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相続税・贈与税の基本構造~日本と台湾の比較~ 【第2回】

相続税・贈与税の基本構造 ~日本と台湾の比較~ 【第2回】   大阪学院大学法学部教授 公認会計士・税理士 八ッ尾 順一   3 台湾の相続税・贈与税 台湾は、遺産課税体系を採用している。相続税・贈与税に関係する法律としては、「民法」(以下、台民)(相続:第1138条~第1225条)、「遺産及び贈与税法」(以下、遺贈税法)(1973.2に制定され、2009.1に大幅な改正が行われ、現在に至っている)で、他に、政省令に該当する「相続及び贈与税法施行細則」(以下、遺贈税細則)がある。 2009年1月の遺贈税法の改正によって、相続税及び贈与税の大幅な減税措置が実施された。この改正の背景には、台湾の富裕層の海外脱出が原因であると言われている。すなわち、台湾がこのような相続税・贈与税についての減税措置を採ったのは、台湾から海外に移された資金を台湾に呼び戻し、台湾の経済を活発化することにあると言われている。 もっとも、台湾の資産家は、すでに資金を海外に移動させるなどの様々な手法により相続税を回避していることから、この減税措置は、むしろ、未だ相続税対策を行っていない、中産階級の一般人に向けたものであるとも言われている。 2009年1月の改正前・改正後の比較をすると、次のようになる。 その後、2017年4月に、相続税及び贈与税の税率が、一律10%から10%~20%の累進課税に変更された(遺贈税法13、19)。 (注) 元=3.6176円(2019.4.4現在) 上記の改正理由について、財政部の「遺産及贈與税法部分條文修正草案総説明」は、 と説明し、財源の確保を目的として、増税を行っている。 (1) 法定相続人と相続 ① 法定相続人と相続分 配偶者以外の法定相続人の順位は、以下のとおりである(台民1138)。 配偶者は、互いに相続人となる(台民1144)。 □代襲相続人 ・第一順位の相続人が相続開始前に死亡、又は相続権を喪失した場合には、その直系卑属が代襲相続人となりその相続分を承継する(台民1140)。 □相続分 ・同一順位の相続人の相続分は均等である(台民1141)。 ・配偶者の相続分は、第1順位(直系卑属)とともに相続する場合には均等、第2順位(父母)又は第3順位(兄弟姉妹)と相続する場合は2分の1、第4順位(祖父母)と相続する場合は3分の2となる(台民1144)。 ② 効力 相続は、被相続人の死亡により開始する(台民1147)。 被相続人の債務については、相続人は相続により取得した遺産に限定され、連帯して責任を負う。被相続人の債務について相続人間の責任は、法律により別の定めがある場合又は他に契約がある場合を除き、相続分に比例して負担する。 ③ 遺産の分割 遺産の分割には、「協議による分割」と「遺言による分割」がある。 相続人のうち相続開始前に、結婚、別居又は営業のためなどにより、被相続人より財産の贈与を受けている場合は、当該贈与額を相続開始時の被相続人の財産に加算し、承継すべき遺産とする。当該贈与価額を遺産分割のとき、当該相続人の相続分から控除する。贈与額は、贈与時の価値により計算する(台民1173)。 ④ 遺留分 相続人の遺留分は、以下のとおりである(台民1223)。 ⑤ 相続放棄 相続人は、相続を放棄することができる。相続の放棄は、相続できることを知ったときから3ヶ月以内に、裁判所に書面で行う(台民1174)。 相続放棄は、相続開始時に遡及して効力が発生する(台民1175)。 (2) 納税義務者、申告時期及び申告先 (注) 台湾の贈与税については、贈与税額が発生する場合、贈与発生後30日以内に、贈与税の申告をすることになる。  例えば、下記例の①については、免除額(220万元)により、贈与税の申告は必要ないが、②及び③の場合には、申告しなければならない。 (3) 課税財産の範囲 (4) 信託財産 (5) 納めるべき税額の計算 ① 相続税 (※) 遺産に加算した2年以内に贈与した財産がある場合は、納付した贈与税額及び利子を控除する。 ② 贈与税 (6) 非課税の範囲 (7) 免除額 (8) 控除額 (9) 財産の評価方法 相続及び贈与における主たる財産の評価方法は、次のとおりである。 ① 土地 公示価格又は評定標準価格(遺贈税法10③)。 ② 建物 評定標準価格(遺贈税法10③)。 ③ 債権 債権額、利息の定めがある場合は、被相続人の死亡の日又は贈与の行為があった日からの経過利息を加える。 ④ 上場株式又は店頭売買銘柄の有価証券 相続開始日又は贈与日における株式市場の終値又は店頭の当日の取引価格の加重平均により評価する。 ⑤ 未上場、未店頭売買の株式会社の株式 相続開始日又は贈与日の当該会社の純資産簿価に、以下の調整をして評価する。 (了)

#No. 333(掲載号)
#八ッ尾 順一
2019/08/29

措置法40条(公益法人等へ財産を寄附した場合の譲渡所得の非課税措置)を理解するポイント 【第13回】「承認特例の適用要件」

措置法40条(公益法人等へ財産を寄附した場合の 譲渡所得の非課税措置)を理解するポイント 【第13回】 「承認特例の適用要件」   公認会計士・税理士・社会保険労務士 中村 友理香   - 質 問 - 私は所有する不動産をある公益財団法人に寄附することを考えています。私を含め親族は寄附する予定の公益財団法人とは何ら関係がなく、役員にも就任しておらず、職員としても勤務していません。 この場合、所得税が非課税となる措置を受けるための要件は何か変わりますか。   - 回 答 - 寄附者が当該公益社団法人・財団法人の役員等及び社員並びにこれらの人の親族等に該当せず、かつ、寄附先の公益財団法人が行政庁から基金の証明を受けているのなら、承認特例対象法人に財産を寄附した場合における譲渡所得等の非課税の特例(承認特例)の制度の適用を受けられる可能性があります。 ○●○◆ 解 説 ◆○●○ 個人が、土地、建物、株式などの財産を公益社団法人・財団法人に寄附した場合に、寄附をした人がその法人の役員等に該当しないこと等の承認要件を満たすものとして国税庁長官の承認を受けたとき(申請書を提出した日から1ヶ月又は3ヶ月以内(※)にその申請について国税庁長官の承認がなかったとき、又は承認しないことの決定がなかったときは、その申請について非課税承認があったものとみなされます)には、この寄附に対する所得税を非課税とする制度があり、本問でもこの承認特例制度における3つの要件のすべてを満たす場合は、制度の適用を受けることが可能です(措令25の17⑦⑧)。 (※) 寄附財産が株式等である場合には3ヶ月以内。 ところで、租税特別措置法第40条の一般特例を受ける場合には、下記の3つの条件を満たす必要があり、かつ、承認が出るまで2~3年ほどの期間がかかると言われています。 これに対し、承認特例の場合には、前述のとおり国税庁長官への承認申請から1ヶ月(株式の場合は3ヶ月)の期間、何も連絡が来なかった場合には、承認されたものとみなされますので、承認までの期間も短く、また要件も一般特例と比べ、より簡易な内容となっています。 承認特例の要件は次の3つですが、その内容は一般特例とは異なります。 本問では、寄附者が寄附候補として検討している公益財団法人とは何ら関係がないとのことなので、要件aは満たしています。よって、その他の2つの要件b及び要件cも満たされるなら、当該寄附に対する譲渡所得税は非課税とされます。 ただし、当該公益法人において寄附を行った日が属する事業年度終了後3ヶ月以内に、寄附者が公益法人から交付される基金明細書の写しを所轄税務署に提出しなかった場合には、承認特例が取り消され、譲渡所得税が課税されることになります(措令25の17⑨⑩)。   (了)

#No. 333(掲載号)
#中村 友理香
2019/08/29

企業結合会計を学ぶ 【第24回】「子会社が親会社に会社分割により事業を移転する場合の会計処理」

企業結合会計を学ぶ 【第24回】 「子会社が親会社に会社分割により 事業を移転する場合の会計処理」   公認会計士 阿部 光成   Ⅰ はじめに 今回は、共通支配下の取引等の会計処理のうち、子会社が親会社に会社分割により事業を移転する場合の会計処理(会社分割の対価が親会社株式のみの場合)について解説する。 なお、文中、意見に関する部分は、私見であることを申し添える。   Ⅱ 個別財務諸表上の会計処理 1 概要 子会社が親会社に会社分割により事業を移転する場合(会社分割の対価が親会社株式のみの場合)、個別財務諸表上、次のように会計処理する(結合分離適用指針214項、216項、442項)。 親会社と子会社との取引において、非支配株主の出資比率により個別財務諸表上の会計処理を区別することは、現行の会計慣行にはないことから、個別財務諸表における当該会社分割の会計処理は、非支配株主の出資比率にかかわらず、すべて共通支配下の取引として取り扱い、移転先企業(親会社)は移転元企業(子会社)の適正な帳簿価額に基づいて会計処理するものである(結合分離適用指針442項)。 ◎親会社(吸収分割承継会社) 【資産及び負債の会計処理】 親会社が子会社から受け入れる資産及び負債は、企業結合会計基準41項により、分割期日の前日に付された適正な帳簿価額により計上する。 【増加すべき株主資本の会計処理】 移転事業に係る評価・換算差額等(結合分離適用指針87項(1)②)(親会社が作成する連結財務諸表において投資と資本の消去の対象とされたものを除く)を引き継ぐ。 移転事業に係る株主資本相当額(結合分離適用指針87項(1)①)は払込資本(資本金又は資本剰余金)として処理する。 増加すべき払込資本の内訳項目(資本金、資本準備金又はその他資本剰余金)は、会社法の規定に基づき決定する(結合分離適用指針409項)。 移転事業に係る株主資本相当額がマイナスとなる場合には、払込資本をゼロとし、その他利益剰余金のマイナスとして処理する(結合分離適用指針445項)。 【企業結合(会社分割)に要した支出額の会計処理】 企業結合(会社分割)に要した支出額は、発生時の事業年度の費用として会計処理する。 ◎子会社(吸収分割会社) 子会社が受け入れる親会社株式の取得原価は、企業結合会計基準43項により、移転事業に係る株主資本相当額に基づいて算定する。 具体的には、親会社が子会社に会社分割により事業を移転する場合の会計処理(会社分割の対価が子会社株式のみの場合)の親会社の会計処理(結合分離適用指針226項)に準じて処理する。 事業分離(会社分割)に要した支出額は、発生時の事業年度の費用として会計処理する。 2 親会社が子会社から受け入れる資産及び負債の修正処理 前述のように、子会社が親会社に会社分割により事業を移転する場合には、親会社の個別財務諸表上、原則として、適正な帳簿価額により資産及び負債を受け入れる会計処理を行う。 次のことに注意する(結合分離適用指針215項)。   Ⅲ 連結財務諸表上の会計処理 連結財務諸表上の会計処理は、実質的に非支配株主持分相当額と考えられる部分については、非支配株主との取引に準じて処理するものである(結合分離適用指針442項)。 具体的には、子会社に交付する親会社株式のうち実質的に非支配株主に交付したものと考えられる部分(非支配株主持分相当額)を非支配株主持分から控除する(結合分離適用指針442項)。 次のように会計処理する(結合分離適用指針217項)。 (1) 内部取引の消去 子会社が会社分割の対価として受け入れた親会社株式のうち、分割期日の前日における親会社持分相当額とこれに対応する親会社の払込資本の増加額は、企業結合会計基準44項により、内部取引として消去する。 (2) 親会社株式のうち非支配株主持分相当額の振替処理 子会社が受け入れた親会社株式のうち、分割期日の前日における非支配株主持分相当額は、自己株式等会計基準15項に従い非支配株主持分から控除する。 上記の連結財務諸表上の会計処理に関する基本的な考え方は次のとおりである(結合分離適用指針442項)。 (了)

#No. 333(掲載号)
#阿部 光成
2019/08/29

経理担当者のためのベーシック会計Q&A 【第152回】金融商品会計⑱「払込資本を増加させる可能性のある部分を含む複合金融商品(転換社債型新株予約権付社債)の会計処理」

経理担当者のための ベーシック会計Q&A 【第152回】 金融商品会計⑱ 「払込資本を増加させる可能性のある部分を含む 複合金融商品(転換社債型新株予約権付社債)の会計処理」   仰星監査法人 公認会計士 小林 清人     〈事例による解説〉   〈会計処理〉(単位:千円) 【一括法を採用した場合】 ① 発行時 ◆X1年4月1日 ② 権利行使時 ◆X4年4月1日 【区分法を採用した場合】 ① 発行時 ◆X1年4月1日 ② 償却原価法の適用 ◆X2年3月31日 (※1) (100,000千円-98,000千円)÷5年 ◆X3年3月31日 (※2) (100,000千円-98,000千円)÷5年 ③ 権利行使時 ◆X4年4月1日 (※3) (98,000千円+400千円+400千円)   〈会計処理の解説〉 転換社債を発行した場合の処理は、「一括法」と「区分法」の2つの処理が認められています。 1 発行時の処理 一括法では、社債の対価部分と新株予約権の対価部分に区分せず、普通社債の発行に準じて処理します。したがって、本事例の場合、払込金額がそのまま社債の帳簿価額となります(上記【一括法を採用した場合】①の仕訳参照)。 区分法では、社債の対価部分と新株予約権の対価部分に区分し、それぞれ普通社債の発行及び新株予約権の発行に準じて処理します。 すなわち、本事例の場合、社債部分が@98円であるため、100,000千円÷100円×@98円=98,000千円となり、新株予約権部分は@2円であるため、100,000千円÷100円×@2円=2,000千円を計上します(上記【区分法を採用した場合】①の仕訳参照)。 2 償却原価法の処理 本事例の前提条件で区分法を採用した場合、社債の額面総額と計上金額に差額が生じます。これは、金利に相当する部分であると考えられるため、償却原価法を適用し、帳簿価額を調整する必要があります。具体的には、100,000千円の発行価額と社債に対する払込金額98,000千円の差額2,000千円を、償還までの期間である5年間で決算日に毎期調整します(上記【区分法を採用した場合】②及び③の仕訳参照)。 他方、一括法を採用した場合には社債の額面総額と計上金額は一致しているため、償却原価法の適用はありません。 3 権利行使時の処理 本事例の場合、一括法では、転換社債の帳簿価額を、資本金に振り替えます(上記【一括法を採用した場合】②の仕訳参照)。 他方、区分法では、社債の対価部分(帳簿価額)と新株予約権の対価部分(帳簿価額)の合計額を資本金に振り替えます。区分法では、償却原価法を適用しているため、一括法を採用した場合と資本金の額が相違します(上記【区分法を採用した場合】③の仕訳参照)。   (了)

#No. 333(掲載号)
#小林 清人
2019/08/29

改正相続法に対応した実務と留意点 【第8回】「遺言執行者に関する留意点」

改正相続法に対応した実務と留意点 【第8回】 「遺言執行者に関する留意点」   弁護士 阪本 敬幸   今回は、遺言執行者に関する留意点に関して解説する。   1 遺言執行者に関する変更点 改正前民法においては、遺言執行者に関して、その法的地位や権限について不明確な点が多いと言われていた。これを受けて改正後民法では、遺言執行者の権限の明確化等が図られることとなった。改正後民法における規定は、「遺言執行者は、遺言の実現のために行動する者である」という、遺言執行者の本質に留意したものと考えられる。 各変更点については、拙稿「改正法案からみた民法(相続法制)のポイント【第5回】」をご覧いただければと思うが、今回は、具体例に基づき「遺言執行者に就任した場合、具体的にどのように行動すべきか」という観点から、その留意点を解説したい。   2 具体例による検討 (1) 遺言執行者の任務の開始 〔例①〕 弁護士Aは、被相続人Bが作成していた遺言により、遺言執行者に指定された。 相続人は、Bの妻C、子Dと子Eがいる。遺言には、Bの所有する不動産(5,000万円)をCに相続させる、Bの預貯金(4,000万円)については、Dに3,000万円、Eに1,000万円をそれぞれ相続させる、Bの所有する絵画(合計1,000万円)をD相続させる、とされていた。 Aは遺言執行者として、まず何をすべきか。 Aは、遺言執行者への就任を承諾するか否かを決定し、就任を承諾する場合には、直ちにその任務を行わなければならない(改正後民法1007条1項、変更無し)。 そしてAは、遺言執行者としての任務を開始したときは、遅滞なく、遺言の内容を相続人に通知しなければならない(改正後民法1007条2項、新設)。このように改正後民法では、遺言内容の通知義務が定められた点に留意されたい。 なおAは、遅滞なく相続財産の目録を作成して、相続人に交付しなければならない(改正後民法1011条1項、変更無し)。 (2) 遺言執行者の権限 〔例②〕 遺言執行者Aが遺言に従い、不動産の所有権移転登記名義をCに変更しようとしたところ、Eが勝手に、法定相続分に従った持分を登記していた。 AはEに対して、持分登記の抹消を請求することはできるか。 改正前民法では、1012条1項により「遺言執行者は、相続財産の管理その他遺言の執行に必要な一切の行為をする権利義務を有する」と規定される一方、1015条には、遺言執行者は「相続人の代理人」と規定されており、遺言執行者が「相続人の代理人」であるとすれば、遺言執行者が相続人の1人に対して訴訟提起等することは、遺言執行者の中立性や利益相反の観点から問題があると解する余地があった。 改正後民法1012条1項では、「遺言者は、遺言の内容を実現するため、相続財産の管理その他遺言の執行に必要な一切の行為をする権利義務を有する」として、遺言の内容を実現するために行動することが強調されることとなった。また改正後民法1015条は「遺言執行者がその権限内において遺言執行者であることを示してした行為は、相続人に対して直接にその効力を生ずる」として、「相続人の代理人」という文言は削除された。 このように、改正後民法においては、遺言執行者は、遺言内容の実現を主眼として活動すべきことが明確にされ、「相続人の代理人」でもないため、本件のような場合、遺言執行者Aは遺言の内容を実現するため、Eに対し持分登記の抹消を請求することができる。 結論としては改正前民法における解釈に基づく処理と同様であるが、「相続人の代理人」という文言から生じていた条文上の疑問点を解決したものといえる。 なお、遺言執行者には、委任契約に基づく条文が準用される(改正後民法1012条3項、変更無し)から、準用された条文に基づき、善管注意義務、事務処理報告義務、費用償還請求権等の権利義務を有する。 (3) 特定財産承継遺言に関する対応 〔例③〕 被相続人Bが所有していた不動産には、子Eが居住している。遺言では「Cに不動産を相続させる」とされていたことから、CとしてはEに退去を求めたい。 遺言執行者Aとしては、何をすべきか。 改正後民法1014条2項(新設)は、 としている。改正後民法899条の2により、法定相続分を超えて相続人に特定財産を相続させる旨の遺言があった場合、相続人と第三者との関係は対抗要件具備の先後により決せられることとなったことを受けた規定である。 したがって、遺言執行者Aとしては、遺言内容の実現のため、Cに対抗要件を具備させるように所有権移転登記手続を行わねばならない。 しかし、「Cに不動産を占有させること」といった遺言がない場合、遺言者の意思として、Cに占有を移転させるべきものとまでいうことはできない。そうすると、遺言内容の実現のために行動する遺言執行者(改正後民法1012条1項)としては、登記名義をCに移転させることは任務の範囲内であるが、占有移転(明渡し)についてまでEに対して請求することは任務の範囲外であると考えられる。 したがって、Aとしては、不動産の登記移転手続を行えば足り、Eに対し明渡しを求める権限は有しておらず、そのような義務も負わない(中間試案補足説明51頁参照)。 〔例④〕 被相続人BがDに相続させるとした絵画は、Bの生前はBが占有していたが、何者かに盗み出されたようである。 遺言執行者Aとしては、何をすべきか。 遺言執行者Aとしては、遺言内容の実現のため、Dが絵画を取得できるように活動すべきである。 絵画のような動産の場合、対抗要件は引渡しであるから(改正後民法178条)、Aとしては絵画をDに引き渡すような活動をすべきである。もっとも、実際問題として、盗み出された絵画を発見して取り戻し、引き渡さねば遺言執行者の義務が尽くされたとはいえないというのであれば、Aにとって酷である。このため、必要な調査を行い、それでも絵画がどこにあるか不明という場合、Aの義務は果たされたと考えるべきであろう。 〔例⑤〕 遺言執行者Aは、遺言により子Dと子Eに相続させるとされた預貯金を解約し、遺言に従って分配したい。 しかし、子Eが、遺言は遺留分を侵害するとして解約に同意しない。 Aとしては、どうすべきか。 (ア) 遺留分の主張に対する遺言執行者の対応 先述したように、遺言執行者は遺言の内容を実現することを職務とし(改正後民法1012条1項)、相続人の代理人というわけでもない。 また、改正前民法における遺留分減殺請求は物権的な効果を生じさせるものであり、減殺請求により遺留分侵害行為の効力は消滅し、遺産目的物上の権利は当然に遺留分権利者に復帰するとされていたが、遺留分侵害額請求(改正後民法1046条)では、遺留分侵害行為の効力が消滅するわけではなく、金銭の支払いを請求できるという債権的な効果を生じさせるものとなった。 すなわち、遺留分侵害額請求があった場合、遺留分権利者から遺留分義務者に対する新たな権利が発生するが、遺言の効果が覆るわけではない。 したがってAとしては、遺留分侵害の主張がなされたとしても遺言内容の実現を図るべきであり、D・Eに預貯金を取得させるように活動すべきである。 (イ) 預貯金債権の払戻し請求、解約申入れを行う権限 この場合、Aとしては、対抗要件を具備させるために必要な行為を取ることもできる(改正後民法1014条2項)。預貯金のような債権の債務者対抗要件は通知又は承諾であり(改正後民法467条1項、899条の2第2項)、Aとしては、債務者たる金融機関との関係で通知又は承諾を得る、あるいは預金名義変更を行うということもあり得る。 しかし、銀行預金を解約・払戻しを受けるということがもっとも簡便であり、実務的にも行われてきたところである。このため、改正後民法1014条3項(新設)は、 として、遺言執行者は預貯金の払戻し請求及び解約申入れを行う権限を有することとされた。 Aとしては、同条項に従い、払戻し請求、預貯金の解約申入れを行い、D・Eに分配すべきであろう。 ただし、遺言執行者は「解約申入れ」ができるに過ぎないから、預金者が解約権を持たない定期預金の場合、一方的に解約する権限まで有するわけではない。   3 経過措置 改正法の附則第8条により、以下のように定められている。 上記条文の通りだが、遺言内容の通知義務(1007条2項)、遺言執行者の一般的な権利義務(1012条)については、施行日(2019年7月1日)前に開始した相続であっても、施行日後に遺言執行者となる者には適用がある。 また、特定財産承継遺言の執行時の対抗要件を得させる権限(1014条2項)、預貯金の払戻し・解約申入れを行う権限(1014条3項)等については、施行日後にされた遺言についてのみ適用がある。 施行日前にされた遺言に関わる遺言執行者の復任権については、改正前民法が適用される。   4 終わりに 上述のように、遺言執行者に関する条文の改正は、基本的に、遺言執行者は相続人のために活動するものではなく、遺言内容の実現のために活動すべきであるという方向性を強調している。 遺言執行者としは、この改正の基本に十分留意されたい。   (了)

#No. 333(掲載号)
#阪本 敬幸
2019/08/29

事例で検証する最新コンプライアンス問題 【第15回】「自動車メーカー会長逮捕事件-経営トップへのガバナンス(下)」

事例で検証する 最新コンプライアンス問題 【第15回】 「自動車メーカー会長逮捕事件 -経営トップへのガバナンス(下)」   弁護士 原 正雄   2019年3月27日、自動車メーカーN社が、ガバナンス改善特別委員会からの報告書を公表した(以下「委員会報告書」という)。同報告書は、同社の会長が逮捕されたことを契機に、同社のガバナンス上の問題点を解明し、取締役の報酬の決定プロセスを始めとするガバナンスの改善点等を提言するものである。 本稿は、委員会報告書や報道を元に、前回の「上」で取締役の報酬という観点を中心にガバナンス上の問題論じた。続く「下」では、「経営体制と株主との関係」という観点を中心に、ガバナンス上の問題を論じることとする。   1 指名委員会等設置会社への移行 (1) 委員会報告書による提言 本稿の「上」で述べたとおり、自動車メーカーN社では「会長への人事・報酬を含む権限の集中」が生じていた。この点にガバナンス上の大きな問題があった。 そこで、この点を改善するため、2019年3月27日付のガバナンス改善特別委員会からの報告書(委員会報告書)は、自動車メーカーN社に対して、「指名委員会等設置会社」に移行することを提言した。 「指名委員会等設置会社」とは、業務執行を執行役に委ね、取締役会は経営の監督に専念するという仕組みである。また、取締役会に社外取締役を中心とする3つの委員会(指名委員会、監査委員会、報酬委員会)を設置することで、役員候補指名、報酬決定、監査という権限を社長から各委員会に移す(会社法2条12号)。例えば取締役の報酬については、報酬委員会が決定方針を定め、その方針に従って個人別の報酬を決定する(会社法409条)。社長への権限の集中を防ぐことでガバナンスを実現しようとしている。 (2) 自動車メーカーN社による提言の受入れ 「指名委員会等設置会社」は、2003年4月施行の商法特例法改正によって定められたものであり、既に約16年の歴史を有する。 ところが同制度は、これまでほとんど普及していない。2019年7月18日現在、東京証券取引所に上場する企業は、3,675社である。その中で「指名委員会等設置会社」に移行しているのは、わずか76社(約2%)である。これは、組織統率力の源泉である役員候補指名権や報酬決定権を社長から奪うことに、多くの企業が躊躇したからと解する。 しかし、これまでガバナンスを実現できていなかった自動車メーカーN社では、もはや躊躇は許されない。同社は委員会報告書による提言を受け入れ、2019年6月25日開催の株主総会をもって「指名委員会等設置会社」に移行することとした。   2 株主によるガバナンス (1) 大株主による反対 とはいえ、自動車メーカーN社による「指名委員会等設置会社」への移行は、円滑に進んだわけではなかった。 自動車メーカーN社には、議決権の43%を有する大株主であるR社がいる。そのR社が「指名委員会等設置会社」への移行を決定する株主総会の議案に棄権するとして、事実上反対する意向を示したからである。理由は、指名委員会、監査委員会、報酬委員会の人選にR社の意向が反映されていないというものであった。 やむなく自動車メーカーN社は、R社出身取締役のために、指名委員会と監査委員会にポストを用意するという譲歩を示した。その結果、R社は「指名委員会等設置会社」への移行の議案に賛成することとなった。 最終的に、「指名委員会等設置会社」へ移行する議案は成立した。また、自動車メーカーN社では、取締役会や指名委員会、監査委員会にR社出身者が含まれることになった。R社出身者も、自動車メーカーN社において、取締役、指名委員、監査委員として職務を遂行することになった。 (2) 株主による意見表明 近年、取締役の雇い主は株主であるとの考えが主張されるようになってきている。取締役を株主のエージェントとみなす考えである。この考えを強調すると、取締役の選任や報酬について株主が主導権を握るべきとの考えに至る。 政府も、企業のガバナンス実現のために取締役選任や報酬について株主が意見表明することが重要であると考えている。金融庁は、2018年6月1日、「投資家と企業の対話ガイドライン」を公表し、CEOの選解任や報酬について投資家と企業が建設的な対話をすべきとしている。また、開示府令や会社法の改正も進められている。 こうした潮流を受け、近時は実際に、株主が取締役選任や報酬について議決権行使を通じて意見表明をすることが増えてきた。多くの企業の株主総会で、株主から議案に反対される割合が増えつつある。もはや否決されるリスクも無視できない。株主による直接的なガバナンスである。 (3) 自動車メーカーN社の大株主R社 上記のような流れがある以上、R社が大株主として注文をしたこと自体は正しい。株主として当然の意見表明である。委員会報告書も、指名委員会の委員について「大株主との円滑な関係を考慮した場合など、独立性を有する社外取締役のみで構成することが必ずしも適切でない場合があり得る」としている。 ただ、R社出身者であっても、自動車メーカーN社の取締役という立場は重い。少数株主を含む全株主から経営を受託された立場で、自動車メーカーN社、ひいては少数株主を含む全株主のために、善良な管理者として職務を遂行しなくてはならない(会社法330条、民法644条)。忠実義務を負うべきは、自動車メーカーN社である。出身母体であるR社の利益を優先するようなことがあってはならない(会社法355条)。 (4) 株主によるガバナンスと、開示 株主によるガバナンスを実現する上で、開示は重要な前提である。株主が会社の状況や議案の検討プロセスを把握できなければ、ガバナンスを実現しようがないからである。 株主は、議案の内容のみならず、その議案がどのように形成されたかというプロセスや、開示が適切かなどを厳正にチェックしている。自動車メーカーN社の問題が取締役報酬の過少記載という有価証券報告書への虚偽記載の問題から始まった事実は、本件が株主ガバナンスの問題であることを端的に示している。 なお、取締役報酬の過少記載については、報道によれば、「『形式犯』ではないかとの批判も出ている」との指摘もあるようである。 しかし、会長の「側近」とされる人物(委員会報告書の認定)が、会長が取締役報酬を過少記載した動機について、マスコミへのインタビューに答えている。同インタビューによれば、会長は「(20億円もの報酬を受け取っていることが大株主であるR社や、R社の株主であるフランス政府に知られれば)自分の地位も危うくなると危機感を抱いていた」とのことである(文藝春秋2019.7)。 仮にインタビューのとおりであるとすれば、会長は、株主に高額報酬を知られると、取締役としての地位が危うくなると考えていたことが分かる。これはまさに、株主によるガバナンスと開示の問題である。これほどの重要性を持つ事項の虚偽記載が、「形式」の問題であるはずがない。   3 ガバナンス充実による会社の発展 自動車メーカーN社では、長く少数株主の存在が忘れられ、ガバナンスが置き去りにされてきた。今度こそガバナンスを充実させ、少数株主を含む全株主の利益のため、会社をますます発展させていかなければならない。 R社出身取締役を含む全ての取締役が一致団結して、自動車メーカーN社の発展に取り組むことを期待したい。 (了)

#No. 333(掲載号)
#原 正雄
2019/08/29

プロフェッションジャーナル No.332が公開されました!~今週のお薦め記事~

2019年8月22日(木)AM10:30、 プロフェッションジャーナル  No.332を公開! - ご 案 内 - プロフェッションジャーナルの解説記事は毎週木曜日(AM10:30)に公開し、《速報解説》は随時公開します。

#Profession Journal 編集部
2019/08/22

山本守之の法人税“一刀両断” 【第62回】「完全支配関係がある他の内国法人に対する寄附金」

山本守之の 法人税 “一刀両断” 【第62回】 「完全支配関係がある他の内国法人に対する寄附金」   税理士 山本 守之   A社はB社に対して完全支配関係にあります。この場合のA社がB社に寄附金を支出した場合は法人税法第37条第2項《完全支配関係がある法人間の寄附金の損金不算入》の適用があります。 この点について法人税基本通達9-4-2の5では次のように定めています。 注意したいのは、その適用関係について『法人税基本通達逐条解説』(税務研究会)では、次のように解説されていることです。 (図1) また、 としています。 (図2) 通達は法令と異なり、法解釈のあり方を解釈するもので法規定そのものを規定したものではありません。 しかし、近年見逃せないのは、法人税の通達を利用して相続税等の問題に利用されることがあります。 租税法律主義の考え方からすれば、通達のこのような使い方は許されるものではありませんが、資産税が通達をあたかも法規定と考える傾向があり、このため、法人税でも新たに通達を作らなければならないことになっています。 通達にこのようなものを書かなければならないのは、税の執行機関として恥ずべきです。 (了)

#No. 332(掲載号)
#山本 守之
2019/08/22

令和元年度(平成31年度)税制改正における「みなし大企業」の範囲の見直しについて 【第1回】「令和元年度税制改正前の規定と問題点」

令和元年度(平成31年度)税制改正における 「みなし大企業」の範囲の見直しについて 【第1回】 「令和元年度税制改正前の規定と問題点」   公認会計士・税理士 鯨岡 健太郎   1 はじめに 現在、法人税に関する租税特別措置として「中小企業者」を対象とした措置がいくつか講じられている(※)。この「中小企業者」という用語は、法人税法における「中小法人」の範囲とは若干異なるもので、租税特別措置法固有のものである。 (※)  中小企業者向けの租税特別措置としては、以下の制度がある。 ・中小企業技術基盤強化税制(研究開発税制。措法42の4③~⑤) ・高度省エネルギー増進設備等を取得した場合の特別償却又は税額控除(措法42の5①②) ・中小企業投資促進税制(措法42の6①②) ・地方活力向上地域等において特定建物等を取得した場合の特別償却又は税額控除(措法42の11の3①②) ・特定中小企業者等が経営改善設備を取得した場合の特別償却又は税額控除(措法42の12の3①②) ・中小企業者等が特定経営力向上設備等を取得した場合の特別償却又は税額控除(措法42の12の4①②) ・給与等の引上げ及び設備投資を行った場合等の法人税額の特別控除制度(措法42の12の5②③十二) ・法人税の額から控除される特別控除額の特例(措法42の13⑥) ・被災代替資産等の特別償却(措法43の3①②) ・特定地域における工業用機械等の特別償却(措法45②表四) ・中小企業者等の少額減価償却資産の取得価額の損金算入の特例(措法67の5①) ・被災代替資産等の特別償却(震災特例法18①) ・再投資等準備金制度(震災特例法18の3①) この点に関し、令和元年度税制改正において、中小企業者の範囲から除外される「みなし大企業」の範囲について改正が行われ、法人税法における「みなし大企業」の範囲との整合性が図られた。 そこで本稿では、令和元年度税制改正における「みなし大企業」の範囲の改正内容について説明を加える。 なお文中、意見にわたる部分は筆者の私見であることをあらかじめ申し添える。   2 「中小企業者」及び「みなし大企業」の意義(令和元年度税制改正前) 「中小企業者」とは、資本金額(出資金額)が1億円以下の法人のうち「みなし大企業」以外の法人、又は資本(出資)を有しない法人のうち常時使用する従業員の数が1,000人以下の法人をいう(旧措令27の4⑫)。 ここで「みなし大企業」とは、資本金額(出資金額)が1億円以下の法人のうち、以下のいずれかに該当する法人をいい、一定の租税特別措置の対象とされる中小企業者の範囲から除外されることとなる。 また「大規模法人」とは、以下のいずれかに該当する法人をいう。 これらをまとめると、下図のようになる。 ※画像をクリックすると、別ページで拡大表示されます。   3 法人税法における「みなし大企業」の範囲 租税特別措置法における「みなし大企業」とは別に、法人税法においても「みなし大企業」の概念は存在する。すなわち、法人税法における「中小法人等」の範囲を定義する上で、「みなし大企業」に該当するものを除くこととされているのである(法法57⑪一)。 法人税法における「みなし大企業」の範囲は以下の通りである(法法66⑥二・三)。   4 改正前の問題点 上述のように、中小企業者の範囲から除外される「みなし大企業」の判定基礎となる「大規模法人」は、資本金額(出資金額)が1億円超の法人か、資本(出資)のない法人のうち常時使用従業員数1,000人超の法人のいずれかに該当する法人ということになるが、当該大規模法人との間に完全支配関係のある法人は含まれていなかった。 そのため例えば、「大規模法人」の100%子会社の資本金を1億円以下とすれば、当該子会社は「みなし大企業」となるものの「大規模法人」には該当しないこととなるから、当該子会社以下の100%子会社(大規模法人から見れば孫会社以下)は再び「中小企業者」に該当してしまう状況にあった。 このように、「大規模法人」と「大法人」の定義が異なる結果、大規模法人の孫会社以下の法人について、租税特別措置法上は「みなし大企業」に該当しないが、法人税法上の「みなし大企業」に該当する、という不整合が生じていた(下図参照)。 また、租税特別措置法における「大規模法人」が資本金額(出資金額)1億円超の法人を対象としているのに対し、法人税法における「大法人」は資本金額(出資金額)5億円以上の法人を対象としていることから、親会社の資本金が1億円超5億円未満の場合、その100%子会社(資本金1億円以下)は、租税特別措置法上は「みなし大企業」に該当するが、法人税法上の「みなし大企業」には該当しない、という不整合も生じていた(下図参照)。 (了)

#No. 332(掲載号)
#鯨岡 健太郎
2019/08/22

「税理士損害賠償請求」頻出事例に見る原因・予防策のポイント【事例77(所得税)】 「上場株式等の譲渡につき「相続財産を譲渡した場合の取得費の特例」の適用を受けようとしたが、当初申告をしていなかったため、適用が認められなくなってしまった事例」

「税理士損害賠償請求」 頻出事例に見る 原因・予防策のポイント 【事例77(所得税)】   税理士 齋藤 和助       《基礎知識》 ◆相続財産を譲渡した場合の取得費の特例(措法39) 相続又は遺贈により取得した資産を相続開始のあった日の翌日から相続税の申告期限の翌日以後3年以内に譲渡した場合には、その譲渡した資産の取得費については、通常の取得費に次の算式で計算した金額を加算することができる。ただし、その金額がこの特例を適用しないで計算した譲渡益の金額(土地、建物、株式などを売った金額から取得費、譲渡費用を差し引いて計算した金額)を超える場合は、その譲渡益相当額となる。 ◆確定申告を要しない上場株式等の譲渡による所得(措法37の11の5) 源泉徴収選択口座を有する居住者等で、当該源泉徴収選択口座につき、その年中にした源泉徴収選択口座に係る特定口座内保管上場株式等の譲渡による譲渡所得の金額を有する者は、その年分の所得税については、申告分離課税による上場株式等に係る譲渡所得等の金額を除外したところにより、確定申告書を提出することができる。     (了)

#No. 332(掲載号)
#齋藤 和助
2019/08/22
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