公開日: 2016/09/29 (掲載号:No.187)
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「更正の予知」の実務と平成28年度税制改正【第2回】

筆者: 谷口 勝司

「更正の予知」実務

平成28年度税制改正

【第2回】

 

税理士 谷口 勝司

 

連載の目次はこちら

3 加算税と更正の予知の制度趣旨

加算税に関する規定は条数も少なく、また計算規定でもあり、素っ気ない。それゆえ、更正の予知の取扱いを理解していく上では、その規定振り(文理)とともに、加算税や更正の予知の制度趣旨をまず理解することが不可欠であると思われる。

これまで数多くの裁判例でその趣旨が判示されており、これに関する研究もあるが、ここでは代表的と思われる裁判例について簡単に触れておきたい。

(1) 加算税の制度趣旨

最高裁の平成18年4月20日判決(一小)では、「過少申告加算税は、過少申告による納税義務違反の事実があれば、原則としてその違反者に対して課されるものであり、これによって、当初から適法に申告し納税した納税者との間の客観的不公平の実質的な是正を図るとともに、過少申告による納税義務違反の発生を防止し、適正な申告納税の実現を図り、もって納税の実を挙げようとする行政上の措置であり」と判示する。最高裁では、平成18年4月25日判決(三小)や、平成18年10月24日判決(三小)でもほぼ同様の判示をしており、このような考え方は定着しているといってよい。

過少申告加算税は、申告義務違反者に対する措置(行政制裁と理解できる)であって、適法に申告した者との間の不公平の是正等により、適正な申告納税の実現等を図るものといえよう。

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「更正の予知」実務

平成28年度税制改正

【第2回】

 

税理士 谷口 勝司

 

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3 加算税と更正の予知の制度趣旨

加算税に関する規定は条数も少なく、また計算規定でもあり、素っ気ない。それゆえ、更正の予知の取扱いを理解していく上では、その規定振り(文理)とともに、加算税や更正の予知の制度趣旨をまず理解することが不可欠であると思われる。

これまで数多くの裁判例でその趣旨が判示されており、これに関する研究もあるが、ここでは代表的と思われる裁判例について簡単に触れておきたい。

(1) 加算税の制度趣旨

最高裁の平成18年4月20日判決(一小)では、「過少申告加算税は、過少申告による納税義務違反の事実があれば、原則としてその違反者に対して課されるものであり、これによって、当初から適法に申告し納税した納税者との間の客観的不公平の実質的な是正を図るとともに、過少申告による納税義務違反の発生を防止し、適正な申告納税の実現を図り、もって納税の実を挙げようとする行政上の措置であり」と判示する。最高裁では、平成18年4月25日判決(三小)や、平成18年10月24日判決(三小)でもほぼ同様の判示をしており、このような考え方は定着しているといってよい。

過少申告加算税は、申告義務違反者に対する措置(行政制裁と理解できる)であって、適法に申告した者との間の不公平の是正等により、適正な申告納税の実現等を図るものといえよう。

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連載目次

「更正の予知」の実務と平成28年度税制改正
(全5回)

【第1回】

〇 はじめに

1 過少申告加算税と更正の予知の制度概要

(1) 過少申告加算税

(2) 更正の予知

2 平成28年度税制改正

【第2回】

3 加算税と更正の予知の制度趣旨

(1) 加算税の制度趣旨

(2) 更正の予知の制度趣旨

4 更正の予知における2つの要件と「調査」の意義

5 更正の予知の時期

【第3回】

6 実務における「更正の予知」

(1) 法人税過少通達

(2) 更正の予知の例示

7 事前通知と更正の予知

【第4回】

8 調査・行政指導と更正の予知

(1) 調査と行政指導の区分

(2) 行政指導による事務

(イ) 申告書の計算誤り等(事後処理等)

(ロ) 法人税の無申告

(ハ) 源泉所得税の未納整理

【第5回】

9 書面添付制度における意見聴取

10 主張立証責任

〇 おわりに

筆者紹介

谷口 勝司

(たにぐち・かつじ)

税理士

国税庁法人課税課課長補佐、津島税務署長、名古屋国税局法人課税課長、同局人事第一課長、浜松西税務署長、同局調査部長を経て、2015年8月税理士登録。

【著作】
・『詳解 加算税 通達と実務』共著(清文社、2019年)

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