめての相続税申告業務 【第24回】 「小規模宅地特例の要件のうち特に注意すべき事項」   税理士法人ネクスト 公認会計士・税理士 根岸 二良   前回に引き続き、小規模宅地特例(「小規模宅地等についての相続税の課税価格の計算の特例」(租税特別措置法69条の4))について、特に適用要件における検討を行う。 なお前回と同様に、企業オーナーや個人事業主以外の、一般の方の相続税申告業務という観点から、本稿では「特定居住用宅地等及」び「貸付事業用宅地等」に限定して検討を行う。 1 小規模宅地特例の適用対象となる土地等【特定居住用宅地等、貸付事業用宅地等共通】 (1) 相続・遺贈により取得したもの 小規模宅地特例の適用対象となる土地等は、個人が相続・遺贈により取得したものに限定されている(租税特別措置法69条の4第1項)。 したがって、相続税の課税対象となる宅地であっても、贈与で取得したものは、小規模宅地特例の適用はないこととなる(*1)。 (2) 土地所有権・底地権・借地権も含まれる また、小規模宅地特例の適用対象となる土地等には、土地(所有権・底地権)だけでなく、借地権も含まれる(租税特別措置法69条の4第1項:宅地等は土地又は土地の上に存する権利として定義されている)。 (3) 宅地等の範囲 小規模宅地特例の適用対象となる土地等は、建物又は構築物の敷地の用に供されているものに限定される(租税特別措置法69条の4第1項)。 したがって、他人へ貸し付けられている駐車場の土地で、地面が舗装されず土のままであるようなものは、他人へ賃貸借されていても「建物又は構築物の敷地の用に供されているもの」に該当しないため、小規模宅地特例の適用はないことになる。 ただし、コンクリートやアスファルトで舗装されている駐車場(賃貸借されているもの)は、構築物の敷地の用に供されているため、小規模宅地特例が適用される可能性がある。 自宅建物の敷地である土地に付随する私道については、自宅敷地の維持・効用を果たすために必要不可欠であると判断される場合には、小規模宅地特例の適用対象となる(国税庁:質疑応答事例「小規模宅地等の特例の対象となる私道」)。   2 特定居住用宅地等(租税特別措置法69条の4第3項第2号)の適用要件 特定居住用宅地等とは、以下のものをいう。 なお、上記(*3)についての詳細は、下記の拙稿をご覧いただきたい。   3 貸付事業用宅地等(租税特別措置法69条の4第3項第4号)の適用要件 貸付事業用宅地等とは、以下のものをいう。 貸付事業用宅地等は、賃貸借の対象である宅地等が対象であるため、使用貸借の対象である宅地等は含まれない(ただし、土地は使用貸借であっても、その土地の上にある建物の所有者が生計一親族であり、かつ、その建物を賃貸借している場合には、被相続人の生計一親族の貸付事業用に該当する可能性がある)。 (了)

#No. 74(掲載号)
#根岸 二良
2014/06/19

基礎から学ぶ統合報告 ―IIRC「国際統合報告フレームワーク」を中心に― 【第1回】「「統合報告」とは何だろうか?」

基礎から学ぶ統合報告 ―IIRC「国際統合報告フレームワーク」を中心に― 【第1回】 「「統合報告」とは何だろうか?」   公認会計士 若松 弘之   1  はじめに みなさんがある企業の株式を購入しようか迷っているとして、どのような開示情報を見て判断するでしょうか? その答えを出すために以下の会話を参考にしてみましょう。 さて、みなさんは3人のうち誰の考えに近いでしょうか。 どの考えにも一理あり、企業価値の成長分析に関していえば、絶対的に正しい見方はないというのが答えになるでしょう。 でも、それでは話が進みません。もし、私が将来にわたる企業価値の分析をするならば「企業の様々な開示情報を多角的な視点で分析し、重要なリスクがないことを確認する」ことを意識します。 では、様々な開示情報としてはどのようなものが挙げられるでしょうか。 以下は、比較的規模の大きな上場企業がIR情報(Investor Relations:投資家情報)としてウェブ上で開示している情報の一例です。 いかがでしょうか。これらを全て合わせると、数百ページにも及ぶ資料になります。その企業を専門に分析する人はともかくとして、一般投資家がこれだけの開示資料に一通り目を通すのは不可能といえるではないでしょうか。しかも、3ヶ月(四半期)単位で更新される資料も多く、不定期に公表されるプレスリリースも含めて、その企業の最新動向や将来見込みを常に追いかけていくのは正直、一般投資家にとっては負担が大きすぎます。 また、企業のIR部門や経理・財務部門の担当者にとっても、「投資家や株主が、どのくらい判断材料にしているかは分からないが、制度規制や他社横並びの状況もあり、事務負担も大きいが開示しなければならない」という本音もあるようです。 私は上場企業を中心に会計監査を長年経験し、有価証券報告書のチェックも数多くこなしてきました。IFRSへのコンバージェンスの流れの中で年々、会計基準の複雑化や注記情報の拡充が行われ、10年ほど前は100ページに満たない有価証券報告書は、いまや200ページを超えるものも珍しくない状況になっています。正直にいうと私も、金融商品や退職給付関連の高度で複雑な注記を正確に理解して財務分析に活かせる人は何%くらいいるのだろうかと考えながら業務に臨んでいました。 また、企業価値の分析において、金額や数字に表すことができる財務情報がどの程度有効で説明可能なものかを研究した資料(出所:IIRCウェブサイト)によれば、40年前は財務情報が80%を超える説明力を持っていたが、最近では20%未満に低下しているともいわれています。それだけ、金額や数字で表すことができない「非財務情報」と企業価値の関連性が高まっているといえるようです。確かに、自社で長年培ってきたブランドや信頼・安全性などの無形価値は、現在の会計基準ではバランスシートのどこにも表れていません。人財活用に優れ、優秀な人財を育成・輩出している企業においても会計処理されるのは人件費であり、他社と明確な違いは出せません。 それではこのような「開示情報の氾濫」と「非財務情報の有用性」を踏まえて、投資家や企業を取り巻く利害関係者にとって、何か有用な突破口はないのでしょうか。 その一つの解を示すものが「統合報告」に他なりません。 以下、この「統合報告」の概要とその背景について説明していきます。   2  「統合報告」の概要と背景 統合報告とは、企業の「財務情報」と「非財務情報」を分かりやすく関連付けることによって、長期にわたる企業価値の創造能力と企業戦略のつながりを明らかにする取組みです。統合報告は、現在、日本企業も含めて世界中の多くの企業で先進的な試行が行われており、今後、企業のIR活動の主流となるものとして期待されています。 統合報告は、イギリスに本拠地がある国際統合報告協議会(以下、「IIRC」という)によって、その制度趣旨の提言、フレームワークや各種枠組みの開発などが行われています。 これまで企業による利害関係者への情報提供としては、一定期間ごとの財務報告がメインとなってきました。財務報告は年々その情報の細密化や拡充が図られ、今では3ヶ月または1年という単位で非常に多くの情報が提供されています。 一方で過去の業績に焦点を置く「財務情報」だけではなく、将来の企業価値や企業戦略の達成可能性を判断する情報として幅広い「非財務情報」を求める声も高まっています。これに対して、企業側では、ESG情報(Environment(環境)・Social(社会)・Governance(ガバナンス))に代表される非財務情報として、「環境・CSR(企業の社会的責任)レポート」「サステナビリティ(持続可能性)報告」「ガバナンス報告書」などの情報提供を進めてきました。 ところが、情報利用者からの「情報量が複雑で多すぎる。結局、どれに注目すればいいのか分からない。」という不満に加え、各企業による独自様式の非財務情報が企業間比較を難しくしているという問題も提起されるようになりました。 この流れをうけ、「財務情報」と「非財務情報」を「統合的思考」によって関連付け、簡潔かつ比較可能な形で示す統合報告の共通フレームワークの策定を目的として、規制当局・投資家・企業・基準設定団体、会計専門家及びNGOなどで構成される国際統合報告評議会(IIRC)が2010年に設立されました。その後、様々な企業や利害関係者の意見を検討したり、いくつかの先進企業によるパイロットプログラムの取組みを経て、ようやく、2013年12月に「国際統合報告フレームワーク」が完成しました。現在は、そのフレームワークを利用し、情報利用者にとって、さらに役立つ統合報告の仕組み作りを実践するフェイズに入っています。 *   *   * 次回は、今般公表されたIIRCの「国際統合報告フレームワーク」の具体的内容について解説していきます。 (了)

#No. 74(掲載号)
#若松 弘之
2014/06/19

〔事例で使える〕中小企業会計指針・会計要領《退職給付債務・退職給付引当金》編 【第1回】「確定拠出型年金制度のみを採用する場合」

〔事例で使える〕中小企業会計指針・会計要領 《退職給付債務・退職給付引当金》編 【第1回】 「確定拠出型年金制度のみを採用する場合」   公認会計士・税理士 前原 啓二   1 掛金支出時と退職時の仕訳 〈掛金支出時〉 〈退職時の仕訳〉 中小企業退職金共済制度は、独立行政法人勤労者退職金共済機構が行う退職金共済制度で、確定拠出型の退職給付制度です。 確定拠出型の退職給付制度とは、掛金支出後に追加的負担が生じない外部拠出型の退職給付制度のことで、その他に特定退職金共済団体が行う特定退職金共済制度や確定拠出年金法に基づく確定拠出企業年金制度等が挙げられます。 確定拠出型の退職給付制度における掛金は、費用処理します(中小企業会計指針55)。   2 決算書の金額 〈当期損益計算書〉 〈当期末貸借対照表〉   3 損益計算書の当期純損益から法人税申告書の課税所得を算出する際の加算・減算調整 中小企業退職金共済制度の掛金については、支出額をその支出した事業年度に損金算入できます(法令135)。会計上もこの支出額を費用計上しているので、税務上の加算・減算調整は不要です。 特定退職金共済制度や確定拠出企業年金制度の掛金についても、同様に支出額をその支出した事業年度に損金算入できます(法令135)。 (了)

#No. 74(掲載号)
#前原 啓二
2014/06/19

企業結合会計基準に対応した改正連結実務指針等の解説 【第5回】「支配獲得後の親会社の持分変動に係る連結上の税金費用の会計処理」

企業結合会計基準に対応した 改正連結実務指針等の解説 【第5回】 「支配獲得後の親会社の持分変動に係る連結上の税金費用の会計処理」   公認会計士 布施 伸章   ◆ 解説 ◆ 子会社の時価発行増資等及び連結会社による子会社株式の追加取得に伴い生じた親会社の持分変動による差額は一時差異に該当し、連結税効果実務指針第32項又は第37項に準じて繰延税金資産又は繰延税金負債の計上の可否及び計上額を決定する。 また、親会社の持分変動による差額は資本剰余金として処理されるため、繰延税金資産又は繰延税金負債を計上する場合には、当該一時差異の発生に関連する資本剰余金から控除することになる(連結税効果実務指針40項及び40-2項)。 〔前提〕 P社はX1年3月にS社の株式の60%を600で取得して子会社とし、さらにX2年3月に40%を400で追加取得して、100%子会社とした。 X1年3月末及びX2年3月末のS社のB/Sは諸資産800(時価と簿価は同額)、負債はゼロである(X2年3月期のS社の損益はゼロ)。 当初取得ののれんの償却は行わないものとする。 【図表】 子会社株式の追加取得に係る税効果の処理のイメージ 連結税効果実務指針第32項の子会社への投資に係る将来減算一時差異について繰延税金資産を計上するための要件を踏まえると、当該将来減算一時差異について繰延税金資産を計上するときとは、例えば、当該子会社株式の売却の意思決定をしたときになると考えられる。 なお、子会社株式の取得後、売却の意思決定をするまでに、以下のように当該子会社の留保利益が100増加し、連結簿価が920から1,020となったものとする。 この場合のS社株式の投資に係る一時差異(追加取得により生じた資本剰余金に係る将来減算一時差異と留保利益に係る将来加算一時差異)に係る税効果額の処理は、次のようになる。 (*1) 資本剰余金に係る税効果額:80×40%(実効税率)=32 (*2) 留保利益に係る税効果額:100×40%(実効税率)=40 (注) 税効果は一時差異の発生源泉に応じて処理することになる。上記は、理解に資するため、仕訳の便宜上、繰延税金資産及び繰延税金負債を両建てで計上しているが、納税主体が同一である場合、両者を相殺して表示する。なお、同一の納税主体の同一の子会社への投資に係る一時差異であるため、繰延税金資産及び繰延税金負債を相殺したうえで、回収可能性又は支払可能性について判断する。 また、翌年度のS社株式の売却時の税効果に関する仕訳(開始仕訳と売却による投資に係る一時差異の解消の仕訳)は次のようになる。 (了)

#No. 74(掲載号)
#布施 伸章
2014/06/19

〔会計不正調査報告書を読む〕【第17回】日本交通技術株式会社・「外国政府関係者に対するリベート問題に関する第三者委員会調査報告書」

〔会計不正調査報告書を読む〕 【第17回】 日本交通技術株式会社・ 「外国政府関係者に対するリベート問題に関する第三者委員会調査報告書」   税理士・公認不正検査士(CFE) 米澤 勝 【概要】   【日本交通技術株式会社の概要】 日本交通技術株式会社(以下「JTC」という)は、1958(昭和33)年設立。鉄道を主とする総合建設コンサルタントとして、鉄道設備などに関する調査、設計及び施工監理業務を、国内外で行っている。受注高・完成高38億円(2012年第3次業務推進計画)、従業員数194名(2013年3月末)。本店所在地は東京都台東区。未上場。 大株主8社のうち3社は、JR系列のコンサルティング会社であり、その持株割合は35%となっている。   【報告書のポイント】 1 調査結果により判明した事実 (1) リベートが発覚した経緯 2013年4月16日から、JTCに対し、東京国税局による税務調査が行われ、担当調査官から、海外でのリベート提供は「使途秘匿金」という税務処理があることを示され、これに沿った税務処理を行ったため、約1億円の追徴課税を受けることとなった。 (2) 調査委員会が認定したリベート提供額と提供理由 ① ベトナム案件 〔リベート要求に応じざるを得なかった理由〕 ② インドネシア案件 〔リベート要求に応じざるを得なかった理由〕 ③ ウズベキスタン案件 〔リベート要求に応じざるを得なかった理由〕 (3) 聖域化していた海外業務 JTCでは、海外業務への積極的なシフトが2009年から進められてきたが、国際業務を管掌する常務取締役C氏を代替する人材がおらず、人事が固定化するとともに、海外業務がブラックボックス化し、他の取締役は、国際部がどのようにして海外業務を遂行しているのかを理解することができなかった。これは、代表取締役社長も同様であった。 (4) リベート提供に至る流れ JTC本社においては、リベート提供が、海外プロジェクトの受注を根ざす国際部の「業務」として組織的かつ反復継続的に行われ、その流れは以下のとおりである。 この一連の流れの中で本社国際部は、交渉状況や原価率を考慮して、一定の金額で妥結することを承認し、架空の証憑を添えて経理課に経費を請求して不正に資金を引き出し、時には経理課を巻き込んで資金捻出に協力させていた。 (5) リベート資金捻出手法 インドネシア案件、ウズベキスタン案件においては、委託先業者に水増し外注費を支払ってキックバックしてもらう方法によっていたが、ベトナムでは、銀行規制も厳しく、政府の公式領収証がある場合のみ損金算入を認める制度、汚職を取り締まる通報制度があったため、これまでの手法では、外部に情報が漏れて発覚してしまうおそれがあった。 そこで、東京本社で社員に「仮払」として現金を手渡し、社員が現金を機内に持ち込んでハノイまで運搬し、ハノイ駐在員事務所の金庫に預けるという原始的な方法だった。 また、ウズベキスタン案件では、リベートを要求したウズベキスタン鉄道の関係者に指示されるまま、ラトビア共和国内の会社名義の口座に送金し、体裁を整えるために実態のない英文契約書や架空の領収証を準備していた。 (6) 経理部長の協力 ベトナム案件では、多額の仮払金の支出にあたり、常務取締役C氏は、経理部長に対し、受注のためのリベート支払いについて協力を依頼し、経理部長も、自分がこの受注を止めてしまうわけにはいかないと考え、仕方なく協力した。 その後、積み上がる仮払金残高を不安に感じた経理部長は、早く経費化することをC氏に進言するとともに、決算期末に「作業未払金」を計上して経費化を図る処理を行ったが、国税調査では、この処理が「仮払金償却目的及び委託実態のない期末未計上分」として否認されることとなった。   2 調査報告書の特徴 (1) 法律に違反する行為であることの認識の欠如 外国の公務員等に対する不正な利益供与は、不正競争防止法で明確に禁じられており(第18条1項)、5年以下の懲役若しくは500万円以下の罰金に処し、又はこれを併科するという罰則規定(第21条2項)も存在しているにもかかわらず、JTC社内では、こうした法律違反行為であることから、リベート提供を止めるべきであるという議論はされていない。 (2) 国税調査 2013年4月16日から行われた東京国税局による税務調査において、調査担当官から、海外でのリベート提供について「使途秘匿金」により処理することを示され、JTCはこれに沿った税務処理を行い、1億300万円の追徴課税を受けることとなった。 リベート提供による課税額は61百万円(うち使途秘匿金課税42百万円)、実態のない作業未払金計上による課税額は36百万円と追徴課税額の大半を占めた。 (3) 国税調査後も続くリベート提供 国税調査後、複数回にわたって、役員会の席上、リベート問題が話し合われたが、明確な形で「今後は禁止する」という決定は行われなかった。 第三者委員会はこれを受けて、「7月11日の役員会の時点で、黙示的に会社としてのリベート継続の意思決定がなされたものと認定」している。 また、7月8日付の国際部管理職会議議事録には、以下のような利益供与を容認する記載がある(抜粋)。 会社として利益供与を禁止する結論が出ないまま、国際部においては、利益供与による受注の確保、さらなる利益の稼得を目指す方向が明示されている。 (4) 使途秘匿金課税 国税調査官の示唆に従い、JTCとしては「使途秘匿金」として処理することで追徴課税リスクを避けることができ、一種の安心感を得たことがリベ-ト提供が継続された一因であるとすれば、不正競争防止法違反について言及しなかった国税局調査担当官の対応に問題があった可能性はある。 改めて言うまでもないことであるが、刑事訴訟法239条2項は「官吏又は公吏は、その職務を行うことにより犯罪があると思料するときは、告発をしなければならない」と規定しており、国税局の調査担当官は、本件が不正競争防止に抵触することを知りえた以上、告発を行うか、告発を行わないまでも、せめて利益供与を禁止するよう、経営者に対して働きかけるべきではなかったか。 第三者委員会が、国税局の調査担当官から事情を聴いたという記述はないため、断定的なことは言えないが、国税調査においては、追徴課税を優先するあまり、他の法律に違反した行為が見過ごされる可能性があることが、本件からも類推できよう。 (5) 正当化されてきたリベート提供 調査報告書はその原因論の中で、リベート提供がいかに正当化されてきたかを分析している。 その正当化根拠(弁解材料)は以下の3つに集約される。 ① 海外案件の受注拡大という経営方針 国際部には、「海外案件の受注拡大」が当社の経営方針である以上、これを実現するためのリベート提供は是認ないし受容されるという発想があった。 ② 被害者意識 不当な要求に屈服させられてリベートを巻き上げられている自分たちはあくまで「被害者」であるという意識が、自らの行動の正当化につながっていた。 そこでは、自分たちがリベートを提供することが、相手国政府の廉潔性を汚し、相手国における腐敗を促進し、正当な競争を阻害するという負の側面、「加害者」としての側面が意識されることはなかった。 ③ 事務経費 相手国の政府関係者の要求は当該プロジェクトの推進に必要な事務経費であり、リベートの受領者の私腹を肥やすものではないとして、行為を正当化する関与者もいた。 (6) 示唆に富む提言内容 調査報告書の提言には示唆に富むものが多くみられるが、とりわけ以下の下りは、経営者によく理解してほしいところである。   3 厳しい行政処分 外務省は、JTCによる本件リベート支払が発覚後の4月1日、JTCに対し、「平成26年4月1日から当面の間、新規ODA事業において応札等を行うことを自粛するように要請」したという報道発表を行い、本調査報告書公表後の4月30日には、以下のとおり、外務省による無償資金協力への18ヶ月間の参加排除などを発表した。 生き残りを賭けた海外での業務展開の柱であったODA事業への門戸を閉ざされてしまったことは、リベートの代償としてはあまりにも大きいといえる。 一方、リベートを要求した側のベトナムでも、5月に入って、鉄道公社のチャン・クオック・ドン副総裁ら4人を背任の容疑で逮捕したことが報じられた。ドン副総裁は、2009年から11年までプロジェクト管理事務所長として、JTCが受注したハノイ市都市鉄道建設事業などを担当していたという。 (了)

#No. 74(掲載号)
#米澤 勝
2014/06/19

経理担当者のためのベーシック会計Q&A 【第47回】資産除去債務③「見積りの変更」

経理担当者のための ベーシック会計Q&A 【第47回】 資産除去債務③ 「見積りの変更」   仰星監査法人 公認会計士 菅野 進   〈事例による解説〉 〈会計処理〉 ① X1年4月1日  ② X2年3月31日 ③ X3年3月31日 〈会計処理の解説〉 資産除去債務については、将来の除去費用をその発生した時点で負債として見積計上するため、その後において経営環境の変化や法令等の改正、契約内容の変更等がある場合には当初の見積額が増減することが考えられます。 例えば、年数が経過して将来の除去費用をより精緻に見積もることができるようになった場合や、技術の変化によって、より容易に除去することができるようになった場合には見積金額を変更することがあるでしょう。また、賃借建物からの具体的な退去の時期が明確になった場合には使用年数に変更が生じることになります。このような場合には、当初の割引前将来キャッシュ・フローを変更する可能性が生じます。 このように、当初の割引前将来キャッシュ・フローに重要な見積りの変更が生じた場合には、資産除去債務の帳簿価額及び関連する有形固定資産の帳簿価額を修正する必要があります。 資産除去債務の見積りの変更から生じる修正を、会計上どのように処理するかについては、様々な方法が考えられますが、資産除去債務に関する会計基準では、負債及び関連する有形固定資産の帳簿価額に加減して、減価償却を通じて残存耐用年数にわたり費用配分を行う方法(プロスペクティブ・アプローチ)が採用されました。 プロスペクティブ・アプローチによった場合、資産計上された除去費用の帳簿価額の推移は下の図のようになります。 これを本事例で検討してみると、割引前の将来キャッシュ・フローの見積りの変更による調整額464は、将来に向かって償却するため、資産除去債務に係る負債の帳簿価額及び関連する有形固定資産の帳簿価額に加算します。 また、当該割引前の将来キャッシュ・フローが増加する場合には、その時点の割引率2.5%を適用します。 なお、本事例の前提が下記の場合には、X3年3月31日の仕訳は以下のとおりとなります。 ③ X3年3月31日 なお、割引前の将来キャッシュ・フローが減少する場合には、負債計上時の割引率を適用して資産除去債務を計算します。 (了) ※7月は、2013年4月に続き、「金融商品会計」を取り上げます。

#No. 74(掲載号)
#菅野 進
2014/06/19
#