社外取締役の教科書
【第4回】
「社外取締役の職務・活動内容(その2)」
クレド法律事務所
駒澤大学法科大学院非常勤講師
弁護士 栗田 祐太郎
1 社外取締役としての基本的職務―ガバナンスへの関わり
今回から、社外取締役の実際の職務ないし活動内容について説明していきたい。
既に本連載【第1回】において、社外取締役制度の目的は、①ガバナンスの強化と②社外の知見・ノウハウの取り入れの2点に集約できるとし、その大まかな趣旨につき説明をした。
これを前提に、今回は、社外取締役が「ガバナンス(企業統治)の強化」において果たす役割を説明したい。
* * *
社外取締役に期待されている役割の中心が「ガバナンスの強化」にあることは、ほぼ共通の認識となっている。
このことは、たとえば日本取締役協会が2014年3月に公表した「社外取締役・取締役会に期待される役割について」と題する提言において、社外取締役の主たる職務が、経営(業務執行)の意思決定ではなく、経営者(業務執行者)の「監督」にあること、そして、この「監督」の中核は、経営者が策定した経営戦略・計画に照らして、その成果が妥当であったかを検証し、最終的には現在の経営者に経営を委ねることの是非について判断することであると明言されている。
同協会の会長であり、オリックス社のシニア・チェアマンである宮内義彦氏は、以上を端的に、
社外取締役の役割は、社長のクビを切る必要があるかどうか見極めることだ。
敵と味方とまでは言わないが、社長と社外取締役は対峙し、緊張感のある関係であるべきだ。
とコメントしている(2015年7月23日付け日経新聞朝刊)。
このように、社内的な人事ピラミッドの頂点に位置する経営者に対して、しがらみに囚われず“猫に鈴を付け”、必要なときには“引導を渡す”ことができるということが、社外取締役に本来期待された職務・役割なのである。
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