国外財産調書に関する
通達の発遣について
税理士法人トーマツ
パートナー
税理士 小林 正彦
1 はじめに
国税庁は、平成25年3月29日付け「内国税の適正な確保を図るための国外送金等に係る調書の提出等に関する法律(国外財産調書関係)の取扱いについて(法令解釈通達)」(以下「本通達」)を発遣した。
「内国税の適正な課税の確保を図るための国外送金等に係る調書の提出等に関する法律(国外財産調書関係)の取扱いについて(法令解釈通達)」
国外財産調書制度とは、平成24年度税制改正により導入された制度であり、各年の12月31日に5,000万円を超える国外財産を保有する居住者(非永住者を除く)に対して、翌年3月15日までに、保有する国外財産の内容を記載した報告書を所轄税務署長に提出することを義務付けるものであり、平成26年1月1日以降提出すべき調書から適用となる。
なお、本制度の詳細については、拙稿「「国外財産調書制度」の実務と留意点」(全8回)を参照いただきたい。
本稿では以下、本通達の内容のうち、留意すべき点を中心に解説する。【注】 平成25年度送金等法改正との関係
社債・株式等有価証券に係る所在の判定については、平成24年改正においては発行法人の所在によるとしていたため、外国法人の発行した社債や株式は国内の金融機関の営業所で保管されていても国外財産として報告する必要があったが、平成25年改正において、国内にある金融機関の営業所の振替口座簿に記載され又はその口座に保管の委託がされているものについてはその営業所等の所在によることとされたため、報告の必要がなくなった(送金等令10②、平成26年1月1日施行)。この改正に対する取扱いについては、本通達では「別途定める」としている。
2 財産等の定義
(1) 対象となる「財産」の定義
「財産」とは「金銭に見積もることができる経済的価値のある全てのものをいう。」とされた。
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