コーポレートガバナンス・コードのポイントと
企業実務における対応のヒント
【第9回】
「金融機関におけるコーポレートガバナンス」
~取締役会の責務~
PwCあらた監査法人 シニアマネージャー
阿部 功治
2015年7月1日より、あらた監査法人は法人名称を「PwCあらた監査法人」に変更している。
〔はじめに〕
東京証券取引所(以下「東証」)は、「コーポレートガバナンス・コードの策定に関する有識者会議」が取りまとめた「コーポレートガバナンス・コード原案」(2015年3月5日公表)を受けて、「コーポレートガバナンス・コード」(以下「CGコード」)を東証の有価証券上場規程の別添として定めるとともに、関連する上場制度の整備を行った。CGコードは、2015年6月1日から既に適用されている。
本稿においては、金融機関(銀行業界)を例に、コーポレートガバナンスのあるべき姿についてCGコード第4章「取締役会等の責務」を踏まえた議論を展開する。
なお、文中の意見にわたる部分は筆者の私見であることをお断りしておく。
〔CGコードの基本原則4(取締役会等の責務)〕
東証の「CGコード」の基本原則4においては、「取締役会等の責務」として、以下の3点が特に重要なものとして挙げられている。
(1) 企業戦略等の大きな方向性を示すこと
(2) 経営陣幹部による適切なリスクテイクを支える環境整備を行うこと
(3) 独立した立場から、経営陣(執行役及びいわゆる執行役員を含む)・取締役に対する実効性の高い監督を行うこと
金融機関(銀行業界)においては、バーゼル銀行監督委員会より「Corporate governance principles for banks (Consultative document, Basel Committee on Banking Supervision, October 2014)」(銀行のコーポレートガバナンス諸原則、バーゼル銀行監督委員会(※))が発出されており、より具体的に満たすべき事項については参考になる。
(※) 「銀行のコーポレートガバナンス諸原則」に関する本文中の日本語は筆者仮訳。原文はこちらを参照。
〔金融機関のコーポレートガバナンス〕
「銀行のコーポレートガバナンス諸原則」は、以下の13の原則から構成されている。
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