公開日: 2014/03/06 (掲載号:No.59)
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実務対応報告からみた「従業員等に信託を通じて自社の株式を交付する取引」(日本版ESOP)の取扱い 【第1回】「対象となるスキーム」

筆者: 大矢 昇太、中村 真之

実務対応報告からみた

「従業員等に信託を通じて自社の株式を交付する取引」

(日本版ESOP)の取扱い

【第1回】

「対象となるスキーム」

 

公認会計士・税理士 大矢 昇太

公認会計士 中村 真之

 

《本連載の構成》

【第1回】 対象となるスキーム

1 はじめに

2 本実務対応報告を公表した経緯と対象となる取引

【第2回】 会計処理及び注記の確認

3 会計処理

4 開示

5 適用時期等

 

1 はじめに

企業会計基準委員会(ASBJ)は、平成25年12月25日に実務対応報告第30号「従業員等に信託を通じて自社の株式を交付する取引に関する実務上の取扱い」を公表し、いわゆる「日本版ESOP」について会計上の取扱いを示した。適用は平成26年4月1日以降に開始する事業年度の期首からとされているが、早期適用も認められている。

本稿では平成26年3月期の決算を目前に控え、本実務対応報告の概要について解説する。なお、文中の意見に関する部分は私見であることをあらかじめ申し添えさせていただく。

 

2 本実務対応報告を公表した経緯と対象となる取引

(1) 経緯

ESOPとは、正式には、「Employee Stock Ownership Plan」(従業員による株式所有計画)の頭文字であり、企業拠出による従業員に対する退職時雇用者株式給付制度を指す。もともと米国で発祥した制度であり、米国では、Employee Retirement Income Security Act(ERISA:従業員退職所得保障法)およびInternal Revenue Code (I.R.C.:内国歳入法典)において定義され、制度の租税法上の適格性要件が厳格に定められた適格退職金・年金制度であり、確定拠出型年金信託の一形態とされており、広く諸外国においても米国と同様の法制度が存在している。

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実務対応報告からみた

「従業員等に信託を通じて自社の株式を交付する取引」

(日本版ESOP)の取扱い

【第1回】

「対象となるスキーム」

 

公認会計士・税理士 大矢 昇太

公認会計士 中村 真之

 

《本連載の構成》

【第1回】 対象となるスキーム

1 はじめに

2 本実務対応報告を公表した経緯と対象となる取引

【第2回】 会計処理及び注記の確認

3 会計処理

4 開示

5 適用時期等

 

1 はじめに

企業会計基準委員会(ASBJ)は、平成25年12月25日に実務対応報告第30号「従業員等に信託を通じて自社の株式を交付する取引に関する実務上の取扱い」を公表し、いわゆる「日本版ESOP」について会計上の取扱いを示した。適用は平成26年4月1日以降に開始する事業年度の期首からとされているが、早期適用も認められている。

本稿では平成26年3月期の決算を目前に控え、本実務対応報告の概要について解説する。なお、文中の意見に関する部分は私見であることをあらかじめ申し添えさせていただく。

 

2 本実務対応報告を公表した経緯と対象となる取引

(1) 経緯

ESOPとは、正式には、「Employee Stock Ownership Plan」(従業員による株式所有計画)の頭文字であり、企業拠出による従業員に対する退職時雇用者株式給付制度を指す。もともと米国で発祥した制度であり、米国では、Employee Retirement Income Security Act(ERISA:従業員退職所得保障法)およびInternal Revenue Code (I.R.C.:内国歳入法典)において定義され、制度の租税法上の適格性要件が厳格に定められた適格退職金・年金制度であり、確定拠出型年金信託の一形態とされており、広く諸外国においても米国と同様の法制度が存在している。

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連載目次

「実務対応報告からみた「従業員等に信託を通じて自社の株式を交付する取引」(日本版ESOP)の取扱い」(全2回)

筆者紹介

大矢 昇太

(おおや・しょうた)

公認会計士・税理士

1973年 東京都生まれ
1996年 公認会計士第2次試験に合格し、その後太田昭和監査法人(現:新日本有限責任監査法人)に入所。慶應義塾大学法学部政治学科卒業後、公認会計士登録。
2002年 太陽監査法人(現:太陽ASG有限責任監査法人)に入所。
2007年 同監査法人の社員(パートナー)に就任(現任)。
2008年 青山学院大学大学院(会計専門職大学院)客員教授に就任(~2012年)。

【著書】
・『スタートアップIFRS』(2011年10月 清文社 単著)
・『実務に役立つIFRS主要基準ガイド』(2011年3月 税務研究会出版局 監修・共著)
・『SPVの会計・税務・監査』(2011年8月中央経済社 共編著)
・『ストック・オプションのすべて(第2版)』(2011年9月 税務研究会出版局 共著)
・『会計士監査制度の再構築』(2012年2月 中央経済社 共著)


中村 真之

(なかむら・まさゆき)

公認会計士

1977年 東京都生まれ
1999年 立教大学法学部法学科卒業
2000年 公認会計士第2次試験合格し、アクタス元監査法人(現太陽ASG有限責任監査法人)に入所
2004年 公認会計士登録

現在、同監査法人のマネジャーとして、主として金融商品取引法監査や会社法監査等の法定監査業務のほか、株式上場支援業務に携わっている。

関連書籍

Q&A 中小企業における「株式」の実務対応

東京中小企業投資育成株式会社 公認会計士・税理士 中野威人 著

「配当還元方式」徹底活用ガイド

税理士 山本和義 著

中小企業の事業承継

税理士 牧口晴一 著 名古屋商科大学大学院教授 齋藤孝一 著

SPC&匿名組合の法律・会計税務と評価

弁護士 永沢 徹 監修 さくら綜合事務所グループ 編著

信託法務大全 第2編

田中和明 編著 小出卓哉 編著 及川富美子 著 齋藤 崇 著 佐久間 亨 著 冨田雄介 著 畠山久志 著 松田和之 著 森田豪丈 著

詳説 自社株評価Q&A

税理士 竹内陽一 編著 税理士 掛川雅仁 編著 税理士 村上晴彦 編著 税理士 堀内眞之 編著

非公開会社における少数株主対策の実務

弁護士法人ピクト法律事務所 代表弁護士 永吉啓一郎 著

現場で使える「会計上の見積り」の実務

中野雄介 監修 日本公認会計士協会 京滋会 編著

これからの相続不動産と税務

税理士 小林磨寿美 著

企業法務で知っておくべき税務上の問題点100

弁護士・税理士 米倉裕樹 著 弁護士・税理士 中村和洋 著 弁護士・税理士 平松亜矢子 著 弁護士 元氏成保 著 弁護士・税理士 下尾裕 著 弁護士・税理士 永井秀人 著

一般社団・財団法人の税務と相続対策活用Q&A

税理士法人タクトコンサルティング 公認会計士・税理士 平松慎矢 著

基礎からわかる自社株評価

税理士 西山卓、税理士 池田真哉 著

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