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《速報解説》 財産評価基本通達の一部改正について~純資産価額方式における法人税額等相当額は40%に~

 《速報解説》 財産評価基本通達の一部改正について ~純資産価額方式における法人税額等相当額は40%に~   弁護士 木村 浩之   1 はじめに 平成26年度税制改正に伴う通達改正の一環として、平成26年4月2日付けで、財産評価基本通達の一部改正がなされている(4/18に国税庁ホームページにて公表)。 平成26年度税制改正においては、復興特別法人税(法人税額に対する10%の付加税)が前倒しで廃止され【法律改正①】、さらに地方法人税が創設されるとともに地方税の税率が改正された【法律改正②】。 今回の通達改正は、これらの税制改正に伴い、取引相場のない株式等の財産評価として用いる純資産価額方式における「評価差額に対する法人税額等」の計算割合を42%から40%に改正したものである。 なお、この改正に併せて、取引相場のない株式等の評価明細書の様式等についても改正がなされているので、こちらも参照されたい。   2 純資産価額方式について 純資産価額方式は、相続税及び贈与税の税額計算に当たって、取引相場のない株式等の評価をする際に用いられる評価方式であるが、これは相続又は贈与によって株式等の取得がなされた日に対象会社が清算したと仮定した場合に、株主等に分配される正味財産の価額をもって、その評価額とみる評価方法である。 この「正味財産の価額」については、相続税評価額としての総資産額から総負債額を控除して純資産価額を算出した上で、その価額と帳簿上の純資産価額との差額(評価差額)を資産の含み益とみて、その含み益に対する法人税額等に相当する額を控除して算出することになる。 ここでの「法人税額等相当額」は、対象会社が清算の際に総資産を譲渡して含み益を実現させた場合に課せられることになる法人税額等に相当する額であり、正確に計算することは困難であることから、今回の改正前の通達では、その計算割合を便宜的に42%とすることが定められていた。   3 通達改正の概要 今回の通達改正では、まず、復興特別法人税の廃止【法律改正①】に伴い、平成26年4月1日以降、法人税額等の範囲から復興特別法人税が除かれることが明らかにされ、併せて、その計算割合を42%から40%に改正することが明らかにされている〔通達改正①〕。 また、地方法人税の創設【法律改正②】に伴い、平成26年10月1日以降、法人税額等の範囲に地方法人税が含まれることが明らかにされたが、これに対応して地方税率の引下げがなされたことにより、全体としての税額等が同じになるため、計算割合そのものは40%から変更がないことが明らかにされている〔通達改正②〕。   4 適用時期 以上の通達改正については、それぞれ適用時期が異なる(通達改正①:平成26年4月1日以降、通達改正②:平成26年10月1日以降)ものの、ここでは、評価差額に対する法人税額等の計算割合につき、平成26年4月1日以降、一律に40%が適用されるという点に留意しておけば十分であるといえる。 (了)

#No. 67(掲載号)
#木村 浩之
2014/05/01

7/12(土)開催:笹岡宏保氏セミナー【改正で大幅に見直された『小規模宅地等の課税特例』を検証する!!】お申込み受付開始

TAC八重洲校にて7月12日(土)開催。 税理士 笹岡 宏保氏による【1日で理解する】セミナーシリーズ。 今回は、皆様からご要望の多かった「小規模宅地等の課税特例」をテーマに、課税特例の基本的な内容を確認するとともに、税法改正項目の確認とその実務的な影響、そして誤りやすい事例の検証まで、実務に必要なこの規定に関する知識を包括的に網羅、確認します。

#Profession Journal 編集部
2014/04/28

Profession Journal No.66が公開されました!~お薦め記事のご紹介~

2014年4月24日(木)AM10:30、Profession Journal  No.66 が公開されました。 Profession Journalの解説記事は毎週木曜日(AM10:30)に公開し、《速報解説》については随時公開してまいります。 Web情報誌 Profession Journalは、プロフェッションネットワークのプレミアム会員専用の閲覧サービスです。

#Profession Journal 編集部
2014/04/24

「税理士損害賠償請求」頻出事例に見る原因・予防策のポイント【事例13(消費税)】 「特定目的会社の消費税選択につき「課税期間特例選択届出書」及び「簡易課税制度選択届出書」の提出を失念した事例」

「税理士損害賠償請求」 頻出事例に見る 原因・予防策のポイント 【事例13(消費税)】   税理士 齋藤 和助   《事例の概要》 依頼者は不動産の証券化における特定目的会社であり、不動産を購入して投資家に分配金を支払う業務のみを行うものである。 税理士は、依頼者の設立から関与し、不動産購入に係る消費税の還付を受けるべく課税事業者を選択した。特定目的会社の場合、不動産購入後は不動産収入に対して課税仕入れがほとんどないことから、簡易課税が有利となる。 税理士は対象不動産購入後、「課税期間特例選択届出書」で課税期間を区切り、「簡易課税制度選択届出書」を提出して簡易課税を選択すべきところ、これを失念してしまった。 これにより、有利な簡易課税と不利な原則課税との差額2,100万円につき損害が発生し、賠償請求を受けた。   《賠償請求の経緯》 税理士は複数の特定目的会社の顧問税理士を兼任していた。 特定目的会社の消費税は設立時、対象不動産購入時、配当時によって有利選択が異なり、それぞれに期限があることから、たまたま本事例の会社の届出書の提出を失念してしまった。   《基礎知識》 ◆簡易課税制度(消法37) 基準期間における課税売上高が5,000万円以下である課税期間について「消費税簡易課税制度選択届出書」を提出した場合には、翌課税期間から簡易課税の適用がある。 簡易課税には2年間の継続適用要件がある。 ◆課税期間の特例選択(消法19②) 「課税期間特例選択届出書」の効力は、その提出日の属する課税期間の翌課税期間から適用される。したがって、本事例の場合には、「課税期間特例選択届出書」で課税期間を区切り、「簡易課税制度選択届出書」を提出すれば、原則課税の期間を短くすることができる。 課税期間の特例選択には2年間の継続適用要件がある。 ◆特定目的会社の消費税選択 特定目的会社の消費税選択は、以下のスキームで行われるのが一般的である。   《税理士の落とし穴》   《税理士の責任》 税理士は不動産購入後、「課税期間特例選択届出書」で課税期間を区切り、「簡易課税制度選択届出書」を提出すべきところこれを失念してしまい、申告時点で自らこれに気づいている。 不動産購入後に各届出書を提出していれば、原則課税の期間を短縮し、簡易課税を選択できたことから、税理士に責任がある。   《予防策》 [ポイント①] 時系列で管理 特定目的会社の消費税選択は設立時、対象不動産購入時、配当時によって有利選択が異なり、それぞれに期限があることから、複数の特定目的会社に関与している場合には、会社ごとに時系列で管理する。   [ポイント②] チェック体制の構築 特定目的会社の消費税選択は、対象不動産の金額が高額であり、届出書の提出失念が多額の損害賠償請求につながることから、チームを組む等複数人で担当し、所内でのチェック体制を構築することが必要である。   [ポイント③] 税賠保険の加入契約タイプの見直し どんなに気をつけて業務を行っていても、ミスは起こるものである。したがって、特定目的会社の税務業務を請け負う場合には、消費税選択ミスによる損害賠償請求に備え、より保障額の大きなタイプの税賠保険への加入見直しも必要である。   (了)

#No. 66(掲載号)
#齋藤 和助
2014/04/24

〔税の街.jp「議論の広場」編集会議 連載59〕 ヤフー事件(東京地裁判決)からみた買収後の合併により被合併法人の欠損金を引き継ぐ場合の「みなし共同事業要件」に関する考察

〔税の街.jp「議論の広場」編集会議 連載59〕 ヤフー事件(東京地裁判決)からみた 買収後の合併により被合併法人の欠損金を引き継ぐ場合の 「みなし共同事業要件」に関する考察   税理士 竹内 陽一   はじめに ヤフー事件の判決が平成26年3月18日に東京地裁で出された。 この判決文がTAINSデータベースに収録されたことから、以下、この判決文によりその概要をまとめ、欠損金のある法人の買収事案のうち、特定役員引継要件によって「みなし共同事業要件」をクリアしようとする場合の注意点について述べたい。 なお本件の教訓としては、欠損金のある法人の合併による買収事案においては、欠損金を引き継ぐために、買収による支配関係成立前に、規模要件や特定役員引継要件を満たすか否かを判断し、速やかに合併するか、あるいは、支配関係発生から5年超経過要件を満たしてから合併をするか、という2つの選択肢しかない、と言っても過言ではない。   1 事件の概要 判決文では、原告を「A株式会社」、その株式の42%を保有している法人を「B社」としているが、これらは既知であるため、本稿では、「B社」をソフトバンク=S社とし、「A株式会社」をヤフー日本法人=Y社と表示する。 そして、被合併法人は「C社」、C社の非適格分割によって設立された法人を「F社」と表示する。また、S社社長兼Y社会長を乙、S社取締役兼Y社社長を丙と表示する。 ヤフー事件においては、買収及び合併の直前に丙が被合併法人となるC社の副社長に就任した後に合併を行い、特定役員引継要件を充足したものとして、合併によりC社の繰越欠損金543億円(平成14年3月期から平成18年3月期まで)をY社に引き継いだことが問題とされた。   2 事件の事実関係 平成20年10月27日に、乙から丙に対し、S社の100%子会社であるC社をY社の100%子会社とする提案があり、同年11月21日には、この提案に沿う組織再編成計画書が作成されていた。 同計画書によると、その手順は、下記4段階で構成されていた。 以上のうちF社の件については、同日判決のIDCS事件の判決文に記載されているはずであるが、本稿執筆時点において、この判決文は確認できていない。 C社の繰越欠損金は、平成15年3月期から平成18年3月期までで、合計543億円である。 仮に、5年超経過要件を充足させて合併を行うということになれば、平成21年3月期が特定資本関係発生事業年度であるため、平成18年3月期以前の繰越欠損金はすべて控除できないこととなり、上記の543億円は、その全額が控除できないことになる。 Y社は、3月決算法人である。 実際には、本件合併は次のように行われている。 C社は、F社の分割まではデータセンター事業を行っていた。C社の代表取締役は乙であり、平成20年3月末のC社の従業員数は123名(ヤフー社IR情報平成21年2月19日)であったが、従業員は上記②の分割と同時にF社に出向した。   3 本件の争点に関する裁判所の判断 本件の争点のうち次に掲げるものについて、裁判所がどのように判断を下したのかを確認する。 (1) 合併法人の社長による被合併法人の副社長就任 本件裁判の焦点は、みなし共同事業要件を満たすために、買収直前に買収法人の社長が被合併法人の副社長に就任したというケースに対して、法人税法132条の2の規定を適用できるのか、という点にある。 (2) 132条(同族会社等の行為又は計算の否認)と132条の2の相違点 本件裁判のもう一つの焦点は、132条の2と132条には解釈の同一性があるのか否かということであり、原告側の鑑定意見書は、いずれも同一性があると主張した。 つまり、租税回避防止規定として従来から存在する同族会社等の行為又は計算の否認の規定と同様の解釈を求めた。 これに対して、裁判所の判断は、事業上の理由や事業目的がない事案に適用されることが多い132条とは違って、事業上の理由や事業目的があって行った組織再編成であっても、個別規定の趣旨・目的に明らかに反する状態となっているものには、132条の2の規定が適用される、ということを示した。 なお、法人税法132条の2については、下記の解説がある。 (大蔵財務協会『平成13年版改正税法のすべて』243・244頁) ここでは、個別の租税回避防止規定で否認されなかったものも含めて、租税回避となるものを否認するために132条の2を創設したことが明らかにされている。 (3) みなし共同事業要件における特定役員引継要件の趣旨 この法人税法施行令112条7項のみなし共同事業要件については、従来、同令4条の3第4項の適格判定の共同事業要件と同じものという程度の表面的な理解しかされていなかった。 一般には、事業規模要件については、特定資本関係発生時から合併までの期間において2倍以内の変化がないという要件と理解され、特定役員引継要件については、特定資本関係発生日前から特定役員であることを求める要件と理解されていたものの、これらの2つの要件を比較して特定役員引継要件の趣旨を深く理解するといったことまでは行われていなかった。 本件判決のように、特定資本関係の発生の前後の特定役員をどのように捉えて特定役員引継要件が設けられているのかということを深く考えるといったことは行われてこなかったと言ってよい。 本件判決により、適格判定の共同事業要件とは別に、繰越欠損金の引継ぎ要件であるみなし共同事業要件を厳しい基準として捉え、特に、特定資本関係(現在の支配関係)の発生の前後の状態に十分に注意しなければならない、ということが明確になった。 重要な点は、下記図の通り、特定資本関係発生の直前期以前の繰越欠損金を引き継ぐことから、特定資本関係発生の直前の期間における特定役員要件の充足が鋭く問われるということである。 法人税法施行令112条7項については、次の解説がある。 (大蔵財務協会『平成13年版 改正税法のすべて』199頁) 上記の解説においては、合併直前ではなく、特定資本関係発生時の要件が重要であることが端的に述べられている。 〈合併の場合の「共同事業要件」における検討期間の概要図〉 〈合併の場合の「みなし共同事業要件」における検討期間の概要図〉 (平成26年4月4日 日本税制研究所・一般社団法人FIC共催セミナー「組織再編成と行為計算否認」日本税制研究所代表理事 朝長英樹作成のレジュメ 論点7(副社長就任が租税回避行為となるのか否かの判断基準p8より引用) (4) 特定役員引継要件において考慮されるべき具体的事情 以上のように、特定資本関係発生以前の時期におけるその役員の任期、その職務内容が問われることとなる。 つまり、特定役員要件については、特定資本関係発生前の期間、特定資本関係から合併までの期間、合併以後の期間の3つの期間において、過去の事業の状態の継続性を考える必要があり、特定資本関係発生前の期間の事業の状態が継続することが求められているわけである。 繰越欠損金の引継ぎの制限があるのは、特定資本関係発生前の事業年度の欠損金であり、特定資本関係発生事業年度から最後事業年度までの欠損金は適格要件を満たすことのみで引き継がせることから、本来は、当然にそのように理解する必要があったのである。 なお、本件においては、適格要件を満たすことのみで繰越欠損金の引継ぎが可能な特定資本関係発生後の事業年度が1期だけあるが、その事業年度においては、欠損金が生じていない。 (5) 本件事案での特定役員引継要件の事情 本件の場合、C社副社長の業務は、特定資本関係発生前において、被合併法人に固有の事業であるデータセンター事業に関与したとは認められないということと、関与した職務が特定資本関係発生以後合併までの期間における本件スキ-ムに係る職務であり、後者は、特定役員引継要件からいえば、特段、考慮される事情ではない、とされている。 すなわち、第1に、特定資本関係発生以前に、特定役員として被合併法人において経営に従事していた事実はなく、第2に、法人税法施行令112条7項5号の要件を満たすためにのみ特定役員への就任時期が買収直前とされていること、第3に、特定役員の在任期間について、特段、3年というような要件はないが、同号の要件を満たすことが目的で不自然に短期となっていること、この3点により、租税回避とされているわけである。 なお、特定役員の在任期間が短期間である場合の問題点については、分割の例で、次のように指摘されていたが、当然、合併においても、同様となる。 (大蔵省主税局税制第一課(法人税制企画室)課長補佐 朝長英樹『企業組織再編成に係る税制についての講演録集』(社団法人日本租税研究協会発行)90頁 平成13年8月10日) (了)

#No. 66(掲載号)
#竹内 陽一
2014/04/24

貸倒損失における税務上の取扱い 【第16回】「判例分析②」

貸倒損失における税務上の取扱い 【第16回】 「判例分析②」   公認会計士 佐藤 信祐   第15回目においては、日本興業銀行事件に係る第1審における当事者の主張についてそれぞれ解説を行った。 本稿においては、これに対する裁判所の判断について解説を行うこととする。 ③ 裁判所の判断 (ⅰ) 争点の整理 (ⅱ) 本件債権を全額回収不能と評価することの可否(争点1) (ⅲ) 本件債権放棄と損金算入の当否(争点2) (ⅳ) 総括 このように、争点1については、法人税基本通達9-6-2に近い考え方により判断し、争点2については、「債権放棄の有無にかかわらず、その全額を損金に算入できるものというべきであるから、争点2についてはもはや判断を示す必要はない」としながらも、法人税基本通達9-4-1に近い考え方により判断していると考えられる。なお、法人税基本通達9-4-1の根拠については、法人税法37条7項括弧書により寄附金から除外するのではなく、経済合理性があるという理由により、「無償による経済的利益の供与」に該当しないとしているのも注目に値する点である。 なお、争点1については法人税基本通達9-6-2に近い考え方により判断しているものの、債権放棄の効力が生じており、かつ、全額回収不能であるということであれば、法人税基本通達9-6-1(4)で判断する余地もあるため、全額回収不能ということが立証されれば、債権放棄の効力が生じていれば法人税基本通達9-6-1(4)、債権放棄の効力が生じていなければ法人税基本通達9-6-2で判断すると整理することになるのかもしれない。また、全額回収不能と評価し得ない前提で争点2の検討をしていることから、争点2のみで判断するとなれば、法人税基本通達9-4-1で判断するという整理になるのかもしれない。このような法人税基本通達の当てはめについては判決文においてはほとんど触れられていない。法人税基本通達は解釈に過ぎず、法令ではないことから、判決文ではほとんど触れられていなかったことについてはやむを得ないが、税務実務の現場感覚と、税務訴訟における感覚との差異という点で興味深い判決文であるとも言える。 また、第1審における裁判官の中に藤山雅行氏が含まれていたことについても注目に値する点である。藤山雅行氏は納税者に有利な判決を下すことが多く、東京地方裁判所民事第三部に所属されていたことから、「国破れて三部あり」と揶揄されることもあったが、判決文における理論構成は、オウブンシャホールディングス事件(東京地裁平成13年11月9日判決)、日本スリーエス事件(東京高裁平成12年11月30日判決)にあるように、一考に値するものであり、とりわけ日本スリーエス事件では納税者が敗訴しているように、必ずしも納税者に有利な判決を下しているわけでもないことが分かる。 次回以降は、控訴審判決、上告審判決についてそれぞれ触れた上で、さらなる詳細な分析を行う予定である。 (了)

#No. 66(掲載号)
#佐藤 信祐
2014/04/24

居住用財産の譲渡所得3,000万円特別控除[一問一答] 【第28問】「家屋の建築途中に転勤し、妻子の住む家屋を譲渡した場合」-配偶者等の居住用家屋-

居住用財産の譲渡所得 3,000万円特別控除 [一問一答] 【第28問】 「家屋の建築途中に転勤し、妻子の住む家屋を譲渡した場合」 -配偶者等の居住用家屋-   税理士 大久保 昭佳   Q 会社員Xは、5年前に東京都に土地を取得し、4年前に居住用家屋の建築に着工しましたが、その完成前に転勤により名古屋市へ単身赴任しアパート住まいをしていました。 転勤後にその家屋は完成し、その家屋にはXの妻子が約3年半居住していました。 このほど、その家屋と敷地を売却しました。 この場合、「3,000万円特別控除(措法35)」の特例を受けることができるでしょうか? A 「3,000万円特別控除」の特例の適用を受けることができる。 〈解説〉 Xは、その家屋の建築途中に転勤し、その家屋に居住したことはないが、その譲渡直前までXと生計を一にする妻子が居住していたものであり、かつ、転勤という事情が解消したときは、妻子と起居を共にすることとなると認められる事情があるため、その家屋は、Xにとっても、その居住の用に供している家屋に該当する(措通31の3-2(居住用家屋の範囲)(1))。 (了)

#No. 66(掲載号)
#大久保 昭佳
2014/04/24

経理担当者のためのベーシック税務Q&A 【第14回】「給与計算と源泉徴収」

経理担当者のための ベーシック税務Q&A 【第14回】 「給与計算と源泉徴収」   仰星税理士法人 公認会計士・税理士 草薙 信久   1 源泉徴収制度 (1) 源泉徴収制度の概要 源泉徴収制度とは、給与等を支払う者(源泉徴収義務者)が、支払いの都度、支払金額に応じて定められている所得税及び復興特別所得税(以下、「源泉所得税」という)を計算し、支払金額からその源泉所得税を差し引き、原則として、実際に給与等を支払った月の翌月10日までに国に納付する制度です(所法6、復興財確法8②)。 (2) 復興特別所得税 平成25年1月1日から平成49年12月31日までに生じる所得については、所得税を徴収する際に復興特別所得税を併せて徴収し、その合計額を国に納付する必要があります。また、源泉徴収する復興特別所得税の税率は、源泉徴収する所得税の額の2.1%です(復興財確法27、28)。 (3) 源泉徴収の時期 源泉所得税を源泉徴収する時期は、実際に源泉徴収の対象となる所得を支払う時です。したがって、給与を後払いする場合のように、給与を支払うことが確定していても、実際に支払われなければ、原則として源泉徴収する必要はありません。 (4) 源泉所得税の納税地 源泉徴収義務者が源泉徴収した給与等に対する源泉所得税は、その納税地の所轄税務署に納付します。この場合の納税地は、原則として、給与等の支払事務を取り扱う事務所の所在地です(所法17等)。 (5) 源泉所得税の納付 源泉徴収した源泉所得税は、原則として、実際に支払った月の翌月10日までに納付する必要があります(所法181等)。 また、給与の支給人員が常時10人未満である源泉徴収義務者は、源泉所得税を、半年分まとめて納めることができる特例があり、これを納期の特例といいます(所法216、217)。なお、この特例の対象となるのは、給与や退職金から源泉徴収をした源泉所得税と、税理士、社会保険労務士等の一定の報酬から源泉徴収をした源泉所得税に限られます(所法216)。 (6) 給与所得と確定申告 源泉徴収された源泉所得税の額は、源泉徴収だけで課税関係が終了する源泉分離課税の利子所得等を除き、最終的にはその年の年末調整により所得税の額が精算され、一定の事由を除き、確定申告をする必要はありません。 2 給与所得における源泉徴収事務 (1) 給与所得における源泉徴収事務の流れ (2) 給与所得の範囲 「給与所得」とは、役員や使用人に支払う給料、賃金、賞与等をいいます。また、役員や使用人に支給する残業手当、休日出勤手当、職務手当等は、原則として給与所得に含まれますが、例えば次のような手当は非課税給与となり、給与所得には含まれません。 なお、給与は、金銭で支給されるのが普通ですが、食事の現物支給や商品の値引販売のような経済的利益は現物給与といい、原則として給与等に含まれます。 現物給与には、①職務の性質上欠くことのできないもので主として使用者側の業務遂行上の必要から支給されるもの、②換金性に欠けるもの、③その評価が困難なもの、④受給者側に物品等の選択の余地がないもの等、金銭給与と異なる性質があるため、特定の現物給与については、課税上、金銭給与とは異なった取扱いが定められており、例えば次のようなものは非課税給与となり、給与所得には含まれません(所法9、28)。 (3) 税額表 給与等を支払う際に源泉徴収する税額は、「給与所得の源泉徴収税額表」を使って求めます。この税額表には、「月額表」「日額表」「賞与に対する源泉徴収税額の算出率の表」の3種類があります。 (4) 源泉徴収する税額の計算例(平成26年分) 〈税額の計算〉 社会保険料等控除後の給与等の金額は、412,384円-6,500円-48,115円=357,769円となります。 「別表第二 月額表」の「その月の社会保険料控除後の給与等の金額」欄で、357,769円が含まれる「356,000円以上359,000円未満」の行を探し、「甲欄」の「扶養親族3人」の欄と交わる欄に記載されている金額5,840円が、その給与等の金額から源泉徴収する税額です。 ※画像をクリックすると大きい画像が開きます。 (了)

#No. 66(掲載号)
#草薙 信久
2014/04/24

〔しっかり身に付けたい!〕はじめての相続税申告業務 【第20回】 「遺言の確認方法とその効力」

〔しっかり身に付けたい!〕 はじめての相続税申告業務 【第20回】 「遺言の確認方法とその効力」   税理士法人ネクスト 公認会計士・税理士 根岸 二良   相続税申告業務を行う際には、相続人・相続財産の確定後、(1)遺言の有無、(2)遺言がない場合には遺産分割協議、という流れになる。 今回は、この遺言について学ぶこととする。 1 遺言の確認方法 遺言(普通方式)には、「公正証書」「自筆証書」「秘密証書」の3つがある(民法967条)。 〈公正証書遺言〉 公正証書遺言とは、公証人(公証役場)により作成された、一定の要件を満たしている遺言である(民法969条)。 遺言作成者が他界後、相続人は公証役場に、戸籍、身分証明書等などを持参すれば、公正証書遺言の有無、及び有る場合にはその内容を確認することができる。 平成元年以降に作成された公正証書遺言であれば、作成された公証役場だけでなく、全国のどこの公証役場でも確認することができる。 公証役場がどこにあるかは、日本公証人連合会のウェブサイトで確認することができる。 〈自筆証書遺言〉 自筆証書遺言とは、遺言者が、全文、日付及び氏名を自署し、押印することで作成される遺言である(民法968条)。遺言者の他界後、家庭裁判所で検認が必要である(民法1004条)。 自筆証書遺言は、公証役場にあるわけではなく、自宅金庫、銀行貸金庫などを探して有無を確認する必要がある。発見された場合には、遺言書の保存を確実にし、後日の変造・隠匿を防ぐために、家庭裁判所の検認が必要とされている。 〈秘密証書遺言〉 秘密証書遺言とは、遺言書に遺言者が署名押印しその証書を封じ、証書に用いた印章で封印し、公証人等へ提出して公証人・証人が署名押印する遺言である(民法970条)。遺言者の他界後、家庭裁判所で検認が必要である(民法1004条)。 自筆証書遺言と同様に、公証役場に保管されているわけではないため、自宅金庫などを探し、有無を確認する必要がある。家庭裁判所の検認が必要であることも、自筆証書遺言と同様である。   2 遺言の効力 法律的に有効な遺言がある場合、その内容に従い、相続財産の取得者が決まる。 ただし、遺留分、遺言の取消しが実務上、問題となることが多い。 〈遺留分〉 遺言は作成者(被相続人)の意思のみで作成されるものであるため、極端な例で言えば、相続人が全く財産を相続できない可能性もある。 民法においては、相続は遺族の生活保障などの役割を有していると考えられ、一定の被相続人については、相続財産の一定割合を留保する制度が設けられている。これが「遺留分」というものである(民法1028条)。 具体的な例として、被相続人Aが、自己の財産のすべてを長男に相続させる遺言を作成した場合を考える。 この場合、遺言に従い、長男がすべての財産を相続するが、他の相続人(次男など)は全く相続できないことになってしまうため、法律上は、遺留分について、他の相続人は権利を主張することができる(「遺留分減殺請求」という)。 なお、あくまで権利を主張した場合(遺留分減殺請求をした場合)にのみ認められるものであり、これを行わない場合には遺留分は認められない(*1)。 遺留分が認められるのは、兄弟姉妹以外の相続人であり、原則的には、法定相続分の2分の1が遺留分となる(*2)。 〈遺贈の放棄〉 遺言により財産を取得する者は、遺贈を放棄することが可能である(民法986条)。その場合には、遺言者の死亡時に遡って効力が生じることとなる(つまり、最初から遺言がなかったことに法律上取り扱われる)。 この場合には、「遺言がない状態」ということになり、相続人全員で遺産分割協議を行い、合意を得る必要が生じる。 実務的には、遺言に従わず、相続人全員で、遺言と異なる内容で遺産分割協議書を作成する場合があるが、この場合、法律的には、遺贈の放棄が行われ、遺言がない状態に法律上なるため、相続人全員で遺産分割協議を行った、という構成になると考えられる。 (了)

#No. 66(掲載号)
#根岸 二良
2014/04/24

企業結合会計基準に対応した改正連結実務指針等の解説 【第1回】「追加取得の会計処理」-子会社株式から子会社株式

企業結合会計基準に対応した 改正連結実務指針等の解説 【第1回】 「追加取得の会計処理」 -子会社株式から子会社株式   公認会計士 布施 伸章   ◆ 解説 ◆ 1 子会社株式の追加取得の連結上の基本的な会計処理 子会社株式を追加取得した場合には、上記のように、追加取得した株式に対応する持分を非支配株主持分から減額(②240)(※)し、追加取得により増加した親会社の持分(追加取得持分(※))を追加投資額(①300)と相殺消去したうえで、追加取得持分と追加投資額との間に生じた差額(③△60)は、資本剰余金とすることになる(連結会計基準28項)。 (※) 追加取得持分及び減額する非支配株主持分は、追加取得日における非支配株主持分の額により計算する(連結会計基準(注8))。 また、連結会計基準に従い、上記の差額を資本剰余金から控除した結果、資本剰余金が負の値となる場合には、連結会計年度末において、資本剰余金をゼロとし、当該負の値を利益剰余金から減額することになる(連結会計基準30-2項)。 この会計処理は、自己株式等会計基準40項と同様に行うため、負の値となった資本剰余金は、連結会計年度末において、利益剰余金で補てんし、その残高を確定することになり(資本連結実務指針39-2項)、四半期での会計処理は洗い替えることになる。   2 取得関連費用(付随費用を含む)の会計処理 支配獲得後において、子会社株式を追加取得した際に発生した取得関連費用(付随費用を含む)は、連結上、発生した連結会計年度の費用として処理されるが、個別上は、取得関連費用のうち付随費用を取得価額に含めることとなる(資本連結実務指針46-2項)。   3 連結上の税効果の会計処理 1のとおり、連結会社が子会社株式を追加取得した場合、追加取得により増加した親会社の持分と追加投資額との間に生じた差額(親会社の持分変動による差額)は(のれんではなく)資本剰余金として処理することとされたため、子会社への投資の個別貸借対照表上の価額と連結貸借対照表上の価額との間に差額が生じることになる。 また、2のとおり、追加取得に係る子会社株式の取得関連費用の会計処理は、連結上と個別上とで異なることとなったため、子会社への投資の個別貸借対照表上の価額と連結貸借対照表上の価額との間に差額が生じることになる。 これらの差額は、連結財務諸表固有の一時差異に該当し、連結税効果実務指針32項又は37項に従って税効果の会計処理を行うことになる。 (了)

#No. 66(掲載号)
#布施 伸章
2014/04/24
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