こんなときどうする? 復興特別所得税の実務Q&A 【第20回】 「平成27年分源泉徴収税額表の変更点」 税理士・社会保険労務士 上前 剛 平成27年1月から源泉徴収税額表が変更になったそうですが、どこが変更になったのかわかりません。 平成27年分源泉徴収税額表の変更点についてご教示ください。 平成25年度税制改正により、平成27年分以後の所得税について最高税率が引き上げられた。 この改正により、平成27年1月1日以後に支払うべき給与等について源泉徴収税額表等が変更されており、変更点は、次の通りである。 1 給与所得の源泉徴収税額表(月額表)の変更点 ① 甲欄 1,740,000円以下の表記は、平成26年分と同じである。平成26年分は、“1,740,000円を超える金額”までの表記なのに対し、平成27年分は、“1,740,000円を超え3,570,000円に満たない金額”、“3,570,000円”、“3,570,000万円を超える金額”の表記が追加された。また、最高税率は、40.84%から45.945%となった。 【平成26年分の甲欄の一部】 【平成27年分の甲欄の一部】 ② 乙欄 1,010,000円以下の表記は、平成26年分と同じである。平成26年分は、“1,010,000円を超える金額”までの表記なのに対し、平成27年分は、“1,010,000円を超え1,250,0000円に満たない金額”、“1,250,000円”、“1,250,000円を超える金額”の表記が追加された。また、最高税率は、40.84%から45.945%となった。 【平成26年分の乙欄の一部】 【平成27年分の乙欄の一部】 2 給与所得の源泉徴収税額表(日額表)の変更点 ① 甲欄 58,000円以下の表記は、平成26年分と同じである。平成26年分は、“58,000円を超える金額”までの表記なのに対し、平成27年分は、“58,000円を超え119,000円に満たない金額”、“119,000円”、“119,000円を超える金額”の表記が追加された。また、最高税率は、40.84%から45.945%となった。 【平成26年分の甲欄の一部】 【平成27年分の甲欄の一部】 ② 乙欄 33,000円以下の表記は、平成26年分と同じである。平成26年分は、“33,000円を超える金額”までの表記なのに対し、平成27年分は、“33,000円を超え41,500円に満たない金額”、“41,500円”、“41,500円を超える金額”の表記が追加された。また、最高税率は、40.84%から45.945%となった。 【平成26年分の乙欄の一部】 【平成27年分の乙欄の一部】 ③ 丙欄 58,000円以下の表記は、平成26年分と同じである。平成26年分は、“58,000円を超える金額”までの表記なのに対し、平成27年分は、“58,000円を超え119,000円に満たない金額”、“119,000円”、“119,000円を超える金額”の表記が追加された。また、最高税率は、33.693%から40.84%となった。 【平成26年分の丙欄の一部】 【平成27年分の丙欄の一部】 3 賞与に対する源泉徴収税額の算出率の表の変更点 ① 甲欄 35.735%以下の表記は、平成26年分と同じである。35.735%超の表記について、平成26年分は、“38.798%”、“40.84”%の表記なのに対し、平成27年分は、“38.798%”、“41.861%”、“45.945%”の表記となった。また、最高税率は、40.84%から45.945%となった。 【平成26年分の甲欄の一部】 【平成27年分の甲欄の一部】 ② 乙欄 20.42%以下の表記は、平成26年分と同じである。20.42%超の表記について、平成26年分は、“30.63%”、“40.84%”の表記なのに対し、平成27年分は、“30.63%”、“38.798%”、“45.945%”の表記となった。また、最高税率は、40.84%から45.945%となった。 【平成26年分の乙欄】 【平成27年分の乙欄】 4 退職所得の源泉徴収税額表の速算表の変更点 18,000,000円以下の表記は、平成26年分と同じである。平成26年分は、“18,000,000円超”までの表記なのに対し、平成27年分は、“18,000,000円超40,000,000円以下”、“40,000,000円超”の表記が追加された。また、最高税率は、40%から45%となった。 【平成26年分】 【平成27年分】 5 電子計算機等を使用して源泉徴収税額を計算する方法を定める財務省告示の別表の変更点 別表第1~第3のうち、別表第1と別表第2は、平成26年分と同じである。 別表第3の1,500,000円以下の表記は、平成26年分と同じである。平成26年分は、“1,500,001円以上”までの表記なのに対し、平成27年分は、“1,500,001円以上3,333,333円以下”、“3,333,334円以上”の表記が追加された。また、最高税率は、40.84%から45.945%となった。 【平成26年分の別表第3】 【平成27年分の別表第3】 (了)
経理担当者のための ベーシック会計Q&A 【第72回】 リース会計⑥ 「残価保証があるケース」 仰星監査法人 公認会計士 薄鍋 大輔 〈事例による解説〉 〈会計処理〉(単位:千円) (1) ファイナンス・リース取引に該当するか否かの判定 ① 現在価値基準による判定 貸手の計算利子率を知り得ないので、借手の追加借入利子率である年8%を用いてリース料総額(残価保証額を含む)を現在価値に割り引きます。 現在価値53,990千円/見積現金購入価額53,000千円=102%>90% (*1) リース料総額に残価保証額も含めて、現在価値に割り引きます。 ② 経済的耐用年数基準による判定 リース期間5年/経済的耐用年数6年=83%>75% したがって、①(または②)により、このリース取引はファイナンス・リース取引に該当します。また、所有権移転条項または割安購入選択権がなく、リース物件は特別仕様ではないため、当該リース取引は、所有権移転外ファイナンス・リース取引と判定されます。 (2) リース債務の返済スケジュール表 本事例では、(1)①で算定したリース料総額の現在価値53,990千円>見積現金購入価額53,000千円であるため、リース資産及びリース債務の計上額は、53,000千円となります。この場合に、利息相当額の算定に必要な利子率は以下のように求めます。 (3) 仕訳(単位:千円) ① X1年4月1日(リース取引開始日・第1回支払日) ② X1年9月30日(中間決算日) 利息の未払計上、減価償却費の計上 (*2) リース債務返済スケジュールより (*3) (53,000千円-5,000千円)×1年/5年×6月/12月=4,800千円 残価保証額5,000千円を残存価額として計算します。 ③ X1年10月1日(下期首・第2回支払日) 未払利息の振り戻し処理、リース料の支払い (*4) リース債務返済スケジュール表より 以後も同様の会計処理を行います。 ④ X6年3月31日(決算日) (ⅰ) 利息の未払計上、減価償却費の計上 (*5) リース債務返済スケジュール表より (ⅱ) リース物件の返却 (*6) 残価保証額は、便宜的に、いったんその他の流動資産として計上します。決算時には、当該その他の流動資産はリース債務及び関連する未払利息と相殺します。 ⑤ リース期間終了後(残価保証支払額の確定時) (*7) 残価保証額5,000千円-処分額2,000千円=3,000千円 (*8) リース債務返済スケジュール表より なお、残価保証支払額の確定時に一括して、次のような会計処理を行うこともできます。 〈会計処理の解説〉 本事例にみられるように、リース契約上に残価保証の取決めがある場合は、以下の点を考慮する必要があります。 (1) リース料総額の算定 残価保証額をリース料総額に含めることになります(リース取引に関する会計基準の適用指針(以下、適用指針という)15項)。このため、以下のリース料総額の現在価値を算定する際に残価保証額を考慮することとなります。 ファイナンス・リース取引に該当するかどうかの判定(上記(1)①) リース資産及びリース債務の計上額の決定(上記(2)) (2) 減価償却費の算定 所有権移転外ファイナンス・リース取引に係るリース資産については、減価償却費の算定において、残存価額は原則としてゼロとすることとされていますが(リース取引に関する会計基準(以下、基準という)12項)、リース契約上に残価保証の取り決めがある場合は、原則として、当該残価保証額を残存価額とします(適用指針27項)(上記(3)②)。 (3) リース期間終了時の会計処理 所有権移転外ファイナンス・リース取引の場合、リース期間の終了時においては、通常、リース資産の償却は完了し、リース債務も完済しているため、リース物件を貸手に返却する処理を除き、特に会計処理を要しません。ただし、リース契約に残価保証の取り決めがある場合は、貸手に対する不足額の確定時に、当該不足額をリース資産売却損等として処理します(適用指針29項)(上記(3)⑤)。 ※3月は2014年2月に続き、税効果会計を取り上げます。 (了)