税務判例を読むための税法の学び方【47】
〔第6章〕判例の見方
(その5)
立正大学法学部准教授
税理士 長島 弘
3 裁判の種類
前回までは厳密な意味での「判例」について確認してきたが、この連載は厳密な意味での「判例」の見方だけではなく、裁判例全般を読めるようになることを目標としているため、ここからは当該判決が「判例」か否かにかかわらず、判決を読むために必要な知識について学んでいこう。
そこでまずは、裁判及び判決の種類について見ていこう。
① 形式的意義・実質的意義の裁判と非訟事件
(a) 形式的意義の裁判と実質的意義の裁判
日本の法令上の用語では、裁判所又は裁判官がその権限行使として法定の形式で行う判断を「裁判」と呼ぶ。したがってこれを「形式的意義の裁判」という。
民事訴訟や刑事訴訟に限らず、民事執行、民事保全、破産等の非訟事件(後述)においても、裁判所が判断するものは「裁判」という形式で表示されるため、非争訟的非訟事件に対する判断のように実質上は行政処分に当たるようなものも裁判所の権限で行う判断であることから、形式的意義の裁判に含まれる。
それに対して実質的意義における裁判といった場合、「裁判」の概念に何が含まれるかにより異なることになる。「紛争を解決する拘束力を有する第三者の判断」と位置付ければ、行政機関が準司法的手続に基づいて行う行政審判もまた「裁判」に含まれることになる。
日本国憲法は、「行政機関は、終審として裁判を行ふことができない」(憲法第76条第2項)と規定しているが、これを反対解釈すれば、終審でなければ行政機関も「裁判」を行うことができることになり、この行政審判もまた「裁判」に含まれることになるのである。
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