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日本の企業税制 【第16回】「BEPSの進捗状況と行動計画13(移転価格の文書化)」

日本の企業税制 【第16回】 「BEPSの進捗状況と行動計画13(移転価格の文書化)」   一般社団法人日本経済団体連合会 常務理事 阿部 泰久     1 はじめに OECD 租税委員会においてOECD加盟国に加え、OECD非加盟のG20メンバー8ヶ国(中国、インド、ロシア、アルゼンチン、ブラジル、インドネシア、サウジアラビア、南アフリカ)が参加するBEPS (Base Erosion and Profit Shifting=税源浸食と利益移転)プロジェクトは、本年末までの終結を目指し佳境に入っている。 BEPSプロジェクトが完結すれば、租税条約、移転価格税制、外国子会社合算課税など国際租税のスキーム全体が大きく変貌することとなり、それらは直ちにわが国の国際租税制度の改正を迫るものとなる。 そこで、この場を借りてBEPSプロジェクトの動向を逐次お知らせしていくこととしたい。 まず今回は、BEPSプロジェクトがどこまで進んだのかの概況及び、本年2月のガイダンスの公表によって終結を迎えた行動13(移転価格の文書化)の要点を紹介することとしたい。   2 BEPSプロジェクトの進捗状況 2012 年6月より開始されたBEPSプロジェクトは15の行動計画に基づき、ほぼ予定のスケジュールどおりに、報告書、勧告、ガイダンスなどの取りまとめが進んでおり、昨年末までにおよそ過半の作業を終えている。 それぞれの成果物は国際租税の新たなルールとして、順次、G20の首脳会議、蔵相会議等に報告され、その全面的な支持を得ている。   3 行動13の終結-移転価格の文書化と国別報告書に関するガイダンス 移転価格の文書化は、多国籍企業に対し、経済活動の実態、グローバルな所得の配分、進出先国で支払われた税等の情報を共通のフォーマットで関係するすべての国の政府に提供することを求めるものである。 具体的には、多国籍企業(親会社)に対し、新たにマスター・ファイル(多国籍企業グループ全体に共通する基本情報)、ローカル・ファイル(各国に所在する企業が行うグループ関連者との取引に係る情報)、国別報告書(Country-by-Country Reporting、国別の経済活動に関する情報)の作成を義務付けるものであり、2014年9月に公表された報告書において文書化の内容等が合意されていたが、国別報告書の提出方法について、親会社が作成した国別報告書を進出先国にある現地法人を通じて各国の税務当局に提出すべきとする主として途上国側の主張と、親会社が所在地国の税務当局のみに提出し、その情報を必要とする国の課税当局が情報交換協定を通じて所在地国の税務当局から入手すべきとする日本等先進国側の主張が対立し、さらに検討が続けられていた。 OECD租税委員会が本年2月2日に公表した「移転価格の文書化及び国別報告書に関するガイダンス」では、国別報告書についての合意事項として以下の点を定めている。 また、ガイダンスでは、このほかに、実施パッケージの策定、各国の実施状況に関するモニタリング、紛争解決手続の必要性等を定めている。   4 おわりに このガイダンスを受けて、わが国では平成28年度税制改正により国内法制が整備され、直ちに実施されることになるものと思われる。 対象となる企業グループはわが国では1,000社程度と予測されており、中堅企業であっても対象となる可能性が高い。 なお、わが国との間で租税条約あるいは情報交換協定を締結している国は2014年末現在で66ヶ国であり、先進国のほか、中国、インド、ブラジル等の主要国を網羅している。 また、移転価格に関するBEPSプロジェクトは、いよいよ実態面(行動8~10)に進んでおり、3月19、20日には各公開討議草案に基づくOECD 租税委員会のコンサルテーション(公開公聴会)が開催されるなど、9月予定の移転価格ガイドライン改定に向け、本年前半がヤマ場となるので、逐次、この場で解説していくこととしたい。 (了)  

#No. 107(掲載号)
#阿部 泰久
2015/02/19

[平成27年3月期]決算・申告にあたっての留意点 【第3回】「所得拡大促進税制の適用要件緩和・研究開発税制の拡充」

[平成27年3月期] 決算・申告にあたっての留意点 【第3回】 「所得拡大促進税制の適用要件緩和・研究開発税制の拡充」   公認会計士・税理士 新名 貴則   平成26年度税制改正における改正事項を中心として、平成27年3月期の決算・申告においては、いくつか留意すべき点がある。第2回は、「生産性向上設備投資促進税制」と、「中小企業投資促進税制の上乗せ措置」について解説した。 第3回は、「所得拡大促進税制の適用要件緩和」と「研究開発税制の拡充」について、平成27年3月期決算において留意すべき点を解説する。 1 所得拡大促進税制の適用要件緩和 ▷税制概要と要件緩和ポイント 青色申告書を提出している法人が、給与等支給額を一定以上増加させた場合に、その増加額の10%の税額控除を受けることができる。その具体的な要件は次のとおり。 (※) 基準事業年度とは、平成25年4月1日以後に開始する事業年度のうち最も古い事業年度の、直前の事業年度のこと。3月決算法人であれば平成25年3月期のこと。 【要件緩和ポイント①】 給与等支給額が基準事業年度と比較して何%以上増加している必要があるか、という増加率の要件が引き下げられた(平成27年度税制改正大綱において、さらなる引下げが予定されている)。 【要件緩和ポイント②】 平均給与等支給額とは、適用しようとする年度の給与等支給額を、支給者数で除して算定した平均値のこと。 この計算の対象となる支給者の範囲が、平成26年度改正により、適用年度及びその前事業年度において給与等の支給を受けている「継続雇用者」のみとされた。つまり、適用年度から入社した新入社員や、その前事業年度に退職した退職者などは、平均給与等支給額の算定対象から外れることになった。 給与水準の低い新入社員が適用年度から入社した場合や、給与水準の高い従業員が前事業年度に退職している場合に、これを算定対象とすると、適用年度の平均給与等支給額は前事業年度より低くなりやすい。したがって、この改正により要件は緩和されたといえる。 ▷平成27年3月期の留意点 上記の要件緩和は、平成26年4月1日以後に終了する事業年度から適用される。したがって、3月決算法人においては平成27年3月期決算から適用されることになる。 ただし、平成26年3月期にも遡及して適用されることになっている。したがって、平成26年3月期においては緩和前の要件を満たさなかったので適用できなかったが、今回の緩和後の要件であれば満たしていたという場合には、平成27年3月期に上乗せして税額控除をすることができる。 具体的には、次のような場合である。 給与等支給額の増加割合が5%には満たないが、2%であれば満たしていた場合 適用年度の新入社員や前年度の退職者の影響により、平均給与等支給額が前事業年度を下回ってしまっていたが、その影響を除いて計算し直せば下回っていない場合   2 研究開発税制の拡充 ▷税制概要と拡充ポイント 青色申告書を提出している法人において試験研究費がある場合に、その金額の一定割合について税額控除が認められるというものである。 具体的には、一口に試験研究税制といっても、次のとおりにいくつかの税額控除のパターンが存在する。 ① 総額型 (※) 中小企業者とは、資本金又は出資金が1億円以下の法人のこと。ただし、次の法人を除く。 ▷同一の大規模法人による持株(出資)割合が2分の1以上である法人 ▷2以上の大規模法人による合計の持株(出資)割合が3分の2以上である法人 また、資本又は出資を有しない法人のうち、常時使用する従業員数が1,000人以下の法人も中小企業者に該当する。 ② 増加型 ③ 高水準型 【拡充ポイント】 平成26年度改正により、増加型における控除率が引き上げられている。ただし、当事業年度の試験研究費が、「過去3事業年度の試験研究費の平均」と比較して5%を超えて増加していることが要求されることとなった。 ▷平成27年3月期の留意点 上記の拡充は、平成26年4月1日以後に開始する事業年度から適用される。したがって、3月決算法人においては平成27年3月期決算から適用されることになる。適用条件や控除率について、改正前のものと間違えることのないよう、注意する必要がある。 (了)

#No. 107(掲載号)
#新名 貴則
2015/02/19

土地評価をめぐるグレーゾーン《10大論点》 【第4回】「無道路地の評価」

土地評価をめぐるグレーゾーン 《10大論点》 【第4回】 「無道路地の評価」   税理士法人チェスター 税理士 風岡 範哉   [1] 重要裁決事例 例えば、平成22年5月19日裁決〔TAINS・F0-3-261〕においては、相続開始日における現況では宅地開発を行うことは事実上困難な土地であることから、国税不服審判所が依頼した不動産鑑定評価額8,020,000円が時価として採用されている。 評価対象となった土地(畑)は、周囲を農地に囲まれた無道路地であり、路線価の付された幅員4.6mの道路の南方約250mから300mに位置している。 また、財産評価基本通達に基づく評価額は17,546,016円である。 裁決は、以下の理由から、不動産鑑定評価を依頼し、本件土地の評価額を算定している。   [2] 法定外道路に接面する場合の道路拡幅地積の算定 評価対象地が、道路法又は建築基準法に規定する道路ではない法定外道路(専用通路。建物を建築する上での接道義務を満たしておらず、建物の建築をする場合には、条例が定める幅員(例えば、東京都の場合、敷地の路地状部分の長さが20m以下のもので幅員2m、20mを超えるもので幅員3m)を必要とする)に接している場合がある。 この場合の道路拡幅地積を求めるうえでの幅員については、接面する法定外道路が評価対象地の評価に何ら影響を及ぼすものではないことから、想定通路の地積に法定外道路の幅員は含めず、接道義務に定める幅員となることに留意する必要がある。 平成17年10月28日裁決(TAINS・F0-3-136)においては、上図のような土地に建物を建築しようとする場合には、法定外道路の払下げを受け自己所有地とした後、幅員2m以上の通路を開設し、公道に直接接するようにしなければならないというのであるから、法定外道路の存在は、本件土地の評価に何ら影響を及ぼすものではなく、道路拡幅地積を24㎡(12m×2m)無道路地として評価すべきと判断されている。   (了)

#No. 107(掲載号)
#風岡 範哉
2015/02/19

組織再編・資本等取引に関する最近の裁判例・裁決例について 【第20回】「旧商法時代の子会社株式消却による払戻金②」

組織再編・資本等取引に関する最近の裁判例・裁決例について 【第20回】 「旧商法時代の子会社株式消却による払戻金②」   公認会計士 佐藤 信祐   前回においては、旧商法時代の子会社株式消却について争われた事件の概要を解説した。争点については3つ存在するが、【争点1】については形式的な議論であり、【争点3】については時価について争われており、組織再編成・資本等取引における税制の仕組みを理解するという意味では、やや毛色の異なる論点であると考えられる。 そのため、本稿においては、【争点2】についての原告、被告の主張、裁判所の判断についてそれぞれ解説を行う。 (5) 当事者の主張 ① 被告の主張 本件各時価純資産額のうち本件消却株式に係る部分の金額は、合計で715億4,510万6,241円であるところ、原告は、本件株式消却によって株主としての権利を喪失し、上記金額に相当する経済的な利益を失ったこととなる。 原告は、一旦、本件各子会社のうち30社に対して出資という形で金員を払い込み、本件各子会社株式の価値を高めておきながら、その直後に、自らの意思に基づく当初の計画に従って、本件各子会社株式に係る権利を強制消却によって失っているのであって、本件事業再編を全体としてみれば、原告が本件各子会社に対して現金を贈与としたのと経済的に同じであるとさえいうことができる。 原告が本件株式消却を伴う減資によって本件各子会社に経済的な利益を移転させたことについて、法人税基本通達9-4-1及び9-4-2に定めるような本件各子会社の倒産を防止するためにやむを得ず行ったといった事情は認められない。 原告が、本件消却株式の客観的な時価に見合った対価を受領しなかったことが、旧商法の払戻限度額に関する規制を遵守するものであったとしても、これによりその贈与的な性格が否定されるものではなく、本件各子会社に無償で経済的な利益を供与したことについては、「通常の経済取引として是認できる合理的な理由が存在しない」(合理性要件)というべきである。 ② 原告の主張 課税が私法上の法律関係に従ってされなければならないという租税法の解釈適用の大原則にも照らせば、私法上対価を受け取る法的地位にないことは、寄附金該当性の判断においても考慮されるべきであって、対価を受け取る法的地位にない場合のその対価は、対価要件を欠くものとして、実質的に贈与をしたと認められる金額には該当しないというべきである。 (6) 裁判所の判断 原告は、本件株式消却によって本件消却株式の株主としての地位を失い、本件消却株式の時価に相当する経済的な利益を失うとともに、払戻しをした本件各子会社から、本件消却株式の時価よりも低い額の本件払戻額の払戻しを受けたにとどまるから、このような本件株式消却を伴う減資の手続を通じ、原告から払戻しをした本件各子会社に対しては本件消却株式の時価と本件払戻額の差額(一部の金額を除く)に相当する経済的な利益が、原告から払戻しをしなかった本件各子会社に対しては本件消却株式の時価に相当する経済的な利益(同じく一部の金額を除く)が、それぞれ対価なく移転されたものということができる。 原告が営利を目的とする法人であること、事業の再編の手続として本件において採用されたもの以外のものを選択することが妨げられていたと見るべき格別の証拠ないし事情は見当たらないこと、本件株式消却を伴う減資は直接には本件各子会社の本件合併による消滅までの間のいわゆる税金対策を主たる目的とするものであること等からすれば、原告の主張するような事情のほか、原告と本件各子会社とが法人税法上の連結納税に係る関係にあることをもっても、上記のような経済的な利益の対価のない移転を内容とする手続を執ることが原告にとっての通常の経済取引として是認することができる合理的な理由に当たると直ちに解することは困難というべきであるし、他に本件においてこのような合理的な理由が存在したことをうかがわせる証拠ないし事情は見当たらない。 本件において、原告が本件払戻超過額の払戻しを受け得る法的地位になかったことは、本件払戻限度超過額が寄附金に該当することを直ちに否定する根拠となるものとはいえないというべきである (7) 評釈 このように、本事件においては、被告側の主張を全面的に認め、寄附金として損金の額に算入すべきでないと判示した。 本事件における概要は、新聞報道により事前に報道されていたため、おおむね予想通りの判決になったというのが率直な印象である。 時価以外の値段で株式消却を行うということについては、税理士の共通認識として否認リスクが高いということは従来からも言われており(*1)、また、本事件のうち、無償消却を行った部分については、被告の主張にもあるように、増資を行った後に無償消却を行っているが、増資後の有価証券評価損を否定した法人税基本通達9-1-12の趣旨に反することから、寄附金として処理されてしまう基本的な考え方については、控訴審、上告審においても否定すべきではないと考えられる。 (*1) 佐藤信祐(2009)『組織再編における包括的租税回避防止規定の実務』中央経済社34頁 なお、自己株式の消却とは逆のパターンであるが、時価と異なる取引価額により第三者割当増資を行ったことにより否認を受けた事例として、「オーブンシャ・ホールディングス事件(最高裁平成18年1月24日判決)」「相互タクシー事件(最高裁平成14年10月15日判決)」「日本スリーエス事件(東京高裁平成13年7月5日判決)」がある。 次回以降においては、主要な裁決例についていくつか取り上げる予定である。 (了)

#No. 107(掲載号)
#佐藤 信祐
2015/02/19

こんなときどうする?復興特別所得税の実務Q&A 【第20回】「平成27年分源泉徴収税額表の変更点」

こんなときどうする? 復興特別所得税の実務Q&A 【第20回】 「平成27年分源泉徴収税額表の変更点」   税理士・社会保険労務士 上前 剛   平成27年1月から源泉徴収税額表が変更になったそうですが、どこが変更になったのかわかりません。 平成27年分源泉徴収税額表の変更点についてご教示ください。 平成25年度税制改正により、平成27年分以後の所得税について最高税率が引き上げられた。 この改正により、平成27年1月1日以後に支払うべき給与等について源泉徴収税額表等が変更されており、変更点は、次の通りである。   1 給与所得の源泉徴収税額表(月額表)の変更点 ① 甲欄 1,740,000円以下の表記は、平成26年分と同じである。平成26年分は、“1,740,000円を超える金額”までの表記なのに対し、平成27年分は、“1,740,000円を超え3,570,000円に満たない金額”、“3,570,000円”、“3,570,000万円を超える金額”の表記が追加された。また、最高税率は、40.84%から45.945%となった。 【平成26年分の甲欄の一部】 【平成27年分の甲欄の一部】  ② 乙欄 1,010,000円以下の表記は、平成26年分と同じである。平成26年分は、“1,010,000円を超える金額”までの表記なのに対し、平成27年分は、“1,010,000円を超え1,250,0000円に満たない金額”、“1,250,000円”、“1,250,000円を超える金額”の表記が追加された。また、最高税率は、40.84%から45.945%となった。 【平成26年分の乙欄の一部】 【平成27年分の乙欄の一部】   2 給与所得の源泉徴収税額表(日額表)の変更点 ① 甲欄 58,000円以下の表記は、平成26年分と同じである。平成26年分は、“58,000円を超える金額”までの表記なのに対し、平成27年分は、“58,000円を超え119,000円に満たない金額”、“119,000円”、“119,000円を超える金額”の表記が追加された。また、最高税率は、40.84%から45.945%となった。 【平成26年分の甲欄の一部】 【平成27年分の甲欄の一部】 ② 乙欄 33,000円以下の表記は、平成26年分と同じである。平成26年分は、“33,000円を超える金額”までの表記なのに対し、平成27年分は、“33,000円を超え41,500円に満たない金額”、“41,500円”、“41,500円を超える金額”の表記が追加された。また、最高税率は、40.84%から45.945%となった。 【平成26年分の乙欄の一部】 【平成27年分の乙欄の一部】 ③ 丙欄 58,000円以下の表記は、平成26年分と同じである。平成26年分は、“58,000円を超える金額”までの表記なのに対し、平成27年分は、“58,000円を超え119,000円に満たない金額”、“119,000円”、“119,000円を超える金額”の表記が追加された。また、最高税率は、33.693%から40.84%となった。 【平成26年分の丙欄の一部】 【平成27年分の丙欄の一部】   3 賞与に対する源泉徴収税額の算出率の表の変更点 ① 甲欄 35.735%以下の表記は、平成26年分と同じである。35.735%超の表記について、平成26年分は、“38.798%”、“40.84”%の表記なのに対し、平成27年分は、“38.798%”、“41.861%”、“45.945%”の表記となった。また、最高税率は、40.84%から45.945%となった。 【平成26年分の甲欄の一部】 【平成27年分の甲欄の一部】 ② 乙欄 20.42%以下の表記は、平成26年分と同じである。20.42%超の表記について、平成26年分は、“30.63%”、“40.84%”の表記なのに対し、平成27年分は、“30.63%”、“38.798%”、“45.945%”の表記となった。また、最高税率は、40.84%から45.945%となった。 【平成26年分の乙欄】 【平成27年分の乙欄】   4 退職所得の源泉徴収税額表の速算表の変更点 18,000,000円以下の表記は、平成26年分と同じである。平成26年分は、“18,000,000円超”までの表記なのに対し、平成27年分は、“18,000,000円超40,000,000円以下”、“40,000,000円超”の表記が追加された。また、最高税率は、40%から45%となった。 【平成26年分】 【平成27年分】   5 電子計算機等を使用して源泉徴収税額を計算する方法を定める財務省告示の別表の変更点 別表第1~第3のうち、別表第1と別表第2は、平成26年分と同じである。 別表第3の1,500,000円以下の表記は、平成26年分と同じである。平成26年分は、“1,500,001円以上”までの表記なのに対し、平成27年分は、“1,500,001円以上3,333,333円以下”、“3,333,334円以上”の表記が追加された。また、最高税率は、40.84%から45.945%となった。 【平成26年分の別表第3】 【平成27年分の別表第3】 (了)

#No. 107(掲載号)
#上前 剛
2015/02/19

租税争訟レポート 【第21回】「課税仕入れ等の範囲(国税不服審判所裁決)」

租税争訟レポート 【第21回】 「課税仕入れ等の範囲(国税不服審判所裁決)」   税理士・公認不正検査士(CFE) 米澤 勝     【事案の概要】 百貨店の物産展において弁当の調理・販売を行っている請求人が、マネキン紹介事業者等を介して手配した販売員に対して支払った金員について、外注費として計上し、源泉所得税を納付することなく、また外注費を課税仕入れ等として仕入税額控除の対象として申告を行っていたところ、販売業務の具体的態様に基づき、所得税法第28条第1項に規定する給与等に該当するとして、消費税の課税仕入れに係る支払対価の額に該当しないと判断したものである。   1 〔争点1〕本件調査の手続は違法であり、本件各処分が取り消されるべきか否か (1) 請求人による主張 請求人は、本件調査の手続は、次に掲げた事情によれば、違法であり、本件各処分は取り消されるべきであると主張した。 (2) 審判所の判断 こうした主張に対し、国税不服審判所は、一般論として、 としたうえで、上記⑤については、預り証を交付する必要があったものの、請求人から返却を求められるまでもなく、借用から約1週間で本件写しを返却したことから、請求人に相当な不利益が生じたことを示す事情が認められないこと、その他の請求人の主張についても、強要や裁量権の濫用があったといえるような事情は見当たらないと判断して、 と結論づけた。   2 〔争点2〕本件各販売員に支払った金員は給与等に該当するか否か 裁決では、販売員の募集形態・過程に応じて、争点を2つに分割しているが、本稿では、販売員に支払った金員の給与該当性の判断として、これを1つにまとめて検証する。 請求人が金員を支払った販売員は、以下の3種類の募集過程を経ている。 このうち①及び②に掲げる者については、請求人と販売員との間の役務提供が雇用契約に基づくものであるか、業務委託契約に基づくものであるかが争点となり、③に掲げる者については、雇用主が請求人であるか百貨店であるかが争点となった。 審判所は、給与について、 としたうえで、①及び②の販売員については、販売に使用する三角巾やエプロンなどは自分で用意しているものの、その事情のみをもって、請求人と本件各販売員との間に雇用契約が認められず、請求人が支払った金員が給与等に該当しないということはできないとした。 一方、③の販売員について、請求人は、 と主張したところ、審判所は、 と一般論を述べたうえで、請求人は、本件各販売員による役務の提供を受け、本件各販売員に対して賃金を支払う意思を有しており、また、本件各販売員も、請求人が出展した店舗において責任者の指揮監督の下で弁当の販売に当たり、請求人から対価の支払を直接受け、アルバイト従業者明細表にも請求人の出展した店舗において就業した旨記載していたのであるから、請求人に対して役務を提供し、請求人から賃金の支払を受ける意思を有していたものと認められることから、 として、請求人が本件各販売員に支払った金員は、請求人及び本件各販売員Cの間の雇用契約に基づき使用者の指揮命令に服して提供した労務の対価として支給されたものであり、給与等に該当すると認められる、と判断した。   3 〔争点3〕本件各処分は信義則に反するか否か 請求人は、本件各処分に至った調査に先立ち、平成20年10月頃、原処分庁所属の調査担当職員による税務調査を受けた。この際、請求人は、平成20年調査当時も、弁当の販売を行った販売員に支払った金員について、外注費として計上した上で仕入税額控除の対象とするとともに、源泉徴収せず源泉所得税を納付していなかったが、当該調査担当職員は、かかる税務上の取扱いについて指摘をすることなく、また、請求人もかかる税務上の取扱いについて質問しないままに、調査を完了していた。 この税務調査をめぐって、請求人は、信義則違反を主張し、課税処分の取消を訴えた。 (1) 請求人の主張 請求人は、本件各販売員に支払った金員について、仕入税額控除の対象とすることはできず、源泉所得税を納付すべきとの指摘がなかった平成20年調査の結果を信頼して、本件各販売員に支払った金員について、仕入税額控除を行うとともに、源泉所得税を納付していなかったのであるから、本件各処分は信義則に反する。 (2) 審判所の判断 これに対し、審判所は、 としても、 としたうえで、特別な事情に関しては、 と、一般論を述べたうえで、平成20年調査で、上記指摘がなかったことによって、それまでの消費税等の申告や源泉所得税の不納付を継続することが許されるというような信頼の対象となるべき公的見解の表示があったものとは認められないことから、特別の事情があるものとはいえないとして、本件各処分はいずれも信義則に反するものとはいえないと判断した。 (3) 「更正決定等をすべきと認められない旨の通知」との関係はどうなるか 平成23年の国税通則法の改正により、 こととされた結果、本争点に関する審判所の判断には、今後、多少の変化が生じる可能性があるのではないだろうか。 すなわち、本件平成20年調査終了時に、源泉所得税及び消費税に関し、「更正決定等をすべきと認められない旨の通知」が出されていた場合においても、審判所が、「特別の事情」が存しないとは言い切れないのではないか。当該通知が、税務署長名で発出される以上、「税務官庁が納税者に対し信頼の対象となる公的見解」ではないと言えないのではないか、ということである。 かかる場合に、審判所がどのような判断をするかという点、今後順次公開されるであろう、審判所の新しい裁決を注視したい。   4 〔争点4〕「正当な理由」の存否 (1) 請求人の主張 信義則違反(〔争点3〕)における主張と同じく、請求人は、平成20年調査において、本件各販売員に支払った金員について、仕入税額控除の対象ではないし、源泉所得税を納付する必要があるとの指摘がなかったため、その結果を信頼して、本件各販売員に支払った金員について、仕入税額控除を行うとともに、源泉所得税を納付していなかったのであるから、消費税等の過少申告及び源泉所得税の不納付に関して、「正当な理由」が認められる。 (2) 審判所の判断 審判所は、正当な理由があると認められる場合とは、 としたうえで、税務調査においては、 ことから、 と断じて、 として、請求人の主張を一蹴した。 税務調査に関して「指摘がないことをもって(中略)是認した」とは言えないとする点、過少申告や不納付の責任を一方的に納税者に押しつける判断など、上記3(3)でも指摘したとおり、今後、審判所の判断に変化が生じる可能性はあろうと思料するものの、本件平成20年調査当時の状況からは、審判所はこれまでの判断を踏襲しただけのように思える。   5 マネキン(派遣社員)に対する支出の課税仕入れ該当性 灘野正規編『平成26年版消費税実務問答集』(納税協会連合会、2014年、377ページ)には、【問10-3】として、マネキン紹介所に支払っているマネキン報酬と紹介料が課税仕入れ該当するかどうかに関する解説が記載されている。そこでは、マネキンの派遣は職業安定法に基づくものであり、派遣先と派遣店員の間に直接雇用関係が発生すると説明がなされた後、マネキンに対する報酬(便宜的にマネキン紹介所に支払う場合を含む)は、雇用関係に基づく給与等に該当するものとして課税仕入れに該当せず、仕入税額控除の対象とはならないことが明記されている。 こうした記述からも、本件裁決は、実務上の取扱いを追認したものといえ、おおむね妥当な判断であると思料する。 (了)

#No. 107(掲載号)
#米澤 勝
2015/02/19

税務判例を読むための税法の学び方【54】 〔第7章〕判例の探し方(その1)

税務判例を読むための税法の学び方【54】 〔第7章〕判例の探し方 (その1)   立正大学法学部准教授 税理士 長島 弘   1  判例の検索方法 ① 基礎的な検索項目 調べたい判例がある場合、「裁判所名」・「裁判年月日」・「事件番号」等をキーとして探すことになる。 判例を探す最も代表的なものとして、裁判所ホームページ内にある裁判例を検索するページ「裁判例情報」がある(ただし収録事案数は多くはない)。 その「総合検索」画面は次のようになっている。 「総合検索」の隣りのタブ「最高裁判所判例集」は、最高裁判所の裁判例を探すための画面であるが、「総合検索」よりも入力項目が増えている。増えた項目について、以下に説明していく。 さらに「高等裁判所判例集」のタブを開くと「高裁判例集搭載 巻・号・頁」という欄がある。 これは各高等裁判所の判例委員会により選択された裁判例(判決と決定)が掲載されている『高等裁判所判例集』のことである。 これも『最高裁判所判例集』と同様、内容は民事判例集と刑事判例集に分かれているが、各々を『高等裁判所民事判例集』『高等裁判所刑事判例集』として、通常の図書館では分けて製本している(ただし平成14年より部内資料とされている)。 通常、雑誌等で引用を示す場合には、『高等裁判所民事判例集』を「高民」、『高等裁判所刑事判例集』を「高刑」と略称を用いる。これも発行は昭和22年からである。   ② 事件番号とは 上述の「事件番号」について、もう少し詳しく記す。 裁判所では事件を受け付けると、事件記録の表紙に、事件の種類ごとに年度(暦年)・符号・番号(毎年1号から始まる受付の早い順に振られる通し番号)を表記する。これらの番号のことを「事件番号」という。 なお事件記録の「符号」とは、日本の各裁判所が受け付けた事件を識別するために、その内容に応じて細かく指定したものである。 符号の詳細は、以下の最高裁判所規定で定められている。 民事事件ではカタカナ、刑事事件ではひらがなの符号が基本的に使用されており、例えば「甲地方裁判所平成26年(ワ)第118号」は、甲地方裁判所が平成26年に受け付けた118番目(1月の最初の事件から数える)の通常の民事訴訟事件を表す。 民事事件と行政事件の符号について、いくつか代表的なものを下に記す。 (続く)

#No. 107(掲載号)
#長島 弘
2015/02/19

金融商品会計を学ぶ 【第2回】「金融商品の範囲」

金融商品会計を学ぶ 【第2回】 「金融商品の範囲」   公認会計士 阿部 光成   金融商品会計基準の適用に際しては、適用範囲、すなわち金融商品の定義を満たすかどうかがポイントになる(「金融商品会計に関する実務指針」(会計制度委員会報告第14号。以下「金融商品実務指針」という)212項)。 今回は、金融商品の範囲について解説を行う。 なお、文中、意見に関する部分は、私見であることを申し添える。   Ⅰ 金融商品会計の対象となるもの 【金融商品会計基準の対象となるもの】   Ⅱ 金融商品会計の対象外となるもの (了)

#No. 107(掲載号)
#阿部 光成
2015/02/19

計算書類作成に関する“うっかりミス”の事例と防止策 【第3回】「数字の前の「△」のつけ忘れ、とり忘れ」

計算書類作成に関する “うっかりミス”の事例と防止策 【第3回】 「数字の前の「△」のつけ忘れ、とり忘れ」   公認会計士 石王丸 周夫   1 今回の事例 計算書類のドラフトには、うっかりミスがつきものです。 たとえば、こんなミスをよく見かけます。 【事例3-1】 損益計算書の「法人税等調整額」の数字の前に△が表示されていない。 【事例3-1】の赤い丸で囲んだところをご覧ください。 法人税等調整額の数字部分です。「5」と表示していますが、これは本来「△5」と表示するのが正しかったのです。 「5」の右隣りの数字「55」は、「法人税、住民税及び事業税60」から「法人税等調整額5」を控除した数値です。つまり「法人税等調整額5」は、ここではマイナス数値でした。 その場合、数字の前に△が必要なのです。 おそらく、読者の皆さんの中には、同じようなミスをした人もいるでしょう。計算書類の作成作業では、△のつけ忘れというミスはよくあることなのです。 では、これを単なるミスとして片付けてしまってよいでしょうか。 もちろん、その場限りのことならそれでもよいかもしれません。しかし、そうしてしまうとまた同じミスを繰り返します。 実はこのミス、起こるべくして起こったものです。 そして、このミスが起きる場所も決まっています。   2 どうして△を付さなければいけないのか 「法人税等調整額」という科目は、税効果会計に関する科目です。繰延税金資産や繰延税金負債の相手科目として計上される科目です。そのため、借方に出ることもあれば貸方に出ることもあります。借方なら損益に対してマイナス、貸方なら損益に対してプラスです。 損益計算書上の表示では、プラスかマイナスかは、「法人税、住民税及び事業税」に対してプラスかマイナスかで判断します。 借方残の法人税等調整額は、損益に対してはマイナスですが、「法人税、住民税及び事業税」に対してはプラスです。 貸方残の法人税等調整額は、損益に対してはプラスですが、「法人税、住民税及び事業税」に対してはマイナスです。【事例3-1】はこのケースに当たります。 プラスになることもあればマイナスになることもあるという科目は、損益計算書上の表示の扱いが他の科目と異なります。マイナスの場合は△を付すのです。「営業損失」や「経常損失」のように、名称からマイナスとはっきりわかるものは、負数の△表示は不要ですが、そうでない場合は負数の△表示が必要なのです。 【事例3-1】の「法人税等調整額5」は、科目名からはプラス・マイナスがわかりません。マイナスであるなら△を付して、マイナスであることをはっきり示さなければならないのです。   3 これもリサイクル・ミス △をつけ忘れてしまった原因を考えてみましょう。 ここでは、計算書類の作成プロセスに原因があります。それは、計算書類の作成に際して、前期データの使い回し(リサイクル行為)を行っているということです。 【事例3-1】では、まず、前期の損益計算書のデータファイルのコピーを作成し、そのファイルに当期の数字を上書き入力していくことにより、当期の損益計算書を作成したはずです。 その際、問題の「法人税等調整額」ですが、前期においてはこれがプラスだったと考えられます。つまり、前期の損益計算書上は、「法人税等調整額」に△はついていなかったのです。 そうすると、当期用にデータコピーして用意した損益計算書のファイルでは、「法人税等調整額」の欄には△が付されていないわけです。ところが当期は「法人税等調整額」がマイナス値です。新たに△をつけてあげる手間が必要です。しかし、頭では分かっていてもそうすることを忘れてしまいます。 損益計算書を一番上の売上高から順に上書き入力していくと、単純に数字だけを書き換える作業のリズムができてしまいます。その勢いで「法人税等調整額」のところも単純に数字を書き換えるだけにしてしまいます。△をつけ忘れるのです。 前期もマイナス値で△がついていれば△をつけ忘れることはなかったでしょう。ところが、「法人税等調整額」はその年度によってプラスにもなればマイナスにもなります。そのため、こういうことがよく起こるのです。   4 「△のとり忘れ」もある △のつけ忘れがリサイクル・ミスであることを理解すると、【事例3-1】とは逆のパターンがあることにも気がつきます。 △のとり忘れです。 これは、前期において「法人税等調整額」がマイナスであったのだけれど、当期においてはプラスになったというケースで起こるリサイクル・ミスです。前期に付されていた△を取り損なったまま数字を上書き入力して終わってしまったというミスです。 なお、今回紹介した2つの事例は、個別の損益計算書におけるものでしたが、連結損益計算書であっても、同じミスが起こります。   〈今回のまとめ〉 「法人税等調整額」がプラスなのかマイナスなのかを確認し、△表示に間違いがないかチェックすること。 (了)

#No. 107(掲載号)
#石王丸 周夫
2015/02/19

経理担当者のためのベーシック会計Q&A 【第72回】リース会計⑥「残価保証があるケース」

経理担当者のための ベーシック会計Q&A 【第72回】 リース会計⑥ 「残価保証があるケース」   仰星監査法人 公認会計士 薄鍋 大輔   〈事例による解説〉 〈会計処理〉(単位:千円) (1) ファイナンス・リース取引に該当するか否かの判定 ① 現在価値基準による判定 貸手の計算利子率を知り得ないので、借手の追加借入利子率である年8%を用いてリース料総額(残価保証額を含む)を現在価値に割り引きます。 現在価値53,990千円/見積現金購入価額53,000千円=102%>90% (*1) リース料総額に残価保証額も含めて、現在価値に割り引きます。 ② 経済的耐用年数基準による判定 リース期間5年/経済的耐用年数6年=83%>75% したがって、①(または②)により、このリース取引はファイナンス・リース取引に該当します。また、所有権移転条項または割安購入選択権がなく、リース物件は特別仕様ではないため、当該リース取引は、所有権移転外ファイナンス・リース取引と判定されます。 (2) リース債務の返済スケジュール表 本事例では、(1)①で算定したリース料総額の現在価値53,990千円>見積現金購入価額53,000千円であるため、リース資産及びリース債務の計上額は、53,000千円となります。この場合に、利息相当額の算定に必要な利子率は以下のように求めます。 (3) 仕訳(単位:千円) ① X1年4月1日(リース取引開始日・第1回支払日) ② X1年9月30日(中間決算日) 利息の未払計上、減価償却費の計上 (*2) リース債務返済スケジュールより (*3) (53,000千円-5,000千円)×1年/5年×6月/12月=4,800千円 残価保証額5,000千円を残存価額として計算します。 ③ X1年10月1日(下期首・第2回支払日) 未払利息の振り戻し処理、リース料の支払い (*4) リース債務返済スケジュール表より 以後も同様の会計処理を行います。 ④ X6年3月31日(決算日) (ⅰ) 利息の未払計上、減価償却費の計上 (*5) リース債務返済スケジュール表より (ⅱ) リース物件の返却 (*6) 残価保証額は、便宜的に、いったんその他の流動資産として計上します。決算時には、当該その他の流動資産はリース債務及び関連する未払利息と相殺します。 ⑤ リース期間終了後(残価保証支払額の確定時) (*7) 残価保証額5,000千円-処分額2,000千円=3,000千円 (*8) リース債務返済スケジュール表より なお、残価保証支払額の確定時に一括して、次のような会計処理を行うこともできます。   〈会計処理の解説〉 本事例にみられるように、リース契約上に残価保証の取決めがある場合は、以下の点を考慮する必要があります。 (1) リース料総額の算定 残価保証額をリース料総額に含めることになります(リース取引に関する会計基準の適用指針(以下、適用指針という)15項)。このため、以下のリース料総額の現在価値を算定する際に残価保証額を考慮することとなります。 ファイナンス・リース取引に該当するかどうかの判定(上記(1)①) リース資産及びリース債務の計上額の決定(上記(2)) (2) 減価償却費の算定 所有権移転外ファイナンス・リース取引に係るリース資産については、減価償却費の算定において、残存価額は原則としてゼロとすることとされていますが(リース取引に関する会計基準(以下、基準という)12項)、リース契約上に残価保証の取り決めがある場合は、原則として、当該残価保証額を残存価額とします(適用指針27項)(上記(3)②)。 (3) リース期間終了時の会計処理 所有権移転外ファイナンス・リース取引の場合、リース期間の終了時においては、通常、リース資産の償却は完了し、リース債務も完済しているため、リース物件を貸手に返却する処理を除き、特に会計処理を要しません。ただし、リース契約に残価保証の取り決めがある場合は、貸手に対する不足額の確定時に、当該不足額をリース資産売却損等として処理します(適用指針29項)(上記(3)⑤)。 ※3月は2014年2月に続き、税効果会計を取り上げます。 (了)

#No. 107(掲載号)
#薄鍋 大輔
2015/02/19
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