公開日: 2015/05/21 (掲載号:No.120)
文字サイズ

コーポレートガバナンス・コードのポイントと企業実務における対応のヒント 【第6回】「取締役会等の責務③」~取締役会の多様性確保について(4-11)~

筆者: 阿部 環

コーポレートガバナンス・コードのポイントと

企業実務における対応のヒント

【第6回】

「取締役会等の責務③」

~取締役会の多様性確保について(4-11)~

 

あらた監査法人 マネージャー
米国公認会計士 阿部 環

 

〔取締役会等の責務〕

東京証券取引所(東証)は、2015年5月13日、「コーポレートガバナンス・コードの策定に関する有識者会議」が取りまとめた「コーポレートガバナンス・コード(原案)」(以下「CGコード」)を東証の有価証券上場規程の別添として定めるとともに、関連する上場制度の整備を行った

前回前々回に引き続き、本稿では、CGコード第4章「取締役会等の責務」から、「原則4-11. 取締役会・監査役会の実効性確保のための前提条件」について、フランスでの実務を紹介しつつ解説する。なお、文中の意見にわたる部分は筆者の私見であることをお断りしておく。

 

〔取締役会・監査役会の実効性確保のための前提条件〕原則4-11

取締役会は、その役割・責務を実効的に果たすための知識・経験・能力を全体としてバランス良く備え、多様性と適正規模を両立させる形で構成されるべきである。また、監査役には財務・会計に関する適切な知見を有している者が1名以上選任されるべきである。

取締役会は、取締役会全体としての実効性に関する分析・評価を行うことなどにより、その機能の向上を図るべきである。

本稿では、この原則の前半部分である「バランス・多様性・適正規模」について解説することとする。

では「バランス・多様性・適正規模等」とは何か。この点、我が国より15年近く先駆けて、1999年にコーポレートガバナンス・コード(※1)を導入したフランスで、これらの開示がどういった項目として取り扱われ、どの程度浸透しているのかを見てみたい。

(※1) フランス私企業協会(AFEP)およびフランス企業連盟(MEDEF)の作業部会が策定したAFEP/MEDEFコードは1999年に初めて制定され、その後、数回の改訂を経て、現在参照されているものは2013年6月版である。

フランス金融庁(AMF)とは別に、2013年に設置されたコーポレートガバナンス高等委員会(以下、「CG高等委員会」)は、2014年10月21日付で初めて出した実施状況に関する報告書(※2)のなかで、コーポレートガバナンスに関連する開示について、勧告や項目別の統計を発表した。

(※2) Haut Comité de Gouvernement D’Entreprise – Rapport d’activité (Octobre 2014)

下の表はフランスの上場会社の「取締役に関する情報開示」についての統計である。

この記事全文をご覧いただくには、プロフェッションネットワークの会員(プレミアム
会員又は一般会員)としてのログインが必要です。
通常、Profession Journalはプレミアム会員専用の閲覧サービスですので、プレミアム
会員のご登録をおすすめします。
プレミアム会員の方は下記ボタンからログインしてください。

プレミアム会員のご登録がお済みでない方は、下記ボタンから「プレミアム会員」を選択の上、お手続きください。

コーポレートガバナンス・コードのポイントと

企業実務における対応のヒント

【第6回】

「取締役会等の責務③」

~取締役会の多様性確保について(4-11)~

 

あらた監査法人 マネージャー
米国公認会計士 阿部 環

 

〔取締役会等の責務〕

東京証券取引所(東証)は、2015年5月13日、「コーポレートガバナンス・コードの策定に関する有識者会議」が取りまとめた「コーポレートガバナンス・コード(原案)」(以下「CGコード」)を東証の有価証券上場規程の別添として定めるとともに、関連する上場制度の整備を行った

前回前々回に引き続き、本稿では、CGコード第4章「取締役会等の責務」から、「原則4-11. 取締役会・監査役会の実効性確保のための前提条件」について、フランスでの実務を紹介しつつ解説する。なお、文中の意見にわたる部分は筆者の私見であることをお断りしておく。

 

〔取締役会・監査役会の実効性確保のための前提条件〕原則4-11

取締役会は、その役割・責務を実効的に果たすための知識・経験・能力を全体としてバランス良く備え、多様性と適正規模を両立させる形で構成されるべきである。また、監査役には財務・会計に関する適切な知見を有している者が1名以上選任されるべきである。

取締役会は、取締役会全体としての実効性に関する分析・評価を行うことなどにより、その機能の向上を図るべきである。

本稿では、この原則の前半部分である「バランス・多様性・適正規模」について解説することとする。

では「バランス・多様性・適正規模等」とは何か。この点、我が国より15年近く先駆けて、1999年にコーポレートガバナンス・コード(※1)を導入したフランスで、これらの開示がどういった項目として取り扱われ、どの程度浸透しているのかを見てみたい。

(※1) フランス私企業協会(AFEP)およびフランス企業連盟(MEDEF)の作業部会が策定したAFEP/MEDEFコードは1999年に初めて制定され、その後、数回の改訂を経て、現在参照されているものは2013年6月版である。

フランス金融庁(AMF)とは別に、2013年に設置されたコーポレートガバナンス高等委員会(以下、「CG高等委員会」)は、2014年10月21日付で初めて出した実施状況に関する報告書(※2)のなかで、コーポレートガバナンスに関連する開示について、勧告や項目別の統計を発表した。

(※2) Haut Comité de Gouvernement D’Entreprise – Rapport d’activité (Octobre 2014)

下の表はフランスの上場会社の「取締役に関する情報開示」についての統計である。

この記事全文をご覧いただくには、プロフェッションネットワークの会員(プレミアム
会員又は一般会員)としてのログインが必要です。
通常、Profession Journalはプレミアム会員専用の閲覧サービスですので、プレミアム
会員のご登録をおすすめします。
プレミアム会員の方は下記ボタンからログインしてください。

プレミアム会員のご登録がお済みでない方は、下記ボタンから「プレミアム会員」を選択の上、お手続きください。

連載目次

【参考】 PwCあらた監査法人

コーポレート・ガバナンス対応支援サービス

取締役会等の実効性評価、制度の整備

コーポレート・ガバナンス全般についてのお問い合わせは
  こちらの[お問い合わせページ]から

筆者紹介

阿部 環

(あべ・たまき)

PwCあらた有限責任監査法人 マネージャー
米国公認会計士

情報通信産業を中心に、国内及び外資系企業の財務諸表監査、内部統制監査に従事した後、2008年PwCフランス法人パリ事務所へ赴任。フランスにて自動車産業、証券取引所の監査業務を行う。2014年帰国後、主に外国企業上場のための監査業務及びフランス企業関連業務を担当。最近はコーポレート・ガバナンス関連業務にも従事し、国内上場企業へのアドバイザリー業務に加え、執筆も行っている。

記事検索

メルマガ

メールマガジン購読をご希望の方は以下に登録してください。

#
#