公開日: 2015/05/14 (掲載号:No.119)
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確定拠出年金制度の改正をめぐる今後の展望 【第2回】「今回改正が意味すること①」

筆者: 秦 穣治

確定拠出年金制度の改正をめぐる今後の展望

【第2回】

「今回改正が意味すること①」

 

特定非営利活動法人確定拠出年金総合研究所(NPO DC総研)
理事長 秦 穣治

 

1 退職給付企業年金(DB)・確定拠出企業年金(DC)共通の問題

【第1回】では、今回の改正の底流に流れる背景について説明したが、一言で言えば、「公的年金が細る中、やらざるを得ない改正」だということである。日本人の定年退職後の生活(老後生活)を相応の水準とするためには、

  • まず定年後の雇用を活性化させる(雇用は老後生活の最大の防御)
  • 公的年金を補完する企業年金を、中小企業を含め極力広範囲に対象者を広げる
  • それに加えて、全国民を対象に自助努力の仕組みを活性化する

という政策を採る他にないわけであり、このうち下の2点が今回改正のポイントとなる。

今まで企業年金は、適年、厚生年金基金、DB、DCとそれぞれ独立した法律の建付けで運営されてきた。【第1回】でも述べたが、やりたい企業が好きに制度を選択して導入すればよい、いわば、労使合意のもと「やりたいようにやってください」というものだったわけである。

このような労使合意に基づく“自由な設計”という考え方は、退職一時金制度を源泉とする日本の企業年金制度の世界において発足以来綿々と生き続けてきた。結果として、企業年金を持つ余裕があり、社員の老後まで面倒を見たい大企業が推進の中心となっていったのだが、大企業の社員は、全労働者からみればほんの一部に過ぎない。このままでは非常に拙いことになるのは目に見えている。

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【第2回】

「今回改正が意味すること①」

 

特定非営利活動法人確定拠出年金総合研究所(NPO DC総研)
理事長 秦 穣治

 

1 退職給付企業年金(DB)・確定拠出企業年金(DC)共通の問題

【第1回】では、今回の改正の底流に流れる背景について説明したが、一言で言えば、「公的年金が細る中、やらざるを得ない改正」だということである。日本人の定年退職後の生活(老後生活)を相応の水準とするためには、

  • まず定年後の雇用を活性化させる(雇用は老後生活の最大の防御)
  • 公的年金を補完する企業年金を、中小企業を含め極力広範囲に対象者を広げる
  • それに加えて、全国民を対象に自助努力の仕組みを活性化する

という政策を採る他にないわけであり、このうち下の2点が今回改正のポイントとなる。

今まで企業年金は、適年、厚生年金基金、DB、DCとそれぞれ独立した法律の建付けで運営されてきた。【第1回】でも述べたが、やりたい企業が好きに制度を選択して導入すればよい、いわば、労使合意のもと「やりたいようにやってください」というものだったわけである。

このような労使合意に基づく“自由な設計”という考え方は、退職一時金制度を源泉とする日本の企業年金制度の世界において発足以来綿々と生き続けてきた。結果として、企業年金を持つ余裕があり、社員の老後まで面倒を見たい大企業が推進の中心となっていったのだが、大企業の社員は、全労働者からみればほんの一部に過ぎない。このままでは非常に拙いことになるのは目に見えている。

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連載目次

「確定拠出年金制度の改正をめぐる今後の展望」(全6回)

【第1回】 今回改正の背景と全体像

1 改正の背景

2 改正の全体像

【第2回】 今回改正が意味すること①

1 退職給付企業年金(DB)・確定拠出企業年金(DC)共通の問題

2 DCの資産運用に関し追加予定の諸規制

3 DC投資教育に関する新しい整理

【第3回】 今回改正が意味すること②

4 実施のスピード感

5 運営管理機関をはじめとする金融機関の反応

【第4回】 今回法改正案に盛り込まれたこと①

1 中小企業対象「簡易型DC制度」創設

2 個人型DCへの「小規模事業主掛金納付制度」の創設

3 拠出限度額の年単位化

4 個人型DCの加入対象拡大と新個人型DC拠出限度額

【第5回】 今回法改正案に盛り込まれたこと②

5 企業型DCの新拠出限度額&自助努力の選択肢

6 制度間のポータビリティの拡充

7 その他の措置

【第6回】 今後検討されること

1 DB・DC合算での拠出限度額

2 DB・DC共通の給付ルール

3 新DC個人型の問題

4 商品除外問題

5 指定運用方法の設定(デフォルト設定)

筆者紹介

秦 穣治

(はた・じょうじ)

特定非営利活動法人確定拠出年金総合研究所(NPO DC総研)
理事長

1969年4月
旧富士銀行、現みずほ銀行入社
本店営業部・ニューヨーク支店・大阪営業部・国際営業部など、主として大企業及び国際関係ビジネスに携わる。

1998年5月
サンデン(株)入社
経営企画部部長、人事本部部長、総務人事本部本部長歴任。日本における確定拠出企業年金導入の最先発企業となる。

2007年4月
(株)想研取締役
NPO確定拠出年金教育協会専務理事

2008年4月
(株)クライテリア代表取締役
NPO確定拠出年金教育協会専務理事

2013年2月
プルーデント・ジャパン(株)プルーデント退職年金研究所理事長
NPO確定拠出年金総合研究所理事長

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