公開日: 2026/07/30 (掲載号:No.679)
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〔業種別Q&A〕労使間トラブル事例と会社対応 【第18回】「派遣先の休業・中途解約の場合の労働問題」

筆者: 石居 茜

〔業種別Q&A〕

労使間トラブル事例会社対応

【第18回】

「派遣先の休業・中途解約の場合の労働問題」

〈人材派遣業・人材紹介業〔Q1〕〉

 

弁護士法人 ロア・ユナイテッド法律事務所

パートナー弁護士 石居 茜

 

〈人材派遣業・人材紹介業の特徴と特有の労務問題〉

人材派遣業や人材紹介業では、自社のプロパー従業員を雇用しているため、解雇やパワハラといった一般企業と同様の労働問題が発生します。しかし、それに加えて、それぞれのビジネスモデルに起因する業界特有の労務問題が存在します。

【人材派遣業の特徴と特有の労務問題】

  • 派遣元と派遣先の二重構造:雇用主(派遣元)と実際の業務の指揮命令を行う者(派遣先)が異なるため、労働基準法などの関連法令における責任が派遣元と派遣先で分担されるという大きな特徴があります。
  • 中途解約や休業時の対応義務:派遣先の都合で労働者派遣契約が中途解約されたり休業となったりした場合でも、派遣元と派遣労働者との雇用契約は期間満了まで継続します。そのため、派遣元には休業手当の支払いや新たな就業機会の確保などの義務が生じます。
  • 多様な課題への対応:有期雇用・無期雇用の選択、派遣労働者の雇止め、法改正に伴う同一労働同一賃金への対応など、検討すべき人事労務の課題が多岐にわたります。
  • 紛争時の影響拡大リスク:トラブルが労働局への申告や外部労働組合との団体交渉などに発展した場合、取引先である派遣先をも巻き込んだ大きな紛争に発展するリスクを孕んでいます。

【人材紹介業の特徴と特有の労務問題】

  • 職業安定法や厚労省指針の厳格な遵守:法令により、求人情報などの的確な表示が義務付けられているほか、求人・求職者情報を正確かつ最新の内容に保つことが厳しく求められます。
  • 紹介手数料をめぐるトラブル:紹介した人材が早期に自己都合退職した際の「紹介手数料の返還約定」の解釈をめぐる紛争や、手数料の未払いトラブルが実務上多く見られます。
  • 不適切な転職勧奨の禁止:「就職お祝い金」などの名目で求職者に金銭等を提供し、転職を勧奨することは、厚労省の指針によって禁止されています。

【まとめ】

両業界ともに、関連法令や指針への違反は行政指導や企業名の公表、事案によっては罰則といったペナルティに繋がるリスクがあります。そのため、トラブルが顕在化する前の平時から、労働者派遣契約書や人材紹介契約書、求人サイトの規約といった各種文書を適法に整備しておく「予防法務」の視点が非常に重要となります。

 

【Q】

当社は登録型の人材派遣事業を行っています。この度、取引先である派遣先企業から、業績悪化を理由に労働者派遣契約を期間途中で中途解約されてしまいました(または休業を余儀なくされました)。

当該派遣先に派遣されていた労働者に対し、当社は残りの派遣期間満了までの賃金を支払わなければならないのでしょうか。また、すぐに次の派遣先が見つからない場合、派遣先がなくなったことを理由として、派遣労働者との雇用契約を期間途中で解約(解雇)することはできるのでしょうか。

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〔業種別Q&A〕

労使間トラブル事例会社対応

【第18回】

「派遣先の休業・中途解約の場合の労働問題」

〈人材派遣業・人材紹介業〔Q1〕〉

 

弁護士法人 ロア・ユナイテッド法律事務所

パートナー弁護士 石居 茜

 

〈人材派遣業・人材紹介業の特徴と特有の労務問題〉

人材派遣業や人材紹介業では、自社のプロパー従業員を雇用しているため、解雇やパワハラといった一般企業と同様の労働問題が発生します。しかし、それに加えて、それぞれのビジネスモデルに起因する業界特有の労務問題が存在します。

【人材派遣業の特徴と特有の労務問題】

  • 派遣元と派遣先の二重構造:雇用主(派遣元)と実際の業務の指揮命令を行う者(派遣先)が異なるため、労働基準法などの関連法令における責任が派遣元と派遣先で分担されるという大きな特徴があります。
  • 中途解約や休業時の対応義務:派遣先の都合で労働者派遣契約が中途解約されたり休業となったりした場合でも、派遣元と派遣労働者との雇用契約は期間満了まで継続します。そのため、派遣元には休業手当の支払いや新たな就業機会の確保などの義務が生じます。
  • 多様な課題への対応:有期雇用・無期雇用の選択、派遣労働者の雇止め、法改正に伴う同一労働同一賃金への対応など、検討すべき人事労務の課題が多岐にわたります。
  • 紛争時の影響拡大リスク:トラブルが労働局への申告や外部労働組合との団体交渉などに発展した場合、取引先である派遣先をも巻き込んだ大きな紛争に発展するリスクを孕んでいます。

【人材紹介業の特徴と特有の労務問題】

  • 職業安定法や厚労省指針の厳格な遵守:法令により、求人情報などの的確な表示が義務付けられているほか、求人・求職者情報を正確かつ最新の内容に保つことが厳しく求められます。
  • 紹介手数料をめぐるトラブル:紹介した人材が早期に自己都合退職した際の「紹介手数料の返還約定」の解釈をめぐる紛争や、手数料の未払いトラブルが実務上多く見られます。
  • 不適切な転職勧奨の禁止:「就職お祝い金」などの名目で求職者に金銭等を提供し、転職を勧奨することは、厚労省の指針によって禁止されています。

【まとめ】

両業界ともに、関連法令や指針への違反は行政指導や企業名の公表、事案によっては罰則といったペナルティに繋がるリスクがあります。そのため、トラブルが顕在化する前の平時から、労働者派遣契約書や人材紹介契約書、求人サイトの規約といった各種文書を適法に整備しておく「予防法務」の視点が非常に重要となります。

 

【Q】

当社は登録型の人材派遣事業を行っています。この度、取引先である派遣先企業から、業績悪化を理由に労働者派遣契約を期間途中で中途解約されてしまいました(または休業を余儀なくされました)。

当該派遣先に派遣されていた労働者に対し、当社は残りの派遣期間満了までの賃金を支払わなければならないのでしょうか。また、すぐに次の派遣先が見つからない場合、派遣先がなくなったことを理由として、派遣労働者との雇用契約を期間途中で解約(解雇)することはできるのでしょうか。

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連載目次

〔業種別Q&A〕労使間トラブル事例と会社対応

▷製造業

  • 【第1回】 ★無料公開中★
    〔Q1〕工場内で労働者に労働災害が生じた場合のリスクと対応
  • 【第2回】
    〔Q2〕製品の情報や製造のノウハウ等の機密情報保護の対応策
  • 【第3回】
    〔Q3〕偽装請負と判断されないためのポイント
  • 【第4回】
    〔Q4〕工場閉鎖に伴って人員整理が必要となった場合の対応のポイント
  • 【第5回】
    〔Q5〕外国人労働者を雇用する際の留意点

▷流通・小売業・卸売業

  • 【第6回】
    〔Q1〕チェーン店の店長の管理監督者性
  • 【第7回】
    〔Q2〕アルバイトのシフト削減の可否
  • 【第8回】
    〔Q3〕カスタマーハラスメントと企業責任
  • 【第9回】
    〔Q4〕コンビニ店主の労働者性
  • 【第10回】
    〔Q5〕店舗における転倒事故と安全配慮義務
  • 【第11回】
    〔Q6〕経営悪化に伴うアルバイトの雇止め

▷情報通信業・IT

  • 【第12回】
    〔Q1〕従業員の中途採用・退職時の留意点
  • 【第13回】
    〔Q2〕長時間労働・残業代問題
  • 【第14回】
    〔Q3〕メンタルヘルス不調者への対応
  • 【第15回】
    〔Q4〕偽装請負にならないための注意点
  • 【第16回】
    〔Q5〕フリーランサーに対するハラスメント防止義務
  • 【第17回】
    〔Q6〕フリーランスと労災保険給付・安全配慮義務

▷人材派遣業・人材紹介業

  • 【第18回】
    〔Q1〕派遣先の休業・中途解約の場合の労働問題
  • 【第19回】 8/27公開予定
    〔Q2〕派遣における解雇・雇止めの問題
  • 【第20回】 9/24公開予定
    〔Q3〕派遣先でのセクハラ・パワハラ
  • 【第21回】 10/29公開予定
    〔Q4〕派遣先での労災
  • 【第22回】 11/26公開予定
    〔Q5〕派遣における同一労働同一賃金
  • 【第23回】 12/24公開予定
    〔Q6〕人材紹介の労働問題

筆者紹介

石居 茜

(いしい・あかね)

弁護士
弁護士法人 ロア・ユナイテッド法律事務所

愛知県出身。
平成11年3月:同志社大学法学部法律学科卒業
平成12年10月:司法試験合格
平成13年3月:同大学大学院法学研究科前期課程私法学専攻修了
平成13年4月:司法研修所入所
平成14年10月:弁護士登録(東京弁護士会)・ロア・ユナイテッド法律事務所入所
平成25年10月:ロア・ユナイテッド法律事務所パートナー弁護士就任

*  *  *

《ロア・ユナイテッド法律事務所》
当事務所では、「依頼者志向の理念」の下に、所員が一体となって「最良の法律サービス」をより早く、より経済的に、かつどこよりも感じ良く親切に提供することを目標に日々行動しております。

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