税務判例を読むための税法の学び方【8】
〔第4章〕条文を読むためのコツ
(その1)
自由が丘産能短期大学専任講師
税理士 長島 弘
行政法規においては、必要な要件は、法文上において、可能な限り、詳細にかつ明確に定めようとする傾向がある。特に国民の権利義務に関係の深い法令にあっては、複数の解釈が生じる余地が多かったり、官庁の恣意的裁量に大きく依存したりするようでは、基本的人権を保障した憲法の要請にもとることになるため、規定は詳細になりがちである。
特に租税法においては、租税法律主義の要請から、原則、課税要件等は法律で定める必要があり、またできるだけ抽象的で曖昧な規定を避け、具体的に詳細に規定する必要があるため、複雑で長文になり、その結果、一読しただけでは、なかなかその意味が分かり難いということになっている。
というのも、複雑多岐にわたる事象に対し様々な場合を想定した上で、それらに適応しうるように規定しなければならず、また、濫用・悪用を防ぐために、詳細な条件等を規定しなければならないからである。
これらの長く複雑な条文を読むには、どうすれば良いであろうか。
そこでこの章では、この長く複雑な条文を読み、理解するための「コツ」について解説する。
1 まず法令の全体像を把握する
初めて読む法令において、条文1つだけを読んで正確に理解することは難しい。
「森」全体を知ってから「木」を見ることにより、該当する条文が法令全体の中でどのような位置にあるのかが分かり、その結果、その条文が何を規定しようとしているのか、どういう方向で規定しようとしているのかといった条文解釈の前提知識を得ることができる。
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