収益認識会計基準と 法人税法22条の2及び関係法令通達の論点研究 【第54回】 千葉商科大学商経学部准教授 泉 絢也 キ 値引きや割戻し、貸倒れ見込みや返品権付きの販売 前記イ(本連載第51回参照)でも述べたとおり、値引きや割戻し、貸倒れ見込みや返品権付きの販売について、立案担当者は、次のとおり、説明している。 (※) 財務省『平成30年度 税制改正の解説』270頁 法人税法22条の2第5項は、4項の引渡しの時における価額又は通常得べき対価の額は、同項の資産の販売等につき、❶「当該資産の販売等の対価の額に係る金銭債権の貸倒れ」又は❷「当該資産の販売等(資産の販売又は譲渡に限る。)に係る資産の買戻し」の事実が生ずる可能性がある場合においても、その可能性がないものとした場合における価額とする旨定めている。 この5項について、立案担当者は次のように解説し、同項が留意的規定であること及び上記❷が返品権付きの販売であることを説明している。 (※) 財務省『平成30年度 税制改正の解説』276頁 上記❶について、収益認識会計基準では、顧客と約束した対価に変動対価(顧客と約束した対価のうち変動する可能性のある部分)が含まれる場合、財又はサービスの顧客への移転と交換に企業が権利を得ることとなる対価の額を見積もることになるところ(基準50)、かかる見積りとしてではなく、貸倒れの可能性や資産の買戻しの可能性を織り込んで対価の額が合意された場合の取扱いはどうなるのか、という問題がある。 例えば、金銭の貸付けを例に考えると、その貸付けが第三者間取引であれば、当然、債務者の貸倒れの可能性等を約定金利に反映させることとなるわけであって、貸倒れの可能性がある場合とない場合とで取引価格が異なるのは、当然のことである、という指摘がなされている(朝長英樹「『収益認識に関する会計基準等への対応』として平成30年度に行われた税法・通達改正の検証(3)」T&A master751号25頁参照)。 金銭の貸付けと貸倒れの可能性の例では、同項が対象としているのは元本債権ではなく収益たる利息債権である(1号は資産の販売等の「対価の額に係る」金銭債権の貸倒れと規定していることに注意)。 金銭消費貸借契約において、元本債権のみならず利息債権の貸倒れの可能性も考慮して金利を設定している場合に、同項がかかる金利部分を「通常得べき対価の額」の算定上考慮しないとすることまでを定めるものであるか、という問題を提起しうる。少なくとも、これを肯定することは上記解説が述べる同項の趣旨にそぐわない。 よって、運用面では、その趣旨に合わせた解釈ないし適用が行われる可能性がある。上記のような場合には貸倒れの可能性を考慮した金利の額が「通常得べき対価の額」として認められるということである。 流入する取引価格をベースとする収益認識会計基準と、流出するものの時価をベースとする法人税法では、収益の額の算定に係るベースが異なることを考慮した規定振りにすべきであったのではないか。 また、❷「当該資産の販売等(資産の販売又は譲渡に限る。)に係る資産の買戻し」が返品権付きの販売であることについて、「買戻し」と「返品権付きの販売」という用語法の不一致が問題となりうる。 買戻しは、いったん売買されたものが再売買されるものであるところ、返品は元の売買がなかったものとなるものであるにもかかわらず、法人税法22条の2第5項2号の「資産の買戻し」に返品を含むものと解すべきなのか、という疑問が提起されている(長島弘「収益認識基準対応としての法人税法22条の2の問題点」会計・監査ジャーナル30巻12号116頁参照)。 もっとも、返品調整引当金に係る旧法人税法53条1項は、当該販売の際の価額による「買戻し」に係る特約その他の政令で定める特約を結んでいるものが、当該棚卸資産の当該特約に基づく「買戻し」による損失の見込額として、各事業年度終了の時において損金経理により「返品」調整引当金勘定に繰り入れた金額という表現を採用していたことを指摘しておく。 「返品」という意味で「買戻し」という語を用いる慣例があったとすれば、上記のような解説も許容されるであろう。 (了)
〈注記事項から見えた〉 減損の深層 【第5回】 「飲料メーカーが減損に至った経緯」 -核心に迫れるか- 公認会計士 石王丸 周夫 〈はじめに〉 缶コーヒーのメーカーで減損が実施されました。仕事の合間に自販機で買って飲む、あの缶コーヒーです。在宅勤務で働く人が増えて、缶コーヒーを飲まなくなったからだろうという話は確かにありますが、本当にそれだけでしょうか。注記を手掛かりに、そのあたりを探ってみましょう。 〈今回の注記事例〉 (出所:有価証券報告書) (※) 下線は筆者 〈減損やむなしの状況〉 サッポロホールディングスが食品飲料事業で大規模減損(計11,028百万円)を実施しました。サッポログループの食品飲料事業は、缶コーヒーや即席スープ等を製造、販売しています。ビール事業とは別の部門です。中心となっているのはポッカサッポロフード&ビバレッジという会社で、減損はこの会社の固定資産を対象に実施されたものです。 上掲の注記では、減損の原因は、「新型コロナウイルス感染症の影響」と記載されています。「新型コロナウイルス感染症の影響」について、この会社は、有価証券報告書の注記事項、「4.重要な会計上の見積り及び見積りを伴う判断」で、こう述べています。 つまり、新型コロナウイルス感染症は一時的なものではなく、将来に向けて広範な影響が予想されるため、固定資産の減損が必要になったという説明です。冷静に将来への影響を分析して実施された減損という印象を受けます。 ただし、2020年12月期決算説明会資料「12/23 適時開示 補足説明資料」(2020年12月23日)によると、この減損の背景には、2期連続の赤字計上とコロナ感染再拡大があったと説明されています。 当該資料には、2期連続赤字の原因も記載されており、2019年は冷夏と暖冬、2020年はコロナ禍とのことです。つまり、コロナの前年に異常気象の影響を受けていたということです。 では、2019年の冷夏と暖冬というのは、どの程度深刻だったのでしょうか。 〈2019年の異常気象〉 まず冷夏の方ですが、これは2019年7月のことを指しているものと思われます。気象庁のホームページによると、2019年7月の気温は、東日本では7月としては12年ぶりの低温でした。しかし、6月~8月(夏)の期間で見ると、以下の図表のとおり、必ずしも記録的な冷夏ではありませんでした。 [夏(6-8月)の平均気温が低かった年] (※) 気象庁「日本の季節平均気温偏差(℃)」(最終更新2021/3/1)より筆者作成 上位10位以内の年は、だいぶ昔なのでピンとこないかもしれませんが、第4位の「1993年」だけは覚えている方も多いのではないでしょうか。記録的な冷夏によりコメ不足となって、全国で大騒ぎになった年です。これに比べれば、「2019年」はそもそも偏差がプラスであり、夏らしかったといえます。 次に2019年の暖冬についても確認してみます。こちらは、確かに暖冬でした。以下の表のとおり、記録的暖冬です。 [冬(前年12月-2月)の平均気温が高かった年] (※) 気象庁「日本の季節平均気温偏差(℃)」(最終更新2021/3/1)より筆者作成 そして、よく見ると、第1位は「2020年」です。この統計では、冬の期間は前年12月~当年2月ですので、「2020年」については2019年12月が含まれています。したがって、2019年12月決算は、6位の「2019年」だけでなく、1位の「2020年」の影響もあったというわけです。 飲料の販売と平均気温には相関関係があることがわかっていますので、この暖冬については、サッポロホールディングスの売上に影響があったことは否定できないでしょう。 〈その前から落ちていた業績〉 ところが、ポッカサッポロフード&ビバレッジの財務数値を分析すると、また少し違うことも見えてきます。以下のグラフを見てください。 (※) サッポロホールディングス(株)の有価証券報告書に記載されている「主要な損益情報等」より筆者算定 2019年は暖冬により、2020年はコロナ禍により業績が落ちていますが、トレンド的にはその前の2018年から右肩下がりになっているのです。 実は、この2018年というのは、缶コーヒー業界に変化が起きた年でした。その前年にサントリーからペットボトルコーヒーが発売され、大ヒットし、これを受けて他の飲料大手が競ってペットボトルコーヒーを市場に投入してきた年なのです。結果、この年を境に、コーヒー飲料市場ではペットボトルが定着したと言われています。上のグラフは、ポッカサッポロフード&ビバレッジが、その流れに乗り遅れた可能性を示唆しているようにも見えます。 これを裏付けるようなデータもあります。ポッカサッポロフード&ビバレッジの国内飲料の販売数量に関するデータです。 (※) サッポロホールディングス通期決算説明会資料より筆者作成 業績が落ちる前の2016年と現在(2020年)の比較なのですが、国内販売数量の減少のほとんどが、自販機販売数量の減少であり、コーヒー飲料の減少であることがわかります。 話はここで終わりません。さらにもう1つグラフを見てください。 (※1) サッポロホールディングス(株)の有価証券報告書に記載されている「主要な損益情報等」より筆者算定 (※2) 2020年のデータは執筆時点では未公表 上のグラフは、ポッカサッポロフード&ビバレッジの売上高経常利益率を日本企業の平均値と比べたものです。日本企業の平均値は法人企業統計調査によっており、資本金の規模別に3種類のグラフを載せていますが、ポッカサッポロフード&ビバレッジの売上高経常利益率は、そのいずれよりも低い値となっているのです。ポッカサッポロフード&ビバレッジの資本金は5,432百万円なので、このグラフで見る限り、売上高経常利益率はそもそも低空飛行だったといえます。 つまり、コロナ禍、異常気象、ペットボトルコーヒーとは別に、何か根本的な原因がそこにあるようにも見えますが、これ以上はわかりません。 減損の注記は奥が深いということだけは確かなようです。 (了)
収益認識会計基準を学ぶ 【第5回】 「契約変更」 公認会計士 阿部 光成 Ⅰ はじめに 収益認識会計基準は、顧客と合意し、かつ、所定の要件を満たす契約に適用する(収益認識会計基準17項(1))。 いったん、顧客と締結した契約であっても、その後、契約内容を変更することがあるが、収益認識会計基準はこの「契約変更」について詳細に規定している。 そこで今回(第5回)は、この「契約変更」について解説する。 なお、文中、意見に関する部分は、私見であることを申し添える。 Ⅱ 契約変更の定義 契約変更は、契約の当事者が承認した契約の範囲又は価格(あるいはその両方)の変更であり、契約の当事者が、契約の当事者の強制力のある権利及び義務を新たに生じさせる変更又は既存の強制力のある権利及び義務を変化させる変更を承認した場合に生じる(収益認識会計基準28項、126項)。 Ⅲ 契約変更の種類と会計処理 契約変更は、契約の当事者による承認により生じるものであるが、それによって新たに生じる又は変化する権利及び義務が強制力のあるものかどうかを判定するにあたっては、契約条件並びにすべての関連する事実及び状況を考慮する(収益認識会計基準122項)。 収益認識会計基準は、契約変更として、次の場合を規定している。 1 契約の範囲の変更を承認したが、変更された契約の範囲に対応する価格の変更を決定していない場合 契約の当事者が契約の範囲の変更を承認したが、変更された契約の範囲に対応する価格の変更を決定していない場合には、収益認識会計基準50項から52項及び54項に従って、当該契約変更による取引価格の変更を見積もる(収益認識会計基準29項)。 収益認識会計基準50項から52項及び54項は、変動対価に関する規定である。 2 契約変更を独立した契約とする場合 契約変更について、次の①及び②の要件のいずれも満たす場合には、当該契約変更を独立した契約として処理する(収益認識会計基準30項)。 これは、下記の要件のいずれも満たす契約変更は、追加的に約束した財又はサービスに関する独立した契約を締結した場合と取引の実態に相違がないためである(収益認識会計基準123項)。 3 契約変更を独立した契約としない場合 契約変更が収益認識会計基準30項の要件を満たさず、独立した契約として処理されない場合には、契約変更日においていまだ移転していない財又はサービスについて、それぞれ次の(1)から(3)のいずれかの方法により処理する(収益認識会計基準31項)。 (了)
〈事例から学ぶ〉 不正を防ぐ社内体制の作り方 【第6回】 「テレワーク拡大に伴い増加した不正から会社を守る」 ~ITに依存するリスク~ 米国公認会計士・公認内部監査人 打田 昌行 はじめに 政府が国民にテレワークを強く推奨する現状を、今から1年以上前に誰が想像することができたでしょうか。出勤者を7割削減し、在宅勤務に要した費用の一部を経費として認めるといった以前には考えられなかった政策が打ち出されています。さらに国はハンコの削減によって行政システムを見直し、効率化だけでなく非接触や非対面も推進しようと試みています。 読者の方の中には、テレワークを継続する結果、もう1年も会社に通勤していないという方もいらっしゃるかもしれません。こうした生活や仕事の進め方を支える仕組みの1つは、まぎれもなく情報技術(IT)によるものです。世界的なパンデミックの影響によって、これまでにないくらい私たちの生活や仕事は、ITに強く依存することになりました。 私たちはITによって高い利便性を享受する一方で、これまでにないリスクに直面していることを忘れてはなりません。つい先日も、テレワークの際、会社のサーバーに繋げる時に使う接続機器がサイバーアタックのターゲットとなり、会社情報が漏えいするという事件が報道されていましたし、攻撃型のウイルスメールは常に私たちの隙を狙っています。連休明けにたまったメールを処理する時も、慌ててウイルスメールの添付ファイルを開封することがないようにしなければなりません。 《1》 ITに依存するリスクを考える 非対面、非接触が求められる中で、ITに依存するリスクが今までにないほど増大しています。これまでに指摘されてきた従来型のITに関わるリスクに加え、新たに直面するリスクをあわせ、今回次のように整理しました。リスクを新たに認識することで適切な対応を図ってほしいと思います。 (1) テレワーク時の脆弱なセキュリティが狙われる テレワークの際に用いる個人のパソコンが狙われています。ファイアウォールなどで厳重に守られる会社のサーバーとは異なり、個人のパソコンはセキュリティが比較的脆弱なため、それさえ破れば会社のサーバーに易々と侵入し会社の情報を入手されてしまいます。最近は、盗んだデータを使って脅迫を行う犯罪も頻発しています。 テレワークを継続している方は、実は毎日こうしたリスクに晒されているため、決して無防備のままではいられません。 (2) ITに関するリスクに晒される多くの会社 ① ウイルス感染によるシステムダウン ある会社は、日常からウイルス感染のリスクに注意を払っていたにもかかわらず、社員が不注意にも開いたメール(添付ファイルの開封)が、社内システムへのウイルス感染を招いてしまいました。メール機能は長きにわたり喪失、財務システムがダウンしたことで取引先への支払が危ぶまれる結果となりました。 ② 社内情報の漏えい こうしたリスクは外からの攻撃ばかりではありません。従来型のリスクにもきちんと対応できているかどうかを確認しておく必要があります。ある会社では退職した従業員のID、パスワードがシステム内に放置されたまま、無効化していなかったために、会社の情報が持ち出される被害が起きました。 人事とIT部門が適切に連携して、すみやかに該当のID、パスワードを削除しておけば、未然に防げたはずの事故です。こうした情報漏えいの被害をもたらす原因は、退職者のID、パスワードばかりではありません。退職した従業員が比較的長い期間、テレワークによって使っていた会社が貸与していた個人用パソコンも、情報漏えいの一因となるため迅速な回収を心がける必要があります。 ③ アクセス権限の不適切な付与 全ての社員があらゆるデータに対し自由にアクセスすることを避けるため、アクセス権限が設定されており、通常は会社にアクセス権限付与一覧表が備えられています。このアクセス権限付与をめぐっては、これまでに色々な問題が起きていますので、次のことに注意を払う必要があります。 《2》 ITに依存するリスクに備える 従前のリスクに加え、新たなリスクが増大しつつあることを実感できたら、次はリスクに対する方策を具体的に考えます。それには個人としてすべきことと、会社レベルで取り組むべきことがあります。 (1) テレワーク環境下で個人として守るべき最低限度のこと テレワークに取り組む個人としてITに関わるリスクに対応する必要があります。次に示す点に注意を払いましょう。 (2) テレワーク環境下で会社として対応すべきこと 会社として対応すべきことは数多くあります。内部統制報告制度の視点も加味し、取り組むべき対策のうちのいくつかを紹介します。 金融庁「財務報告に係る内部統制の評価及び監査に関する実施基準」(Ⅱ.3(2)①(参考1)) (了)
〔検証〕 適時開示からみた企業実態 【事例59】 楽天株式会社 「第三者割当による新株式の発行及び自己株式の処分に関するお知らせ」 (2021.3.12) 公認会計士/事業創造大学院大学准教授 鈴木 広樹 1 今回の適時開示 今回取り上げる開示は、楽天株式会社(以下「楽天」という)が2021年3月12日に開示した「第三者割当による新株式の発行及び自己株式の処分に関するお知らせ」である。なお、同社は同年4月1日付で「楽天グループ株式会社」に商号を変更している(同年1月28日に「商号の変更及び定款の一部変更に関するお知らせ」を開示)。 第三者割当増資に関する開示だが、割当先の中に中国ネット大手のテンセントの子会社が含まれていることが注目を浴び、メディアでも取り上げられた(日本郵政株式会社も割当先なのだが、それについては別の機会に論じたい)。 2 本当に純投資? 外国為替及び外国貿易法(外為法)では、外国人投資家が、日本の安全保障において重要な日本企業の株式を1%以上取得する場合、事前審査が必要であるとされており(外為法26条2項3号・4号、27条)、楽天への出資もその対象とされている。 しかし、今回のテンセント子会社による出資は、その事前審査を受けることなく実行された(2021年3月31日に「第三者割当による新株式の発行及び自己株式の処分の払込完了のお知らせ」を開示)。事前審査には免除ルールがあり(外為法27条の2第1項)、それに該当すると判断したようである。2021年4月15日付の日本経済新聞によると、楽天側も「テンセントは純投資で、免除ルールをクリアしていると認識していた」と説明しているとのことである。 テンセント子会社による出資は本当に純投資なのだろうか。今回の開示の「2.募集の目的及び理由」には、次のような記載がある(下線は筆者による)。テンセント子会社を割当先とした理由とテンセント側のコメントである。 この記載を読む限り、テンセント子会社による出資を純投資と解するのは難しい。「資本・業務提携」の一環と捉えるべきだろう。テンセント側のコメントには、思いっきり「提携」という言葉が使われている。 3 なぜ資本・業務提携について開示しなかったのか? 楽天は、今回の開示と同時に「日本郵政グループと楽天グループ、資本・業務提携に合意」という開示も行っている。しかし、「テンセントと楽天グループ、資本・業務提携に合意」は開示していない。テンセント子会社による出資も「資本・業務提携」の一環のはずだが。 提携の内容が深まっていないので、後で開示する予定だったのだろうか。しかし、「日本郵政グループと楽天グループ、資本・業務提携に合意」も、詳細な内容は記載されていない。あくまで「提携に合意」したという程度の内容である。どうせならば、テンセントとの資本・業務提携も併せて開示した方がよかったのではないだろうか。 テンセントとの資本・業務提携については、あえて開示しなかったのだろうか。やはり外為法による事前審査が問題になると考えたのだろうか。しかし、そうだとすると、なぜ今回の開示に上掲のような記載を行ったのだろうか。何か深い意図があったのだろうか。それとも、あまり考えていなかったのだろうか。 楽天は、今回の増資で調達した2,418億円を第4世代移動通信システム(4G)や第5世代移動通信システム(5G)の基地局整備に使うとしている。それには巨額の資金が必要なようで、2021年4月19日には「米ドル及びユーロ建永久劣後特約付社債の発行について」を開示し、約3,200億円の永久劣後債も発行するとしている。 2020年12月期は1,141億円の赤字だったが(2021年2月12日に「2020年12月期 決算短信〔IFRS〕(連結)」開示)、その原因はモバイル事業であった。「早く何とかしないと」といった焦りがあるのだろうか。それが、同社の開示のちぐはぐさに影響を与えているのだろうか。 なお、同社は、2021年2月12日、「2020年12月期 決算短信〔IFRS〕(連結)」と同時に「2020年12月期当社連結業績の前期との差異に関するお知らせ」を開示している。もっと早くに業績予想として開示できたはずだが、こちらは良くない内容なので、開示したくなかったのだろうか。 (了)
2021年5月20日(木)AM10:30、 プロフェッションジャーナル No.420を公開! - ご 案 内 - プロフェッションジャーナルの解説記事は毎週木曜日(AM10:30)に公開し、《速報解説》は随時公開します。
日本の企業税制 【第91回】 「所有者不明土地問題に対処する法律が成立」 一般社団法人日本経済団体連合会 経済基盤本部長 小畑 良晴 4月21日、「民法等の一部を改正する法律」及び「相続等により取得した土地所有権の国庫への帰属に関する法律」が成立し、同月28日に公布された。 これらの法律は、所有者不明土地(不動産登記簿を見ても現在の所有者やその所在が分からない土地)の増加等の社会経済情勢の変化に鑑み、所有者不明土地の「発生の予防」と「利用の円滑化」の両面から、総合的に民事基本法制の見直しを行うものである。 所有者の所在等が不明な土地は管理されずに放置されることが多く、隣接する土地への悪影響が発生するおそれがあり、また、所有者不明土地の存在から、周辺も含めた土地の管理・利用のために必要な合意形成が困難になり、公共事業や自然災害等からの復旧・復興事業が円滑に進まないなど、様々な問題の原因となっていることから、今回の法律の制定は喫緊の課題となっていた。 平成29年度の国土交通省の「地籍調査における土地所有者等に関する調査」では、所有者不明土地の割合は22.2%に及び、その65.5%は相続登記未了によるもので、また33.6%は住所変更登記未了により生じていることが示されている。 つまり、所有者不明土地が発生する大きな原因として、相続登記と住所変更登記がきちんとなされていないことがある。 〇法律の概要 こうした背景を踏まえ、今回成立した法律では、まず、所有者不明土地の「発生の予防」の観点から、不動産登記法を改正し、これまで任意とされていた相続登記や住所等変更登記の申請を義務化しつつ、それらの手続の簡素化・合理化策をパッケージで盛り込んでいる。 また、同じく「発生の予防」の観点から、新法(相続等により取得した土地所有権の国庫への帰属に関する法律)を制定し、相続等によって土地の所有権を取得した者が、法務大臣の承認を受けてその土地の所有権を国庫に帰属させる制度を創設する。 この他、「利用の円滑化」を図る観点から、民法等を改正し、所有者不明土地の管理に特化した所有者不明土地管理制度を創設するなどの措置を講じている。 この法律の施行期日は、原則として公布後2年以内の政令で定める日(相続登記の申請の義務化関係の改正については公布後3年、住所等変更登記の申請の義務化関係の改正については公布後5年以内の政令で定める日)とされている。 〇相続登記・住所等変更登記の申請の義務化 今回の法律の中で、特に注目されるのが相続登記・住所等変更登記の申請の義務化である。 まず、相続登記について、所有権の登記名義人が死亡し、相続等による所有権の移転が生じた場合、当該不動産を取得した者は、自己のために相続の開始があったことを知り、かつ、当該所有権を取得したことを知った日から3年以内に、所有権の移転の登記を申請しなければならないこととされた。この申請をすべき義務がある者が正当な理由がないのにその申請を怠ったときは、10万円以下の過料に処せられる。 なお、申請の義務化とともに、申請義務を簡易に履行するための手続き(相続人申告登記)が創設される。この手続きでは、相続人が、登記官に対し、相続が開始した旨と登記名義人の法定相続人である旨を申し出る(単独で申し出ることも可能)だけで、登記官は、職権で、その旨並びに申し出をした者の氏名及び住所等を所有権の登記に付記することとなる。 次に、住所変更登記については、相続登記のように自然人のみを対象とするものではなく、自然人、法人問わず適用されることになるが、所有権の登記名義人は、その氏名・名称又は住所について変更があった日から2年以内に、氏名・名称又は住所についての変更の登記を申請しなければならず、正当な理由がないのにその申請を怠ったときは、5万円以下の過料に処せられる。 なお、申請の義務化とともに、他の公的機関から取得した情報に基づき、登記官が、職権で、変更情報を不動産登記に反映させる仕組みを導入することとされている。具体的には、法人の場合には、会社法人等番号を登記事項に追加することにより、これをもとに法人・商業登記システムから不動産登記システムに対し、名称や住所を変更した法人の情報を通知し、その情報をもとに登記官が変更の登記をすることとなる。自然人の場合は、登記官が、住民基本台帳ネットワークシステムに対して照会をし、所有権の登記名義人の氏名・住所等の異動情報を取得し、その情報をもとに、登記名義人に変更の登記をすることについて確認を取った上で、変更の登記をすることとなる。 〇税制上の対応 与党の令和3年度税制改正大綱では、「相続等に係る不動産登記の登録免許税のあり方については、所有者不明土地等問題の解決に向けて、相続発生時における登記申請の義務化、新たな職権的登記の創設等を含めた不動産登記法等の見直しについて次期通常国会に関連法案を提出する方向で検討が進められていることから、その成案を踏まえ、令和4年度税制改正において必要な措置を検討する」とされている。 相続登記の義務化に伴う簡易な手続き(相続人申告登記)については、利用しやすい簡易なものであることはもとよりそのコスト(登録免許税)面での手当も制度の利用促進の観点から重要となる。負担軽減に向けた検討が期待される。 一方、氏名・名称又は住所の変更に関する登記の職権での変更手続きについては、自動的に他の行政機関の情報を反映させるものであり、登録免許税が課税されることはないと考えられる。まさに政府におけるデジタルトランスフォーメーションによる社会全体のコスト削減の好事例となろう。 (了)
令和3年度税制改正における 相続税・贈与税の納税義務者・課税財産の見直し 税理士法人トゥモローズ 令和3年度税制改正案に盛り込まれた「相続税・贈与税の納税義務者・課税財産の見直し」案について、去る3月26日の国会において可決・成立し、令和3年4月1日より施行されている。 1 改正の背景 日本国内で働いている外国人が国外に財産を残したまま日本国内で亡くなった場合には、その国外の財産を含めて日本の相続税・贈与税が課税されるため、外国人ファンド運用者などの優秀な人材が誘致できず、その課税のあり方について問題視され続けていた。この問題点を改善すべく、高度外国人材の受入れを促進するためにも、これまで10年以下の居住期間を線引きとして、該当した場合には国内財産のみを課税対象に限定し、相続税・贈与税の課税が行われてきた(相続税法第1条の3)。 さらに、平成29年度税制改正における短期滞在の外国人同士の相続や、平成30年度税制改正における日本出国後における相続等については、国外財産を課税対象外とするような改正措置が講じられてきた。 外国人が所有する国外財産に対して日本の相続税・贈与税を課税することは、高度外国人材が日本で働くことを、ひいては政府が掲げる日本が将来的なアジアでの国際金融センターとなることを阻害することとなる。そのため、今般の令和3年度税制改正においては、国際金融都市に向けて「外国人に係る相続税等の納税義務の見直し」として、日本で働く高度外国人材等の保有する国外財産に対する課税の緩和措置が講じられている。 2 改正内容 ① 従前納税義務 相続税の納税義務者について、相続税法第1条の3(相続税の納税義務者)に規定されているが、当該条文を体系的に簡略化したものが下図となる。 〈改正前〉 ※1 出入国管理法別表第1の在留資格で滞在している者で、相続・贈与前15年以内において国内に住所を有していた期間の合計が10年以下の者 ※2 出国前15年以内において国内に住所を有していた期間の合計が10年以下の外国人 ※3 出国前15年以内において国内に住所を有していた期間の合計が10年超の外国人で出国後2年を経過した者 (※) 財務省『平成30年度 税制改正の解説』581頁より筆者一部改変 なお、今回、改正となる部分は後述に解説しているが、国内に住所を有する被相続人及び贈与者の部分である。 この部分に該当する者は、従前までの取扱いとしては「一時居住被相続人」、「一時居住贈与者」として、一時居住者である相続人等に対する相続・贈与につき国外財産はその課税の対象から外れることとなっている。 ② 改正内容 今回の改正により、国内に住所がある被相続人及び贈与者について、上述のとおり従前は「一時居住」として「相続・贈与前15年以内の国内居住期間の合計が10年以内である場合」に限って、一時居住の相続人や受贈者で一定の者に対して相続・贈与が生じた際に、国外財産がその相続税・贈与税の課税対象外となっていた。 これが今般の改正により、被相続人及び贈与者の居住期間の縛りがなくなり、在留資格を有することのみで国外財産がその相続税・贈与税の課税対象外とされることとなった。 〈改正後〉 (※) 財務省『平成30年度 税制改正の解説』581頁より筆者一部改変 なお、在留資格とは、出入国管理及び難民認定法別表第一の掲げる在留資格として、下記のような資格として日本国内で就労の際に付与されるものである。 《別表第一》 3 適用時期及び経過措置 上記の取扱いは、あくまで施行日である令和3年4月1日以降に発生した相続等又は贈与について適用され、それより前の令和3年3月31日以前に発生した相続等又は贈与については、遡及はせずに適用されないこととなる。 (了)
相続税の実務問答 【第59回】 「相続時精算課税に係る贈与税相当額の還付申告の期限」 税理士 梶野 研二 [答] 相続税の還付申告は、相続の開始日の翌日から5年以内に限って行うことができます。お尋ねの場合、あなたのお父様の相続が開始した日は平成28年(2016年)2月1日ですから、その翌日から5年を経過する日は令和3年(2021年)2月1日となりますが、既にこの日を過ぎていることから、今から還付申告をすることはできません。 ※画像をクリックすると、別ページで拡大表示されます。 ● ● ● ● ● 説 明 ● ● ● ● ● 1 相続時精算課税に係る贈与税額の還付申告 贈与税の申告について、相続時精算課税を選択した者は、その相続時精算課税に係る贈与者が亡くなった場合には、相続時精算課税に係る贈与財産の価額を相続税の課税価格に含めて相続税の計算をしなければなりません(相法21の15①、21の16①)。この際、この相続時精算課税に係る贈与財産について課された贈与税額があるときには、この相続時精算課税に係る贈与税の税額(ただし、相続税法第21条の8に規定する外国税額控除前の税額とし、附帯税(延滞税、利子税、過少申告加算税、無申告加算税及び重加算税)に相当する税額を除きます)を相続税額から控除して納付すべき相続税額を算出します(相法21の15③、21の16④)。 この場合、相続時精算課税に係る贈与税の税額を相続税額から控除してもなお控除しきれない金額があるときは、相続税の申告書にその控除しきれなかった金額(相続税法第21条の8に規定する外国税額控除の規定の適用を受けている場合にあっては、その金額を控除した残額)を記載し、この控除しきれなかった金額に相当する税額の還付を受けることができます(相法33の2①)。 2 還付金請求権の時効 上記のとおり相続時精算課税に係る贈与税相当額の還付金は、相続税還付申告書を提出することにより還付の請求をすることができます。しかしながら、相続税法上、この還付金請求のための申告書の提出期限の定めはありません。 ところで、相続時精算課税に係る贈与税相当額の還付金請求権は、国税通則法第74条第1項所定の「還付金等に係る国に対する請求権」に該当すると考えられ、同項は、還付金等に係る国に対する請求権は、「その請求をすることができる日から5年間行使しないことによって、時効により消滅する」と規定しています。そして、「その請求をすることができる」については、法律上権利行使の障害がなく、権利の性質上、その権利行使が現実に期待のできるものであることを要すると解するのが相当であるとされています(参考:最高裁平成8年3月5日第三小法廷判決・民集50巻3号383頁)。 この点、相続税の納税義務は、相続又は遺贈による財産の取得の時、すなわち相続の開始時に発生することとされており(通法15②四)、他方で、還付金請求権がある場合には、その額の算定も相続の開始時に可能となりますから、この還付金請求権に係る国税通則法第74条第1項所定の「その請求をすることができる日」は、相続開始の日と解すべきであると考えられます(参考:令和2年3月10日東京地裁判決・TAINSコード:Z888-2323)。 贈与税相当額の還付を求める相続税の申告書は、相続税法第27条第1項に定めるに、相続税の申告書の提出期限から5年以内であれば提出することができるのではないかとの疑義も生じ得るかと思いますが、上記のとおり、この還付金請求権は相続開始の日の翌日から起算して5年を経過した時点で時効により消滅することとなります。 3 ご質問の場合 お父様に相続が開始したことに伴う相続税については、遺産総額が相続税の基礎控除額に達せずあなたに相続税の申告義務がなかったため、相続税の申告をしなかったとのことですが、あなたの場合、相続時精算課税に係る贈与税額を控除する前の相続税額は0円であり、0円から相続時精算課税に係る贈与税額20万円を控除できませんので、この20万円は相続税額から控除できなかった金額として相続税の申告書に記載することにより還付を受けることができました。 しかしながら、あなたのお父様の相続が開始した日は平成28年(2016年)2月1日ですから、その翌日から5年を経過する日は令和3年(2021年)2月1日となり、還付申告ができることに気が付いた時には既にこの日を過ぎていることから、もはや20万円の贈与税相当額の還付を受けるための申告をすることはできません。 (了)
〈ポイント解説〉 役員報酬の税務 【第26回】 「役員に対して支払った解決金が役員給与とされた事例」 税理士 中尾 隼大 ○●○● 解 説 ●○●○ このような点が争点となった裁決例があるため紹介する(※1)。 (※1) 国税不服審判所平成29年9月1日裁決(判例集未登載、TAINS:F0-2-779)。 (1) 和解により支払った解決金が役員給与であるとされた事例 この事例は、同族会社において役員と会社における和解が成立し、役員に解決金を支払った事例であり、その背景は以下の通りである。 当該同族会社は、株主総会決議や定款に役員報酬額の定めが存在せず、いわゆるメモ書きにて役員に支給額を通知していたという実態があった。さらに、特定の役員には当該メモ記載額よりも多く報酬の支払いがある一方で、全く支払いのない役員も存在した。 そこで、役員(仮にAとする)らが株主として、役員報酬名目で支払われた各金員を当該同族会社に返還する旨の株主代表訴訟を提起し、賠償金の支払いを認める判決が示された。その後、Aらは当該同族会社に対し、役員報酬額や遅延損害金を求める訴訟を提起したが、裁判所は当該メモにより役員報酬額の同意があったとしてAらの請求を認容した。結果として、控訴審において、Aらが役員報酬請求権を放棄し、同族会社が解決金を支払う旨の和解が成立している。 そこで、当該同族会社は、当該解決金の支払いについて、損害賠償金勘定に計上した上で損金算入したところ、課税庁より否認され、審査請求を行うに至った。 (2) 審判所の判断 「権利関係を検討するに当たって、まずは、当該和解調書に記載された条項の文言解釈が中心となることは勿論であるが、一般法律行為の解釈と同様、文言とともにその解釈に資すべき他の事情、特に裁判上の和解であるからこそ、当該訴訟事件の従来の経過等をも十分に参酌して、もって当事者の真意を探求してなされるべきである」。 認定された事実に基づいて法律関係を検討すると、「請求人は、・・・役員報酬の支払を求める訴訟を提起されたところ、本件各金員を支払うことによって、Aらの請求人に対する役員報酬請求権を消滅させ、・・・に係る紛争を終局的に解決する趣旨で本件各和解条項の内容を定めたものと認められ」る。そして、本件各和解条項に係る紛争の解決に関連する内容以外の条項がない点や請求人に対する役員報酬請求権を放棄すること、当該メモを根拠とする請求はしない旨定められていることも併せ考えれば、「本件各和解条項において請求人がAらに対して支払うものとされた解決金については、Aらに対する役員報酬の支払とみるべきものである。したがって、本件各金員は、法人税法34条1項に規定する役員に対して支給する給与に該当する。」 その上で、法人税法34条1項各号に該当しないとして、損金不算入であると示している。 (3) 和解調書から読み取るべきこと 本件は、和解調書による支払いが、役員給与に該当し、定期同額給与・事前確定届出給与・利益連動給与(当時)のいずれにも該当しないことから損金不算入であると示されたものである。翻せば、例えば事前確定届出給与に関する届出書を提出した上で損害賠償金を支払うことで損金算入が可能であったこととなるが、実務上、このように考え至ることは困難であるとも思われる。 しかし、紛争の解決が訴訟上の和解により行われた場合、「解決金」「和解金」等の名目で金員の支払いとその支払方法、遅延損害金に関する条項のみが和解調書に記載されるケースが多い。 ここで、「和解」とは、当事者が互いに譲歩をしてその間に存する争いをやめることを約することであり(民法695)、「訴訟上の和解」は、①紛争当事者が合意により紛争を解決する、②判決権限を有する裁判官が仲介する、という2つの特徴がある(※2)。訴訟上の和解は裁判官が仲介することでより客観的なものとなることが背景となり、和解調書に「〇〇円の支払義務があることを認める」等、権利義務についてのみ明記される実務上の運用があるのだろう。 (※2) 伊藤眞他編『民事司法の法理と政策 上巻』(商事法務、2008)70頁[出井直樹「裁判上の和解をどう考えるか」]。 本件は、審判所が示した通り、和解調書の内容に加えて原因や経緯等を総合的に勘案する必要性が浮き彫りとなった事例でもある(※3)。役員と会社間で訴訟上の和解が行われた場合には、和解調書によるその実質的な経済効果にも着目しておくことで、役員に対する役員給与に該当するという可能性まで念頭に置いておきたい。 (※3) 和解についてほぼ同旨の判断の内容を示した裁決例として、国税不服審判所平成30年9月12日がある(裁決事例集112集59号、TAINS:J112-3-04)。 (了)