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Profession Journal No.50 公開のお知らせ

12月26日(木)AM10:30、Profession Journal の No.50 が公開されました。 Profession Journalの解説記事は毎週木曜日(AM10:30)に公開し、《速報解説》については随時公開してまいります。 Web情報誌 Profession Journalは、プロフェッションネットワークのプレミアム会員専用の閲覧サービスです。 Profession Journalについての詳細はこちら。 バックナンバー一覧はこちら。

#Profession Journal 編集部
2013/12/26

〔税の街.jp「議論の広場」編集会議 連載49〕 平成26年度税制改正の概要と留意点

〔税の街.jp「議論の広場」編集会議 連載49〕 平成26年度税制改正の概要と留意点   税理士 竹内 陽一   1 法人実効税率の引下げの見送りと復興特別法人税の1年前倒し廃止 今回の改正においてもっとも重要な課題は、我が国競争力強化の観点からの法人実効税率の引下げであったが、財務省の抵抗によって見送りとなり、代わりとして復興特別法人税の1年前倒し廃止が実現した。 法人税率は、基本の国税分は平成23年度改正において4.5%減額されたが、平成24年度改正において、10%の付加税として2.55%増加し、差引2%の減少にとどまった。この2.55%の増加が廃止となる。 法人実効税率は、平成23年度改正前の40.69%から、平成24年度改正において38.01%となっていたが、今回の前倒し廃止により、平成23年度改正で予定された35.64%となる。 〈法人実効税率の今後の推移(3月決算法人を想定)〉   2 秋の大綱(民間投資活性化等のための税制改正大網)決定事項 (1) 「生産性向上設備投資促進税制」及び「中小企業投資促進税制」 産業競争力強化法の施行日(平成26年1月下旬の見込み)以後、平成28年3月31日までの取得について、即時償却又は5%(建物・構築物は3%)の税額控除の適用となる。 ただし税額控除は、中小企業投資促進税制により、資本金3,000万円以下の中小企業は10%の税額控除、資本金1億円以下の中小企業は7%の税額控除とされた。 対象設備には、「生産設備」と「生産ライン等の刷新・改善」がある。 「生産設備」の要件は、機械・装置については用途についての限定はなく、 「生産ライン等の刷新・改善」については、申請者作成の設備投資計画において、その設備の投資利益率が15%以上(中小企業5%)であることを、経産局が確認し、確認後取得した生産ラインの改善が対象設備となる。 以上について、即時償却又は5%(中小企業では最大10%)の税額控除が可能となる。 〈生産性向上設備投資促進税制の創設〉※経済産業省ホームページより一部抜粋 〈中小企業投資促進税制の延長・拡充〉※経済産業省ホームページより一部抜粋 〈両制度の対象資産比較〉 (2) 所得拡大促進税制の延長・拡充 平成25年度改正において導入された要件の1つである「基準年度(平成24年度)給与等支給額の5%以上増加要件」が厳しいということで、平成25年度、及び平成26年度は2%に緩和されるとともに、制度が2年延長された。平成26年度改正以後の要件は、平成25年度の遡及適用を含めて以下の通り。 上記は平成26年4月1日以後終了適用年度から適用され、平成25年4月1日開始事業年度については、平成26年度改正後の要件を満たす場合、平成26年度適用年度の法人税申告において、上乗せ控除(平成26年度も適用の場合、重複して控除)となる。 この増加額要件の「2%(H25)、2%(H26)、3%(H27)、5%(H28)、5%(H29)」は、すべて基準年度である平成24年度からの増加額なので、例えば、次の対前年度増加額の場合、初年度(25年度)=2%、26年度=0.5%、27年度=0.5%、28年度=2%、29年度=0.1%である場合、25年度から29年度までの5年間について、24年度からの増加額、2%、2%、3%、5%、5%が、法人税額の10%の税額控除の対象となる。 〈所得拡大促進税制の見直し・拡充〉※経済産業省ホームページより一部抜粋   3 法人税決定事項 平成26年度税制改正大綱における決定事項のうち法人税関連については、秋の大綱における決定事項に比べ、迫力に欠けるものが多い。 (1) 交際費等損金不算入制度 すでに中小企業については、全額損金算入の800万円の定額控除限度額が導入されているが、これを2年延長し、大法人については、交際費のうち飲食等支出額の1/2損金算入制度が導入された。中小法人については800万円定額控除制度との選択適用となる。 ※経済産業省ホームページより一部抜粋 (2) 国際戦略特区改正 国際戦略特区改正に係る改正が行われた。 特定中核事業の一定の機械装置については即時償却とされるが、特定中核事業及び当該自治体は未決定である。 (3) 沖縄振興関連 平成14年に名護市に金融・情報特区が制定されたが、その実績がなく、今回、「産業集積経済金融活性化特区」とされ、金融・情報から指定産業に拡大された。   4 相続税決定事項 (1) 持分あり医療法人の持分放棄を前提とする相続税・贈与税の納税猶予制度 医療法人は、平成19年度改正により、平成19年4月1日以後設立医療法人は、持分の定めのない医療法人しか新規設立ができなくなった。 既存の医療法人である持分の定めのある医療法人は経過措置型医療法人とされ、そのまま存続しているところであるが、配当ができない医療法人においては、多額の内部留保が蓄積され、社員の死亡に伴う出資額の相続税評価はかなり高額となり、納税に困難を伴うところであった。 平成19年医療法改正以後、この相続税負担を回避する手法は 以上①、②は安全な手法であった。 この場合、相続税法66条4項で課税されないセーフガードが明確でなかった。 以下④、⑤には相続税法66条の規定の適用はない の選択となった。 この④、⑤は医療法人にとって、かなりハ-ドルが高いものである。 以上の③と④の間に、良質な医療を提供する法人(仮称)として、厚生労働省の良質医療提供法の要件を満たし、厚生労働省の同法認定医療法人となったときは、相続の場合は、持分の放棄を前提として、当該持分に係る相続税を猶予して免除し、かつ、そのときの残存出資者についても、残存出資者も、この際、その持分の放棄することを前提として贈与税の納税を猶予し免除する制度が創設され、この制度に係る法律による認定制度施行日以後の相続・贈与から適用されることとなった。 このように、医業においては、認定制度の施行日から3年以内に厚生労働省の認定を受けることなどを要件に、全社員の持分放棄により、相続税・贈与税を免除する制度が創設された。 〈医業継続に係る相続税・贈与税の納税猶予等の特例措置の創設〉※厚生労働省ホームページより一部抜粋   5 所得税決定事項 (1) 公益法人等に財産を譲渡した場合の非課税申請 公益法人等に財産を譲渡した場合の非課税申請について、次の事項が整備された。 株式の寄附については、株式の寄附を受けた法人が、当該寄附により、株式発行法人の発行済株式数の1/2を超えてはならないこととされた。 公益認定基準においては、公益認定等委員会FAQ問Ⅴ-7-①(公益認定法5条15号関係)等において、株式保有の制限があり、他の団体の意思決定に関与することができる株式を保有しないことが求められている。 このこととの均衡を受けて、認定法上の議決権ベース(支配権)ではなく、所得税法上は、発行済株式数ベースにおいて1/2が上限とされた。 この規定は、平成26年4月1日以後の寄附について適用される。 (2) ゴルフ会員権等の譲渡損失に係る損益通算の廃止 ゴルフ会員権は生活に通常必要でない資産に該当せず、その譲渡損は他の所得との損益通算が認められていたところであるが、平成26年4月1日以降の譲渡からは所得税法施行令178条に規定する「生活に通常必要でない資産」と規定され、総合課税の譲渡所得内の通算に限られ、他の給与等の所得との通算ができないことになる。 したがって給与所得、配当所得(総合課税選択)等との損益通算ができるのは、平成26年3月31日までの譲渡となる。 また、分離課税である土地等の譲渡所得との損益通算については、すでに平成16年度改正において、平成16年1月1日以後の土地等、建物の譲渡損益については譲渡所得内損益通算及び他の所得との損益通算ができない取扱いとなっている(措法31,32)。 (3) 給与所得控除の改正 給与所得控除の上限を給与等収入金額の1,500万円超より245万円とすることは、すでに平成24年度改正において決定され、平成25年分より施行されているところであり、また所得税の最高税率は平成25年度改正で決定され、平成27年分からの適用である。 平成26年度改正において、次の決定がされた。 (4) 同族会社発行社債の特定公社債からの除外 金融証券税制は、平成25年度改正で10%の軽減税率が廃止され、平成26年以降は20%税率となる。あわせて、NISA口座が平成26年から導入され、また公社債、公社債投資信託は20%(正確には20.315%、以下略)の源泉分離課税かつ譲渡益非課税であったが、平成28年以後は特定公社債として、上場株式等と同一のグル-プとして損益通算されることとなった。 そして、この改正のあおりで、上場株式等の譲渡損と非上場株式の譲渡益の損益通算は通算不可となり、非上場株式と一般公社債グル-プとなる。 この改正の中で、同族会社が発行する社債は、一般公社債の20%の源泉分離課税ではなく、同族会社が発行した社債で同族会社の役員等が支払いを受けるものは、一般公社債であれば利子は源泉分離課税で、譲渡益等は申告分離課税であるが、いずれも、総合課税とされていた。 ここで、平成27年以前中に発行された私募債は、特定公社債に該当するとされていたが、平成26年改正においてこの規定が改正され、特定公社債となることから除外されたので、同族会社発行私募債の利子課税は、株主等が受ける利子は、平成28年以後支払いのものより総合課税となる。 (5) 相続財産である土地等を譲渡した場合の取得費加算の縮小 相続財産である土地等を申告期限から3年以内に譲渡した場合は、その相続人が取得したすべての土地等に対応したその相続人の相続税を取得費に加算できたが、平成26年度改正において、他の株式等の財産と同様に、その譲渡した土地等に対応する相続税額に縮小される。 この改正は平成27年1月以後の相続による取得財産の譲渡について適用される。 (6) 老朽化マンションの建替え等の促進に係る特例措置 避難路に面した耐震非適格建物の改修が義務付けられたことに伴い、一定の区分所有者の譲渡所得の1,500万円特別控除制度が創設された 耐震改修法に規定された通行障害既存耐震不適格マンションについて、改修若しくは建替えが義務付けられるが、認定建物敷地売却制度が新設され、決議反対区分所有者への売り渡し請求が行われ、この一定の区分所有者について1,500万円控除が適用できることになった。 〈老朽化マンションの建替え等の促進に係る特例措置〉※国土交通省ホームページより一部抜粋 (了)

#No. 50(掲載号)
#竹内 陽一
2013/12/26

酒井克彦の〈深読み◆租税法〉 【第12回】「内縁の妻は配偶者控除の適用を受けられるか?(その3)」~一夫多妻制における多数配偶者の配偶者控除~

酒井克彦の 〈深読み◆租税法〉 【第12回】 「内縁の妻は配偶者控除の適用を受けられるか?(その3)」 ~一夫多妻制における多数配偶者の配偶者控除~   国士舘大学法学部教授・法学博士 酒井 克彦    1 裁判所の判断(結論) これまで検討したとおり、租税行政上の特段の問題はなく、また実質が形式を凌駕するという点からも、租税法において、内縁の妻を配偶者控除の対象としてもよいように思われるが、最終的に大阪地裁昭和36年9月19日判決は、次のように論じて、文理解釈の見地から内縁の妻に係る当時の扶養控除の適用において、その配偶者該当性を否定している。 判決は、このように原則論を論じた上で、次のように、「配偶者(届出をしないが事実上婚姻関係と同様の事情にある者を含む)」と規定する条文と、裸で「配偶者」と規定する条文があることを論じる。 このように、所得税法上の規定が「配偶者(届出をしないが事実上婚姻関係と同様の事情にある者を含む)」とせず、単に「配偶者」とのみ規定していることから、他の社会法と同様に配偶者の中に、内縁の妻を読み込むことはできないと論じるのである。 いかに説得的に配偶者に内縁の妻が含まれるべきであると述べても、結局は、文理を乗り越えられない限り、配偶者に内縁の妻を含めて解釈することはできないというのである。そして、このような考え方は、最高裁平成9年9月9日第三小法廷判決(訟月44巻6号1009頁)においても論じられ、現在の判例として定着しているのである。 そして、所得税基本通達もそのことを次のように明示している。 内縁の妻の問題は、今日の超高齢化社会においても大きな問題として伏在していると思われるが、担税力の配慮という面から立法論をも含めた再検証が図られるべきではなかろうか。   2 一夫多妻制と配偶者控除 さて、今日的問題の別の局面に、我が国居住者が、イスラム教国で認められる一夫多妻制の下で多数の配偶者を有する場合の配偶者控除適用の問題がある。 これは、配偶者控除の生計同一要件は本国への仕送りなどの事実によって確認することができる場合に、例えば、4人の配偶者を有するとすると、配偶者控除は38万円×4人分受けることができるか否かという問題である。 この問題は、前述のように借用概念の解釈で乗り越えられる問題であろうか。 少なくとも、民法を前提として配偶者概念を理解しようにも、民法はそもそも一夫一妻制を採用し、重婚を禁止しているのであるから、民法上、多数の配偶者の存在を観念することはできない。 そこで、解釈の糸口の1つを提示するものに、前述の所得税基本通達がある。 ここでは、法の適用に関する通則法に従うことを述べているが、同法によれば、当該外国に適法に成立した婚姻関係に従うということになるから(同法24)、配偶者控除の対象となる配偶者も4人まで認められることになる。 しかしながら、仮に配偶者が4人まで認められるとしても、所得税法76条は、配偶者控除として「控除対象配偶者を有していた場合に・・・38万円を控除する。」と規定している。 つまり、所得税法は、「控除対象配偶者を有している」か否かのみを問題としており、有している場合の控除額は38万円と固定されているのである(この点は扶養控除が、「1人につき38万円」を控除すると規定しているのとは異なる)。 このように、所得税法の規定は、控除対象配偶者の有無のみを対象とし、控除額を38万円に固定していることからすれば、たとえ控除対象配偶者が何人いても、その額は38万円の控除ということになるのである。 この点も、やはり文理解釈が支配しているというべきであろう。 (了)

#No. 50(掲載号)
#酒井 克彦
2013/12/26

「税理士損害賠償請求」頻出事例に見る原因・予防策のポイント【事例9(消費税)】 「新設法人の期末資本金額で判定したため課税事業者と誤認し、設立初年度の設備投資に係る消費税の還付が受けられなかった事例」

「税理士損害賠償請求」 頻出事例に見る 原因・予防策のポイント 【事例9(消費税)】   税理士 齋藤 和助   《事例の概要》 設立初年度である平成25年3月期の消費税につき、設立時の資本金が1,000万円未満であったため免税事業者であるにもかかわらず、期中増資により期末資本金が1,000万円以上となっていたため課税事業者と誤認し、提出期限までに「消費税課税事業者選択届出書」の提出を失念したことから、設立初年度の設備投資に係る消費税の還付を受けることができなかった。 これにより、還付不能となった消費税額560万円につき損害が発生し、賠償請求を受けた。   《賠償請求の経緯》 法人設立時の資本金は1万円であった。 設立関係の届出は前任税理士が行っており、その後税理士が業務を引き継いでいた。 期中増資により期末資本金は1,000万円を超えていた。   《基礎知識》 ◆基準期間がない法人の納税義務の免除の特例(消法12の2) その事業年度の基準期間がない法人のうち、当該事業年度開始の日における資本金の額又は出資の金額が1,000万円以上である法人(以下「新設法人」という。)については、当該新設法人の基準期間がない事業年度に含まれる各課税期間における課税資産の譲渡等については、納税義務は免除されない。   《税理士の落とし穴》   《税理士の責任》 税理士は、決算作業中に設立時の届出書類を確認してはじめてミスに気づいている。受任時に設立時の届出書類を確認し、期限までに「課税事業者選択届出書」を提出していれば、課税事業者となり、還付は受けられたことから、税理士に責任がある。 なお、課税事業者の選択には2年間の継続適用要件があるが、設立初年度中に増資し、期末において資本金額が1,000万円以上となっていることから、翌期は課税事業者になるため、損害は平成25年3月期のみである。   《予防策》 [ポイント①] 思い込みに注意する 本事例は新設法人の特例の判断基準が事業年度開始の日であるにもかかわらず、期末であるとの思い込みから生じたものである。 このようなミスをなくすためには、担当者だけでなく、所長又は有資格者等によるダブルチェック体制を構築することが必要である。   [ポイント②] 関与開始時に設立時の届出書類を確認する 本事例は設立初年度に税理士が変わるというレアケースであるが、新設法人のみならず、新規に法人に関与する場合には、次のような提出書類は、必ず控えのコピー(収受印等のあるもの)を入手して、「各種届出書類等」としてパーマネントファイル(永久保存ファイル)に保管しておくべきである。 消費税については、次のような届出書が提出されているかどうかを必ず確認し、提出されていれば、上記パーマネントファイルに保管し、新たに提出が必要な場合には、以下の《参考》ような「意思決定通知書」を入手したうえで提出するよう心がけたい。 《参考》 意思決定通知書の具体例 1 課税事業者の選択について ※クリックすると別ページでPDFファイルが開きます   2 簡易課税制度の選択について ※クリックすると別ページでPDFファイルが開きます (了)

#No. 50(掲載号)
#齋藤 和助
2013/12/26

居住用財産の譲渡所得3,000万円特別控除[一問一答] 【第12問】「相続による取得後、居住の用に供したことがない家屋の譲渡」-居住用財産の範囲-

居住用財産の譲渡所得 3,000万円特別控除 [一問一答] 【第12問】 「相続による取得後、居住の用に供したことがない家屋の譲渡」 -居住用財産の範囲-   税理士 大久保 昭佳   Q Xは、昨年3月に死亡した父親のA居住用物件を相続し、家族と共に暮らすB居住用物件から住民票をA物件に異動した後、A物件を居住の用に供することなく、本年11月に売却しました。 この場合、「3,000万円特別控除(措法35)」の特例を受けることができるでしょうか? A 「3,000万円特別控除」の特例の適用を受けることはできない。 〈解説〉 Xは、自己の所有となってから居住したという事実がないので、「特例」の適用を受けることはできない(措通31の3-2(居住用家屋の範囲))。 また、前回【問11】と同様に、居住の事実がないところを、特例を受ける目的のみで故意に住民票を異動するなどした場合には重加算税の対象となり得る可能性があることから、その判定にあたってはX及びその家族の日常生活の状況、住民票を異動した目的等について十分な聴取が必要であると考える。 (了)

#No. 50(掲載号)
#大久保 昭佳
2013/12/26

〔しっかり身に付けたい!〕はじめての相続税申告業務 【第12回】「『上場株式』『公社債』『投資信託』の取扱い」

〔しっかり身に付けたい!〕 はじめての相続税申告業務 【第12回】 「『上場株式』『公社債』『投資信託』の取扱い」   税理士法人ネクスト 公認会計士・税理士 根岸 二良   今回は相続財産のうち、上場株式、公社債、投資信託について学ぶこととする。 1 上場株式 上場株式を所有している場合、取引証券会社から、他界日を基準日とする残高証明書を入手し、所有株式数を把握する。 相続税申告においては、上場株式は、次のうち最も低い価額によって評価する(財産評価基本通達169)(*1)。 他界日の最終価格(*2) 他界日の属する月の毎月の最終価格の月平均額 他界日の属する月の前月の毎月の最終価格の月平均額 他界日の属する月の前々月の毎月の最終価格の月平均額 なお、上場株式の最終価格(月平均額)はインターネット(例えば、Yahoo!ファイナンス)で入手・算定可能であるが、(有償になるが)東京であれば東京税理士会データ通信協同組合が運営しているFAX情報提供サービスJustax Lineを利用すれば、より簡単に入手可能である。 上場株式の関連するものとして、配当期待権がある。 「配当期待権」とは、配当金交付の基準日の翌日から配当金交付の効力が発生する(具体的には株主総会の決議)日までにおける配当金を受けることができる権利をいう(財産評価基本通達168(7))。 配当金交付の効力発生日の翌日から配当金交付日までに他界した場合には、未収配当金となる。  配当期待権は、配当金交付額から源泉所得税の金額を控除した金額により評価する(財産評価基本通達193)。 なお、細かい点であるが、控除する源泉所得税の金額には、復興特別所得税も含まれる取扱いとなっている。 上場株式を所有している場合には、配当期待権、未収配当金がないか、留意をする必要がある。   2 公社債 上場株式を所有している場合、取引証券会社から、他界日を基準日とする残高証明書を入手し、所有公社債を把握する。 相続税申告においては、公社債は、以下のように評価を行う(財産評価基本通達197-2、197-3)。 なお、個人向国債は上記と異なる評価方法で評価するため、注意が必要である。   3 投資信託 投資信託(証券投資信託が多いと思われる)を所有している場合、取引証券会社から、他界日を基準日とする残高証明書を入手し、投資信託を把握する。 相続税申告上、証券投資信託は次のように評価を行う(財産評価基本通達199) なお、証券投資信託について、基準価額は残高証明書に記載されていることが多いが、記載されていない場合など不明なときには、証券会社へ問合せを行うなどして情報を入手する。 (了)

#No. 50(掲載号)
#根岸 二良
2013/12/26

貸倒損失における税務上の取扱い 【第8回】「子会社支援のための無償取引④」

貸倒損失における税務上の取扱い 【第8回】 「子会社支援のための無償取引④」   公認会計士 佐藤 信祐   清水惣事件にかかわる第1審判決、控訴審判決の内容は、第6回、第7回で解説した通りである。 第8回目である本号においては、これらの判決の内容について分析を行い、無利息貸付けについての法人税法上の考え方について考察を行うこととする。 (3) 清水惣事件についての評釈 本事件において、武田昌輔教授は、 と述べられている。 すなわち、本事件の特徴として、法人税法第37条に規定する寄附金の解釈が問題となっただけでなく、無償による役務の提供としての収益の計上という法人税法第22条の解釈が問題となったという点が挙げられる。 具体的には、 としているため、実際に会計上はこのような仕訳が行われないものの、以下の仕訳が行われたと仮定して、法人税の課税所得の計算を行うことになる。 なお、控訴審判決においては、 としており、合理的な経済目的その他の事情があれば、無利息貸付けであっても課税対象にならない余地を残している。 この点につき、水野忠恒教授は、 としたうえで、 と批判されている。 この点につき、中村利雄教授は、 としており、条文構成上も、同意できる理論構成である。 これに対し、現在の法人税法においては、法人税基本通達9-4-2が定められ、合理的な再建計画がある場合には、寄附金として取り扱わず、損金の額に算入することができるとしているため、法人税法第22条に基づいて貸方において受取利息は認識するものの、借方においては寄附金とせずに、損金の額に算入するという処理になる。 しかしながら、水野忠恒教授は、 としている。 本評釈は、法人税基本通達9-4-2が定められる前の話であるが、寄附金の規定内容をこのように解するのであれば、現行法上、法人税基本通達9-4-2の適用はかなり特例的なものであり、限定的に解釈すべきであるということができる。 このように、清水惣事件は、法人税法第22条第2項に規定する「無償による役務の提供としての収益の計上」についての解釈が問題となった点で非常に重要な判決であるだけでなく、無償貸付けに伴う受取利息と寄附金の両建て計上や、合理的な経済目的がある場合における損金算入の余地等が議論されたという点で非常に重要な判決であると言える。 現在の法人税実務においては、無利息貸付けを行った場合には、貸方に受取利息を計上した上で、借方について、法人税基本通達9-4-2を適用することができるときは子会社支援損失として損金の額に算入することができ、本通達が適用できないときは寄附金として処理されるという整理になる。 どのような場面に法人税基本通達9-4-2を適用することができるのかという点については、本事件以降に創設される通達であるため、本事件のみで判断することはできないが、無利息貸付けにかかわる法人税法上の取扱いを概観するうえで、重要な判決であると言える。 次回以降においては、平成3年2月期から平成8年2月期までの事業年度において、低利貸付けを行った判例を分析することにより、子会社支援のための無償取引についての法人税法上の取扱いについて更なる分析を行うこととする。 ※本事件においては、適正な利率の算定根拠についても争われているが、低金利時代である現在とは時代背景が異なるため、本稿においては解説を割愛することとする。 ※大淵博義教授によると、「本判決は、法人税法22条2項の無償取引の規定について、旧法の法解釈上妥当と考えられているところを法文化したものと判示して、当該規定を確認規定と位置付けて昭和39事業年度についても、租税回避の有無とは無関係に利息収益を認識した。(『法人税法解釈の検証と実践的展開(大淵博義著、税務経理協会)』90頁)」としているが、この点については、法人税法第22条第2項の議論として、後ほど解説を行う予定である。 (了)

#No. 50(掲載号)
#佐藤 信祐
2013/12/26

経理担当者のためのベーシック税務Q&A 【第10回】「有価証券と税金」―受取配当等の益金不算入制度―

経理担当者のための ベーシック税務Q&A 【第10回】 「有価証券と税金」 ―受取配当等の益金不算入制度―   仰星税理士法人 公認会計士・税理士 草薙 信久   1 受取配当等が益金に算入されない理由 配当金は法人税等が課税された後の利益から株主に分配されるため、配当金支払法人の課税所得の計算上、損金とはなっていません。他方、支払いを受けた法人においてその受取配当金に対して法人税を課税すると、課税後の利益(すなわち、配当金)に対して二重に法人税等が課税されることになります。この二重課税を排除するために、受取配当等の益金不算入制度が設けられています。   2 益金不算入となる受取配当等 益金不算入となる受取配当等は、次のとおりです(法法23①③、24①②、法令19①)。   3 益金不算入とならない受取配当等 二重課税を排除する必要がないことや株主等の地位に基づかないこと等の理由から、次の受取配当等は益金不算入とはなりません。   4 益金不算入額の計算方法 (1) 完全子法人株式等に係る配当金 完全子法人株式等(注)に係る受取配当等の益金不算入額は、受取配当等の全額で、負債利子を控除する必要はありません(法法23④一、81の4①)。 (2) 関係法人株式等に係る配当金 関係法人株式等(注)に係る受取配当等の益金不算入額は、受取配当等の額から、当期において発生した負債利子の額のうち、関係法人株式等に係る部分の金額を控除した残額です(法法23④二)。 (3) 完全子法人株式等及び関係法人株式等のいずれにも該当しない株式等(一般株式等)に係る配当金 一般株式等に係る受取配当等の益金不算入額は、受取配当等の額から、当期において発生した負債利子の額のうち、一般株式等に係る部分の金額を控除した残額の50%相当額です(法法23④三)。   5 負債の利子(注)の額 負債利子の控除は、配当等の元本である株式等を一部負債で賄って取得しているとみなして、その負債利子を受取配当等に係るコストとして紐付けることにより、非課税所得(受取配当金)に係る費用を課税所得に係る収益から控除されてしまうのを防ぐために設けられています。 また、受取配当等の額から控除する負債利子の額は、原則として、配当に係る株式区分(関係法人株式等又は一般株式等の区分)ごとに総資産按分法によって計算しますが、平成22年4月1日に存在する会社に限り、基準年度の総資産按分法による実績に基づく簡便法により計算することができます。なお、原則法によるか、簡便法によるかは、事業年度毎に有利な方を選択することができます(法法23④、法令22①②⑤)。   6 益金不算入の適用を受けるための要件 法人税法における受取配当等の益金不算入制度は、「受取配当等の益金不算入に関する明細書(申告書別表八(一))」に一定の事項を記載するとともに、「所得の金額の計算に関する明細書(申告書別表四)」でその金額を減算した場合に限り、申告書に記載された金額を限度として益金不算入の適用を受けることができます(注)(旧法法23⑦、68③等)。 (了)

#No. 50(掲載号)
#草薙 信久
2013/12/26

小説 『法人課税第三部門にて。』 【第23話】「建設会社の税務調査(その2)」─検証─

小説 『法人課税第三部門にて。』 【第23話】 「建設会社の税務調査(その2)」 ─ 検 証 ─ 公認会計士・税理士 八ッ尾 順一   (前回の続き) 「そうか・・・」 渕崎統括官は、田村上席の報告を静かに聞いている。 内藤建設の実施調査は、田村上席と山口調査官の2人で、3日間行われた。 渕崎統括官の横に置かれている小さなテーブルに、田村上席と山口調査官は、渕崎統括官と向かい合って座っている。 テーブルの上には、田村上席が作成した「検討事項一覧表」がある。 渕崎統括官は、その検討事項一覧表を見ながら、質問を続ける。 「例の・・・大手ゼネコンからの請負工事について、否認するのは無理なのですか?」 渕崎統括官は、田村上席の顔を見つめる。 「ええ、工事は途中で終わっているのですが・・・その経緯を明らかにする資料が会社にないので、ゼネコンに反面調査しょうかどうか迷っているのです。でも、工事担当者に聞くと、どうやら本当に中止になったようで・・・そこで、これ以上時間をかけるのもなんだと思って、そのままで・・・ただ、預かっている2億円については、ゼネコンに返すか否かを確認しなければ・・・」 田村上席が説明を続ける。 「結局、この件については、増差所得につながらないのでは、ということで、この検討事項一覧表には載せていません」 渕崎統括官は小さく頷く。 「ところで、倒産した外注先はどうなった?この一覧表には載っていないが・・・」 田村上席の横に座っている山口調査官が答える。 「ええ。外注先の所轄の税務署に問い合わせたところ、会社は実際に存在していたのですが、昨年から無申告の状態で、今は、その所在地には誰もいないということで・・・」 山口調査官は、申し訳なさそうに説明する。 「・・・しかし、そのほかの外注費の中に、個人で、実質、従業員と同様の待遇で働いている者が3人いまして、これらの者に支払っている外注費を給与として課税することを考えています」 そう言いながら山口調査官は、検討事項一覧表に記載されている数値を指差した。 検討事項一覧表の上段には、3期の事業年度が並び、その下に消費税の数値がそれぞれ示され、3期の合計額として2,865,600円が記載されている。 「給与として課税すれば、消費税では課税仕入れにならないということだね・・・もちろん、源泉所得税も徴収することになる」 渕崎統括官は、山口調査官の顔を見ながら、付け加える。 「ええ、そうなんですが・・・」 山口調査官は、歯切れの悪い返事をする。 「何かこの処理について、会社の方では納得していないのかい?」 渕崎統括官が尋ねる。 「会社は、雇用関係のある従業員ではなく、あくまでも外注先であると・・・工事を請け負うとき、工事現場で働く者は自社の従業員でなければならない・・・そうでなければ、その現場で働けないということになっていまして・・・」 「そうか・・・ところで、その外注先である個人の確定申告はどうなっているの?」 渕崎統括官は質問を続ける。 「所轄の税務署にそれぞれ問い合わせたところ、3人とも確定申告はしているのですが、そのうち1人は事業所得として申告せず、給与所得として申告しているのです」 「給与所得?」 渕崎統括官は、もう一度、尋ねる。 「ええ、しかし、たぶん・・・本人は何も考えずに申告しているのかもしれません・・・もちろん会社から本人に対して、給与所得の源泉徴収票は発行していません」 「そうか・・・それじゃあ、否認は難しいな・・・」 渕崎統括官の表情は、険しくなる。 「あの・・・監査役の賞与なんですけど・・・」 山口調査官は、渕崎統括官に50万円と記載されている数値を指差す。 「これは、監査役に対して3期で各50万円の賞与を出しているのですけど・・・会社は損金算入にしていたので、間違いなく否認できると思います」 山口調査官の声が大きくなる。 「会社は、なんで監査役の賞与を損金算入していたの?」 渕崎統括官が尋ねる。 「会社は、単に従業員に名前を借りただけだと・・・しかし、法律上、監査役になっているのですから、これは、損金不算入として処理せざるを得ない」 山口調査官は、渕崎統括官に対して、自信のある声で答える。 「そうだなあ・・・」 渕崎統括官は腕を組んでいる。 「そのほかは・・・?」 田村上席は、検討事項一覧表に記載されている数値の説明をする。 「あとは・・・弁護士に支払った報酬100万円の源泉徴収漏れ、金銭消費貸借契約書の印紙の貼り忘れ5万円・・・それと、期末に貯蔵品350万円の計上洩れが・・・」 「貯蔵品の計上洩れ?」 渕崎統括官は、しばしの間、思案顔になる。 「・・・それについては、とりあえず、会社から計上漏れがあったという確認書をもらっておいた方がよいだろう。証拠力としてはあまり意味はないが・・・しかし、相手方に一筆『洩れがあった』と書かせると、心理的に後で反対のことは言い難いだろう」 渕崎統括官は自分を納得させるように、田村上席に伝える。 「これを会社に示して、最終の増差所得がいくらになるのかわかりませんが、とにかく会社から修正申告書を提出してもらうようにします」 田村上席は検討一覧表を見ながら、渕崎統括官に言う。 「そうだな・・・会社にこれを見せて、納得させて、修正申告書を提出してもらったらいいだろう。その意味では、君の説得力が増差所得金額を決めることになるね」 渕崎統括官はそう言って笑った。 「はい・・・しかし、修正申告書を提出してもらっても、納税者に対しては更正の請求ができる旨をわざわざ伝えなければなりません」 田村上席が不満そうに言う。 「新しい国税通則法74条の11の3項では、ご丁寧に、その説明と書面の交付を要求しているからね・・・それは、仕方がない・・・」 渕崎統括官の言葉に、田村上席は、苦笑いを浮かべた。 (連載了)

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#八ッ尾 順一
2013/12/26

林總の管理会計[超]入門講座 【第17回】「発生源まで遡る原価管理」

林總の 管理会計[超]入門講座 【第17回】 「発生源まで遡る原価管理」   公認会計士 林 總   製品原価の「元の状態」とは何か   「5つの目的」を満たす原価計算システム (了)

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#林 總
2013/12/26
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