「更正の予知」の実務と
平成28年度税制改正
【第2回】
税理士 谷口 勝司
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3 加算税と更正の予知の制度趣旨
加算税に関する規定は条数も少なく、また計算規定でもあり、素っ気ない。それゆえ、更正の予知の取扱いを理解していく上では、その規定振り(文理)とともに、加算税や更正の予知の制度趣旨をまず理解することが不可欠であると思われる。
これまで数多くの裁判例でその趣旨が判示されており、これに関する研究もあるが、ここでは代表的と思われる裁判例について簡単に触れておきたい。
(1) 加算税の制度趣旨
最高裁の平成18年4月20日判決(一小)では、「過少申告加算税は、過少申告による納税義務違反の事実があれば、原則としてその違反者に対して課されるものであり、これによって、当初から適法に申告し納税した納税者との間の客観的不公平の実質的な是正を図るとともに、過少申告による納税義務違反の発生を防止し、適正な申告納税の実現を図り、もって納税の実を挙げようとする行政上の措置であり」と判示する。最高裁では、平成18年4月25日判決(三小)や、平成18年10月24日判決(三小)でもほぼ同様の判示をしており、このような考え方は定着しているといってよい。
過少申告加算税は、申告義務違反者に対する措置(行政制裁と理解できる)であって、適法に申告した者との間の不公平の是正等により、適正な申告納税の実現等を図るものといえよう。
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