公開日: 2013/05/30 (掲載号:No.21)
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税務判例を読むための税法の学び方【11】 〔第4章〕条文を読むためのコツ(その4)

筆者: 長島 弘

税務判例を読むための税法の学び方【11】

〔第4章〕条文を読むためのコツ

(その4)

 

自由が丘産能短期大学専任講師
税理士 長島 弘

(前回はこちら

(4 主文の主要素を見極める方法)

④ 併合的接続詞「及び」「並びに」による段階構造の分析

法令文において語句を併合的に結び付ける併合的接続詞には、「及び」と「並びに」が用いられる。すなわち、前回の選択的に結び付ける語は英語の「or」に相当するものであるが、併合的に結び付ける「及び」「並びに」は、英語の「and」に相当するものである。

両者は、文字的意味の上では同じものであり、日常用語としては同じような意味で区別せずに使われている。しかし、法令用語としての「及び」と「並びに」は、明確に使い分けられている。

単純に並列的に並ぶだけのときには、「及び」が使われ、語句が3つ以上であっても、同じ段階で並べるときは、最初の接続は「、」でつなぎ、最後の部分を「及び」で結ぶ。すなわち、「A及びB」や「A、B及びC」「A、B、C及びD」というふうに表現される。

例えば、所得税法第22条第1項は、「居住者に対して課する所得税の課税標準は、総所得金額、退職所得金額及び山林所得金額とする。」とある。ここでは「総所得金額」「退職所得金額」「山林所得金額」が同じ段階で並べられている。

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税務判例を読むための税法の学び方【11】

〔第4章〕条文を読むためのコツ

(その4)

 

自由が丘産能短期大学専任講師
税理士 長島 弘

(前回はこちら

(4 主文の主要素を見極める方法)

④ 併合的接続詞「及び」「並びに」による段階構造の分析

法令文において語句を併合的に結び付ける併合的接続詞には、「及び」と「並びに」が用いられる。すなわち、前回の選択的に結び付ける語は英語の「or」に相当するものであるが、併合的に結び付ける「及び」「並びに」は、英語の「and」に相当するものである。

両者は、文字的意味の上では同じものであり、日常用語としては同じような意味で区別せずに使われている。しかし、法令用語としての「及び」と「並びに」は、明確に使い分けられている。

単純に並列的に並ぶだけのときには、「及び」が使われ、語句が3つ以上であっても、同じ段階で並べるときは、最初の接続は「、」でつなぎ、最後の部分を「及び」で結ぶ。すなわち、「A及びB」や「A、B及びC」「A、B、C及びD」というふうに表現される。

例えば、所得税法第22条第1項は、「居住者に対して課する所得税の課税標準は、総所得金額、退職所得金額及び山林所得金額とする。」とある。ここでは「総所得金額」「退職所得金額」「山林所得金額」が同じ段階で並べられている。

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連載目次

税務判例を読むための税法の学び方
(全100回) 

〔第1章〕 法(法源)の種類

〔第1章〕 法(法源)の種類

    • 【1】 〔第1章〕 法(法源)の種類
      はじめに
      1 自然法と実定法
      2 法源
      3 成文法(制定法)と不文法
      4 成文法の種類
      5 不文法の種類
       参考(法源性のない行政機関の内部規律)

〔第2章〕 法令の解釈方法

〔第2章〕 法令の解釈方法

〔第3章〕 法令間の矛盾抵触とそれを解決する原埋

〔第3章〕 法令間の矛盾抵触とそれを解決する原埋

〔第4章〕 条文を読むためのコツ

〔第4章〕 条文を読むためのコツ

〔第5章〕 法令用語

〔第5章〕 法令用語

〔第6章〕 判例の見方

〔第6章〕 判例の見方

〔第7章〕 判例の探し方

〔第7章〕 判例の探し方

  • 【54】 〔第7章〕 判例の探し方(その1)
    1 判例の検索方法
     ① 基礎的な検索項目
     ② 事件番号とは
  • 【55】 〔第7章〕 判例の探し方(その2)
    2 判例集の紹介と蔵書検索
     ① 公的(準公的)な判例集・裁判集
     (1) 『最高裁判所判例集』:『最高裁判所民事判例集』『最高裁判所刑事判例集』
     (2) 『最高裁判所裁判集』:『最高裁判所裁判集刑事』『最高裁判所裁判集民事』
     (3) 『最高裁判所民事判例特報』
     (4) 『最高裁判所刑事判決特報』
     (5) 『高等裁判所判例集』:『高等裁判所民事判例集』『高等裁判所刑事判例集』
     (6) 『裁判所時報』
  • 【56】 〔第7章〕 判例の探し方(その3)
     (7) 『高等裁判所刑事裁判速報』『高等裁判所刑事裁判速報集』
     (8) 『高等裁判所刑事判決特報』
     (9) 『高等裁判所刑事裁判特報』
     (10) 『東京高等裁判所刑事判決時報』『東京高等裁判所判決時報』
  • 【57】 〔第7章〕 判例の探し方(その4)
     (11) 『第一審刑事裁判例集』
     (12) 『下級裁判所刑事裁判例集』
     (13) 『刑事裁判月報』
     (14) 『下級裁判所民事裁判例集』
     (15) 『高等裁判所地方裁判所簡易裁判所民事裁判例特報』(『高等裁判所、地方裁判所、簡易裁判所民事裁判例特報』または『高等裁判所・地方裁判所・簡易裁判所民事裁判例特報』)
  • 【58】 〔第7章〕 判例の探し方(その5)
     (16) 『家庭裁判月報』
     (17) 『労働関係事件判決集』『労働関係民事行政裁判資料』『労働関係民事裁判例集』
     (18) 『労働関係民事事件裁判集』
     (19) 『無体財産権関係民事・行政裁判例集』『知的財産権関係民事・行政裁判例集』
  • 【59】 〔第7章〕 判例の探し方(その6)
     (20) 『行政裁判月報』『行政事件裁判例集』
     (21) 『訟務月報』
     (22) 『税務訴訟資料』
  • 【60】 〔第7章〕 判例の探し方(その7)
     (23) 『大審院刑事判決録』『明治前期大審院刑事判決録』
     (24) 『大審院民事判決録』『大審院民事商亊判決録』
     (25) 『大審院判決録』
  • 【61】 〔第7章〕 判例の探し方(その8)
     (26) 『大審院民事判決録』
     (27) 『大審院刑事判決録』
  • 【62】 〔第7章〕 判例の探し方(その9)
     (28) 『大審院民事判例集』
     (29) 『大審院刑事判例集』
     (30) 『行政裁判所判決録』
  • 【63】 〔第7章〕 判例の探し方(その10)
     ② 企業や諸団体等から発行されている定期刊行物
     (1) 『判例時報』『判例評論』
     (2) 『判例タイムズ』『判例年報』『〇〇年主要民事判例解説』
     (3) 『労働判例』
     (4) 『別冊中央労働時報』『労働委員会速報』『中央勞働委員會速報』
  • 【64】 〔第7章〕 判例の探し方(その11)
     (5) 『労働経済判例速報』
     (6) 『金融・商事判例』『週刊金融判例』『週刊金融・商事判例』
     (7) 『金融法務事情』『旬刊金融法務事情』
     (8) 『シュトイエル(Steuer)』
     (9) 『判例地方自治』
     (10) 『交通事故民事裁判例集』

〔第8章〕 判決を読む

〔第8章〕 判決を読む

〔第9章〕 代表的な税務判例を読む

〔第9章〕 代表的な税務判例を読む

筆者紹介

長島 弘

(ながしま・ひろし)

立正大学法学部准教授
税理士

神奈川県横須賀市出身
中央大学商学部会計学科卒
横浜市立大学大学院経営学研究科修士課程修了
会計事務所勤務後、短大専任講師や大学院大学客員教授等を経て、現職。
現在 租税訴訟学会理事、日本租税理論学会常任理事、日本税法学会理事

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