公開日: 2026/10/19
文字サイズ

《速報解説》 会計士協会、「投資事業有限責任組合における会計上及び監査上の取扱い」の改正を公表~用語の一般性、有限責任事業組合(LLP)との区別のため「有責組合」を「LPS」に変更~

筆者: 阿部 光成

《速報解説》

会計士協会、「投資事業有限責任組合における
会計上及び監査上の取扱い」の改正を公表

~用語の一般性、有限責任事業組合(LLP)との区別のため「有責組合」を「LPS」に変更~

 

公認会計士 阿部 光成

 

Ⅰ はじめに

2026年10月7日付けで(ホームページ掲載日は2026年10月16日)、日本公認会計士協会は、「業種別委員会実務指針第38号「投資事業有限責任組合における会計上及び監査上の取扱い」の改正」を公表した。これにより、2026年8月21日から意見募集されていた公開草案が確定することになる。

これは、2025年3月11日公表の改正移管指針第9号「金融商品会計に関する実務指針」、2025年6月23日公表の「投資事業有限責任組合契約書例及びその解説(令和7年版)」(経済産業省 新たなモデルLPAの作成等のための有識者検討会)に対応するものである。

公開草案に対する主なコメントの概要とその対応も公表されている。

文中、意見に関する部分は、私見であることを申し添える。

 

Ⅱ 主な内容

用語の一般性や有限責任事業組合(LLP)と区別するため「有責組合」を「LPS」に変更している。

改正移管指針第9号「金融商品会計に関する実務指針」では、特定の要件を満たした場合に、組合員はその出資する組合等の構成資産に含まれるすべての市場価格のない株式(出資者である企業の子会社株式及び関連会社株式を除く)について時価をもって評価し、組合等への出資者の会計処理の基礎とすることが認められている。

また、「投資事業有限責任組合契約書例及びその解説(令和7年版)」が公表され、その25条4項では、「無限責任組合員は、本組合が保有する投資証券等の評価を、[時価/IFRS会計基準で定める公正価値/米国において一般に公正妥当と認められる会計基準で定める公正価値/International Private Equity and Venture Capital Valuation Guidelinesで定める公正価値測定のガイドラインに準拠した方法]を用いて実施するものとする」と記載されている。

上記を受けて、次のように改正する。

① 組合契約に定める投資の評価方法を時価(24項)とする場合には、存続期限において例外的に投資証券が残存した場合においても、時価による評価が行われ、その影響が適切に財務諸表等に反映されている必要がある。
 しかし、早期換金化の必要があるなど、資産の保有に関する企業の意図を反映することにより、清算期間において換価処分されることを前提とした処分可能価額の合理的な見積額による評価が、時価(24項)と大きく乖離する場合には、処分可能価額の合理的な見積額及びその評価方法を適切に財務諸表等に注記する必要がある(27項)。

② 組合契約に定める投資の評価方法を時価以外とする場合(24-2項)においては、処分可能価額の合理的な見積額と大きく乖離しないような評価が行われ、その影響が適切に財務諸表等に反映されている必要がある(27項)。

③ 組合契約に定める投資の評価方法を時価(24項)とする場合で、時価と大きく乖離する処分可能価額の合理的な見積額を財務諸表等に反映させるためには、組合契約及び会計方針(投資の評価方法)の変更も含めた対応が必要である(27項)。

監査報告書の文例なども改正する。

 

Ⅲ 適用時期等

2027年1月1日以後開始する事業年度又は会計期間に係る監査から適用する。

ただし、2026年12月31日以後終了する事業年度又は会計期間に係る監査から適用することを妨げない。

適用初年度の取扱いに注意する。

(了)

《速報解説》

会計士協会、「投資事業有限責任組合における
会計上及び監査上の取扱い」の改正を公表

~用語の一般性、有限責任事業組合(LLP)との区別のため「有責組合」を「LPS」に変更~

 

公認会計士 阿部 光成

 

Ⅰ はじめに

2026年10月7日付けで(ホームページ掲載日は2026年10月16日)、日本公認会計士協会は、「業種別委員会実務指針第38号「投資事業有限責任組合における会計上及び監査上の取扱い」の改正」を公表した。これにより、2026年8月21日から意見募集されていた公開草案が確定することになる。

これは、2025年3月11日公表の改正移管指針第9号「金融商品会計に関する実務指針」、2025年6月23日公表の「投資事業有限責任組合契約書例及びその解説(令和7年版)」(経済産業省 新たなモデルLPAの作成等のための有識者検討会)に対応するものである。

公開草案に対する主なコメントの概要とその対応も公表されている。

文中、意見に関する部分は、私見であることを申し添える。

 

Ⅱ 主な内容

用語の一般性や有限責任事業組合(LLP)と区別するため「有責組合」を「LPS」に変更している。

改正移管指針第9号「金融商品会計に関する実務指針」では、特定の要件を満たした場合に、組合員はその出資する組合等の構成資産に含まれるすべての市場価格のない株式(出資者である企業の子会社株式及び関連会社株式を除く)について時価をもって評価し、組合等への出資者の会計処理の基礎とすることが認められている。

また、「投資事業有限責任組合契約書例及びその解説(令和7年版)」が公表され、その25条4項では、「無限責任組合員は、本組合が保有する投資証券等の評価を、[時価/IFRS会計基準で定める公正価値/米国において一般に公正妥当と認められる会計基準で定める公正価値/International Private Equity and Venture Capital Valuation Guidelinesで定める公正価値測定のガイドラインに準拠した方法]を用いて実施するものとする」と記載されている。

上記を受けて、次のように改正する。

① 組合契約に定める投資の評価方法を時価(24項)とする場合には、存続期限において例外的に投資証券が残存した場合においても、時価による評価が行われ、その影響が適切に財務諸表等に反映されている必要がある。
 しかし、早期換金化の必要があるなど、資産の保有に関する企業の意図を反映することにより、清算期間において換価処分されることを前提とした処分可能価額の合理的な見積額による評価が、時価(24項)と大きく乖離する場合には、処分可能価額の合理的な見積額及びその評価方法を適切に財務諸表等に注記する必要がある(27項)。

② 組合契約に定める投資の評価方法を時価以外とする場合(24-2項)においては、処分可能価額の合理的な見積額と大きく乖離しないような評価が行われ、その影響が適切に財務諸表等に反映されている必要がある(27項)。

③ 組合契約に定める投資の評価方法を時価(24項)とする場合で、時価と大きく乖離する処分可能価額の合理的な見積額を財務諸表等に反映させるためには、組合契約及び会計方針(投資の評価方法)の変更も含めた対応が必要である(27項)。

監査報告書の文例なども改正する。

 

Ⅲ 適用時期等

2027年1月1日以後開始する事業年度又は会計期間に係る監査から適用する。

ただし、2026年12月31日以後終了する事業年度又は会計期間に係る監査から適用することを妨げない。

適用初年度の取扱いに注意する。

(了)

筆者紹介

阿部 光成

(あべ・みつまさ)

公認会計士
中央大学商学部卒業。阿部公認会計士事務所。

現在、豊富な知識・情報力を活かし、コンサルティング業のほか各種実務セミナー講師を務める。
企業会計基準委員会会社法対応専門委員会専門委員、日本公認会計士協会連結範囲専門委員会専門委員長、比較情報検討専門委員会専門委員長を歴任。

主な著書に、『新会計基準の実務』(編著、中央経済社)、『企業会計における時価決定の実務』(共著、清文社)、『新しい事業報告・計算書類―経団連ひな型を参考に―〔全訂第2版〕』(編著、商事法務)がある。

#